昔からお酒も飲めないのに酒器が好きだ。
仕事柄(かつて器屋で働いていたので)ずいぶん良いものもたくさん
見てきたけれど、酒器というのはほかの雑器(皿や丼といった日常の
器)と違って格上で、ほんの小さな杯でもとても高価だったりする。絵
が大きくても小さくても、そこにかかる力は同じというのと一緒で、小
さくてもちゃんと世界観を持っている。なかには心底欲しいものもあっ
たけれど、さすがに使わない器に高いお金を出す余裕は私にはなく、
買うようなことはしてこなかった。上は、粉引きと焼き締めを得意とす
る若手人気作家、桑原哲夫作による冷酒用の片口酒器。清潔感の
ある粉引きの白が新年にふさわしいと思い、数年前のお正月用に買
い求めたもの。こちらは酒器といってもだいぶカジュアルで安価。
こんな杯が2つ付いて。
ひっくり返すと、高台はこんな風。向きが悪かったけど、高台にはK
の印が。釉をかけたときの指の跡も残っている。
この人の粉引きは繊細で気品があって女性ファンが多く、とても素敵
なのだけれど、惜しいかな、粉引きの釉薬部分がチップしやすい。
そしてこれは遡ること10年以上も前に買った絵師、津守順さんの
杯。たまたま百貨店にプロモーションに来ていた順さんの奥さんと仲
良くなって記念に買ったもので、当時は私も陶芸の世界は素人でよく
わからなかったけれど、いまこの杯を見ると「陶芸はまだ始めたばか
りなのであまり上手くないの」と言った奥さんの言葉がよくわかる。
杯としてはかなり厚手で無骨な感じ。大きさもみんな違ってた。揃い
の徳利を買わなかったのも、あまりに重くて無骨だったからだと思う。
でも絵師だけあって絵は素敵。この杯を買ったときに、私は順さんの
手描きの絵葉書をいただいた。和紙に墨で描いた幽玄な蓮の花。
そして昨日アップした、燗をつけるために去年の暮れに新たに買った
のがこの酒器。土ものも味があっていいけれど、徳利は中まで洗え
ないし、土ものは完全に乾かしてしまわないと見えないところに黴が
生えたりして扱いが面倒なので、扱いの簡単なボンチャイナにした。
ヤフーのオークションで3千円以下で買おうと決めて探したら、2千円
ちょいで見つかりました。有田焼、曲水窯。柿右衛門様式の徳利2つ
とお猪口が5個ついた酒器セット。定価ではありえない価格です。
ヤフーのオークションサイトには備前まであって、窯元直で若手作家
の器を安い価格で出していたり、個人出品で到来物の良いものが安
く出ていたりするので、暇なときは眺めているだけでも楽しめます。
そしてこれは酒器ではないけれど、昨日いぶりがっこを載せていた
小ぶりの長皿。なんとこれは『陶の森』で四方皿を5枚セットで買っ
たときにオマケでもらったもので、四方皿と同じく岡部耕太郎作。
長さ19センチと小さいながらも立派な作家物で、これをもらったとき
にはこんなものをオマケにしてよいのかと驚いた。すごく嬉しかった。
粉引きの中でもかなり好きな粉引きで、酒の肴を載せるのにちょうど
よく絵になって、大のお気に入り。ちぎったような端が野趣たっぷりの
男の器。表は端正な櫛目、裏は三点足付き。
最後はこの長皿にちょっと似た箸置き。これは誰の作か忘れた。
微かに緑の釉がかかっていて、これも裏は三点足付き。
たかだかたったこれだけのことでも、かように器の世界は奥が深く、
楽しい。でも最近、できるだけ節約、できるだけ物を買わないように
している私は、個展の案内が来ても滅多に行かないようにしている。
ただ眺めるだけ、と決めて行っても、好きな作家の個展なら、何も買
わずに帰って来るのが難しいから。まさに私には目の毒!
****************************************************
追記:長くなったついでと言ってはなんだけど、大したものを買ったわ
けでもないのにもう何年も年賀状をくださる律儀な備前作家、江間廣
さんのホームページをご案内。作品だけじゃなく、窯の様子や土のこ
となどもわかって楽しい。酒器はやっぱり酒飲みが作るのが一番!
よく見ると備前といっても手頃な価格のものも見つかります。
→ 江間 廣 トップページ
最近のコメント