ラリックの愛/国立新美術館
会期が終わる直前の9月始め、女友達と一緒にラリック展を見に行った。
まだあれは6月だったか、私がラリックに行きたいと言ったら、友人がチケットプレゼン
トに応募してくれて、ラッキーなことにそれが当たったのだった。
ラリック展は数年前、庭園美術館でやったときに一度見ていて、招へい元の細やかで
高い美意識に演出された見せ方と、庭園美術館というラリックにぴったりなロケーショ
ンもあって、会期中にぜひもう一度見に来たいと思うほど素晴らしかった。
今回は、前から行きたいと思っていた国立新美術館。友人も私も行くのは初めて。
もちろん撮影は禁止なので作品の写真はないけれど、今回も本当に素晴らしかったで
す。ただ失敗だったのは会期が終わる直前ということで、ものすごく混んでいたこと。
そのほとんどが女性客。それもさもありなんで、展示されている作品の半分以上が精
緻を凝らした美しいジュエリーというのだから、もう女性の眼は釘付け!
その女性たちのランランと輝く瞳と、喉から手が出そうな表情を見ているほうが私には
面白かったくらいで、作品の前に延々と並んだ列はいっこうに動く気配なし ・・・
約400点あまりの作品を全部見終えるのに、2時間半以上はゆうにかかりました。
もう、へとへと。
ラリックというと、前回の個展でも思ったことだけれど、本当に自然をよく観察している
人で、彼が好んで作品のモチーフにするのは美しい植物や動物、神話の中の登場人
物のようなロマンティックなものばかりではなくて、爬虫類や昆虫など、時にグロテス
クなものまで。それをマクロ的な視点でリアルに表現しているのだけれど、これがまた
実に美しいジュエリーに、またただのジュエリーにとどまらず高いアートに昇華してい
るんですよね。ほんとに溜息ものでした。
思わずレプリカでもいいから手に入れたい! と思うようなものはいくつもあったけれ
ど、その中でも特に私の印象に残ったのは、萎れた花、花びらが1枚きりになった花
をモチーフにした作品。美しく咲いている花を愛でる男はこの世にいくらでもいるでしょ
うけれど、枯れた花、散った花までをみつめて、滅びゆくものに美を感じ、それを表現
しているところにラリックならではの深い愛を感じました。それは妻子がありながら激
しい恋に堕ち、苦悩しながらもその相手と成就したラリックならではのロマンティックな
ところだと思うし、こんな男に愛された女はしあわせだろうなと思います。
そのラリックが愛した女、アリスの象徴であるケシの花。
チケットになった写真のハット・ピンがまさにそれで、ケシの花をモチーフにして作られ
た作品はすべてアリスをイメージして作られ、また捧げられたものなのだとか。
もう女性たちの目はますますハートでいっぱいですね。
後半はガラス工芸。でも、今回はなんといってもジュエリーが圧巻でした。
ジュエリーといっても、ただ華美なのじゃない。精緻さ、繊細さ、精妙さ。微妙な色のグ
ラディエーション。日本人の詫び寂びにも通じるような、枯淡ともいえる色合い。
日本人がラリックを好きなわけです。
うっとりと堪能して出てきた後はすっかり足が棒になっていて、俄かにお腹も空き、当
初予定していた美術館の外にランチをしに行く元気もなくなっていて、「もう、ここでい
いや!」とばかりに宇宙船のようなカフェ『サロン・ド・テ・ロンド』に入る。
素晴らしい眺め!
でも、話のタネにここでお茶するくらいはいいけれど、ランチはお勧めしません。
固いバゲットのサンドイッチは歯が折れるかと思いました。
お湯を足して足して薄まったようなミネストローネもいただけません。
でも、この日はとてもお天気がよく、ガラス壁のカーテンウォールから燦々と降り注ぐ
光が眩しいほどで、夏の陽射しが残るデッキでくつろぐ人たちもとても気持ちよさそう
でした。女友達とは「つまり、この景色がおかずってわけね」と言いながら ・・・
国立新美術館、館内もスペースチックで圧倒的な世界だけれど、外から眺めたところ
がまたいい!
まるで都会に突如としてあらわれた巨大なサボテンみたい!
青空に映える見事なウェーブ。
どこから見ても面白い建物です。
見ているだけで楽しくなる。
全面ガラス張りなのに冷たくなく、むしろ有機的なあたたかさを感じる。
圧倒的な存在感なのに威圧感はまるでなくてポップ、すごく凝った作りなのに一見す
るとシンプルで、街の景色にも緑にも自然に調和して、見ているだけで癒される感じ。
この建物自体がアート。
・・・ というわけで、 私は建物を出てからもすっかり楽しくなってしまいました♪
この建物の設計デザインをしたのは黒川記章。
もう亡くなってしまったなんて信じられないくらいです。
子供のようにはしゃぎながら、坂を下りる2人。
夏の名残りを残す美しい午後、美しい友達と。









































































































































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