アートのある場所

2017年1月20日 (金)

そして空について語り合う

17tomoki_watanabe_exhibition

Hello、水瓶座さん!
今日から水瓶座の誕生月がはじまります。
そして今日から渡邉知樹さんの個展『そして空について語り合う』がはじまります。

思えば知樹さんの絵をはじめて見たのは去年の自分の誕生日の日でした。
滅多にない土曜日の誕生日。
吉祥寺のにじ画廊で『花、花、ギガンテス、花』を見たのがはじまりでした。
誰かのTwitterで個展のDMを見て、直感的にいいと思って、これは絶対に見に行こうと思って行ったのだけど、実物を見てびっくりした。広いギャラリーの白い壁にかかった絵がどれも良くて。一見、何気なく描かれたような線が、でもどうやってもそれ以上ないというくらい決まってて。コスミックな多様性を感じる有機的な細かい線で描かれた絵も、ただ深く鮮やかに色を重ねただけの絵も、どれもよかった。ポップなんだけど、普遍的なものがある絵。
いま思いだしてもすごく勢いのある個展だったと思う。

その印象は個展から2週間経ったあとも頭から離れなくて、そしてついに知樹さんにメールをしたのだった。
いま手元に残っている絵はありますか、と。
生まれてはじめて絵を買おうと思った瞬間。
ぜんぜん大げさじゃなく、清水の舞台から飛び降りるような気持ち。
ずっと自分なんて絵を買うような身分じゃないと思っていたし、絵を飾って素敵な家にも住んでないし、それに何より、いつものように(その絵を自分の部屋に飾ったときの)絵が頭にあるだけで、どうやってコンクリートの壁に絵を掛けるかという問題もあったのだから。

奇しくもわたしが欲しかった絵はまだ知樹さんの手元にあって、実際に絵が届いたのはそれからなんと7ヶ月後。
わたしもけっこう気が長いほうだけれど、知樹さんも気の長い、鷹揚な人でよかった。
そして『なぐり』を生業とする友達の創意工夫のおかげで無事に絵が掛かったのがさらに2ヶ月後。
そして、いつでもダイニングルームに絵がある生活も早や4ヶ月。

食卓に花があると食事をしながらいつもじーっと花を見てしまうけど、目の前に絵があるとやっぱりいつでもじーっと眺めてしまう。
そしてそれは花とおなじように、見る時間帯、光の加減によって日ごとにまったく見え方が違うから、毎日おなじ絵を見ててもぜんぜん飽きないのです。

朝のひかり、昼のひかり、自然光の中で見るときと暗くなって灯りをつけたとき。
そして夜、部屋の明かりを消してわずかな光源の中で絵を見るとき。
(これがまたいい!)
こうなるともうたぶん、描いたご本人よりこの絵の表情を知っているんじゃないかと思ってしまう。

絵も自然の花や鉱物や生きもののようにエネルギーを発しているから、絵がそこにあると毎日それをうけとることになる。
ゆえに、どんなに美しくてもマイナスに引きづられる絵をわたしは自分の部屋に(とくにみんなが集うダイニングルームに)飾りたいとは思わないんだよね。

知樹さんの絵が発するエネルギーは、曇りのないしあわせなエネルギーです。
それはきっと、唯一無二の宝物を手に入れたことに起因してるんじゃないかと思うけど、わたしが手に入れた絵の場合、Pinkという色にも象徴される。

部屋の空気が一変するような大きな絵をはじめて買って思うのは、絵のある部屋、絵のある生活っていいな、ってこと。
たとえば、いまわたしは木枠の大きな窓のある、なんにもないただの白い箱みたいな部屋に引っ越したいなと思うのです。
そこに素敵な家具が何もなくても、自分の気に入った絵が壁にどん!と飾ってあれば、たとえ木の林檎箱をテーブルにごはんを食べても豊かだと思える。

そんな絵を描く知樹さんの個展が国立の『黄色い鳥器店』さんで今日からはじまります。

17tomoki_watanabe_exhibition_01_2

 そして空について語り合う

 渡邉知樹 個展

 2017年1月20日(金)-29日(日)23日(月)はお休み

 たのしいお皿に盛りつけて おいしいいものを食べながら
 空について語り合う そしたらもう少しがんばれる

 新作の絵画をメインに、オブジェのほか陶芸家 駒ヶ嶺三彩さんとの
 コラボ絵皿を存分にご覧いただけます。
 黄色い鳥器店での初個展、どうぞお楽しみください。

| | コメント (0)

2017年1月 9日 (月)

New Year Greetings展 ☆

17new_year_greetings

あたらしい年のはじめの1番最初に何を見るかって、けっこう重要です。
その年の傾向や勢いが決まる、っていったらちょっと大げさかもしれないけれど、でもやっぱり気持ちのいいスタートを切りたいから。
そんな意味で今月は京都で同僚が見てとてもよかったというマリメッコ展と、前から楽しみにしている陶芸家の駒ヶ嶺三彩さんコラボ渡邉知樹さんの個展が見られたらそれだけでいいと思っていたのだけれど、年のはじめに三彩さんから年賀状とともにこの展示のご案内をいただいたので、これを今年いちばんに見に行こうと思いました。

昨日から西荻窪のギャラリー みずのそらではじまった『New Year Greetings』展。
文字どおり、様々な分野で活躍する参加者の方々から寄せられた年賀状の展示です。ほんとは初日の昨日、行きたかったのだけれど、あいにくの雨と寒さで今日にしました。前回行ったとき、あそこは晴れた日にこそ気持ちのいいギャラリーだと思ったから。
昨夜のごうごうたる北風と雨の音はまるで嵐のようだったけど、今日は午後から青空も見えて、ちょっと青ざめた感じだけど今日のみずのそら、です。

17new_year_greetings_01

コンクリートの床から生えたみたいな竹の先に付けられたカラフルな年賀状。
その風景はなんだか七夕のようでもあり、河原の葦のようでもあり。
ゆらゆら揺れてる感じが気持ちよさげで、それこそ風の便りのようで。
歩きながら裏と表、一枚一枚見ていくのも楽しくて。

17new_year_greetings_02_2

酉年だけに、鳥のモチーフが多かった。
年賀状といっても紙だけじゃないのが面白い。

17new_year_greetings_03

パッと見てわかった。
これは鍛冶屋のカージーさんの作品。
飛んでる鳥のバランス、壁に映った鳥の影もいい。

17new_year_greetings_04

そして、たーくさんあるなかでも目立ってた、知樹さんの年賀状。
知樹さんのいつものへんな鳥、と、絵みたいに特徴のある字。

17new_year_greetings_05

それと、これもやっぱり涙ガラスさんだあー、とわかる、涙ガラス制作所さんの年賀葉書。猫が青い宝石のようなうつくしい涙をひとつぶ流してて『2017年もうれし涙の多い1年になりますように!』って書いてある。猫の頭の上には青い鳥。

17new_year_greetings_06

部屋の端の棚にのった年賀状を眺めていたら、「どれがお気に入りですか?」と三彩さんに声をかけられた。今回のこの展示では三彩さんは実行委員だそうです。実行委員だなんて、学祭みたいで懐かしい。三彩さんとは去年のクリスマス前にトラネコボンボン展でばったり出くわしたり。ほんとに飄々として神出鬼没な人です。
しばらく立ち話ししたあと「よかったらカフェもどうぞ」といわれたので、お茶をして帰ることにしました。
ここはカフェも気持ちいいです。
テーブルの上に飾られた、これも一発で三彩さんとわかる花器と白椿。

17new_year_greetings_07

この鉄釉みたいな輪花の一輪挿し、素敵だったなぁ。

17new_year_greetings_08

それから、このカフェではいつも展示にあわせて素敵なスウィーツ・プレートを出してるんだよね。今日は、conalogueさんのアーモンドとフランボワーズ ブルーベリーのケーキと全粒粉のクッキー。ケーキは弾力のある食感で、上にかかったアイシングとアーモンドとフルーツの入った生地が口の中で合わさると、ちょうどよい酸味と甘みで、とってもおいしかった。
そして珈琲にうるさいわたしですが、この珈琲がちょっと驚くほどおいしかったです。
思わず、豆はどこのを使ってるんだろう、と思ってしまったくらい。

17new_year_greetings_09

というわけで、年のはじめからとても気持ちのいい展示を見ました。
個人的には年賀状を出さなくなって早や、うん十年のわたしなので(単純に離婚した後どうしていいかわからなくなっちゃったのです。それから十年くらいはもうほんとに生きるのに精一杯でそんなことをする余裕もなかったし)、そんなわたしに年賀状をくださる人ももうそんなにはいないのだけれど、それでもわずかに送ってくださる人がいて、そんな方には折りに触れてゆっくりですけどぼちぼちお返事を書こうと思っています。

毎年おもしろいのは、自分では一枚も年賀状を出さないのに、元旦になると真っ先にポストを見に行く娘。そしていつも「おかあさんのしかなかった~」と帰ってくる。で、ちょっとかわいそうになっちゃう。
三彩さんのブログに『年賀状をおくることは "いつでもあなたのことを思っています。"という気持ちと共にあると思っています。』とあって、いつも思ってるかどうかはわからないけど、頭のどこかにはあるってことなんだろうなあ、と思います。
だから来年は娘にも年賀状を送ってくれる相手、そして送りたい相手がいるといいなあ、と思う。わたしは相変わらず年賀状は出さないんだけど、最近はこみいった長い手紙はともかくとして、短い手紙くらいは手書きで書くようにしていて、ときどき贈りものとかと一緒に贈るのだけど、返事はこないことのほうが多い。電話がきたり、メールがきたりするくらいで。
それはなんだかつまらないね。
ティーンエイジャーのころから20代くらいまでがいちばん手紙を書いたり、もらったりすることが多かったような気がする。ポストの中の、たくさんのどうでもいいDMに混じって見慣れた書き文字のある封筒をみつけたときのドキドキ。
また体験してみたい。

そうそう、帰り際、「三彩さんの(年賀状)はどこにあるの?」と訊いたら、「わたしのは外の目立つところにあります」って。気づかなかったなあ・・・・・・
でも外に出てから見たらありました。
きれいに編まれた紅白の水引に陶の鳥、『平和』の文字。
やっぱりこれも三彩さんらしい!

17new_year_greetings_10

 

| | コメント (0)

2016年12月11日 (日)

アートはこころをあったかくする ♡

16toranekobonbon

師走はなんだかほんとに忙しいです。
通常の仕事と家事にくわえて、イレギュラーの仕事に大掃除に家族の冬支度、それにあちこち展示やライブのイベントラッシュ。
日に日に外気が下がって真冬に向かうなか身体は繊細に疲れを発信してくるし、この時期ムリしてもロクなことはなし。例年によってインフルエンザやノロウィルスの声も聞こえて来たし、人混みの中にしょっちゅう出かけていくのはリスクだとわかっていても、でもやっぱり見たいものは見たいし、聴きたいものは聴きたいしで・・・・・・。

昨日は仕事であわや終電を逃しそうになりつつ午前様に帰宅して、今日も外はすごく寒かったけど、でもやっぱり今日でかけていってよかった。
いつか『ぽえむぱろうる』でみつけて娘が買った絵本『CAT』の作者、トラネコボンボンさんの新作絵本『HORSE』の原画展。
すっかり暗くなってから着いたギャラリーは静かでよかったし、作品はどこにも大仰なところがない、ひそやかで穏やかでポエティックで繊細で、やさしい世界。
ひとり静かに絵をみつめて、ぼーんやりイマジネーションの世界で遊んだ。
ギャラリーの方もみんな感じがよかった。
それに一期一会の出会いもあった。
『私の贈り物』展で、もうすぐそこまできた近い未来の贈りものをみつけた。
それで、行きはすごい寒いなか行ったけど、帰りはなんだかすごくあったかなしあわせな気持ちで帰ってきました。
間違いなく、アートは人のこころをあったかくする!
パルコの前の大きなクリスマスツリーもキラキラでした。
わたしは明日の夜も吉祥寺。
久しぶりのサムタイム。

16happy_holiday

 「 私の贈り物 」  絵本と箱と原画の展覧会

 トラネコボンボン

 2016.12.10(土)~17(土)

 12:00 -- 19:00 水曜定休

 最終日は17:30まで

 gallery feve

| | コメント (0)

2016年11月 7日 (月)

からんどりえ展に行ってきました。

16calendrier

仕事のミーティングのあとは小平に寄って、渡邉知樹さんが絵画講師を務めるという、東村山福祉園の利用者さんたちによる絵の展覧会『からんどりえ』展を見てきました。知樹さんのTwitterでこの展覧会がお隣の駅近くでやっていることを知って行けたら行こうと思っていたのだけれど、昨日ちょうど知樹さん本人からフライヤーをもらったのがいいきっかけになりました。

16calendrier_01

場所は西武新宿線小平駅南口で降りて、モスバーガーのある交差点を水道道路沿いに行ってすぐ。三角屋根の『白矢眼科医院』というのが見えたら、『白矢アートスペースは』その奥です。このギャラリー、白矢眼科医院がやっている個人ギャラリーらしい。
これまで文化が無いと思っていた東村山市にこんなアートな試みをやっている福祉施設があったというのも、知樹さんがこんな近くで働いていたというのも驚きだったけど、こんな近くにこれだけ大きなギャラリーがあったというのも驚きでした。灯台下暗し!

16calendrier_02

ドアをあけるとすぐに昨日会ったばかりの知樹さんが「どうも~、ご無沙汰しています~」と、とぼけた挨拶で迎えてくれました。1階にはグッズなどを売っているショップと、映像作品の閲覧ブース、絵も壁に少し飾ってあったけれど、2階がとにかくすごかった!
1階からは想像もつかない広いスペースの壁いっぱいを埋める絵、絵、絵!
それぞれのスタイル、それぞれのタッチによって描かれたカラフルな色と形の洪水に圧倒されました。思わず、上に上がってきた知樹さんに「パワー炸裂!」というと、「ねーー、凄いでしょう~!」と。
このときフロアーには我々二人しかいなかったから、『クイーン・オブ・素朴な疑問』のわたしは知樹さんにいろいろ質問しちゃいました。
たとえばこの絵は・・・・・・、と言葉を選びながら説明してくれる知樹さん。
(ここでもまさかの豹柄コスチュームです smile

16calendrier_03

16calendrier_04

16calendrier_05

知樹さんが絵を教えている障碍者の方々の中には言葉が話せない、こちらのいうことがわからない、コミュニケーションがまったくとれないような重度の方も多いそうです。
そういうひとたちに絵を教えるとはどういうことなのか。
知樹さんは描く人にできるだけ制限(ストレス)を与えないように、本人が気持ちよく集中して自由に表現できるように導いているそうです。
たとえば描いている人が自分の手や紙以外にものに描きだしてしまったとしても、それはやっちゃだめ! と止めてしまわないこと。
そうやって止められた人はそれまでとおなじようには描けなくなってしまうそうです。
それって障碍者の方に限らず普通の子育てにも通じることなんじゃないかと思ったし、「この人が前のような絵を描かなくなってしまったのがいまのぼくの悩みなんです」といった知樹さんには、教え子(といっても知樹さんよりずっと年上の方も多いそうですが)に対する大きな愛を感じました。

16calendrier_06

何より知樹さん自身が描かかれた絵を心底いいと思ってるからいうことに嘘臭さがまったくないし、だいいち絵の前に立ったらわかるけど、ほんとにいいんです。
これはぜひ、たくさんの人に見てほしい。
わたしがしたたくさんの質問の中には「この絵には意味のあるものとないものがあるんですか?」というのもあったのだけれど、知樹さんからは「ほとんど意味はないと思います」という言葉が返ってきました。
意味がない、といわれると、ふだん頭でものを考えてる人は一瞬拍子抜けするかもしれないけれど、でもたとえば音楽の原初的なことを考えたとき、木の板を叩くことに意味があるか? といったら、ないのとおなじように、出てきた色や形や音に意味があるかということより、表現したい気持ち、こころとからだがそう動いた、ということに意味があるのだと思います。
そして目の前の絵を見ていると、なかには本当は絵なんか描きたくないと思っている自閉症の人だっているそうなのに、ひとたび閉じられた内面から放たれた色や形は奔流のように激しく外側にあふれて見る側に迫ってきて、下手に何かを意図して描かれた絵なんかよりずっと力があるようにわたしは感じました。
「この絵を見ていると、これまで自分がやってきたことが間違ってなかったと思えます」といった知樹さんの言葉がとても印象的でした。

わたしが特に好きだった絵。
左端の12枚。
パステルカラーがきれいで、小さく文字が点在しているところがちょっとサイ・トゥオンブリーみたいと思ったのだけれど、この絵はラブレターなのですって。
「これを解読せねば」と知樹さん。
すごくバランスのいい、センスのいい絵だと思います。

16calendrier_07

それから、これ。

16calendrier_10

うまく好きなところを写真に撮れなかったのだけれど、虹のような色の線の中に、ちょっと神話を思わせるようなユーモラスでプリミティブなモチーフが描かれてあるのです。

16calendrier_09

またこの見せ方(展示のしかた)がいいよね。

16calendrier_08

障碍者の絵、というとそれだけで引いてしまったり、かまえてしまったり、敬遠する人もいるかもしれないけれど、昨日、知樹さんからもらったフライヤーにも書かれていたように、絵なんて誰が描いたか何が描かれているか上手い下手、意味内容なんかを頭で考えるより、ただ『こころをからっぽにして』じっと見つめて、そこから自分に迫ってくるものをただ感じればいいんだという気がします。

16calendrier_11_2

『からんどりえ』展は明日まで、小平駅徒歩1分の『白矢アートスペース』でやっています。1階で見られる、東村山福祉園でみんなが絵を描く様子をうつくしい映像で追ったドキュメンタリーもほんとうに素晴らしい!
夜7時までやっているので、ぜひどうぞ!

16calendrier_12

そして、いつもわたしのする素朴な疑問、現実的な質問、奇問難問に誠実に答えてくれる知樹さん、どうもありがとう!
とっても楽しかったです!!
(わたしは自分の住んでる東村山市をちょっとだけ見直しました。)

16calendrier_ten_2

| | コメント (0)

2016年10月26日 (水)

PINK FLOWERS *

16gerberrosemary

晴れた朝。
ひさしぶりに食卓にあのひとが選んできた花がある。
まっかなガーベラと強い匂いのするローズマリー。


でも食卓に花がないときにもこの部屋にはいつも花の気があった。
朝も、昼も、夜も。いつだって!


なんて素敵なことでしょう!

16a_room_with_a_art_04

『PINK FLOWERS』 by Tomoki Watanabe

| | コメント (0)

2016年10月20日 (木)

ここからちょっとづつ。

16tori_blue_2

今年の西荻ラバーズフェスのときイトさんで2枚買った知樹さんの手ぬぐい。
猫ピンクは娘にあげて、娘の部屋の壁に垂れ幕みたいに下がってる。
わたしの鳥ブルーは、ずっと玄関に額装して飾ってあった『かまわぬ』の群青に桜の手ぬぐいと入れ替えようと思いつつ、ずっとできずにそのままになっていたのを、今日やっと入れ替えた。
手ぬぐいのちゃんとした額装のやりかたは昔『かまわぬ』の友達に聞いて知っていたのだけれど、水張りして一晩置くのは面倒なので、アイロンかけてちゃちゃっと簡単にやってしまった。知樹さんの自由奔放な絵のおかげで上と下がちょっと切れちゃったけど、いい感じ。

この手ぬぐい、動きのある鳥の絵もいいのだけれど、絵に添えられたローマ字で書かれた言葉もよくて、『好きなところへ好きなときに』『だったらそれをして自由になればいい』『あるがまま』『心と言葉』『日々、変わってゆく』『いま、ここから』『わたしは魚たちの話を聴くのが好きです』『ちゃんと伝える』『世界にはたくさんの川が流れている』『世界へ』『おはよう』なんて書かれていて、とてもいい。

ちいさなことでも部屋の中の何かを変えると気があたらしくなる。
これまで気になりつつできなかったことができると気持ちがすっきりする。
今日まで直せなかった習慣が改善できると健康になる。

ここから先はそんなことをせっせとやっていこうと思う。
今日から今年一年の終わりまで。

ここから、ちょっとづつ。

| | コメント (0)

2016年9月11日 (日)

『いつかみた あのこ』に会ってきました。

16megumi_yamaguchi

昨日、病み上がりのプール。
水の中でカラダが鉛みたいに重かった。
クロールで手を伸ばしてもカラダが滑るどころか、ぜんぜん進まなくて。
まるで水中でもがいてるみたいな。
それで思ったのは新鮮なお魚のパツッとハリのあるカラダのことで、あんなふうにハリがあってこそあのキレのある泳ぎができるわけで、とよん、としたカラダをしてたら絶対にそうはならないんだってこと。
これは体調が完全に戻ったら筋トレはじめなくちゃな、と思う。
毎日ちいさなことでもコツコツと ・・・・・・
そういうの、あんまり得意じゃないけれど。

そんなわけで昨日もだめだめスイマーだったけど、さいわい雨の天気予報が外れて一日お天気が持ちそうだったから、ゆうがた娘と連れ立って高円寺のAmleteron(アムレテロン)さんへ『いつかみた あのこ やまぐちめぐみ作品展』を見に。

アムレテロンさんのことは少し前から知っていて、前に神聖幾何学のことを検索しているときにここで扱っているサンキャッチャーがヒットして、いつか見に行きたいと思っていたのでした。そして今回即座に行こうと思ったのは、このDMになっためぐみさんの絵がとてもよかったから。わたしが好きな、めぐみさんの初期特有の絵。
『いつかみた あのこ』というタイトルもよかった。

はじめてお店の扉を開けて中に入って、目に飛び込んできた絵を見てびっくりしました。それはわたしがはじめてめぐみさんのブログで見て、とても惹かれた絵だったからです。
たしかそれはめぐみさんがセツ時代に描いた絵じゃなかったかと思う。
四六判半切の大きな絵で、荒涼たる冬の雪原を、頭にスカーフを巻いて分厚いコートを着た少女がふたり、いまにも歩きだそうとしているかのような絵。白い世界の中で少女たちの存在はとてもヴィヴィッドなのだけれどどこか薄氷を踏むような危うさがあって、それが魅力でもある。
素人のわたしが思うに、あまり絵を描き慣れてない人がいきなり四六判半切の大きな紙を渡されたら戸惑ってしまうんじゃないかと思うのだけれど、めぐみさんは臆することなく、大胆な構図で力強く描いてる。わたしが初期のめぐみさんの絵が好きなのは、カメラのファインダーを覗いて切り取ったような大胆な構図と、そこに共通してあるグレイッシュなトーン、どこかクラシカルな静謐さ、かな。少女たちの姿や顔かたちにしても、ただかわいいというんじゃない大人っぽい静けさがあって、その表情は読みとれそうで読みとれない、複雑に滲んでるような。
それで飽きずに眺めていられる。
まさか、ここであの絵を見られるとは思っていなかったので、まさに『いつかみた あのこ』に会えたような感じでした。ほかにも懐かしい絵がいっぱい。
一気に時間を引き戻されてしまったような感じ。
そして何より、店主さんのめぐみさんへの深い愛が感じられる空間になっているのが素晴らしかった。
ここへはまたきっと来るでしょう。
本棚で古書を見ていたら、今月誕生日の息子に贈るのにぴったりなのをみつけたのでその本と、わたしもいつか食べたことのあるめぐみさんのお菓子(ムジカ食堂のステさん再現)を買って帰って来ました。

16megumi_yamaguchi_01

そして今日、本物そっくりに再現されたこの黒糖レーズンくるみケーキを見ていたら、このお菓子って、端的にめぐみさんの世界を表わしてるなあって思いました。
夢があって、どこかお伽噺に出てくるお菓子みたいで。

16kokutou_cake

上にちょこんとのったチェリーはなんだか懐かしいレトロな味がした。
アイシングがかかってて、一見すごく甘そうに見えて実際に食べるとちょうどいい。
黒糖のコクのある甘さとレーズンのほのかな酸味、くるみのナッツ感が調和してとってもおいしかったし、めぐみさんの作ったのとほんとにそっくりでびっくりしました。(再現した人、すごい!)
食べながら、きのうアムレテロンの店主さんから聴いためぐみさんの話と、わたしが直接めぐみさんから聴いた話が、まだ病み上がりで混沌とする冴えない頭の中でぐるぐるして、わずか数年前にタイムトリップするようでした。
わずか数年前のことが、当たり前だけどすべて過去で、すべて懐かしくて、呆然としました。
これは過去にタイムトリップするお菓子ですよ。
心して食べよ。
なあんて、だーれもいわないと思うけど。

16kokutou_cake_01

『 いつかみた あのこ ~ めぐみめぐる ~  やまぐちめぐみ作品展』は、
高円寺Ameletronで、9月17日(月・祝日)までです。
※9/13(火)定休日 14:00~20:000(土日、祝日12:30~)

| | コメント (0)

2016年8月25日 (木)

夏の終わりの線香花火

160825sky

ここのところずっと、身体にこたえるような暑さがつづく。
八月も終わりともなると夏も蝉も必死です。
断末魔の夏。
わたしには「馬鹿め、晩夏め」と唸る北村太郎の声が聞こえるようです。
そして八月も終わりころになると急に夏らしいことひとつもしてなかったということに気づいて、それじゃあ、かき氷でも食べに行こうか、となるのです。
だいたい毎年いつもおなじです。
今日も朝からよく晴れて暑くて絶好のかき氷日和だったけれど、仕事を終えて家を出たのが夕方だったから、かき氷は食べられなかった。
かわりに(というわけでもないけれど)夏らしい絵を観てきました。
たまたま誰かのTweetで見かけてふと画像が目に留まった、いしい なおこ(画家)×平岡淳子(詩人)による画家の初個展『線香花火』。
会場は初めて行く明大前の『ブックカフェ槐多』。

16bookcafe_kaita

行ってみるとそこは全体がアートスペースになっているようなビルの地下で、ドアを開けるとそこは思いのほか小さな空間だった。
でも天井がとても高いせいで窮屈な感じは全然しない。
カウンター席がいくつかと、小さなテーブル席が4つくらいのインティメートな空間。
カウンターにはサイフォンがずらっと並び、わたしたちが行ったときにはママが珈琲をいれている横で、絵描きのいしいなおこさんとおぼしき人が数人のお友達らしきお客さんと話しているところでした。
打ちっぱなしのコンクリートの壁には、数点の水彩画と短い詩。
DMポストカードとなった、都会のビル群が建ち並ぶ真っ暗な夜空に浮かぶ鮮やかな花火の絵『線香花火』以外は、夏の終わりのうなだれた向日葵、虹のような、幻影のような大型客船に乗りこもうとしている少女たち、頬杖をついて向こうを向いた少女、観覧者の上の危うく見える若い男女、夕暮れ、走り去る電車の上にぼおっと浮かぶ月などなど、淡く、消え入りそうなタッチの絵が多く、絵につけられた絶妙な短い言葉、詩との相乗効果でもって淡くてリアルな夏の終わりの時間を体現しているようでした。

たとえば、わたしが好きだった下のふたつの絵につけられた詩はこんなふうです。

16senkou_hanabi_01

 線香花火

 あなたはそーっと
 持っていてくれたのに

 夏を独り駆け抜け
 終わらせたのはわたし

 非常口

 日が短くなったね
 夏はこれからなのに

 綿菓子のような雲
 うつくしく染まって

 非常口の踊り場に
 ふたりで立っている

 ボンゴレでいいか
 俺が作るからいいよ

 月を窓に残して
 あなたは部屋に戻る

16bookcafe_kaita_01

カフェに入るなり気さくに話しかけてくださった絵描きのいしい なおこさんによれば、平岡淳子さんの詩を読んでインスパイアされて描いた絵が1枚、あとはぜんぶ、なおこさんが描いた絵を見て平岡さんが詩をつけたものだそうです。
詩と絵のコラボレーション的見せ方が好きかというと、実はわたしはあまり好きではなかったりする。絵は絵だけで、詩は詩だけでいいじゃないかと思ってしまう。絵に詩をつけるにしても、詩から絵を描くにしても、それがその絵、あるいは詩に出会う最初だとすると、他人のイメージに限定されてしまうようであまり好きではないのだけれど、今回の展示のように、これくらいさりげない、短い詩だと絵のイマジネーションを膨らませることはあっても邪魔することはなくていいように思いました。いずれにしても絵描きと詩人、おふたりの相思相愛の関係あっての息の合った作品展だと思います。

詩人の平岡淳子さんはいらっしゃらなかったけれど、絵描きのいしいなおこさんは若くてとても生き生きしたきれいなひとだった。Facebookのプロフィールにもあるように、セツ・モードセミナーを卒業してから十数年、病気で動けない時期などもあって、たったひとりで絵を描いてきたのだそうです。なおこさんがセツに入学したのは永沢節さんが亡くなった年のこと。そのときセツにいらしたのが星先生で、その星先生を探して自分の描き溜めた絵を初めて見せたのが1年前のことだそうです。まだとっても若いのに、今回の初めての個展までには紆余曲折、いろいろ苦労されたんだなあ、と思いました。
絵を描くきっかけ、絵を描く理由、描かずにいられない思い、いろいろあると思うけど、それらが初めて結実したしあわせな場がここだったというわけなのでした。
11月にはその星先生の個展もここであるそうです。

わたしも今日はここに来られてよかった。
一年のうちで最もさみしくて好きな夏の終わりの気分にぼんやり浸ることができて。
「でもまだ夏は終わったわけじゃない」と、夏好きはいつもキメの台詞を最後に心の中で吐くのです。夏苦手な人には悪いけど・・・・・・
おいしい珈琲をいただき、なおこさんからかわいらしくパッキングされた線香花火を記念にいただいて帰りました。

いしい なおこ個展 『線香花火』は、明大前ブックカフェ槐多にて
8月24~27日、9月2日、3日まで。

16senkou_hanabi

| | コメント (0)

2016年8月14日 (日)

夏の夕暮れ、鉱物Barへ

16mizunosora

きれいなサックスブルーのリネンの服に丁寧にアイロンをかけたり、午後のまだ明るい変な時間にゆっくりお風呂に入っていたら家を出るのが遅くなって、日の暮れるころギャラリーに着きました。
西荻窪の閑静な住宅街の中にある、ギャラリー みずのそら
いつも素敵な展示をやっていて、いちど行ってみたいと思っていたのです。
建物の前まで来ると四角く開いた塀の間から中庭のプールが見えて、なるほどこれが水の空か、と思いました。
昔、実家近くにあって、トレンディドラマの舞台にもなったコンクリート打ちっぱなしの超ハイテックなかっこいいマンションの中庭にも水溜り程度のプールがあって、彫刻家が作ったオブジェがあって、その奥の部屋が地元の有名な彫刻家のオフィスで、そんな水溜り程度の小さなプールでも、水のある空間ってなんだか豊かな気分がするものです。

いまはちょうど鉱物アソビさんが『鉱物Bar vol.9 produced by 鉱物アソビ Alchemy ~結晶が化学反応をおこす夜~』という展示を行っているところでした。
エントランスにはペンタグラムの立体と鈍い金色を放つ天秤、それに古い洋書やアンティークの瓶、動物のボーンなどが飾られて。

16koubutsu_bar

鉱物アソビさんの展示を見るのは、六本木のギャラリーGallery SU で行われた『涙ガラス制作所』さんとのコラボ展示以来だけれど、いつも隙のない完璧な展示をされる方です。今回は博物館にあるようなアンティークと、鉱物に近い幾何学的なアクセサリーとのコラボレーションで、スタティックな空間の中で石の結晶だけが星屑みたいに瞬いていました。
娘に『石オタク』といわれているわたしとしては、パイライトの結晶を間近に見られたのがよかった。鉱物すべて、色にしても形にしてもそうだけれど、いったいどうして自然にああいう人工的なまでに完璧な金色ぴかぴかの立方体ができるのか。不思議です。あとは母岩石に付いたいろいろな色のフローライトとかアポフィライトとか。ほとんど知らない石はなかったけれど、それでもひとつふたつは聞いたことのない石もあったかな。
でも手に取って見ることはできない。
石によってはモース硬度が低くて簡単に欠けてしまうものもあるから触れないのはわかるけど、ちょっと残念。

奥のカフェでは鉱物を模した『鉱石菓子』なるきれいなお菓子や、添えられた液体を注ぐと色が変幻するカクテルなども供されているそうで、展示にちなんだアートなデザートというのは原美術館なんかでもやっているからとりたてて新しくはないけど、なんだか贅沢ですね。
奥からは賑やかに話し声が聞こえてきて、ちょっと覗くと若い子ばっかり。
次のカフェタイムまでにはまだずいぶん時間があったし、わたしはひとりだと実は飲食にはあまり興味がないので、石だけ眺めて帰って来ました。
夏の夕暮れにきれいな色をした鉱物を愛でるというのは素敵な企画だけど、この気持ちのいい空間自体はやっぱり昼間来たいな、と思った。

ギャラリーに来るまでの緩く坂になった通り沿いにはほかにも素敵な店がいろいろあって、自転車でスカートの裾ひるがえしながら坂道を降りてゆく女の子の後ろ姿を眺めつつ、こんな町に住めたらいいかもな、なんて思ったのでした。
(でも、いろいろと誘惑が多いかもね。)

16nishiogi

| | コメント (0)

2016年8月 3日 (水)

新月にPEPEPEさんから絵が届いた!

1607pepepe

新月の今日、PEPEPEさんこと渡邉知樹さんから絵が届いた。
知樹さんには5ヶ月も待ってもらって、やっと手に入れた絵。
わたしがはじめて買った絵。
全紙サイズだからかなり大きい。

わたしがまだ家族以外誰にも絵を買うことを話してなかったとき、いつも行く美容院で壁に飾られた絵を見ながらJ君にそのことを話したら、「それはいいですね! 絵でもなんでも、ほんとに気に入ったのを見つけたらぜったい買うべきです。ぼくは昔からそういう考えです」とJ君が断言したのでちょっと驚いちゃった。
昔からよく育ちがいいとか悪いとかいうけれど、ふつうの人には想像もできないような貧しくて過酷な環境で育ったJ君のどこからその考えが生まれたのだろうって。
まぎれもなく彼は、子どもだった自分を取り巻く親や周囲の人すべてを反面教師として、その環境から出るべく努力していまの美意識、美学を築き、お金の遣い方をチョイスしてきたのだけれど、それって素晴らしいことだな、と思った。
世の中にはお金がたくさんあっても自分の家に花など買わないって人もいる。
生活に必要なもの以外、それこそ絵なんか買ったら連れ合いに怒られるっていう人もいる。
それがわたしなんかよりずっと豊かな暮らしをしている人たちだったりするから、ちょっとびっくりする。
幸い、わたしの家の家計はわたしがマネッジしているのでわたしが何を買おうが誰に文句をいわれることもないし、二人の子供はともにクリエイティブ系の人間だから、むしろわたしが生活のこと、現実的なこと以外にお金を遣うことを喜んだりする。息子もJ君とおなじ。
「絵を買うなんてそれはいいね! そういうことにお金を遣うのはいいことだと思う」というし、娘は娘でわたしに絵の値段を聞いて「そりゃ、安いくらいだね」っていう。
おもしろいね。子供のころ、わたしはよく母に「あなたはビンボー人の子のようじゃない」っていわれたものだけど、うちの子二人もおよそビンボー人の子のようじゃありません。

いま思うと、わたしが滅多にないこと自分のためだけに大きな買いものをするときって、きまって何かの転機のときだった。
ということは、これもまた何かの転機なのかな。
と、行動したあとにいまさら考える。
これまでアートを所有することに全然興味がなかった(というか諦めていた)わたしに何か変化があったとしたら、それは花や鉱物なんかとおなじように、絵もまた生きたエネルギー体だということを真に感じたからだと思う。

昔から素敵な靴というのは持ち主を素敵な場所に連れて行ってくれるというけれど、この素敵な絵がわたしたちを素敵な場所に連れて行ってくれたらいいなと思う。
どこか、この絵の似合う場所に。
そしたらわたしはバイバイ・ブラックバードを歌いながらこの町を出るんだ。
たくさんの大事なものを失ったこの町から。

絵には花の木が描かれた封筒が付いていて、中にはいつものPEPEPEさんのヘンな鳥の絵(いつもヘンなヘンな、っていってますけど、これって褒め言葉ですからっ!)とメッセージが。
でもこのヘンな鳥はいつも以上に素晴らしい。
逆立ったトサカも、ふっとい身体も、木の根っこみたいな立派な脚も、でっかい翼もなんだか堂々と威厳があって鳥の王みたいです。

1607pepepe_01

そうだ、突然だけどカメラの三脚を買おう!
友達がピクチャーレールを付けに来てくれて、めでたくダイニングルームの壁にこの絵が飾られたら、絵と一緒にみんなで記念写真を撮ろう!
とってもHAPPYな顔の写真になりそうです(^-^)

カードの裏。
ZZZ ・・・・・

1607pepepe_02

| | コメント (3)

より以前の記事一覧