« おにぎりランチ | トップページ | カウントダウン »

2019年4月20日 (土)

美しい町

19yaezakura-01

このところずっと、市議会議員・市長選で走り回っている選挙カーの声が朝から晩までかまびすしい。候補者の名前をただただ大声で連呼して懇願することが票につながるとは思えないのに、この旧態依然のデモンストレーションはいったいなんとかならないものだろうか。
特に朝、キッチンで静かに珈琲をいれる時間はわたしにとっては小さな瞑想のようなものなのに、突然ちかくで大きな声を出されると集中力が途切れてしまう。
近くにはいまこうしている間も死の床で苦しんでいる人がいるというのに。
その喧噪も今日で終わりだと思うと、それだけがうれしい。

そんなことを思いながらプールに行こうと外に出たら、つつじの鮮やかな色が目に飛び込んできた。
もう初夏だ。つつじの季節だ。
つつじといって思い出すのは、根津神社だ。それから飛鳥山だ。
かつて飛鳥山の近くには父方の叔母が住んでいて、満開のつつじでいっぱいの飛鳥山公園で遊んだ記憶がある。
それから父方の祖父の家でのこと。
わたしが顔にブツブツができて、カサカサになってかゆいといったら、おじいちゃんはわたしの顔を見て、「それはハタケだ」といった。
そして「ハタケ」には白つつじの花を揉んでその汁をつけるといいといって、わたしに庭にあった白つつじの花をとってこさせて、それを自分の手のひらで揉んだのを顔につけてくれた。つつじの汁は一瞬沁みて、でも数日して気づいたら、かゆかったところはほんとうに治っていて、子供ながらに驚いた。その日のできごとのおかげで白つつじの匂いは強烈にわたしの脳に刻まれてしまった。
遠い日の記憶。
祖父は植物好きのやさしい人だった。

19yaezakura

選挙が近づいてからは一気にうるさくなってしまったけれど、この四月は週に1回プールに行くたびに目に入る花が違って、その変遷する景色が美しかった。そして花たちの色はいずれすべて緑に埋め尽くされる。それもまた美しい。初夏から盛夏へと向かうころは、わたしが一年で一番好きな季節だ。いま住んでるところがいいのは緑が多いところだけ、とわたしは常々いっているけれど、でもそれって意外と大きなことなのかもしれないな、と時々思う。こんなところに長く住んでいたら、緑のない殺伐とした都心にはとても住めないと思うから。
うちの娘は、市長になる人は緑を大切にするひとがいいね、という。
簡単に木を切ったりしない人。
『美しい町』をつくっていこうという意識のある人。
でも、そんなことを重きに置いている人がいないことはこれまで市がやってきたことを見てもわかる。
何十年とかけて育った立派な木を無残にも根こそぎ伐採したと思ったら、そのそばからまたチマチマと新しい木を植樹するような無駄なことを年中やっているから。
この町の、緑のあるところは美しい。
でも住民の住む家は色も形もまちまちで調和がなく、駅前はごちゃごちゃしていて品がなく、町のあちこちでゴミの不法投棄が目立つ。日本もいいかげん欧米のように国あげて行政あげて自国の景観や美観に意識を置いた街づくりをするべきなんじゃないかと思う。いま日本各地で日本人が手放した風光明媚な土地を買っているのは中国人だという。この町にも移民の波がやってきているけれど、このままどんどん移民が増えれば街も町もきっともっとカオスになる。

人間の目って実によくできていて自分の見たいように見るから、写真に切り取られた風景は現実であって、すでに虚構。
この町もソメイヨシノがすっかり終わって、いま満開なのは八重桜。
そして咲きはじめたばかりのハナミズキ。
四月もあと10日で終わり。

19hanamiduki

|

« おにぎりランチ | トップページ | カウントダウン »

season colors」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« おにぎりランチ | トップページ | カウントダウン »