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2018年8月13日 (月)

雨に降りこめられて

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夏休み3日めの今日は、今日しか夏休みがないという友達とランチをした。
彼女に会うのはほぼ1年ぶり。
誰と会うんでもなぜかたいてい会う場所を決めるのはわたしで、休日に混んだ都会なんかに行きたくないから、いろいろ探してたら思いがけなく我々の実家近くで素敵なレストランを発見。「ここはどうかな?」とメールしたら、即座に「素敵!」という返事が返ってきて、話が早いっていつだって最高、と思う。
彼女にとっては見慣れた駅、わたしにとってはもはや懐かしの駅で待ちあわせて、歩くこと十数分。見るからに鬱蒼とした広大な敷地の中にお洒落な看板が現れて、駅からそう遠くない、こんなところにこんな一角があったなんて・・・・・・、と驚く。彼女のほうは前からなんとなくここの存在を知っていて、前から一度入ってみたいと思っていたそうで、やっと来られた、ってことだった。
通りをはさんで1階右手がお花屋さんで、左手がカフェ、2階がイタリアンレストラン。この感じ、まるで表参道か代官山か自由が丘みたいです。

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いまの時期はちょっと暑すぎるし虫も多いと思うけどテラス席も充実して・・・・・・

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何よりこれだけ緑が多いってところがわたし好みです。
休日くらい、緑に囲まれて思いっきりリラックスしたい。

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でも地元だからって甘く見てたらちょうどランチタイムだったせいか2階のレストランは満席で、「御予約ですか」と訊かれてしまった。さいわい、そう待たされないですんだけど、次回来るときは予約したほうがいいかも。
ランチは3種類あって、我々が選んだのは前菜の盛り合わせ・パスタ・フォカッチャ・デザート・ドリンクのセット。この前菜がボリューミーだった。

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外でパスタを食べるときは、ふだん自分では作らないのを選ぶわたしです。
これは白身魚とケイパーのトマトパスタ。

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デザートはレモンのムース。

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それで、まだデザートをまだ食べ終わらないころだったろうか。
だんだん窓の外が暗くなってきたと思ったら風が吹きはじめて、しだいに雨粒が音を立てて窓を叩きはじめ、やがて暴風雨に。そして激しい雷・・・・・・!
近くで立て続けに激しい雷の音が轟くたびにそれまでなごやかだった店内にどよめきが走り、外ではガランガランと何かが倒れたり吹き飛ばされてゆく大きな音。
あまりの急展開、あまりの物凄さにびっくり!
さっきまであんなに晴れていたのに・・・・・・・。
なんたって大きな窓ガラスの向こうは鬱蒼たる森だから、暴風雨に煽られてしなる木々もすごい迫力で、みんなしばし会話を中断して窓の外に見入っている。中にはガラスにiPhoneを近づけて動画を撮っている人も。
お喋りしながらのんびり食事をしていた我々もそろそろ出なきゃならない時間だったのだけれど、これじゃしばらく帰れないね、、、と。

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でも、いつもだったら夏の驟雨なんてあっという間にやむはずなのに、いっこうにやむどころか雷雨はひどくなるばかりで・・・・・・

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傘を持ってきたのか、それとも車で来たのか、だんだん客が出ていくなか、レストランのスタッフがテーブルを片づけはじめたので我々もしかたなく出ることにしたけれど、でも外はまだ土砂降りなのだ。さっき上がってきた階段だって。びしょ濡れ。
なんだかすごいことになっちゃったね、といいながら雨のなか階段を降りて、通りを渡った花屋を見せてもらうことにしたら、そこでも花屋が倒れた鉢や植物を見に行きたいんだけど、こんなに酷い雨じゃ身動きもできないと困っていた。ネイティブプランツの大きな鉢植えがたくさん置かれたかっこいい花屋。ガラスケースの花のチョイスもセンスが感じられて悪くなかった。この花屋のおじさんがすごくフレンドリーなひとで、なんなら椅子もあるからのんびりしていってくださいと言ってくれたのだけど、冷房の効いた花屋は寒すぎた。折しも雨が降りだしてからは気温が一気に下がって、半袖じゃ肌寒いくらいだったから。我々がお礼をいって外に出るとおじさんも一緒に出てきて、空を見上げて「西のほうはもうだいぶ明るいからじきにやむよ」といった。
でも実際のところはそのあとも全然やまなかった。
繰り返し何度も雷が鳴って雨脚が強くなって・・・・・・
我々は死ぬほどお腹がいっぱいだったからカフェでお茶をする気もしなくて、けっきょくカフェの前のベンチでしばらく雨宿りをさせてもらうことにした。
どれくらいだろう?

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いつまでたってもやまない雨を気にして外を伺うわたしに、彼女が「でも、こういう時間もいいね」といった。わたしもちょうど昔こんなふうに雨に降りこまれて駅前の喫茶店ですごしたことを思いだしていたところだったから、「うん。そうだね」といった。あれは結婚したてのころ、Sと。わたしたちは若かったからそれはそれでいい時間だった。突然の雨は非日常を連れてくる。
それからいろんな話をした。
彼女の仕事のことや家族のこと、亡くなった両親のことや、いまのお兄ちゃんのこと、それからすっかり忘却の彼方にあったクラスメートたちのこと。
そして何を思ったのか彼女が古い話をしだした。
自分は本を読むのがすごく苦手だったから、いつも本を読んでるわたしが憧れだったって。それでいつかわたしに『嵐が丘』を奨められて一生懸命読んだのだって。
嵐が丘? ヒースクリフ? なんでまた・・・・・・。奨めたという当のわたしはすっかりそんなこと忘れてしまっていた。わたしは『嵐が丘』は本より先に映画を観て、ものすごい衝撃を受けたのだった。死んでからまで愛しい人を呼びにくる亡霊、とか。それほど激しい愛。惹かれるのと同時に吐き気がする。
そして、そんなこというならわたしだって、3歳年上のお兄ちゃんがいて一軒家の2階で兄と隣同士の部屋で暮らしてる彼女に当時憧れてた。いつだったか彼女がわたしの母同様、ガミガミと口うるさい母親の目をかすめて、夜こっそり自分の部屋の窓から抜けだして遊びに行くというのを聞いて、「何それ、わくわくする! わたしもやりたい!」といったことがあった。それで彼女が「じゃあ、うちに泊まりに来る?」といって、冒険敢行の日は彼女の家にふつうに遊びに行っておばさんに挨拶して泊めてもらって、夜、窓から抜けだす彼女の後から同じように真似してわたしも外に出た。それから近くの高い塀を越えて・・・・・・
2階の屋根からどうやって地面に降りたかはもう憶えてない。
「で、それからどこに行ったんだっけ。吉祥寺?」とわたしが訊いたら、「そんなとこまで行ったっけ?」と彼女。自分としては吉祥寺サムタイムくらいに行った記憶なんだけど、ほんとうは近くの公園にでも行って早々に帰って来たのかもしれない。なんたって中学生の子供のやることだから。

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そんな古いことを思いだしたら、さしずめ彼女はわたしのハックルベリー・フレンドだなと思った。
それであれから何十年なの?
彼女は親の建てた家もあって旦那さんもいて犬も飼ってて、でも人知れずものすごい苦労をしてて、わたしたちこんなに苦労するはずじゃなかった。少なくともあのころはこんな未来がくるとは思ってなかった。人生は過酷? 何が起こるかわからない? だからこそ面白い? ・・・生きて元気でさえいればなんとでもいえるってこと。
まだ雨はやんでなかったけれど、少し小止みになったのをみはからって彼女が持ってきた小さな折り畳み傘を頼りに帰ることにした。人っていつだって自分のやってることより人のやってることのほうがリスペクトできて、たまに会うんだから今日は最初から自分が支払うつもりでいたのに、けっきょく払わせてくれなかったから帰りに花屋で小さなブーケをふたつ買った。自分のと、ハックルベリー・フレンドのと。
いつか、雨に降りこめられた今日のことも、瞬く間に思い出になるんだろうなと思いながら。

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