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2017年10月 1日 (日)

温室へ

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このあいだ神保町の『温室』に行ったら本物の温室に行きたくなって、午後は近所の東京都薬草植物園へ。

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前にも書いたかもしれない。
わたしは生まれた場所こそ東京23区だけど、わたしが生まれた年に宅地建物取引主任者の資格を取って不動産屋に転職した父の勤め先の関係で、ちょうどいま住んでるあたりに引っ越してきて、小学校に上がる1年前まで過ごした。
いまでもわたしの住むここは東京の郊外であることには違いないけれど、当時はほんとうに田舎で、辺りは畑ばかり。高い建物なんかぜんぜんないし空気もきれいだから山の稜線がそう遠くないところにきれいに見えて、近くを通る電車も30分に1本くらいしか走ってなかったんじゃないかと思う。ときどき数駅先の町まで買いものに行くのに、母と隣りのおばちゃんと3人で手をつないでよく線路の上を歩いて行ったのを憶えているから。
遊び場は井戸のある大家さんちの庭や近所の土埃のする畑の横の道。よくてユネスコ村。物心ついてからは、やれ椎茸狩りだ筍狩りだという大人に連れられてよく山にも登ったし、川でも遊んだ。いまの自分が健脚なのもそういう子どものころあってのことだと思う。
そして小学校に上がる前に中野区に引っ越してきたのだけれど、中野区だって当時はけっこう田舎だった。近所には夏になると糖キビやとうもろこしを作っている畑があったくらいだし、空き地や原っぱや裏山、子どもの遊び場には事欠かない環境だった。そこでわたしは日の暮れまで近所の子と遊び、おかげでそのころのわたしは一年じゅう日に焼けて真っ黒だった。そんな子どものころはともかくもっと後年になって、友人が武蔵野音大に入学するときに江古田近辺のアパートをお母さんと一緒に探しに来たとき、お母さんが「なんや、東京ゆうてもここらへんは高松とちっとも変らへんなあ」と言ったというから、東京ってそのくらいのもんとちゃうのん、というのが、そのころからずーっといまに至るまでのわたしの感覚だった。
一応、東京生まれ、東京育ちのわたしの。

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だから地方から来た人たちにことさら東京に緑がないとか東京砂漠だとかいわれてしまうのにはいつもちょっと違和感を覚える。もちろん、わたしの感覚は地方の本物の自然豊かなところで育った人とはかなりズレた感覚かもしれないし、わたしが生まれ育ったころといまとではぜんぜん時代が違うといえばそうなのだけど。
でも東京は世界でも例を見ないくらい緑の多い都市だといわれ、それは神社仏閣が多いことにも由来しているだろうし、かつて貴族といわれた人々のものだった邸宅や庭がいまは都立公園となってあちこちに点在していることにもあると思う。日本一の花見好きであった江戸っ子たちのおかげで春ともなれば東京じゅう、どこに行っても桜だらけだ。遊歩道も多いし、庭がなくても軒先に鉢植えをところ狭しと並べてる家も多い。大きな植物園や動物園もある。だから東京の街なかにいて、ほんとうに緑の多いところに行きたいと思えば比較的すぐに行けるんじゃないかと思う。

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むしろ、わたしには地方から来た人たちが東京で展開する緑の仕事のほうがずっと人工的な感じがする。スタイリッシュで都会的。
もちろん、それもカッコよくて好きだけれど。

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自分の植物好きを思うとき、それは育った環境にもよるだろうし母親の影響もあるのだろうと思っていたけど、いまこの文章を書きながら東京下町の小さな家の庭の棚いっぱい、それだけじゃおさまりきれなくて外まではみだすくらいたくさんの盆栽を育てていた父方の祖父のことをふいに思いだしてしまった。
いまでもツツジの時期によく思いだすのだけれど、子どもの頃ほっぺたに何かできてかゆいと言ったとき、おじいちゃんが「それはハタケだ。外に咲いてる白ツツジの花をよく揉んで花の汁をつけてごらん。すぐ治るから」といわれたことがあった。そのとおりやってみるとすぐに治って、以来ずいぶん大きくなるまでやったものだった。
ほとんどどういう人かわからないまま亡くなった祖父が、いったいどういう思いであれだけの盆栽を育てていたのか。
人っていつもたくさんの謎を残していなくなってしまう。

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この東京都薬草植物園には温室の外にも様々な薬草が栽培された広い敷地が広がっていて、中には滅多に見ることのできない有毒植物なんかもあって興味深かった。上の写真はわたしの好きなチョコレートの原料となるカカオ、下はバナナ。
こういうのを見るとアフリカの教会の庭にあったバナナを思いだす。
鉄分の多い赤土でできるからなのか、アフリカのバナナは濃厚な味と香りだった。
パワーフードといってもいいような。

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広い敷地の中には『ふれあいガーデン』といって植物や書籍やグッズを売っているログハウスのお店もあって、喉が渇いたのでそこで文旦のジュースを買って手作りの木の椅子に座って飲んだ。
そのとき見た今日の空。

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今日は閉演まで1時間切っての入園だったのだけれど、こんどはもうすこし早く来てゆっくりしよう。寒くならない秋のうちに。

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