誕生日に *
誕生日の前日の夜に映画『八月の鯨』を観た。
冒頭、セピアカラーの映像の中で愛らしい少女だった娘は、次にカラー映像に変わったときにはすでに老婆になっている。これは映画じゃなければできないことだけれど、とどのつまり、人の人生とはそういうものなんだろうな。
光陰矢の如し。
この映画をわたしが一言で表すとしたら、それは『現実の中に息づく幻想』。
『八月の鯨』がまさにその象徴で、それはあるいは『希望』と言いかえても『夢』と言いかえてもいいかもしれない。
映画を観終わったあと、息子は「いい映画だったね」と言った。
「面白かった」
たしかにとてもいい映画ではあったけれど、わたしは単純に「面白い」とは言えない、と言った。
いろいろ考えさせられた。
身につまされた、と言ってもいい。
ただ人生には最期まで解けない謎があったほうがいい、とは強く思わせられた。
あるいは、解けない魔法。
そして人生をサヴァイヴしていくには楽観性が必要であること。
たとえ人からバカと言われても。
今朝は娘がカレンダーをめくるなり、「今日はいい日だね」と言った。
『海を貸し切る日』。
たしかにいい日だ。
息子は「海を貸し切るにはまだ早すぎる」と言うけれど。
それから息子は「夕飯はいるからね」といって出ていった。
そのあと娘がケーキを買いに行ってくれた。
誕生日のわたしのために。
前から気になっていたムッシュMのシュークリーム。
わたしのだけふたつあって、ひとつはいちごの入ったスペシャルなの。
花も買ってきてくれた。
娘から花をもらうのは娘が小学生のとき以来だからとてもうれしい。
それから娘と絵の前で今日の記念写真を撮った。
それからケーキを食べた。
息子からは絵をもらった。
トラネコボンボンさんの、『それぞれの住処』。
しばらくして宅配人がチャイムを鳴らして、ハンタさんから誕生日のプレゼントが届いた。
モンゴルのフェルト製のあったかいスリッパ。
なんたってこのハチワレのカードが最高!
今日はいい日だ。
世の中にはまだ若くて美しくて才能もあって素敵なパートナーもいて子供も小さいのに重い病で闘病している人がいる。
わたしは子供のときにパインのひとかけで消化不良になり、タクシーのタイヤが左足親指に載ってあわや死にかけたことはあるけれど、それ以降これまでずっと、大した病気どころか足の捻挫くらいのケガをすることさえなく生きている。
これってたぶん、奇跡的なことだ。
神さまに守られているとしかいいようがない。
こころから感謝する。
この宇宙に地球に自分の生きているこの国に両親に家族に子供に友人にこの世界のすべてに。
夕方、一気に肩が重たくなるメールがきて、外は北風が強くて寒かったけど気を取り直して自転車飛ばして駅まで行って電車に乗った。
思えば去年の今日もすごく風の強い日だった。
一日が終わるころにバアバアの髪でギャラリーにやっとたどり着いて、初めて知樹さんの絵を見た。
あれから一年。なんて早い!
そして、それから一年後の今日も知樹さんの絵を見る。
今日はいい日だ。
(中央線で阿佐ヶ谷に向かう途中の電車の中でロルバーンに一気に走り書きした今日の日記。)
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コメント
お誕生日おめでとうございます。
Soukichiさんにとって毎日やってくる今日が
いい日でありますように。
”今日はいい日だ”・・・
私も時々つぶやきます。
投稿: ノブタ | 2017年2月10日 (金) 23:42
ノブタさん、こんにちは!
メッセージどうもありがとう!
ノブタさんはお仕事順調ですか?
わたしはなんだか今年もハードな年になりそうです。
いいかげん年だし、いろいろ本気で考えなきゃね。
そうそう、わたしのFBのアカウントは仕事で使うといわれてしかたなく
作ったものなので全然アクティブじゃないのだけれど、
このあいだノブタさんのFBのプロフィール写真見たら、なんだか前より
若返ったみたいよ!(^-^)
お元気そうで何よりです。
投稿: soukichi | 2017年2月12日 (日) 17:07