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2016年9月 1日 (木)

Son fils

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昨日、夜になって買いものに行こうとしてポストを覗いたらきてた。
一時帰国しているらしい、パリ在住の画家で造形作家の山下美千代さんから、いつかグループ展に行ったお礼のポストカード。
葉書にはフルネームとアドレスも書かれていて、これだけで彼女がどういう人かわかるな、と思った。
もう長いつきあいになるのに住所さえ知らない友達がいて、それをなんとなくさみしく思うわたしは、やっぱり言葉の人だからなんだろうか。自分の住んでるところもあかせないほど自分は信用されてないのかと思うし、何か思い立っても手紙も送れないし、荷物も送れない。

ポストカードの青い目のうつくしい赤ちゃんを見ていたら、自分がはじめて赤ちゃんを産んだときのことを思いだした。
あの日は満月の夜で、待機室に入れないほど出産の迫った妊婦さんがいて、わたしはストレッチャーに乗せられたまましばらく暗い廊下で待たされた。待機室のベッドに移されてからはおなじ病室にいる5人の妊婦がうんうん唸る声をさんざん聞かされて、いざ自分の番がきて分娩室に運ばれると陣痛が弱くなってしまい、「赤ちゃんの心音が弱くなってきた!」と叫ぶ医師の指示で酸素マスクを付けられるすごく緊迫したシーンがあってこわかった。
けっきょく、陣痛誘発剤を打ったら一気にお産は進んで赤ちゃんは無事に生まれたからよかったものの、一気に出てきたことでわたしは大量出血をして重度の貧血に陥った。それからはもう何がなんだかわからないまま縫合され点滴の管を付けられ取りあげられたばかりの赤ちゃんを横に置かれて家族と対面した一瞬があり、そのまま病室に運ばれて24時間歩行禁を言い渡されたのだった。

赤ちゃんに髪が触れると不潔だから、という理由で長いおさげ髪にキッド・ブルーの乙女チックなナイティを着て、点滴を付けられたわたしはよっぽど頼りなく、幼く見えたんだろう。まだ動けないでいるわたしのところに翌日、脈と血圧をはかりに来た年配の強そうな婦長さんに「まあ、なんて細い腕してるの! こんなんで子ども育てられるの?!」といわれた言葉はそのときのわたしにはすごくキツかったなあ・・・・・・
6人部屋の病室はなんだか女子高時代の修学旅行みたいでいつも賑やかで楽しかったけど、みんなより一日遅れて変な時間に車椅子で新生児室に連れて行かれ、出産後はじめて自分の子どもと対面したときのことはいまでも忘れられない。
ナースから渡された赤んぼは泣いてもなくて、一日たっているとはいえ、とてもきれいな顔をしてた。わたしが抱くと黒目がちな瞳をこちらにきょろっと動かして、まるで「みんなわかってる」とでもいいたそうな顔で静かにまっすぐわたしを見たのだった。
このときからわたしがこの子に感じていたのは、不思議な静けさ。
静けさと、賢さ。
それから若いナースが、おかあさんこと見てますね、ちゃんとわかってるんですね、といって、わたしはその言葉に思わず泣いた。
そんな、自分にとっては大変だったお産が、あとで医者からもナースからも「安産だった」といわれて驚いた。ふつうに満月の潮力によって起こる出産はみんな安産なのだそうだ。
健康な女性だったら誰でもできる出産だけど、実はほんとうに大変なこと。
ほんとうに大変で奇跡的なこと、と思う。

今日から9月。
9月は母と息子と親友の月。
夕方6時過ぎからは乙女座の新月。
9月は現実的な月だ。
でも足が地にしっかりついてなければ夢はただの絵空事でしかない。
しっかりグラウンディングして夢に備えよう。

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しあわせの力♡」カテゴリの記事

コメント

出産は、忘れることのない
女性にとっては、重大な仕事ですね。

私は、分娩室の横の部屋で、主人は
私と一緒にベッドで寝ていました。
こちらは、必死なのに(笑)

私も初産とはいえ、結局安産だった
んでしょうね。
彼は、今はもう23歳になって一人立ち
しています。

長男がいなくなってから、猫がやってきました。
もう楽にしたらいいのに、なんでまた
忙しくしてしまうのか・・・人って不思議です。

投稿: ノブタ | 2016年9月 1日 (木) 19:54

ノブタさん、

子どもを産んだ女の人が10人いたら、10通りのお産があるくらい、みんなそれぞれなのが面白いよね。
みんな自分のほうが絶対大変だったって思ってる。
あ、でもわたしの友人なんか、分娩台に乗ったらぽろっとすぐに産まれちゃった、っていう超安産な人もいましたっけ。
ノブタさんはご主人の立ち会い出産?

でも何より『23歳で一人立ち』とは素晴らしいです。
世の中どれだけいい歳して自立できない子供を抱えた親がいることか。
ノブタさんの息子さんは親孝行ですね。

そして猫さんのことはやっぱり縁、なのでしょうね。
それにまだ楽にしたらって歳でもないしね♪

投稿: soukichi | 2016年9月 9日 (金) 23:50

主人は、隣の部屋で待っていました。
長男は、一人立ち出来ているのか・・・

最初の頃は、家賃が払えないとか
携帯代が・・・とか言ってうちの子は
何て金銭感覚がルーズなんだろうって。

息子の年には、すでに私達は結婚していて
次男が今21ですが、主人はその頃には
もう子供がいた。
私達は、いつまでもおままごとをしている感覚のまま
子供たちが大きくなりました。


パンダはいくつなんでしょうね。
外猫の一生は短くて、3~4年というけど
今の子達は、ご飯をくれる人がいるから
10年以上生きる子も。
そんな子がもう妊娠しないだろうと思ったら
子猫を連れてくるから、動物ってすごいです。

投稿: ノブタ | 2016年9月10日 (土) 06:56

ノブタさん、やっほう!

台風の影響とはいえ、よく降りますね。
わたしは夏風邪がなかなか全快しなくてまいりました。
ノブタさんは元気ですか?

ノブタさんって意外とキビシイんだね
ちゃんとした仕事について家を出て行っただけでも立派だと思うけど。
家を出て自立したばかりのころなんて、そんなもんじゃないですか?
ノブタさんたちはそんなに早婚だったにもかかわらず最初から誰にも迷惑かけずに暮らしてたの?
だとしたらそれもすごい!

わたしなんか自分の子供たちどころか、いまの30~40、あるいはそれよりもっと上の人たち見ててもノブタさんと似たようなことよく思います。
人生いろいろだし、時代も違うから較べるようなことじゃないとは思いつつ、年とってるのにいつまでもおままごとみたいなことしてるから。
いまの人たちは子供も産まないしね。

パンダは娘が二十歳のときはすでにいたから、どう少なく見積もっても5年は経ってると思います。そのときすでに子猫じゃなかったし・・・
あの人懐こさは最初から完全ノラとは思えないんですけどねえ・・・


投稿: soukichi | 2016年9月19日 (月) 17:58

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