« 2015年9月 | トップページ | 2015年11月 »

2015年10月31日 (土)

『旅する星☆カルマ』で。

15karma_to_travel

カレンダーも残すところあと2枚ともなると、にわかに今年まだ会ってない人

のことが気になってくる。私の場合、会いたい人はそんなにいない。

だから、ほんとうに会いたい人には会えるときに会っておかなきゃ、と思う。

今年が終わるからってそれで世界が終わりになるわけじゃないけど、そんな

こといってると新しい1年もまた瞬く間に終わってしまうから。

2年ぶりに会う彼女が指定してきたのはラッキーなことに第5週めでプール

のない土曜日だった。しかも気になっていたイベントのある日。先日、坂本

千明さんの個展を見に行ったときに壁に貼ってあった『旅する星カルマ』の

日だ。せっかく久しぶりに会うんだもん、私とおなじ面白がりの友達だから、

何か発見があったほうがいいじゃない。ってことで遅いお昼を目指して阿佐

ヶ谷で待ち合わせた。暖かかった昨日と違って今日は寒い。11月を目前に

してやっと初冬の気配。だからって緊張したわけでもないのだけれど、い

つになく30分も早く着いてしまって、しょうがないので時間つぶしに中杉通

り沿いを歩いた。

けやきの並木道にはいろんなお店が並んでて、見てるだけで面白い。

やっぱり美しい木のあるところに人は集まってくるんだな、なんてことを思う。

パンダ珈琲、博多うどん、それに路地をちょっと入ったところにお洒落なお

店をふたつ発見。もしコンテクストがいっぱいで入れなかったらここに来れ

ばいいや、なんてことを思いながら駅に戻ってぶじ友達と落ちあったのだけ

れど、いざコンテクストに着いてみればお客はTちゃんと私の二人だけ。

なんてことでしょう。せっかく素敵な企画なのにね。

15karma_to_travel_01

古い日本家屋って寒いものだけど、ストーブに火がついてしっかり暖房して

あってほっとした。

ごはんのメニューはカルマカレーとオムライスのふたつだけ。

それでカレーにしたんだけれど、実をいうとカレーって割とどこでもやってるか

らそんなに期待してなかったというか「カレーか」くらいに思ってたんだけれど

このカルマカレーはかなりおいしかったです。

カレーはとろみのついてないシャバシャバ系。骨付きチキンが2個入って上に

ゆで卵が半分のってて、スパイシーだけどそんなに辛くない。ありそうでない

個性的な味。小皿にのった温野菜のサラダもおいしかった。

15karma_curry

でも、なんたって2年ぶりに会うものだから近況だけでもお互い話すことは

山ほどあって(こういう場合、私はたいてい聞き役で合いの手入れてるだけな

んだけど)、話の途切れめにハッと気づいたように私たちちょっと声が大きくな

い? というTちゃん。

けっきょく、私たちが食事しているあいだお客は私たちだけなのでした。

2年会ってないあいだに当然のことながらお互いの子供は想像もしなかった

ような歳になっていて、つまりイコールそれは自分たちが年をとったということ

で、そりゃ話すことはいくらでもありますわね。食事のあと私はここでそのまま

チャイも飲みたかったけど、あまりにもインティメートな狭い空間でプライベート

なことを話しつづけるのもなんだかなので、お茶は別なところでしよう、という

Tちゃんの声で店を出ることにした。

今日お店にいたのはこのあいだもお会いした陶芸家の駒ヶ嶺三彩さんと似顔

絵イベントもやってるペペペの渡辺知樹さん。二人ともいい感じだったし、私は

ここ阿佐ヶ谷CONTEXT-sって大好きです。ごはんもおいしかったし、『旅する

星カルマ』は11月4日までやってるので、ぜひたくさんの人に行ってほしい。

そしてコンテクストを出て向かったのは、さっき見つけたお洒落なカフェ。

最初はこの猫が目に入ってきたんだけど・・・・・・

15gattaro

この店はガッターロ。

イタリアンレストランみたいです。

そして、その横のカフェ・スパイル。

このシンプルな外観からして好み。

スパイルって変わった名前だなあ~と思ったら、『spice for smile 』からの造語

みたいです。笑顔のためのスパイス。

15spile

通りに面した窓が大きいので店内は適度に明るく、私の好きな木のテーブル

で、あちこちにセンス良く置かれたブロカントもお洒落な感じでした。

お店の人も感じいい。

私はここで初めてフレンチプレスで珈琲をいただいたのだけど、薄くて酸味が

あるけど嫌な酸味ではなくフルーティーでとても飲みやすかった。いつも家で

はフルシティローストのあまり酸味のない複雑で濃厚な味の珈琲を好んで飲

んでいるのだけれど、たまだったらこういうのもいいなと思った。

珈琲豆は、名前は忘れちゃった、たしかエチオピアのシングルオリジン。

友達はソイラテをオーダーし、小さないちじくの焼き菓子をお味見程度に2人

でシェアして食べてみたら、焼き菓子のクオリティも高くておいしかった。ここ

はお昼は玄米採食系のランチもやっているみたいだから、いつかまた機会が

あったら来てみたい。またひとつ、いいお店をみつけました。

ここでも時間が足りないくらい話しつづけたTちゃん。

2年前に会ったときは、いままでバケモノみたいに元気だと思ってたTちゃんも

さすがに寄る年波かな、と思うくらいちょっと疲れていたけど今日会ったらとん

でもない、相変わらず好奇心のアンテナは360度ビンビンで、志は地球再生

にまっしぐら、ちっともお金にはならないけどね、といいつつあっちこっち飛び

回る生活をいまでもしているのだった。今日も外は冬日というのに上着の下は

半袖。相変わらずエネルギッシュ。

エネルギーの高いものを食べ、エネルギーの高い服を着て、エネルギーの高

い人とつきあう。私も彼女のポリシーを実践しよう。

今日は会えてよかった。駅前で雑踏に消える前、ふわっと抱きついてきた彼女

とハグして別れた。

See you again!

| | コメント (0)

真っ赤なラディッシュ

15radish

昨日スイミングクラブの友達にりんごジャムを届けに行って、かわりに

もらったラディッシュ。

今日は昨日と違って暗くて肌寒い朝だけど、まな板の上にラディッシュ

をのせたらキッチンがパッと明るくなった。

今日も元気にサラダをつくる。

| | コメント (0)

2015年10月30日 (金)

大輪

15lilac_rose_11

ふたつめのライラックローズもきれいに咲いた。

大輪。

でも大きくてもフレンチローズみたいに花容が乱れないのがいい。

頭が重たげな枝を切ったら、老爺みたいな古株に細い枝が2本。

あとは無事に冬を越して春に元気なシュートを出してくれることを願うだけ。

15lilac_rose_13

| | コメント (0)

2015年10月29日 (木)

シナモンアップルジャム *

15saison_des_pommes

紅玉が出まわるころになったらつくろうと思ってたりんごジャム。

できればいいのがほしいと思ってそら屋さんに行ったら、今年は収穫量が

少なくて、もしかしたらこのまま入ってこないかも、という。それでしかたなく

マイヤーレモンと洗双糖だけ買って帰り、それからスーパーマーケットに行

くたびに見るんだけど、先日初物を見て以来、ぜんぜん見かけない。ほか

のりんごならいくらでもあるのに、紅玉だけないっていうのはどういうことか。

ジャムなんてどんなりんごでもいいように思うけど、甘味と酸味のバランス

がよくて、ふつうに食べてもおいしいようなりんごをジャムにするのはもった

いないし、それにいままでの経験からしてジャムやお菓子にするなら酸味

の強い紅玉がぴったりなのだ。

ないないと思っていたけど、昨日やっと「あそこなら」と思う小さな果物屋に

行って見つけて買ってきた。やっと見つけたのと安かったのとで10個も買

ってきたけど、家でよく見たらけっこう傷んでるのもあってイマイチりんごだ

ったから、さっさとジャムにすることにした。

りんごはよく洗って水けを拭き、皮をむいて4つ割りにして芯をとったら5ミリ

程度の厚さに切って、さらにそれを縦横にザクザクっと刻む。ボウルに入れ

て重さを量り、メモして琺瑯の鍋に入れ、レモンの絞り汁をふり、りんごの重

量の40%の砂糖を入れる。それを3回繰り返してしばらく置くと、水が上が

ってくるのでそのタイミングで鍋に火を入れ、中火のところを木ベラでかき混

ぜながら沸騰させる。沸騰したとたんに、どんどんアクが出てくるのでおたま

ですくって、さらに焦がさないようにかき混ぜながら煮る。どんな果物でもそ

うだけれど、果肉に空気が入るといったん色が抜けたようにふわーっと麩み

たいにふくらんでくるけど、さらに煮つづけていると果肉にしっかり砂糖が入

って色が濃くなってくる。それが見た目のできあがりの目安。この時点でシナ

モンとブランデーを加え、煮ながらよくかき混ぜて火を止める。ジャムが熱い

うちに、あらかじめ煮沸消毒して乾かしておいた瓶に詰めたらできあがり!

使った材料は、紅玉10個にマイヤーレモン2個に洗双糖628グラム、それ

にシナモン大さじ1にブランデー大さじ4。

糖度40%。ふつうに甘いです。

シナモンを大さじ1入れた瞬間にジャムの色が変わったので、ちょっと入れす

ぎたかなあ、と心配だったのだけれど、味見をするとシナモンアップルジャム

といった感じ。パン生地で巻いてシナモンアップルロールにしたり、そのまま

アップルパイのフィリングにしたらよさそう。

昨日ひと晩置いて、今朝さっそく食べてみました。

15ringo_jam_01

かるくトーストしたカンパーニュにバターを塗って、りんごジャムたっぷり。

うん! 悪くない。いい感じにプレザーブスタイル。

私はやっぱりふつうに甘いと思うけど、娘はそんなに甘くないっていう。

でもって息子はいってたほどシナモンでもないよ、という。

娘はアップルパイを食べてるみたいだ、と。

ブランデーは思ってたほど効いてない。

感じ方は人それぞれだけど、シナモンがだめって人は入れないほうがいい

かもです。

ちなみにできあがり量はボンヌママンのジャム瓶(容量225グラム)4つに

ミエリツィアのはちみつの瓶(容量400グラム)3つの、ぜんぶで7個。

こんなにできても家のぶん2個くらいとっておいたらみんな人にあげてしま

ってあっという間になくなるんだと思います。

あげた人に喜んでもらえたら何よりです。

今年のシナモンアップルジャム*

| | コメント (2)

2015年10月28日 (水)

純白

15fair_bianca_07

あの日のドレスみたいな。

| | コメント (0)

2015年10月27日 (火)

今宵は満月

151027fullmoon_01

今宵は満月。

今日よかったことも悪かったこともみんな手放そう。

お月さま、今日もありがとうございます。

| | コメント (0)

Rose is a rose

15ben_moon

風が強すぎて折れちゃったみたいだ。

ベンムーンのつぼみ。

こんなに小さくても、ばらはばら。

| | コメント (0)

Vivid!

15la_parisienne_05

秋のラ・パリジェンヌ。

| | コメント (0)

2015年10月26日 (月)

今日のスペシャルおやつ♡

15financier

今日のスペシャルおやつは昨日、仕事帰りに伊勢丹のノワ・ドゥ・ブールで買ってきた焼きたてフィナンシェ。
昨日は久しぶりにスーツなんか着てエッジの効いた場所にいたせいで緊張したのと、休日の渋谷の喧騒と狂乱にすっかり疲れ果てちゃって、珈琲のことばかり考えながらしばし呆然とデパートの地下を歩くこと十数分。目の前にあまりにもたくさんのものがあるとどれにしていいか決められなくなっちゃう子供よろしく一瞬もう何も買わずに出てきそうになったけれど、台の上に山のように積まれたフィナンシェとカヌレはやっぱり魅惑的で、プレーンとヘーゼルナッツと買ってきた。

家に帰ったのはもう夕飯前の時間だったけど、とりあえず珈琲をいれて息子とコーヒータイム。昨日はプレーンを食べた。これ前にも買ってきたことあるけど、「めちゃくちゃおいしい!」と息子。
焼きたては表面がカリっとしてて、かじると口に広がる濃厚な焦がしバターの味。
アーモンドプードルが入った生地の絶妙な食感。
やっぱり発酵バターっておいしいんだよ、下手な生クリームたっぷりのケーキよりよっぽどおいしいね、と話した。
疲れてるときの甘いものって、どうしてこんなに効くんでしょう。
そして珈琲。
日曜日だからこれ! といっていれた、いただきもののディモンシュの珈琲が、また焼き菓子にぴったりなんだな。
でも、昨日は疲れてて新しいカップを出すどころじゃなかったから今日あらためて。
2日めのヘーゼルナッツのフィナンシェはオーブンで少し温めて、ハンドドリップも適温で昨日より丁寧にゆっくりいれたら、さらにおいしくなった。
濃いけれど苦くなく、まろやかで飲みやすい。
酸味の少ない私好みの珈琲でした。
ほんとに焼き菓子にあう。

そして今日初めておろしたのは吉川裕子さんの『らくがきカップ&ソーサー』。
先月、渋谷のirodoriyaさんで行われた裕子さんの個展でさんざん迷って買ってきた器で、珈琲は備前でしか飲まないと決めてる私がなぜかカップ&ソーサーなんかを選び、しかもめずらしくピンク。
実は直前までこれとはぜんぜん違う渋~い色の還元焼成のお皿とライオンの置きものに決めて、レジに持って行く直前で急きょ、やっぱりあれにしよう!と、このカップにしてきたのでした。なぜなんだろう。
わからないけど、これからどんどん寒くなってお日さまの少ない季節になるから、あかるい色がテーブルに欲しかったのかな。

15rakugaki_cup

裕子さんのつくる陶芸作品の魅力は手びねりの、手びねりだけでしかつくれないゆらぎのあるやわらかな形ももちろんではあるのだけれど、フリーハンドで自由に描かれた楽しい線と、彼女が選ぶあかるい色。それはまるで子供が使うクレヨンみたいな発色で、こんがり焼けた焼き肌にとてもあう。
そこには日本的ウェットさはまるで感じられなくて、やっぱり裕子さんがしばらく住んで陶芸を学んできたという、イタリアの太陽とか乾いた空気とか建物の壁のテクスチャーなんかがきっと反映されてるんだろうなと思うのです。

15rakugaki_cup_01

月と星。
私がこのカップ&ソーサーに惹かれたもうひとつの理由は、ソーサーがレモンみたいなリーフみたいな形をしていて、ジノリの器みたいにソーサーの端が上にコンパクトに上がっているとこ。これだとソーサーごと手のひらにのせたときにもしっくりくるんですよね。
ソーサーはソーサーでお菓子をのせて使ってもいい。

15yoshikawa_yuko_05

あっ、それから、これもあったかもしれないな。『caffe』と『felice』の文字。
felice の文字を見たとき思わず、イヴァン・リンスの『A GENT MERECE SER FELIZ』が頭に流れてきちゃったんですよね(^-^)
どこまでオメデタイ頭をしてるんでしょうか。
おいしい珈琲としあわせなカフェタイム。
(ときどき、おいしいお菓子)。
これって私の人生では間違いなく必需品です。
そうそう、フィナンシェ好きの方はノワ・ドゥ・ブールの焼きたてフィナンシェ、ぜひぜひお試しください。絶品です!

| | コメント (0)

2015年10月24日 (土)

輝く夕陽のなかで

15lilac_rose_10

今月も4回のプールが終わった。

今年もおなじレーンで泳ぐHさんに菊ごはんをいただいた。

スイミングクラブでは肝っ玉かあさん的なHさん、今週は4回も菊ごはんを

つくって、そのたびに一升ものお米を炊いたとか。今日もきれいに丁寧に

つくった菊ごはんを折りに詰めて紙袋に入れて、何人もの人に配っていた。

おそるべし、ベテラン主婦の底力! もらうほうはありがたいかぎり。

お返しに私は去年つくってあげられなかったりんごジャムでもつくるかなあ。

菊というと初冬の朝のきりっと冷えた大気を思うけど、今年はまだ初冬の気

配どころか晩秋でさえなく、日中は動くと暑いくらい。

でもすぐに日は傾きはじめて、夕陽のなかで輝くばらのつぼみは「ルージュ」

とでもいいたいような色。

15baby_faurax_02

| | コメント (0)

コルシカミント増殖中♪

15corsicanmint_02

花屋には、これから寒くなるいまの時期は春みたいには伸びないといわれた。

このあいだポリポットからテラコッタの鉢に植え替えたときは、鉢のまんなかに

緑がちょこっとあるだけで、ちょっと鉢が大きすぎたかなあ、と思ったのだけど。

でも3週間にして見事このとおり鉢を埋め尽くし、ちょこっと鉢から垂れるくらい

に増殖した。さすが地下茎で増えるミント!

まんなかあたりを触るとふわっふわで緑の絨毯みたい。

見てるうちに『天空の城ラピュタ』の原っぱを思いだして、こんなことをして遊ん

でみたり。

15laputa

最近この近所ではあちこちで家やビルが壊されて、更地になったと思った途

端にみるみる緑が生い茂り、覆い尽くし、それは雑草ばかりじゃなくて鳥が

運んだこぼれ種が発芽したのか大きな木まであって、前を通るたびにその

旺盛な繁殖力に驚かされる。猫やカラスが害獣といったって人間ほどの害

獣はいなく、人間が汚しほうだい壊しほうだいにした地球も人間が滅亡すれ

ばあっという間に緑に覆い尽くされ、緑によって土壌の毒が吸い上げられて

浄化されるのだろうか。それとも人間の残した毒はそうそう簡単に浄化され

るようなものじゃなくて、やっぱり気の遠くなるような歳月を必要とするのだろ

うか ・・・・・・

なんてことを考えてしまう。

いまこんなに増殖しているコルシカミントも、冬のあいだは地上部全てが枯

れてなくなり、春になったらまた新しい芽を出すそうです。

だいたい全ての植物にいえるんじゃないかと思うけど、高温多湿の夏と厳寒

の冬を越えられるかどうかがカギ。

はたしてうまく越冬できるでしょうか。

気持ちよく晴れた爽やかな朝。

大気に溶けるミントの香り。

| | コメント (0)

2015年10月22日 (木)

日曜日が待ち遠しい

15cafe_vivement_dimanche

ほんの思いつきでちいさなものをあげたら、お返しに珈琲豆をもらった。

カフェ・ヴィヴモンディモンシュのグァテマラ・エル・モリト。

まいったな。そんなつもりじゃなかったのに。

日本人てちゃんとしてるよね。

ときどきちゃんとしすぎてると思うよ。

カフェ・ヴィヴモンディモンシュというと、思いだすのはやっぱり永井宏さん

のこと。友達に、『ロマンティックに生きようと決めた理由』って知ってる? 

と訊かれたあたりからじゃなかったかな。彼女のことが意識の中に入って

きたのは。大阪生まれで、なんのあてもなかったのに直感だけで東京に

来て、カルマとセツと永井さんに出会ったことで彼女の中にもともとあった

創造の種子が芽吹いて枝葉を広げ、花ひらいた。

運命の車輪がどこで回りだすかはわからない。

けっきょく、どこにいても何に出会い、誰に出会うかだと思う。

永井宏さんのことはそれほど詳しくないけれど、読んだ本からも、文章から

も、そしてタンバリン・ギャラリーという空間からも海の匂いがするのがいい

と思う。肩の力が抜けてて、オープンで、楽天的でハッピーな世界。

一度でも海の近くに住みたいと思ったことがある人なら、きっと憧れてしまう

ような。

彼女から聴いた実際の永井さんはかなりはっきりものをいう人で、けっこう

厳しい人でもあったみたいだけど、自分よりはるかに若い人から意見を聴い

たり、また相談をしたり、若い人から学ぼうとする自然な態度が柔軟で素敵

だな、と思う。私も若い多感なときにそんな大人に出会いたかったな、と思う。

Pさん、珈琲豆ありがとう。

小さいから邪魔にならなくていいかと思ったけど、物体に興味のない人に

つまらんブツあげてごめんよ。

ブツは昨日、うけとりました。

珈琲は、ヴィヴモンディモンシュってくらいだから次の日曜日のとっておき

にしようと思います。次の日曜は仕事で出かけなきゃならないけど、金曜、

仕事が終わったらチーズケーキでも焼いて。んー、それとも日曜の仕事帰

りに伊勢丹の地下に寄って何かおいしそうなスウィーツでも買って。

まだ一度も使ってない吉川裕子さんのコーヒーカップもおろしてしまおう。

・・・・・・ というわけで、日曜日が待ち遠しい(^-^)

15hiroshi_nagai

| | コメント (9)

秋のベランダ

15serruria_07

気持ちよく晴れた朝、窓を磨いたら視界も晴れた。

二鉢のばらが枯れかけている。

でもセルリアのつぼみが大きくなってきた。

15serruria_06

ころんとしたこのつぼみはフェア・ビアンカ。

いま一番つぼみをたくさんつけているのはグラミス・キャッスル。

15fair_bianca_05

| | コメント (0)

2015年10月21日 (水)

ハーフムーン

151021half_moon

久しぶりに曇りで、おひさまのなかった今日は一気に気温が下がって寒く

なった。今季はじめて肌寒い、ではなく、寒い、と感じた今日。晩秋を通り

こして来るべく冬のことを思う。私は厳寒の2月生まれだから寒さにも強く、

真冬になってしまえばもうすっかり覚悟もできて観念してしまってるから平

気で暮らせるのだけど、秋はやっぱり、さみしいさみしい、だ。今日は午後

遅く地震があった。それからやたらとヘリコプターが飛んでうるさかった。

今日の月はハーフムーン。群青色の空に浮かんで、雲に隠れたり現れた

りしてる半分の月は、どこかに置き忘れた誰かの壊れたハートの欠片み

たい。ハーフムーンっていうと、私はやっぱり北村太郎の『ハーフ・アンド・

ハーフ』を思いだしてしまう。雪の降る深閑とした夜に、好きな女と死ぬの

死なないのって会話をしている詩。恋人でも愛人でもなく、好きな女ってい

うのがこの詩の感じだろう。どんなに好きでも死んじゃえば無。とすると、

この苦しい夜に心身ともに冷え冷えしながら生きていることこそ生、か。

| | コメント (0)

2015年10月20日 (火)

季節の記号

15_yves_piaget_01

昨日買ったときはまだつぼみだった。イブ・ピアッチェ。

イブ・ピアッチェの特徴は、まるくふくよかな深い花のかたちと、このうえなく

素晴らしい香り。これまでその濃い色と強い香りからどことなく近寄りがたい

華やかなイメージしかなかったけれど、こんなにふんわりとした淡い色で咲

くこともあるなんて・・・・・・

ある固有の何かを見ると特定の誰かを思いだす、というのはよくあることだ

けど、それがイブ・ピアッチェとは、なんて素敵なんだろう。

私ならさしずめ泉屋のクッキーかな。

昨日、出来立てを一等最初にもらったイベントのフライヤー。

また花屋の好きな季節がやってくる。

158th_anniversary_fair

コトリ花店 8th anniversary event

| | コメント (0)

朝陽のなかで *

15lilac_rose_06

ライラックローズが咲いた。

満開、大輪のばら。

わたしの好きなこのばらの咲きかたじゃなかったけれど、精一杯咲いた。

ローズカフェのフェンスにもたれるように咲いていたアンニュイな姿に一目

惚れして買ったばらだけど、カフェのオーナーは、これはなかなか大きくな

らないばらだといっていて、何年か後に見たら枯れたのか、もうなかった。

実際、何年育てていてもちっとも大きくならないし、枝も増えない。

これまで何度も枯れるかと思った。

私の持ってる中でも古い、そんなばらが、こんなに長生きするとは思わな

かった。

老爺のような株から伸びているのは、若いシュートが2本。

つぼみはあともう一個。

15lilac_rose_08

だから花が終わって切ってしまったら、冬のあいだに枯れる可能性もある。

ばらの木にばらが咲くのが当たり前かといったら、そうでもない。

花が咲くのはすごいこと。

花を咲かせるのはすごいこと。

大輪の花が重たくて枝が消耗しないように、早々に切った。

ミルラにフランキンセンスが混じったような不思議な香り。

15lilac_rose_09

| | コメント (0)

2015年10月19日 (月)

美しい日々

15eucalyptus_polyanthemos

暑くもなく寒くもなく、冷房も暖房もいらない。

コットンのシャツ1枚で気持ちよくいられる、わずかな季節。

私は夏が好きだけど、常春だったらまだ常秋のほうがいいな。

ユーカリ・ポポラスが秋の空に溶けていくような午後。

君のこころも解かれてあり ・・・・・・

15fall_of_swag

よく晴れた秋の美しい日がつづく・・・・・・

15autumnal_sky

| | コメント (0)

2015年10月18日 (日)

一篇の詩から生まれた写真集と個展『LITTLEGROWTH』

15littlegrowth

耳がおかしくて出かけるどころじゃなかった夏の2ヵ月間をいまさら挽回しようってわけではないのだけれど、最近よく出かけている。9月の終わりごろから今月にかけて、私にしてはめずらしくいろんなところに出かけていろんなものを見、いろんな人に会った。そのなかには、もう2度と会うことはないんだろうなあ、と思っていた友人にたまたま偶然出くわして喫茶店で話したことなんかも含まれていて、なんだか濃い数週間だったなあ ・・・・・・
だから久しぶりに何も予定がない今日はどこにも行かず家で本でも読んでるつもりだったのだけれど、何気なくある人のツイッタを見たらどこかのギャラリーでやってるらしき写真展の画像にリツィートしてて、会期は今日までとあって気になった。ちょうど海に行きたいと思っていたからかもしれない。その時点でその写真家の写真までが見えたわけではなかったのに、そこに行ったらきっと海の写真が見れるような気がした。なぜかはわからないけど。それで、そこから詳細を追って写真家のサイトにたどりつき、そこに書いてある文章を読んだらますますピンとくるものがあって、これは今日ぜったい見るべきじゃないかと思って(こんなことはほんとうにめずらしいことなんだけど)、急きょ午後から出かけることにした。

向かった先は吉祥寺の『CLOSET』というギャラリー。
名前は『百想』から『CLOSET』に変わってるけど、ここは前にkikiさんとunjourさんが二人展をしたギャラリーで、佇まいはちっとも変っていない。

15littlegrowth_01

ここでやっていたのは、写真家 山口明宏さん の『LITTLEGROWTH』という個展。
私が最初、ツイッタのぼんやり写ったギャラリーの写真を見て瞬時に惹かれたのは、白い空間に整然と飾られた写真から発せられるニュートラルな雰囲気だったのだけれど、その印象そのままに、時間のゆらぎを感じさせるニュートラルで透明感のある世界が広がっていました。

15littlegrowth_04_2

画像の次に私がいいなと思ったのは、写真家のサイトを開いたら最初に目に入ってきた『僕は写真家として有名ではないです。ですから展示をするにあたり、普段よりも「伝える努力を頑張らないと伝わらない」と思っています』という真摯な言葉。最近、こういうことが足らないように思うのです。たとえば、クラウドファウンディングで人の好意のお金を集めるにしても、ぜんぜん言葉が足りてなくて、いまこういう時代(インターネット時代)だから『クラウドファウンディング』といったら誰でもわかるだろうという前提で書かれていて何も説明がなく、そこに書かれている文章も短かく、かつ言葉の使い方が曖昧すぎていったい何をどうしたくてどこの誰にお金を振り込むんだかさっぱりわからなかったりする。投資でもビジネスでもなく、あくまで人の好意を募るんだったら、心を尽くして言葉を尽くして人に理解(共感)してもらう必要があるのではないかと私なんかは思ってしまう。
私の時代は『わからない人にはわかってもらえなくていい。わかる人にだけわかってもらえばそれでいい』といってしまえる時代だったけど、でもいまはたぶん、そうじゃないと思うから。

・・・・・・ と、ちょっと脱線してしまったけれど、その次に目に入ってきたのが個展のタイトルの説明文の中の『人生って何があるか分からないなぁ、と思います』という言葉。
まあ、そういうことは年じゅう思っていることではあるけれど、この人が何かを失うところから写真という表現の旅に出たということがわかる文章で、いろいろ共感できた。そして極めつけは、この個展が山口さんが写真を撮り始めたころからずっと頭のなかにあった一篇の詩がもとになっている、というところ。しかもそれは有名な詩人の言葉などではなく無名の友人の詩でそれをずっと自分のなかで6年ものあいだ温めつづけてきた結果の写真集、写真展なのだというところ、そんな時間をかけたプロセスにも惹かれました。

写真展には思った通り海の写真も何点かあって、『世界はときどき美しい!』じゃないけれど、山口さんが「あ、きれい!」「うわ、やばい切ない!」と感じた(であろう)一瞬が鮮烈に切り取られていて、その感覚・感情に共感することができる写真だったこと。
そして写真とともに気になったのが、花。

15littlegrowth_05_2

花を撮った写真も多数あるんだけど、ギャラリーのあちこちに花が飾られていて、それが写真の持つ空気感ともよくあっていて繊細で儚げで、いっときたらずもここにとどまっていないもの、でも時を経て美しいもの、を表現しているようで、素敵でした。バックに流れる静かなピアノの音楽とともに、これはきっと花屋の友人も好きな世界じゃないかな、と思った。
聞けば山口さんは花がとても好きで、自分でも植物を育てているそう。
最後に山口さんにお許しをいただいて何枚か写真を撮らせてもらったのだけど、中にいる人たちが写らないようにしたらあんまりうまく撮れなかったので(個展の詳細はHPでも見られることだし)あくまで雰囲気だけ、ということで。写真展を見るのは久しぶりだったけど、写真もまたいいなと思いました。
絵は絵描きの個性そのもの、個性の塊みたいなものだけど、写真は写真家の視点、フィルターを通して世界を切り取って見せてくれることで、自分に見えなかったものが見えたり、イメージが広がる。
今日は午後遅くなってからでも思いきって出かけてよかった。
この出会いのきっかけをくれたPさんに感謝 *

15littlegrowth_03

山口明宏 / Yamaguchi Akihiro  『LITTLEGROWTH

| | コメント (0)

2015年10月16日 (金)

10月のライラックローズ

15lilac_rose_05

晴れてさえいれば元気な私と、雨や曇りの日が好きな息子。

でも、ときに雨がこころに静けさと落ち着きをもたらしてくれるというのは

私にもわかる。

やっとひらきはじめた秋のライラックローズ。

ライラックローズはつぼみが大きくなって咲くまでに時間がかかりすぎて、

やっとひらきはじめるころには花びらの端が傷みかけてしまう。

花にもスタートダッシュ型とスロースターター型がいて、それは人間と同じ。

| | コメント (0)

2015年10月15日 (木)

坂本千秋『猫の恩返し返し展』に行って来た。

15sakamoto_chiaki_08

職場都合で午後から休みになって時間ができたのをいいことに、今日から西荻の『ウレシカ』さんではじまった坂本千秋さんの『猫の恩返し返し』展に行って来た。坂本千秋さんの作品を見るのは、先日の『退屈をあげる』展に次いでこれが2回め。
なぜ『猫の恩返し返し』なのかというと、坂本さんがお世話になった人たちのことを思うとき、そこにはなぜか猫が介在していて、それを見ていた坂本さんのパートナーが、「まるで猫の恩返しみたいだね」といったのが発端で、お世話になった方々への感謝のつもりで彼らが大事にしている愛猫や心に残る猫たちを勝手に版画にして贈っていたら、いつのまにかその数30になり。そしてある日、思いもかけず自分の愛猫2匹の紙版画をプレゼントされて喜んだサノアイさんが、それを額装して飾ろうと自分用に制作した木製のまるい額がとても好評だったため、坂本さんの猫版画をサノアイさんの木製額に入れて展示する、という今回の企画展に発展することになったのだそう。
そりゃあ、自分のかわいがってる猫が世界でたったひとつの紙版画作品になって送られてきたら、うれしいですよねえ。
まさに何重もの猫の恩返し。

30匹の猫たちの版画をひとつひとつ見ていくと、おなじ猫でもこんなに顔のかたちやパーツの配置具合、毛色や模様、目の色の組み合わせが違うんだということがわかって驚き。その辺で見かけるとおんなじように見えていた八割れだって、一匹一匹みーんな違う。一本一本の毛波までリアルに描かれた坂本さんの描写力よ!

猫版画だけでもすごいのだけど、サノアイさんの作った額がまたすごい。
よくもまあ、これだけたくさんの額を、いろんな木のいろんな木目で、いろんなデザインで、こんなに美しく仕上げたもんです。さすがプロ。
思わず美しい木目に触ると、見事にすべすべにやすりがかけられ、いつもながらサノアイさんの丁寧な仕上げにうっとり。この額はいつかほしい。娘が小さいときに描いた絵を入れるのに。

今日はお給料日前ということもあって何も買わずに帰ってきてしまったのだけれど、額に入った猫版画のほかにも坂本千秋さんの本『退屈をあげる』や、猫の紙版画シートやポストカードや紙モノ、虎印菓子屋さんの焼き菓子など、いろいろありましたよ。
20日(火曜)のお休みを除いて今月26日月曜日まで。
またまた今回も猫好きさんはお見逃しなく!cat

そして娘を連れてるとたいていこういうことになるのだけれど、またしてもお昼を食べそこね、お腹もすき、喉も渇いた我々は国分寺の武蔵野茶房へ。
秋限定の珈琲ゼリーパフェを食べました。

15coffee_jelly_parfait

しっかり濃くいれた甘くない珈琲ゼリーに生クリーム、珈琲アイスに濃厚チョコアイス、それにソフトクリームがのってミントの葉とスティックチョコが2本。
珈琲アイスとチョコのアイスがとってもおいしくて、これ◎。
でもトリプルアイスなので食べ終わる頃にはすっかり冷えて、熱いお茶が出てきてホッ。
こういう冷たいデザートが食べられるのもそろそろラストですね。

| | コメント (0)

2015年10月14日 (水)

2ヶ月ぶりのサムタイム *

151014sometime

8月に耳がおかしくなってから、ふたつき行けなかったサムタイム。
気持ちのいい秋の日がつづく今日、久しぶりに行って来た。
今回も予約の電話をするのが昨日の午後になってしまったのだけれど、めずらしく今回はピアノの後ろのカウンター席がとれた。いつもにくらべたらお客が入ってないような気がするけど、そうか、レギュラーメンバーじゃないからか、と思う。こういうの、わかりやすいよね。
今夜のメンバーは、竹内直(ts)、若井優也(pf)、楠井五月(b)、今泉総之輔(ds)。
知らないのはベースの楠井五月さんだけ。
今夜は夜ごはんを食べるつもりで早めに来たので、ピザを食べながら時間になるのを待つ。すると地下からメンバーが打ち合わせをする声が聞こえてきて、一曲一曲かなり綿密に打ち合わせてる。ときどきみんなで声をあわせてメロを歌ったりしていてイイ感じ。

そしてはじまった今日のオープニングは、コール・ポーターのドリーム・ダンシング。
音が鳴りだすなり、あっ、これだ、と思って、一気にくつろいで頭振りだしちゃいました。
そうそう、これこれ。こうこなくっちゃあ。
あー、耳が治ってほんとによかった。と、しみじみ思った瞬間。

151014sometime_03

つづく2曲めはロータス・ブラッサム。竹田の子守唄のイントロの楠井さんのベースのなんてモダンでカッコイイことか。4曲めは直さんのオリジナルの『Shorter than This』。5曲めは秋に聴くにはさみしくてぴったりなダニー・ボーイ。
実はわたし最近アルツハイマなもんで、さんざん聴き慣れたこの有名曲のタイトルがどうやっても出てこなくて、あとで直さんに訊いたら、「楠井くんのイントロがモダンすぎてわからなかったかもしれないけどダニー・ボーイですよ」といわれて、ああ、そうだった、と思いだしたのでした。
楠井五月さん、お名前のとおり爽やかなルックスのベーシスト。
そしてファーストステージのラストは少々アレンジを加えたというマイルスモード。
たしかにいつものマイルスモードじゃなかったです。

151014sometime_02

ここでファーストステージが終わって帰る人もいるなか、隣りの席にここで顔見知りになった女性が来て、わあ、久しぶりだねえ、といいあう。久しぶりなのはわたしなんだけど。
その彼女に「若い頃からジャズを聴いてたんですか?」と訊くと、聴きはじめてまだ2年くらい。きっかけは5年前に病気をしたことで、必要に迫られて通いはじめた鍼灸院でいつもジャズがかかっていて、それまでポップスすらちゃんと聴いたことなかったのに、「ジャズっていいかも。これ好きかも」と思ったのがはじめだったという。だから病気をしなければジャズに出逢うことも直さんに出逢うこともなかったから病気をしてよかった、なんておっしゃる。

私は息子がジャズギターを習うようにならなければこんなに日本のジャズを聴くことはなかったかもしれない。ましてライブにハマることも。
音楽との出逢いって、みんなそれぞれだなあって思う。
そしてセカンドステージがはじまれば、彼女じっつに楽しそうなの。
ほんとに好きなのね。

151014sometime_04

セカンドの頭は『You're My Everything』。2曲めと3曲めは直さんオリジナルの『カリプソ24』と『カーネリアン』。そして今夜はなんだか日本の曲が多いですけど、といいながら瀧 廉太郎の『花』。
個人的に今夜もっとも秋らしかったで賞は『I wish I knew』。
直さんのテナー、沁みました。
ラストはいつもの『kokiriko』で外人さんも大盛り上がり、歓声飛びまくり。
よかったのは若い3人がすごく楽しそうにプレイしてることで、今泉総之輔さんなんかドラム叩きながらすごくしあわせそうな顔をする。聴き手をしあわせにするだけじゃなくてプレイしてる本人がしあわせになれるって、すごく大事なことだし、いいことだと思います。
隣りにいた彼女にも直さんにも、「じゃっ、次は来月、MANIで!」といって別れてきました。まだ完全じゃないけどほんとに耳が治ってよかったー♪

151014sometime_01_2

・・・・・・ と終わるところだったけど大事なことを書き忘れました。
ピアニストの辛島文雄さんが病気療養中ということで、サックスプレイヤーの池田篤さんが発起人となって辛島さんを支援するためのCDを制作されたってことで、ライブの途中で直さんからアナウンスがあったのでした。
こういうことをささっとやれるミュージシャン仲間の行動力もすごいけど、それを支援しているサムタイムもさすが老舗のジャズバー。以前、岡田勉さんのときはサムタイムに行くたびに買ったけど、今回も1枚いただいてきました。
CDはサムタイムで販売しているほか、池田篤さんのウェブサイトでも受け付けています。CD1枚 1000円(+お気持ち大歓迎、とのことです)で集まったお金は、責任を持って辛島さんのもとへお届けします、ということです。
音楽を、JAZZを愛するみなさま、どうぞよろしくお願いします。

15fumio_karashima

 ジャズに生きる  Fumio Karashima Quintet

   辛島文雄 (piano)   
   楠井五月 (wood & electric bass)   
   小松伸之 (drums)   
   池田  篤 (alto & soprano saxophones)   
   岡崎正典 (tenor & soprano saxophones)

   Recorded Live at Shinjuku Pit Inn, 2013~2014

| | コメント (4)

2015年10月12日 (月)

秋の美しい日 *

15beautiful_autumn_day

父は私が生まれる前年に宅地建物取引主任者の資格を取って不動産屋に勤めることになった。その仕事ぶりは世間の人が『不動産屋』に抱くイメージとはかけ離れた馬鹿正直が服を着たようなもので、それゆえに派手に儲けることもなかったかわりに、仕事仲間や大家さんやお客さんには信頼された。
その父がいまになっていうことには、不動産屋をやってていちばん楽しかったのはいろいろなところに行けたこと。
これといって趣味や道楽のない父にとって旅こそがいちばんの楽しみなのだった。
そういう人だから、84になったいまでも車を運転できなくなってしまったことを嘆き、政治家の牛歩程度の速さでしか歩けないのに、晴れてさえいればどこかに行きたがる。とはいってもたいていは近所に買いものに行くか散歩に行く程度で、たまに街の名画座で古い日本映画を観たり、延々都バスを乗り継いで子供の頃から勝手知ったる浅草に行くくらいなのだけれど。

84ともなるとかつての仕事仲間も友人もほとんど物故してしまって、出かけるのはいつもひとりだ。どこに行って何を見ても何を食べても話す人のない一人歩きは単に気分晴らしにしかならないんじゃないかと思うけど、それでも家にじっとしているよりはいいという。
そんな父を見かねて、たまに妹や私がどこかに連れ出すことになる。
妹は年に何回か泊りがけでどこかに行くけれど、お金も時間もない私はもっぱら近場担当。

15beautiful_autumn_day_03_2

朝からよく晴れた秋の美しい日、父と井の頭公園に出かけた。
朝起きたときは肌寒かったけれど、吉祥寺に着くころは暑いくらい。
井の頭公園には何度となく来ているものの、動物園のある自然文化園には一度も行ったことがなかったし、このあいだの話のなりゆきからてっきりそっちに行くものだとばかり思っていたら、父は「そんなところには行かないよ」とシレっとした顔でいう。やれやれ。またいつもの年寄りの気まぐれか。

それでいつもの休日の井の頭公園の混みかたっていったらすごいので、三連休の今日はどれほどかと思ったら、時間が早かったせいかまだそれほど混んでなかった。池の上のボートの数もまばら。それじゃあ、天気もいいし今日は混んでないからボートにでも乗ろうか、私が漕ぐから父はのんびり景色でも見てればいいよ、といえば、いい、ボートには乗らない、と父はいう。そのくせ、じゃあどっちに行く? と訊けば、なんとなくボート乗り場を気にする風なので、せっかくだから行こう行こう、手漕ぎボートだと乗り降りするときちょっと危ないから、サイクルボートかスワンに乗ろう、といって、私はさっさとスワン乗り場に並んでしまった。
いつもは長蛇の列でけっこう待つのに、今日はスムースに順番がきた。

15beautiful_autumn_day_01_2

思えばここでスワンに乗るのは初めてです。
子供とも乗ったことない。
ここではいつも手漕ぎボートだったから。
子供が小さかった頃は桜の季節になるとかならずといっていいほどここにボートを乗りに来た。湖面にしだれるように咲く満開の桜を水上から見るのはとてもきれいで、来れなかった年はなんだか忘れ物でもしたみたいな気分だった。
まだ肌寒い季節にもかかわらず私は汗をかき、手に豆ができるほどボートを漕いだのが懐かしい。そしてスワンに乗ってペダルを踏みながら横を見れば、父は父でなかなか楽しそうなのです。こんなのに乗ったのは初めてだって。いつだって、初めてのことをするのは楽しいのです。

15beautiful_autumn_day_02

ボートやスワンに乗ってるのは若い父子に母子、若いカップルや男同士に女同士、とまあ、いろいろいるのだけど、みんな何故かおそろしく操縦が下手なのである。それで父は「ぶつかるぶつかる!」とかいってすごい形相でわたしを見るんだけど、わたしはカメラ片手に、渋谷で人混みをよけて歩くみたいにスイスイってなもんで上手いのです。これってなんなんだろうな? やっぱ才能かな。
願わくは世渡りもこのくらいうまくなりたいもんです。

池の端まで行ってUターンして船着き場を目指す。
青空に白い雲いっぱい。
まるで昔好きだったチョコボに乗ってるみたいです。
でも白鳥の水面下のバタ足よろしく、せっせと自転車こぎ!

15beautiful_autumn_day_05

たった30分だけど父は疲れたようで、ほんとに足が動かなくなった、と嘆く。
84ともなればしかたないよ、とわたしはいう。
ふたりでスワンをせっせと漕いだらすっかり暑くなって、陸に上がった後は木陰を歩き、弁天様まで行ってお参りをした。
自分ひとりか友達や娘とだったら私はkibi cafeに行きたかったけど、お寿司好きの父と一緒なのでぐるっと回って入口近くまで戻り、遅いお昼をアトレの中にある美登利寿司で食べようということになったのだけど、それが大間違い!
もうお昼時は過ぎているから今日はそれほど待たされないですむかと思ったら、整理券を取って店のまわりで待つこと1時間15分(あきらめて眠って待っていたからお陰様で昨日の睡眠不足が解消されたけど)。
店の中でオーダーしてから、さらに待つこと30分。
遅めの昼食のつもりが早めの夕食くらいにはなったものの、でもここのお寿司はやっぱりおいしくてリーズナブルなのでした。

吉祥寺は私の家と実家のちょうど中間くらいにあって、昔だったら現地集合、現地解散でOKだったと思うけど、いまや父はすっかり心もとない様子なので、行きも帰りも実家近くのバス停まで一緒に行く。
たかが井の頭公園に行くくらいでまるまる一日仕事になったけど、今日は1年のうちでも滅多にないような美しい日だった。
神さまがくれたみたいなそんな美しい日が、ごくたまにある。
それはまさしく神さまの恩寵なのだと思う。

行きの電車の中で父が「こないだ浅草に行ったお土産」といってくれた袋を家に帰って開けてみたら、中身は雷おこしで笑えた。
雷おこしなんて食べるの、何十年ぶりだろうなあ。
懐かしい。

| | コメント (0)

2015年10月10日 (土)

初歌舞伎

15ginza

読んでいる本の中に歌舞伎のことがでてきて、「そういえば歌舞伎は観たこと

なかったな、と思っていたら、久しぶりに会った旧友が先月、家族でわざわざ

京都まで新作歌舞伎を見に行ったという。恥ずかしながら私はまだ歌舞伎っ

て一度も観たことがない、といったら、その友人は「俺も去年まで観たことなか

った」といった。その晩だ。別の友達から夜遅くメールがきて「歌舞伎に行かな

い?」と誘われたのは。なんでも毎月歌舞伎を観に行く母が腰を痛めて今月

は行けなくなったので、チケットが2枚余っているという。あまりにタイムリーだ

ったのでよく考えもせずに「行く行く!」と即答していた。

そして銀座の三越前で待ち合わせること午後3時半。

歌舞伎見物には慣れている友達が、幕間の40分間で食事をするのでお弁当

を買っていきましょう、というので三越の地下に行くとまあ混んでいて、着物を

着た女性がたくさん。みんな歌舞伎に行く人。お店の店員さんもよく心得たも

ので「お客様は歌舞伎見物でらっしゃいますか」といいながら手際よくお弁当

を紙袋に入れてくれる。

そして歌舞伎座に行けばそこもすごい人。

15kabuki

日本の伝統芸能に親しむ人がこんなにいるんだあ、とあらためて感心する。

さて、本題の今日の夜の部の演目は、ひとつめが『壇浦兜軍記(だんのうら

かぶとぐんき)阿古屋』で、ふたつめが『梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかし

はちじょう)髪結新三』。

『壇浦兜軍記』は通称『阿古屋琴責(ことぜめ)』とも呼ばれ、簡単にあらすじ

を書くと、平家の滅亡後、源頼朝の命により残党狩りが行われるなか、平家

の武将、悪七兵衛景清の行方を詮議するために愛人である遊君阿古屋を

捕えて問注所に引き立て尋問するが、阿古屋はいっかな所在を明かさず、

景清の所在など知らない、と言うばかり。業を煮やした代官の岩永左衛門は

きつく拷問せよと迫るが、詮議の指揮をとる源氏方の秩父庄司重忠は今日

のために特別に用意した責め具があるという。それは、琴、三味線、胡弓の

三つの楽器だった。まったくわけがわからない岩永は「拷問になぜ楽器を」

と首を傾げるが、秩父庄司重忠は三つの楽器を順に弾かせることで、阿古

屋の真の心の内を推し量ろうというのだった。

今回の阿古屋の役はなんと坂東玉三郎で、花魁姿の艶やかさといい、ひと

つひとつの所作の美しさといい、儚げな風情といい、あえかな声といい、琴

を弾く白魚のような指といい、もうとにかく美しいのです。そして竹本との絶

妙な間とかけあいで演奏される琴も三味線も胡弓も素晴らしく、見事としか

いいようがない。歌舞伎役者って、ひいては花魁って、こんなに楽器の演奏

ができなければならないものだったんだ、と驚くことしきり。これを目の前で

ライブで聴けるとは。音楽好きにはたまらない演目だった。

当時、いまの裁判官である誰もがこんな風ではなかったろうと思うけれど、

阿古屋が音を乱すことなく見事に琴と三味線と胡弓を弾き終えたのを聴い

て、阿古屋の言うことに嘘なし、と見極め、お咎めなしとするところは秩父

庄司重忠のなんて粋なはからいなんでしょう。

もともとは人形浄瑠璃だったということで、岩永左衛門は黒子に操られる人

形の役で、その滑稽な動きも面白かった。

友達は始まる前に途中で寝ちゃうかも、といっていたけど、ぜんぜん寝るど

ころか食い入るように見ちゃいましたね。歌舞伎座に入る前、友達のいう通

り音声ガイドのイヤホンを借りて、それを聴きながらだったので初めてでも

ちゃんと話の内容がわかりました。

15kabuki_01

そして幕間のごはんタイムは、亀戸にある升本のマクロビオティック弁当、

和正食。肉も魚も卵も乳製品も白砂糖も使ってない完全な『玄米菜食』な

んだけど、これがおいしいんですよね。

15kabuki_02

今回はビギナーズラックか、玉三郎も見られたし、席も2階の桟敷席だった

ので、ごはんを食べるのもカウンターテーブルがあって楽だった。

そして、ふとまわりを見渡せばひとりで来ている年配の男性もけっこういて、

どこに行っても女性ばかり目立つなか、これはいいな、いい趣味だと思いま

した。

15kabuki_03

幕間の間には次々とスポンサーが提供した緞帳が披露され、これはこれで

華やかで退屈しないのです。

『朝光富士』 松尾敏男画

15kabuki_04

『春秋の譜』 中島千波画

15kabuki_05

この後に2枚。

そして、ふたつめは『髪結新三』。

これも簡単にあらすじを書くと、主人を亡くしてから身代が傾いていた材木屋

の白子屋では、美人と評判の高い一人娘のお熊に持参金付きの婿を迎える

ことが決まったが、それはまだ娘も知らぬことで、実はお熊は手代の忠七と

深い仲だった。ある日、結婚相手が結納に来て初めてその事実を知ったお熊

は泣く泣く「自分を連れて逃げて」と忠七に懇願するが、世話になった家の主

人を裏切るようなことはできぬと忠七はただただ困惑するばかり。それを玄関

の戸の陰で盗み見していた髪結いの新三は、忠七にうまいことを言ってまん

まと騙し、お熊を誘拐していいように慰み者にしたうえ、白子屋から身代金を

せしめようとする。騙されてお熊を奪われたうえ、態度を一変させた新三に雨

の中さんざ傘でさんざ打ちのめされた忠七は、もはや帰る家もなしと川に身

を投げて死のうとするが、そこを通りかかった乗物町の親分、弥太五郎源七

に助けられ、死ぬのをやめて付いて行く。いっぽう娘を誘拐されて困り果てた

白子屋は、お熊を取り戻そうと矢田五郎源七に助けを求めるものの、逆に新

三から身代金の少なさをさんざんなじられ馬鹿にされて追い帰されてしまう。

そこでついに新三に家を貸す老獪な家主、長兵衛が乗りだし、おだてたり脅

かしたりしながらまんまと新三をやりこめ、娘を無事家に帰すが・・・・・・

という、お話。

世間知らずのお譲と雇われ者のおっとり忠七に対して、髪結新三の徹底した

悪党ぶりがまあ江戸っ子としては小気味好いくらい、ってところなんでしょうが

ほんとにひどい。それに新三の上をいく海千山千の長兵衛のしたたかさ。

最初の花魁にしてもこのお譲にしても、昔から女の人生なんて荒波に遊ばれ

る大海の小舟のように危うく儚いものだよなあ、なんて思ってしまったのだけ

れど、ときどきライブ帰りの深夜の電車や駅のホームで遭遇する、肉食女子

というにふさわしい今の女の子にはたしてそれが当てはまるかどうかはクエス

チョンだけど。

劇中、ふだんなら若い無名の役者がやるような端役を大物がやることを歌舞

伎の世界では『御馳走』というのだそうだけれど、『髪結新三』は二世尾上松

緑追善狂言ということで、初鰹を売りにくる肴売新吉男の役を尾上菊五郎が

面白おかしくやったりして、会場は大いに沸いておりました。

なんにしても、とっても楽しめた初歌舞伎。

お母さんから回ってきたチケットでもう10回は観たという友達に「それでハマ

らなかった?」と訊いたら、「ハマらなかった」という答え。

そうだな、もし私にチケットをくれる人がいたら喜んで行くかもしれないけれど

自分でチケットを買ってまで行くかといったら私はやっぱり音楽が好きだから

ライブに行ってしまうと思う。今日は初めてだったからかなり集中して観たけ

ど、なんたって台詞が悠長なのでかなり気の長さが要求されることは確か。

うちの父や子供と行ったらたぶん、最初の20分で寝てしまうでしょうね。

「芝居がはねてお開きになった途端にこれだけいる人が雲の子散らしたよう

にいなくなるのよ、ほんと早いんだから。びっくりするわよ」という友達の言葉

通り、幕が降りるなり余韻にひたるどころかみんなさっさと席を立って帰って

しまいました。ほんと早い。それと同時にお土産物屋もみんなクローズしてし

まった。

夜の歌舞伎座。

これはこれで華やかです。

15kabuki_06

近くの喫茶店でお茶をして帰りました。

| | コメント (0)

2015年10月 8日 (木)

カナリアイエロー

15canaria_rich

イングリッシュローズを小さくしたみたいなカップ咲きのばら。

カナリアリッチ、ですって。

『ベビーロマンチカ』の枝変わりといわれれば、なるほど、と思う色と形。

「これでリッチになれるかな」といったら「私はリッチにならなくてもいい」

と花屋がいうから、「私は人に何かしてあげられるくらいにはリッチにな

りたいな」といった。自分のことも手におえないようじゃしかたないけど。

ばらの横に見えるのは六芒星。

15rokubousei

まるで満々とたたえた水を六角形に切り取ったみたいな、クラックに美しい

虹を内包したクリスタル。

これをテーブルのまんなかに置くことで、ときにセンシティブすぎる繊細な

魂3つを波動調整して平和に保とうってわけなのです。

外の世界がどうあろうと、内なる平和を見出すこと。

POI!

| | コメント (0)

2015年10月 7日 (水)

秋猫記

15panda_01

 秋猫記


頭を下げ肩をゆすってゆっくり這い

立ち止まって繊細に尻をふる


ねらったとかげに跳びつき

ピンクの歯茎にくわえ髭をぴんと張って


得意げに座敷に上がり口から放して

片方の前肢でしつこくいたぶる


昼はひとみが細いから

なにしろこの世はめまぐるしい?


ミルクを手まえ巻きの舌で飲み

ゆっくり戻って死体をたしかめる


夏の庭に動くものすべてが

おまえの敵だった花ござ下のミイラ


不安な夕ぐれから隠れたつもりだろうが

ふようの葉のしたに耳が見えてるぞ


じきに虫たちがおまえの犠牲になろうが

冷えたこまかい雨だって降ってくる


用心しろよ濡れたおまえはみじめだ

遠出から帰って明るい電灯の下で


ていねいにからだを舐めまわしたって

なかなか暖かくならないんだミャオと低く鳴いたって・・・


マフラーみたいに丸くなって目をだるそうにひらくと

大きな黒いひとみになっていて


また閉じて咽喉であるじに慄えるごあいさつか

猫満つどき一度起きて大あくび


からだを伸ばし足を突っぱり

畳で爪をといで少し考えこみ


雨戸をあけてやると顎を闇へ・・・

thy fearful symmetry  は不定で一定だな


(思潮社 現代詩文庫61 北村太郎詩集 未刊詩篇より『秋猫記』

***********************************************************

私が毎日その道を通らなくなってしまったということもあるかもしれないけれど

最近パンダに会うことが少なくなった。前はいついかなるときでも(たとえ夜遅

くであっても)どこからか私をみつけてはニャーといいながら勢いよく飛んでき

たのに。あんまり長いこと見かけないから、このあいだなんかはついにパンダ

も人の飼い猫になったか、とも思ったけれど、どうやらそういうわけでもないら

しい。それにパンダに限らず、かつては路上にも近くの公園にもあれほどたく

さんいた猫をぱったり見なくなったということは、人の手が入ったということだろ

うか。私の住んでいる市はとってもプアで猫どころか人間にさえ手厚くないから

『地域猫』なんてしゃれたものがあるわけもなく、手が入ったはイコール追い払

われたか保健所に連れて行かれたかを意味する。あるいはこのあいだあたり

長いことかけて夏のあいだに生い茂った草の刈りこみと樹木の伐採をしていた

から、もしかすると猫が嫌がるものを地面に撒いた可能性もある。いずれにし

ても猫がいなくなったのにはなんらかの理由があるだろう。すっかり草が刈られ

て、もう猫が隠れるところもなくなって、猫のほうからどこかに行ったのだろうか。

それに直近でパンダに会ったのは2回とも昼間だった。

昼より夜のほうが人目につかず安全にエサにありつけることをよく知っているの

は猫のほうで、エサをねだって出てくるのはたいてい夜で、昼間はどちらかとい

うと余裕で遊び半分で声をかけてくることが多かったのに、そのパンダを涼しく

なりはじめたころから夜に見かけなくなった。

もしかしたら昼間は自由に出入りさせてもらって、気温が下がる夜は暖かい家

の中にいるのだろうか、なんて、こちらの希望的観測で考えてみたるするけど

実際のところはパンダも年をとってきて、吹きっさらしのところにいるのがツラク

なったからどこか風の当たらないところにでも隠れているのかもしれない。

ここ数日で一気に気温が下がり大気が冷えてきたので気になって、買いものに

出たついでに植え込みの中を覗きながら歩いていたら、白いものが見えニャ、

と小さな声が聞こえた。前だったらすぐ出てくるところがなかなか出てこない。

やっと出てきたと思ったら以前のように愛嬌をふりまくわけでも、くるっと回って

みせるでもなく、なんだかうらめしそうな顔をしている。

春の頃はまだふっくらしていて元気で、好奇心旺盛なところを見せていたけど

前より毛艶も悪くなって、痩せて、妙にさめた表情をしていて、なんだか急激

に年をとったように見える。年老いた人間がひと夏ひと冬越すのが年々大変

なように、のら猫にとっても夏を越すのは大変だったのだろう。特に今年は異

常気象で雨ばかり降って湿度が高かったから。

昼間はカリカリをポケットに入れてないので話をしながらカメラを向けていたら

なんだまたそんなことか、といわんばかりにそっぽを向かれてしまった。

夜出てきてもまた会えないのだろうしと家まで戻ってカリカリをやると、のその

そやってきて食べていたけど、あとで見たら残していた。最近、食も細くなった

ようだし、いったいどうしたものかなあ ・・・・・・

詩人の北村太郎は大の猫好きで、飼い猫のほかに準飼い猫もいろいろいた

らしく、猫のことを書いた詩も多い。それらを読むとじっつによく猫を観察して

いて、よっぽど猫が好きだったんだなあ、と思うのと同時に季節の情趣もよく

でていて、いつもぼんやりしてしまう。つまり北村太郎がのら猫に自分の行く

末を投影していたのは間違いなく、でもそれって自分もおなじか、と思う。

15panda_2

| | コメント (2)

風の季節

15sweet_chariot

昨日、家をでるときはシャツの上にカシミアのベストを着るのは暑いと思った

けれど、夜帰るときにはもう寒かった。

夜遅く、バスタブにつかりながら外でごうごうと北風が吹き荒れる音を聞き、

ときどきパタパタと雨が降ってくるような音もして、お風呂を出てから思わず

北側の小さな窓を押しあけて暗闇を除きこんだ。駐車場を横切る猫の姿でも

見えないかと思って。

日に日に日の暮れが早くなり、日に日に朝晩の気温が下がって蛇口から出

る水が冷たくなり、北風が吹き荒れる日が多くなってきた。

となると心配なのはやっぱり野良猫だ。

昨日みたいな風の強い夜、野良猫たちはどこでどうしてるんだろう。

昨日寝たのは遅かったのに、今日は6時前には目が覚めてしまって、早朝

からベランダでばらの手入れをした。秋ばらはハバチの幼虫のせいで蕾が

ほとんどやられてしまったから期待薄。ふつうは虫も嫌いで食べないという

ユーカリの木までほとんど食い尽くしてしまった恐るべしヨトウムシ!

それでもばらって不思議で、あっけなく枯れてしまう若い木もあれば、もう老

木なのに勢いよく緑のシュートを出して古い枝を刷新し、蕾をつけるばらも

ある。

それがこのライラックローズで、老爺のごとき株もとから出た2本のシュート。

その先についた蕾がだんだん大きくなって色づいてきた。

これだけはなんとか害虫から死守しなければ。

15lilac_rose_04

| | コメント (0)

2015年10月 6日 (火)

クルミドコーヒーで

15kurumedcoffee_06

『自分がしたように返ってくる』というのがよく知られた宇宙の法則だけど、

こと気まぐれで情緒不安定な人間においては必ずしもそうとはいえなくて、

自分がいくら大事にしたところで相手からも同じように大事にされるとは限

らないし、それどころか自分が一方的に何かするだけで終わったり、冷たく

されっぱなしのことだってある。たとえ自分にはわけがわからなくても、わけ

あって去ってゆく人あり、とくに理由なんかなくてもなんとなくフェイドアウト

してゆく関係もある。また逆をいえば、とりたてて親密にもならないかわりに

つかず離れず続いていく関係もあれば、なんでなのかどうやっても縁あって

喧嘩しながらもつきあっていかなければならない人もいる。

それはたぶん、努力などとはちがうような気がするし、最近ではただ単純に

人間関係もまた自然に淘汰されてゆくものなんだろうと思うようになった。

私は基本オープンで人懐こいから、老若男女に関わりなく、いまだっていく

らでも友達はできるだろうと思っているけど、実際のところはわからない。

私は嘘がいえないから、そこが嫌いという人も多いかもしれない。

世のなかに多い空疎な美辞麗句の応酬なんてまったく意味がないし、気持

ちのないお世辞や社交辞令なんてクソくらえだ。

でも嘘をいわないことで長いことずっと自分を信頼してくれている友達もわ

ずかにはいて、それはとってもありがたいことだと思う。いまより多くの人に

好かれたいなんて思わなければ、それはそれでいいのかもしれない。

数日前、久しぶりに地方に住む旧友からメールがきて会うことになった。

いつもはたいてい南青山のレジュで会うんだけど、今回はいくつか仕事があ

るうちのラストが国立だというので、それじゃ国分寺にしよう、といった。

最近、お気に入りのクルミドコーヒー。

着いたときはなんと満席で外で待つことになったけど、なんとか窓際の席に

座れてよかった。窓辺には枝付きの柿が飾られていて、すっかり秋の景色。

友達と二人でクルミを割りながら珈琲がくるのを待つ時間 ・・・・・・

深深煎りの珈琲も、レアチーズもおいしかった。

このレアチーズ、レアチーズケーキじゃないの。

いってみれば中身のフィリングだけ、みたいな。

酸味の効いたやわらかなレアチーズに、ナッツとハチミツをたっぷりかけて

食べる、というのがなんとも新鮮でした。

夜はもうひとりの旧友と落ちあって3人でごはん食べに。

私と違って社会的ステイタスも経済力もある年上の友人たちの(夢のような)

セミリタイア計画を聴きつつ、笑ったり考えさせられたりした夜。

野良猫の私はどうしますかね?

15kurumedcoffee_07_2

| | コメント (0)

2015年10月 4日 (日)

『退屈をあげる』

15sakamoto_chiaki_01_2

今日は午後おそく家を出て、阿佐ヶ谷CONTEXT-ingでやっている坂本千明

さんの私家本『退屈をあげる』の原画展に行ってきました。

CONTEXT-ingさんに行くのは今日が初めてだったのだけれど、ここは夏に

阿佐ヶ谷七夕祭りのときに父と来たパールセンター商店街を左折したところ

にあって、繁華街のすぐそばにありながら静かな佇まい。こんなところにこん

な家があったなんて。聞けば築50年になる木造平屋の古民家ということで、

それだけでまるでデジャヴュを見るような懐かしさ。

15sakamoto_chiaki_3

坂本さんの紙版画と文章による『退屈をあげる』は、つめたい冬の雨の夜に

行き倒れ寸前で著者に拾われた猫(楳ちゃん)の主体で語られ、野良猫から

家猫になって以来、退屈でありながらも平穏でしあわせな日々を送っていた

楳ちゃんの生活と今生の別れまでが綴られた本。

そういったことを何も知らずにインターネット上で初めて坂本さんの猫版画を

見たときの印象はとても強くて、一目見たら忘れられないようなインパクトが

あった。実際に本を手にして読んでみると猫の語り口はベタベタしたところの

全くない、むしろ酷薄として素っ気ないくらいの言葉なのだけれど、世間の荒

波にもまれて死にそうになっていた猫としては、それがとてもリアルでもある。

けれども版画のほうはというと、著者の儚く逝った猫への限りない愛情が投

影されたもので、最初に感じたインパクトはその愛情の強さそのものなのだ

と思う。『人は何をもって人を信じ、愛するのか』というのがこの20年来の私

の命題だけれど、それは猫にも当てはまるかもしれない。ひとたび自分の日

常で、たった一匹の猫に視線がフォーカスした瞬間、それがどんなルックスを

した猫であろうと自分にとって世界でたった一匹のとくべつな猫になる。

そのとくべつな猫のことを綴った坂本さんの本の、最初の元となったダミーが

飾られていた。坂本さんにとってこれはきっと貴重な宝物だろうな。

15sakamoto_chiaki_02

デザインされたのは前原葉子さん。

シンプルなデザインがモノクロームの版画の世界を際立たせています。

そして一部だけれど展示風景。

15sakamoto_chiaki_03

印刷にはない原画の、いちまいいちまい刷った版画の紙の凹凸感、その奥行

きのある絵の迫力と黒の強さ。白から黒へのグラディエーション。

そこに猫の生き生きとした命の強さと作者の愛情がないまぜになって表れて

いて、猫好きならきっとみんな、ああ、猫ってこういう風だよなあ、こういう気持

ちにさせられるようなあ、と思うだろうなと思いました。私のように猫を飼ってい

ない人だったらこれを機にやっぱり猫を飼おうと思うかもしれないし、逆にます

ます考えこんでしまうかもしれない。

さみしい秋にはぴったりの、しみじみとしたいい展示でした。

15sakamoto_chiaki_04

この個展に来るつもりで、これまで買わずにいた本を買いました。

15sakamoto_chiaki_05

本には栞が1枚付いていて、栞のリボンには赤と青のエディションがあると

聞いていたのだけれど、私のは赤でしたよ。

本を買ったら、在廊していた坂本さんがサインを入れてくれました。

サインどころかイラストまで。

15sakamoto_chiaki_06

ささっとひと息に絵が描けるって、なんとも羨ましい才能です。

こういうのは展示会場ならではのプレミアム。

阿佐ヶ谷、築50年の古民家、猫、ということで、私は思わず昔、古い一軒家

に住んでた猫なしでは生きられない友達Yちゃんのことを思いだして、彼女を

誘ってくればよかったと思ったのだけれど、ほんとはこの本を何冊も買って、

私のまわりの猫好きさんたちに配って歩きたいようでした。

それから展示スペースとは別のコーナーで買ってきた、猫の版画とカードと

ブックカバー。入れてくれた袋はカレンダーのミスプリで坂本さんが自ら手製

したという紙袋。なんちゅー贅沢さ。

紙版画はいちばん好きなのを1枚だけ買ってきたのだけれど、これは渋い木

製の額をみつけて、ちゃんと額装して飾ろうと思います。

『退屈をあげる』原画展は阿佐ヶ谷CONTEXT-ingで、あさって6日火曜まで。

猫好きさんは必見です!

15sakamoto_chiaki_07

| | コメント (0)

今日の「きれい」

15stcecilia_03

昨日切ったセント・セシリアがあんまりきれいなので。

そして今日のマダム・フィガロ。

まだ咲いているガイラルディア。

これが最期の。

15madame_figaro_07

| | コメント (0)

2015年10月 3日 (土)

コルシカ島のコルシカミント*

15corsicanmint

昨日、友達にもらったコルシカミント。

一見、モスみたいにもカイワレ大根みたいにも見える不思議なミント。

こんなのはじめて見たけど、なんとコルシカ島に自生するミントだそうです。

匍匐性があるのでグランドカバーにしたり、鉢からしだれさせたりするといい

らしい。まるで緑のカーペットみたいにとっても小さな葉っぱが密集していて

葉が小さい割にはミントの強い香りがする。夏には淡い紫の小さな花が咲く

そうです。

なんだか不思議でかわいらしいけど、高温多湿に弱くて蒸れるとすぐに枯れ

るそうで、夏を越させるのが難しい、難易度の高い植物だそうです。

はたして来年の夏まで枯らさず花を見られるか?!

上はポリポットの小さい苗を、たまたま空いてた白いポットに入れてみただけ

の写真。でもミントって地下茎であっという間に繁殖するらしいので、今日プー

ル帰りにホームセンターに寄ってハーブの土を買ってきたら、大きめのテラコ

ッタに植え替える予定です。見事テラコッタいっぱいに繁殖して、いい感じに

しだれさせられたら、写真を撮ってまたここにアップしよう♪

いまの時期って夏より虫が多いけど、最近まいってるのはハバチの幼虫らし

きものにばらを食い荒らされていること。虫ってほんとに植物のどこがおいし

いかよくわかってて、出たばかりのやわらかい新芽や、せっかくついた蕾とか

をむしゃむしゃ食べてみんな駄目にしてくれるのでほんと頭にくる。

私は基本、無農薬栽培なので、見つけたら手で取るのだけれど、取っても取

っても追いつかない。それでこのあいだは思いつきで、噴霧器にわずかにお

湯を入れたところにと輪切りの赤唐辛子をちょっと入れ、よく振って唐辛子の

エキスを抽出してからそこに木酢液と展着剤を入れて水で薄めたのをかけて

みた。効いてはいたけど、それだけじゃやっぱり全滅にはいたらない。

せっかく開きはじめたアンブリッジローズも穴ぼこだらけで見るも無残。

15ambridge_rose

そして今朝、かろうじて難を逃れて咲いたセント・セシリア。

まんまるのカップ咲きに、秋は濃いめのピンクで、夏より強いミルラの香り。

虫にやられる前に切って花瓶にいけた。

15stcecilia_02_2

ティーツリーの木が早く大きくなって、ティーツリーの香りとこのミントの香りで

虫除けしてくれないかなあ、と思う。

| | コメント (0)

2015年10月 2日 (金)

嵐が去って

151002sky_2

昨夜の暴風雨は凄かった。

ひと晩明けた今日は雲はまだ多いけど青空が広がりはじめた。

晴れたから月末までに済ませられなかった支払いに行ったら、予期せぬ

引き落としまであってすっかんぴーになった。人にいうとびっくりされる夏

のあいだのありえない水道代!

それですっかり漂泊の思いなんてものはどこかにすっ飛び、旅どころでは

なくなったから、10月はいま読んでるドナルド・キーンの本の中にも出てく

る芭蕉の『おくのほそ道』でも読んで過ごすか、なんて思っている。現代語

訳付きの原文と、ドナルド・キーン氏の翻訳本と2冊買って。もちろん人は

旅に出なくても現生を生きるだけで旅人なのだといえる。

友達とあんぱん齧りなから番茶飲んで、『孤独』について語りあった夕暮れ。

151002garden

| | コメント (0)

2015年10月 1日 (木)

10月

15duchesse_de_brabant_10

灰色の雲が重たく垂れこめた朝。

今日は気温がぐっと下がって長袖のシャツでも肌寒いくらいだ。

と思ったらパタパタと雨が降ってきた。

冷ややかな10月のはじまり。

風のうずまく音。

徐々に強くなる気配。

花びらの重なりの多い、秋のデュセス・ドゥ・ブラバン。

| | コメント (0)

« 2015年9月 | トップページ | 2015年11月 »