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2015年5月 3日 (日)

夢の家

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昨日、寝る前にアトリエ付きの家のことを考えていたからかな。

今日見た夢。

夢の中から出てきたくないようだった。

それはまるで誰かの家の屋根裏部屋のような、あるいは何かの工房か

喫茶店の2階のようなところで、年季の入ったフローリングの床、南向き

の木の格子窓からは自然光が入ってて、あたりには所狭しと本やレコー

ドやCDが置かれ、私は木のテーブル席について、どうやらそこで録られ

たらしいベテランJAZZヴォーカリストのキャリア何十周年かを祝うコンサ

ートのライヴ盤を聴いている。手に持ったCDのジャケット写真には往年

の伊東ゆかりを思わせるクラシカルなショートヘアの女性が写っていて、

スピーカーからは彼女のMCが聞こえている真っ最中。すると、窓のほう

を向いて棚の上で書類を整理していた、これからスーツのジャケットを着

て仕事に出かけるところ、といった感じの白いシャツに黒いパンツの男の

人(どうやら親しい相手らしい)が私のほうをふりむいて、「その音源をいま

聴くっていうのは」といいかけるから、「だめ?」と訊くと、彼は笑って「いや。

けっこう新鮮かもしれない」といった。それからレコード棚の足もとからLP

をごそっと6枚くらいとりだして、「これ、俺の。親父が録ってくれた」と見せ

てくれるので、「すごい。こんなに。これって宝物だね」というと、彼は「まあ

ね。じゃ。行ってくる」とだけいって部屋を出ていく。その時点で私は彼がな

んの楽器をやっていたのか知らないのだけれど、あのガタイと腰つきから

いってドラムかな、なんてことを考えつつ、「どうして彼はミュージシャンに

なれなかったんだろう」と独り言みたいにつぶやくと、いつまにそこにいた

のか、細かな字がいっぱい書かれたノートをひろげた(ドラマの脇役俳優

みたいに雰囲気のいい)ライターらしきおじさんが「それはさぁ・・・」と話しだ

し、ひとしきりその話を聞いたあとで、「でも、あの人ってほんとにいい男だ

よね。マスターもしあわせ者だよ、あんな息子がいて」というと、どう考えて

もさっきの男の人はアキオさんの息子のはずなんだけど(でもルックスも

雰囲気もまったく違う)、それを聞いて気をよくしたのかマスター(なぜか

上町63のマスター)が私の前にショットグラスに入った湯気の立った飲み

ものを持ってきて置くから、「これ何? 湯気立ってるけど。まさか昼間っか

らお酒じゃないよね?」なんて訊いている。そこでマスターと何やら可笑しい

ことを話して、実際に声に出して何かいったところで目が覚めた。

娘によれば、私はほんとうに声をだして喋ってたらしい。

こうやって夢の中のことをただ文章にして書いてみると「いったいそれの何

がよかったの?」って感じなのだけれど、まず場がよかった。そして、そこに

いる人たちがよかった。それはまるで誰かの家であって自分の家でもあるよ

うな、そこにいる誰にとっても安全な巣みたいだった。それほどきちっとは片

づいてないけれどすごく落ち着ける居心地のいい家で、本とレコードと珈琲

の匂いが染みついた部屋の中で、私はいまだかつて経験したことがないく

らいくつろいでいた。そこにいたのは父親と息子をぬかしてみんな他人なの

に、まるで家族のような自然さでそこにいて、何もいわなくても空気みたいな

信頼感があった。これまでも、いまも、この先も、ずっとなくならずにつづいて

いくような信頼感。

起きてからもぼーっと夢のことを考えていて、朝ごはんのときにその話をした

ら息子が「前は(友達と)そんなふうに仲良く(家を行き来)してたことがあるか

らじゃない?」といった。誰のことをいってるのかわからないでもなかったけれ

ど、それはまるで見当違いのことだったから、「そういうんじゃない。あれは未

知の感じだった。未知の懐かしさ」と私はこたえた。「つまり、自分が求めてい

るのはそういうものなのかと思ったよ。自分の本棚から本が無くなってても誰

かが持って行ったんだろう、くらいで気にならない。忘れたころに本はもとのと

ころに戻してあって、こんどは自分のじゃないCDがラックの上に置いてある。

でも気にならない。自分がキッチンで珈琲を入れてるといつの間にかテーブ

ルの前に座ってる人がいて、コーヒー飲む? みたいなね。自分の家であって

誰かの家でもあるような、そんな生活。」「そういう家を(これから)つくっていか

ないとね。家族とであろうと、他人とであろうと」

私がいうと息子は「そういうことだね」といった。

わかりあった家族というのは、こういうとき話が早い。

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そうだ、夢の中のあの部屋は昔よく行った新宿のDAGの2階みたいでもある

し、煙草の煙でもうもうとしてないときのレジュみたいでもある。アキオさんの

材木でいっぱいの工場みたいでもある。できることならあの夢の場にもういち

ど行きたい。できることなら、夢を見るたびにあそこに行けたらいいのに。

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午後遅く、夕方近くになってからラジオをつけてベランダで木工をはじめた。

夢の中のあの部屋のことを思い出しながら。

アキオさんの息子にあげると約束したバターナイフを早く仕上げてしまわな

けりゃ。

現実の私のベランダは風が強かったけれど今日も美しい光がいっぱいで

次々にひらいた薔薇がふわふわと風に揺れて、それはそれで夢みたいな

のでした。

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コメント

そうきちさん こんばんは。
いつもスマホで見ています^^
夢って起きた途端に忘れる夢と、ずっと印象に残るのとがありますね、
不思議です。

そうきちさんの今回の夢、私もなんだか懐かしいと感じました。
私の心の奥に在る、懐かしみと憧れの場所。
なんだか「ああ帰りたいなぁ」と思ってしまう、そんな風景を思い出しました。
それは、まだ今回産まれる前に居た普遍的な所なのか、
いつか辿り着く風景や場所なのか、実は今も心の奥底では確かに「在る」場所なのか。。

胸がキュンとした記事に思わずPC開いて書き込んでいます。
そうきちさんの文章って、本当に好きだな〜^^

ではでは。

投稿: のどか | 2015年5月 6日 (水) 23:28

わあ、のどかさん、びっくりだ!
これ書いたときまだ頭がまとまってなくて、ところどころ変な文章だったでしょう?
それをいま直したばかりだったから。

そして私ものどかさんと同じようなこと考えてたなあ・・・
世界のどこかには私の知らないパラレルワールドがあって、いまここでこうしている自分のほかに、別のところでもっと違う暮らしをしている自分がいるんじゃないかって・・・

のどかさんがいうみたいに、いつか、そう遠くない未来にたどり着ける場所だったらいいのにね♪

深夜に温かいメッセージを残してくれてありがとう。
いま、ひとりじゃない気分です(^-^)


投稿: soukichi | 2015年5月 7日 (木) 00:03

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