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2015年4月 4日 (土)

春の嵐

15roses_in_april

今年は3月のライオンがそれほど暴れかったと思っていたら、昨日の暴風は

凄かった。それに私は去年の12月、2月、4月と2ヵ月おきの満月の日に限

って体調を崩していて、昨日の明け方は胃の鈍い痛みで目覚めたと思ったら

激しい吐き気に襲われた。子供のとき、さんざん経験したことではあったけど、

吐くのがこんなにつらいことだったというのを久しぶりに思いだした。

身を絞るようにして胃の中の物をみんな出してしまった後は急激に体温が下

がって身体の節々がひどく痛み、熱が上がった。もう立ってることすらできなく

て、午後から布団にもぐりこんで一日吹き荒れる風の音を聞いた。

昨日は初めて娘がおかゆを炊いて、息子がお風呂掃除をしてくれた。

ふだんあれだけいつもお腹を空かしてる自分なのに、食べれないとなったら

もうまったく食べられなくて、薬を飲むのにやっとのことでお茶碗に少しのおか

ゆを食べたら、夜にはまたもどしてしまった。私が苦しんでたら、いつのまにか

うしろにいた息子が背中をさすってくれていた。私は自分が気持ち悪くてゲー

ゲーやってるようなときに自分以外の人にまで気持ち悪い思いをさせたくない

から、ほんとはほっといてもらいたいタイプの人間なのだけれど、息子の手は

温かかった。病気をしてよかったのはそれくらいだ。

最近、ほんとにいやんなっちゃうな。

「もういままでみたいにはいかないのだ」と、どこかから再三いわれつづけてる

みたいで。こういうのって、ほんとに元気がなくなるよ。

生前、母は年じゅう私に「いつまでも若いと思っているんでしょう」といってたけ

れど、いまならはっきりいえる。「思っていません」。

それでも人間の免疫力は素晴らしい。

昨日の夜、くるしく嘔吐していた私が今日の午後には自転車に乗ってホームセ

ンターに行ける。自分が育てている植物の元気度と自分の体調はまぎれもなく

どこかでシンクロしていて、今日はどうしても気になっていることに着手しようと

思ったのだった。

ホームセンターの園芸売り場で薬剤を見ていたら、スーツを着た背の低い年配

の男の人が「何かお探しですか」と声をかけてきた。どうやら薬剤メーカーの人

らしい。「カイガラムシ退治の薬を。今年は石灰硫黄合剤を・・・」とまでいいかけ

たところで「忘れちゃったんですね」といって彼は微笑した。「いいえ、忘れたわけ

ではなかったんですけど、やろうやろうと思っているうちに時期を過ぎてしまって」

と私がいうと、「でも石灰硫黄合剤は2年前からバラには使えないことになりまし

た。だから我々ももうあれはバラには薦められないんです」と彼はいった。

そんなこと何も知らなかった私が「えっ、何故。あれは王道だったのに」というと、

彼も「王道でした。カイガラムシにはあれが1番です」といった。

なぜだかわからないけど石灰硫黄合剤はバラには向かないから使ってはいけ

ないという決まりになって、昔売っていた500mlボトルもいまは売られてなくて

いまは業務用の大容量ボトルしかないそうだ。それから彼は今年発売されたば

かりの新薬の説明をしてくれたけれど、その500mlボトルをまだ家に持ってる、

と私がいうと、彼はいまからでもそれを塗ればいい、といった。

「いまからですか? もう4月なのに。いまから塗ってもだいじょうぶ?」と私が

怪訝な顔で聞き返すと、彼は「筆塗りすればいいんですよ。でも絶対に新芽に

かけちゃだめですよ。一発でだめになるから」といった。

それで私は「その新薬のことも頭に入れておきます。ご親切にいろいろありが

とう」といって展着剤と細い筆だけ買って店を出てきたら、近くのバス停でバス

を待つその人の姿を見かけた。土曜日だというのに彼は終日仕事だったのだ。

もうずいぶんよいお年のようなのに。

筆塗りするといってももう葉っぱがこんなにわさわさしてるから無理があるけど

でもカイガラムシがいちばん潜んでいやすい株元に塗ることはできる。

そして筆塗りすることのよさは薬剤が塗れるというだけじゃなくて、苗の一本一

本をつぶさにチェックすることになって、むしろそれがいい。一見、元気に新芽

をいっぱい出してるように見える苗でも、その新芽のほとんどが行き止まりの

葉っぱ(ブラインド)だったりするから、この時期に取ってしまうか、切り戻すか

しないとならない。この、ちゃんと見る、って作業が必要なんだ。

ばらと持ち主の健康は連動してる。

ばらは手がかかるという人が多いけど、実際にやることはいろいろある。

でもいまよりずっとハードに働いてて睡眠時間がいつも3時間くらいしかなか

ったときでも、ばらだけは手離さないできた。それが私にもたらしてくれたもの

はとても多い。

桜が終われば、次はばらの季節だ。

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