今年最初の定期検診
いつものように駅の改札を出ると、少し先で帽子をかぶった小さな老人が私
に向かって手を上げた。どうやら父は私より1本早い電車だったらしい。
今日は今年最初の父の定期検診の結果を聞きに行く日。
雨なら駅前ですぐにタクシーを拾うつもりだったけれど、今日は雨にならなく
てよかった。それに先月、久しぶりに父に会ったときはあまりに足腰が衰え
ていたからどうなることかと思ったけれど、今日は思いのほか元気そうで、
このあいだにくらべたらずいぶんしっかりしているように見える。
年寄りの気分や体調というのは日によって激しく落差があって、ほんとうに
わからない。天気は薄曇りで今日も寒かったけれどでも風がないだけでもあ
りがたい。病院までの道をなんのかんのと話しかけては父を励ましながら父
のペースでゆっくりゆっくり歩く。
病院では、ここ半年くらいはそれほど待たされることもなくスムースに診察が
終わって短時間で帰れたのが、今日は久しぶりにずいぶん長く待たされた。
やっと電光掲示板に父の番号が載って診察室の前へ移動してふと目につい
たのは、去年の秋に電子カルテを導入したばかりなので何かとご不便をかけ
るかもしれない、という内容の張り紙だった。これだけ大きい病院だから電子
カルテなんてとっくに入っているかと思いきや、現状はそうでもないらしい。
仕事で電子カルテにも関わっているから、ふ~ん・・・と考えてしまった。
受付票に記載された医師の名前が見知らぬ人になっていたから、また担当
医が変わったことはわかったけれど、やっと名前を呼ばれて診察室に入って
いくと、こんどの先生は若くてきれいな女医だった。父が何かいうと、ちゃんと
父のほうを見てこたえてくれる。それだけでもだいぶ好印象を受ける。
先週やったCTとMRIの結果は、肝臓にがんの芽のようなものは点々と存在
するけれど、とくべつそれが悪さをしなければだいじょうぶでしょう。肝機能の
数値も良くはないけれど、これまでとさほど変化がないので、まあ正常値とい
っていいでしょう、という、これまでとほぼ変わりないものだった。現状維持。
父くらいの年齢になると、この現状維持がいちばんいいのだ。
それで機を見はからって、このあいだ実家に行ったときに妹からも相談してみ
てほしいといわれた定期検診の間隔をもうすこしあけてもらえないだろうかと
いう話をもちかけてみた。低線量被ばくということを横に置いておいたとしても
4ヵ月おきにCTとMRIと血液検査をするというのは84の父にとってはつらい
ことだからだ。先生は、う~ん・・・、としばらく考えていたけれど、いくつかエク
スキューズを入れてから、まあ、いいでしょう、といった。
診察室を出た我々は「やったね!」と喜んだ。
というわけで、次回は検査が9月末で結果を聞きに行くのが10月頭だ。
真夏の暑い時期に病院に2回も行かなくていいというだけでも、ほんとうにあ
りがたいことだ。父も痛い目にあわなくてすむ。
検査の結果もなんでもなかったし、次回は半年先だ、よかったね!
ということで帰りは帰りで父の気分を盛り上げて、病院でさんざん待たされて
喉が渇いたからお茶でもしよう、と目の前のビルのロイヤルホストに入った。
朝が軽くてお腹がすいていた私は元気にもりもりランチを食べ、例によってま
だお腹がすいてない父は寒いというのにまたクリームあんみつを食べた。
父がここでクリームあんみつを食べるのはこれで2回めなのに、父はこんなの
初めて食べた、と前とおなじことをいった。でも私は父のペースで歩くのにすっ
かり慣れたし、父が元気でにこにこ機嫌がよければそれでいいのだ。
家に帰って、私はいいことがあった日のお礼として宇宙銀行(フィンランドのブ
タの貯金箱)に500円玉を投入した。
今日はいい日♪
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