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2015年3月 1日 (日)

冬を追う雨

15kitamura_tarou


冬を追う雨

雨のあくる日カワヤナギの穂が

土に一つのこらず落ちていた

はじめは踏んだら血(青い?)出る毛虫かと思った

かたまって死んでる闇の精

ヤナギは不吉な植物なんていうけれど

たしかに茂ったおおきなシダレヤナギは

髪ふり乱して薄きみわるい

カワヤナギは穂をつけて


冬のあいだは暖かそうでかわいい

春になると黄色い細かな花で穂がおおわれ

近くに寄って観察すると

その一つ一つは大層かれんだが

少し離れて見るとややわいせつで

この変形は自然の悪い冗談みたいだ

ゆうべの雨はひどい音だった。

冬を追っぱらうひびきを枕にきいた

そしてけさふとカワヤナギの毛虫を見てもう桜が近いと思った


( 北村太郎 詩集『冬を追う雨』より『冬を追う雨』 思潮社1987年 )

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もう三月。

三月は静かな雨ではじまった。

窓をあけると外の大気は冷たいけれど、もう冬とはちがう。

この雨は冬を追う雨だな、と思って、そういうタイトルの詩集があったことを思

いだし、本棚から探して手にとった。銅版画の抽象画のような装画がほどこ

された外函は経年によりすっかり黄ばんでいるものの、凝ったつくりの立派な

大型本で、中は深緑の布張り。函の裏を見ると2000円とあって、昔はこんな

立派な本が2000円で買えたんだ、と思う。それでも高校生の私にとっては高

い買いものには違いなかった。タイトルとなった『冬を追う雨』という詩は、季節

の一片を描いたなんてことない詩だけれど、なんてことのないことを描いて独

特な色のある余韻を残すのが北村太郎の詩の味わい、といえなくもない。

面白かったのは詩集をぱらぱらやっていたら最後のページに何か挟まってい

て、見たら当時愛用していた緑の原稿用紙に書かれた自分の下手な詩と、

3月19日、日本武道館で行われたチープ・トリックのS席のチケットだった。

なんでそんなものを詩集にはさんでいたのかいまとなってはわからないけど、

おかげでこの詩集を読んでいたころの時間軸がリアルに思い出された。

挟まっていた自分の詩はといえば、北村太郎へのオマージュどころかスタイ

ルをそのまま模倣したみたいな文体の詩で、話にならないので迷わず破って

ゴミ箱に捨てた。

思わぬ変な発見があった今朝だけれど、もう三月。

じきに桜だ。

いつも桜の時期は落ち着かない私だけれど、自身のことについていえば去年

の秋あたりからか、やらなきゃいけないこととやりたいこと、思いと行動、時間

とタイミング、気分や体調それに気力体力なんかがどうにも思うように噛み合

ってなくて、そのせいで多方にご無礼、ご無沙汰しているような感じだけれど、

じきになんとか立て直して、いただいたきりそのままになってる手紙やメール

の返信、お送りしようと思っているものなど送らせていただこうと思います。

願わくは北村太郎の詩のように、ニュートラルな落ち着いた心で。

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コメント

こんにちは
毎日ではないけど雨が多いですね
柳もひさしくみていません
北村さんの詩はいいですね

投稿: ひろ | 2015年3月 3日 (火) 12:57

ひろさん、こんばんは!

柳、私が子どものころは街路樹といったら柳でしたが
最近はめっきり見なくなりましたね。
そして近頃の天候、、、、
おとといNHKの天気予報を見ていたら、斉田さんが
『春に三日の晴れなし』という言葉があるとおり・・・
と話してました。
気温も昨日は真冬、今日は4月の陽気と、まるで
ジェットコースターみたいです。

ひろさんも体調崩されないように
ご自愛くださいね。

投稿: soukichi | 2015年3月 5日 (木) 22:04

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