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2014年11月24日 (月)

ベトナムの女の子

14pho_ga

連休最後の今日は急きょベトナムの女の子を連れてタイ料理屋にランチを

しに行ってきた。今年の春ころ、娘のアルバイト先に親類のつてを頼って働

きに来た女の子。なんたって言葉足らずのうちの娘と、日本に来たばかりで

まだほとんど日本語ができないベトナムの女の子がショートメールでやりと

りするものだから、待ち合わせの場所がよくわかってなかったらしい。

今日も彼女が2時半からアルバイトというのにあわせて時間を設定したのに

40分以上も待たされて、今日はちゃんと会えるのだろうかと気を揉んだりも

したけれど、娘が携帯片手に右往左往してやっと見つけて連れてきた。

そして目の前に現れた女の子は、娘に聞いていたとおり、かわいい顔をした

子供みたいに小さい女の子。「はじめて会うのに、日本人は時間に厳しいの

に、こんなに遅れてほんとうにごめんなさい!」と片言の日本語でひたすら

謝るのを見ていたら、なんだかこっちのほうがかわいそうになってしまった。

あらためて、右も左もわからない、言葉もわからない国で暮らすってこういう

ことかと、なんだか自分の身になって思い知らされてしまった。

歩きながらも何か訊くと、すぐにトートバッグから電子辞書を出して自分の言

いたい言葉を探しはじめる。そんなだから、歩いているあいだもレストランに

着いてごはんを食べているあいだもなんだかちょっとせわしなかったけれど

すごく明るくて育ちのよい女の子には違いなかった。

自国で短大を出た後、日本に来たそうだ。

卒業式の日に友達と写したスナップやアオザイを着た写真、家族の写真な

ど、iPhoneに入っている写真をいろいろ見せてくれた。

アルバイトしながら日本語学校で学んでいる彼女。

いつも娘から彼女が日本の物価の高さを嘆いていることを聞いて知ってい

るから、自分の国にいれば両親もきょうだいも友達もいて住むところもあっ

て、彼女の好きな自然も食べものもあって日本にいるほど苦労せず楽しく

暮らせるのに何故、と思って聞けば、ベトナムは物価は安いけれど仕事も

あまりなく低賃金で、インフラもなく、とても不便なのだそうだ。

お給料はひと月2万円! 電車もない、と嘆いていた。

ちなみに日本語ができるようになったらベトナムで給料の高い仕事につけ

るのか訊いたら、通常の倍くらいの給料の仕事に就けるのだそうだ。でも

自分は彼氏と一緒に日本でベトナム料理のレストランをやりたいのだとも

いっていた。22歳の女の子の夢。

そういういことを考えて日本に来るアジア人は少なくないと思うから、その

夢をかなえるのはそう容易なことではなさそうだけど。

目下、彼女を悩ませているのは日本の冬の寒さ!

ベトナムでは気温8度になると学校も屋外での仕事も休みになるのだそう

だ。日本人からしたらそんなの信じられないけれど、熱帯の国ではそうな

んですね。だからいま、日本人より常に何枚か多く着ていても寒くてしかた

ないらしい。生まれてこのかた雪すら一度も見たことがない、というので、

この冬、東京に雪が降ったらこの子はどんなリアクションをするのかなあ、

なんて想像してしまった。

唯一今日残念だったことは、いつも行っているタイ料理屋が今まで行った

なかで一番おいしくなかったこと。せっかくお金のない女の子においしいも

のを食べさせてあげようと思ったのに、耐震工事のリニューアル後で何か

が変わってしまったのか、ただ単にランチタイムで忙しかったのか。

それに日本人が思う以上にタイ料理とベトナム料理って違うみたいだ。

使う材料が同じでも、料理のしかたも違うし、味付けも違う、といっていた。

うちの子は相変わらず料理にはまったく興味がないようだけど、彼女は和

食が基本だめなので、毎日自炊しているといっていた。平日は忙しいから

簡単なものを、休日は複雑なものを作るのだそうだ。私は料理は上手です

といっていた。エライですね。さすがに親元を離れて異国で暮らしているだ

けあって、同じ歳でもこういうところはうちの娘とは全然ちがう。

彼女が私に「フォーは好きですか?」と訊くので、「大好き。家でも作るよ」

といったら喜んでくれた。生春巻きが大好きなので、こんど家に来て作って

といったら「ありがとうございます!」といってガッツポーズをしてくれた。

家で死ぬほど生春巻きを食べるのが夢だったから、彼女がほんとに家に

来て作ってくれるのが楽しみです。そして彼女行きつけのベトナム料理屋

へ一緒に行くのも。そして私はまた例によって彼女の寒さ対策を考えるわ

けです。

娘の職場はかなり多国籍で、多国籍なりの難しさもあるみたいだけれど、

世界には日本より恵まれない人がいるということ、文化のまるで違う人が

いるということを知るためにも、そしてそういう「日本人のあたりまえ」が通

用しない人たちとコミュニケーションする方法を身につけるためにも、その

職場は娘にとってはよかったのかも、なんて思っています。

せっかく街まで出たから私はどこかに寄って帰りたかったけど、駅までも

1人で行けない女の子がいたからみんなで電車に乗って帰ってきました。

そして、なんとなく中途半端な気分の休日が終わろうとしていた夜遅く、

とつぜん電話が鳴って、叔父の訃報が舞い込んだ。

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