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2014年10月19日 (日)

秋の神代植物公園

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今年83の父は足腰が弱くなったせいでゆっくりしか歩けず、そう長くも

歩けないのだけれど天気さえよければいつでもどこかに行きたい人で、

それももとから旅好きなのと、いまは大好きだった車にも乗れず一緒に

どこかに行ける友達もみんないなくなってしまったから、しかたのないこ

となのだと思う。家にばかりいたら退屈なのはいくつの人だっておなじ

だから、それでたまにどこかに行こうと声をかけるのだけれど、父は父

でいろいろ難しくてなかなか都合が合わない。日に日に日が短くなって

日照時間も短くなり、寒くなり、また年も押し迫ってくれば父とのんびり

出かけるどころじゃなくなってくるから、今週あたりがいいんだけれどな

と思っていたら今回はタイミングよく父のほうから電話がかかってきた。

だんだん寒くなって出かけられる日も少なくなってきたから明日どうか

というので、いいよ、といった。

父が、たまに1人で行くという神代植物公園。

私が最後に行ったのはいつだろう。

今日は朝こそ肌寒かったけれど出かけるころには陽射しの下は暑い

くらいで、父と出かけるにはちょうどよいお出かけ日和になった。

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この時期の公園はダリアが満開で、ばら園では毎年恒例のばらフェスタ

をやっていてたくさん人が来ている。ここのばらはオールドローズはごく

わずかで春にしか咲かないし、それ以外はいわゆる剣弁高芯・大輪の

ハイブリットティーローズばかりだからぜんぜん私の好みではないのだ

けれど、これだけの広さの庭がばらでいっぱいになるのは見ごたえがあ

るし、なんたって空がひらけていて緑が多いからお散歩するには気持ち

いい。といって、父はすぐに疲れてしまってばら園にたどりつくなり休憩

したのに、ばらのあいだをちょっと歩いたらまた休みたいというので父を

休憩所の椅子に残して、ひとりでざっと回って歩いた。最近、ついに私

の相棒(カメラ)は寿命なのか写りに問題が出てきてあまりよく撮れては

いないのだけれど、しばしばら園のなかの風景を ・・・・・・

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青系の代表格、ブルームーン。

色はともかく、香りが素敵なばら。

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この下のばらがモナ・リザというのはなんとなくわかる。

曖昧でいて、子宮的な母性的なコーラルピンクと淡いイエローの微笑み。

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私がハイブリッドティーのなかでまだ好きだと思えるのは黄色いばらと

真紅のばらくらいかな。

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もうないかと思ったけどまだありました。

四季咲きのオールドローズ、レディ・ヒリンドン。

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その昔、このばら園で、まるで蠟引きのような独特な雰囲気をしたアプリ

コットイエローの蕾とティーの香りに魅了されて、後々、苗を買って数年

育てたけれど、鉢植えで育てるには弱すぎて枯らしてしまったばら。

これはやっぱり地植えでブッシュにならないと見ごたえがない。

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この赤いばらの色、形は好き。

でも名前はなんだか忘れてしまいました。

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そして、ばらと噴水。輝く秋のピースフルな風景。

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お昼を過ぎたばかりのばら園は陽射しをさえぎるものもなくて歩いている

と暑くて汗をかくくらい。今日はほんとにいいお天気で、青空の下、ばら

の香りに包まれた公園の中は平和でしあわせそのものな雰囲気なのだ

けれど、ばらを見る傍ら、ここでも見えてしまったのは様々な人間模様。

来るまでのバスの中でも呼吸器をつけ、大型の車椅子に乗ったひどく

我儘な障害者と、それを優しく介護する身内とおぼしき若い女性の悩め

る姿が目についたけれど、仲のよさそうな明るいご夫婦がばらを見てい

るあいだで車椅子に乗せられた白髪の大きな老婆は完全に病んでいる

というか幼児退行していて、数秒ごとにものすごい顔で「おかあさーん」

といいながら泣きべそをかいている。他人から見るとすごく異様な光景

なのだけれど夫婦はすっかり慣れた様子で、自分の母なのか義母なの

かが「おかあさーん」と泣くたびに奥さんが「ハイハイ」と返事をしてなだ

めている。きっと今日ここまで来るのも大変だったのだろうけど、日々の

生活はもっともっと大変なのだろう。そうかと思えば、美しいばらの間を

老いた老夫婦と娘と3人で歩きながら、妻が夫に「もう、あなたってどう

してそんなに我儘で勝手な人なの。そんなに人のいうことをきかないな

ら、もうあなたと一緒に出かけるのはこれが最後だわ!」と文句をいっ

ている。すると即座に娘も「そうよ! 今日が最後よ、お父さん!」と追

い打ちをかけるようにいう。実際、彼女たちのいうとおりなんだろうけど

父はぐうの音も出ずに黙って歩いている。それを耳の端で聴きながら、

やれやれ。こんなところで昼のさなかに言い合いとは。まるでバロットン

の絵みたいだな、と私は思っている。人間って、家族って、なんて厄介

なんだろう。その点、花はいい。何も(口では)いわないし、雨が降ろう

が風が吹こうが、なんど嵐に見舞われようが、何を恨むわけでもなく、

ただ咲くときがきたら美しく咲くだけだから。

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ばら園の中を一巡したら暑くて喉が渇き、お腹もすいてきたので、父のと

ころに戻ったら、これからここでコンサートを行うのでいったん椅子を全部

どけるというので、ばら園のベンチに移って、水筒に持って行った温かい

ほうじ茶を飲んで紫芋のたい焼きを食べた。

そして父はここまで歩くのもやっとだったのに、ここまで来たからにはせ

っかくだから深大寺をお参りしてから帰る、というので、それから雑木林

の中を抜けて深大寺に向かった。

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父に「神代植物園に行かないか」と誘ったとき、「もう今ごろはいろんな

木の実も落ちてると思うし」と子供みたいなことをいったのだけれど、父

はどこかに行くのが好きなだけで、特にばらを鑑賞するわけでも、のん

びり自然を観察するわけでもなくて、私がしゃがんで木の下を見ている

あいだにどんどん先に行ってしまう。

コナラの実だから写真に撮るまでもなく、ただのどんぐりですけど。

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私は神代植物園に来ると、ひととおり園の中をまわって最後に園芸店を

物色して帰るのだけど、父は植物園の中より深大寺周辺のほうが詳しい

らしい。私は初めて来たけど深大寺周辺はすっかり観光地化されていて

お土産物屋や蕎麦屋などの飲食店が軒を連ねていて、すごい人だかり。

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何はともあれ、まずは深大寺でお参りしてから、ということで誰にいわれる

ともなく、こんな急な階段をせっせと上る父・・・・・・

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人が多かったのは休日だからというだけじゃなく、七五三シーズンだった

のと秋祭りだったかららしく、お囃子が聞こえてくるなか、お参りして出て

くると威勢のいい掛け声とともにちょうど小さな子どもの山車が来るところ

でした。下町江戸っ子の父、大喜び。

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私は知らなかったけど、ここ昔から有名なんですって。

鬼太郎茶屋。

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父が深大寺に来たときにはいつも寄る、というこぎれいなお蕎麦屋さんは

順番待ちの人でいっぱいだったのであきらめてバス停近くの空いた店へ。

父がめずらしく外の席がいいというので、波板屋根の下の席に座って、

天ざると冷やしとろろ蕎麦を頼んだ。もう3時だったけれどそれくらい今日

は暖かかった。

深大寺では6年後の東京オリンピックまで生きられるようにと拝んでいた

父。よく「わしの目の黒いうちは」という言い方があるけれど、だいぶボケ

てきたとはいうものの、父の顔を見ている限りではまだ目も生き生きして

いるし肌の色つやもいいし、まだだいじょうぶなんじゃないの、とか思う。

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お蕎麦を食べてたら今度は大人の山車がやってきて、賑やかな外。

秋の光は現実的なようでいて幻想的でもあり、日陰ではもののかたちが

くっきりと見えてそれが懐かしく、ちょっとさみしくもあって、私はぼんやり

してしまった。こんな秋のいい日にここに来られたのはほんとによかった。

何よりここまでくる間に何度も父が「今日は最高によかった。天気もよくて

暖かかったし、緑のなかを歩いて気持ちよかった。お参りもできたし、お

祭りがあって賑やかなお囃子も聞けたし、御神輿も見られたし」といって

いたこと。そういってもらえたら私にとっても今日は佳い日です。

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帰りは人で混雑する吉祥寺からで心もとなかったので父を家まで送って

母の仏壇にお線香をあげてから帰った。

よく晴れた暖かい秋の吉日。

最後の一枚は深大寺のそばの花。

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コメント

こんばんは
公園の風景いいですね(^^)
ダリアも薔薇も素敵(^O^)/
わたしも公園にいきたくなりました

投稿: ひろ | 2014年10月21日 (火) 22:39

ジャズの件、返信こないかーと思ってたけど、あれだけの丁寧な返信ありがとうです!
確かに!どうろも歩道も広い横浜。
すかーん!としてるから、実際に歩くと歩いてる感?もあるし、ゴミゴミしてなくて開放的なのが○。まー、自分はバイクで行きましたけど(笑)
で、今回の公園のある多摩地区住みでつ。

…そうきちさんがみたように、様々なにんげんもよう。
それぞれにストーリーがあるわけで、今回はそうきちさん親子のストーリーがみているやむちゃ!!側にとってはほほえましくおもいました。

秋の休日、何気に出掛けたとこで偶然やっていたお祭り。。。
なんだか、小説本の冒頭を読んだような気がして、

さて、このあとなにがおきるのか?!

と期待するほどでしたー

もうすぐ東京のまちなかでも紅葉がキレーになつてきますね、レポート、たのしみてす

投稿: やむちゃ!! | 2014年10月23日 (木) 20:57

ひろさん、こんばんは!

お返事遅くなってすみません。
朝晩はだいぶ冷えるようになってきたけど、日中お日さまのある間は暖かくて
まだコートはいらないこの時期は、冬の前のいっときのお散歩日和ですね。
じきに完全武装して出なきゃならない冬が来るから、軽い服装で出かけられる
いまがチャンスです。
公園へGO! してください(^-^)

投稿: soukichi | 2014年10月26日 (日) 23:47

やむちゃ!! さん、こんばんは!

平日はほとんどPCの前にいるんですけど、なかなかブログを見る暇がなくて
お返事遅くてごめんなさい。
私の場合、お返事返すのが遅くても、返事をしないということはないのです。
かなり意地悪なコメントをつけられても丁寧に返事を書くので、友達にはもっと
適当でいいのにー といわれてしまうくらいで。
律義な正確なものですから。

東京都内の紅葉というと、私が好きなのは目黒の庭園美術館と絵画館前の
銀杏並木かな。
庭園美術館は赤。
絵画館前は黄色。
どちらも記憶のなかでヴィヴィッドです。
今年は行けるかなあ・・・・

投稿: soukichi | 2014年10月26日 (日) 23:51

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