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2014年8月16日 (土)

夏の驟雨のあとに、虹。

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土曜日はいつもプールの日と決まっているのだけれど、先週に続いてスイミ

ングクラブが夏季休暇のため今日もなし。でも2週間も泳がずにいるといくら

週1スイマーの私でも身体の調子がおかしくなってくるし、先日から娘があま

りの暑さに市民プールに行きたいといっていたから、夏休み3日めの今日は

市民プールに行くことにする。

家から市民プールまではけっこうあって、いつもは自転車で行くところを家に

は自転車が1台しかないため、歩くのもトレーニングのうち、と二人で歩いて

行こうということになった。折しも今日は曇りで、昨日みたいなかんかん照り

じゃないだけ少しはましかもしれない。

家を出るときなんだかモーレツに蒸し暑くて、いまにも一雨きそうな雲行きだ

ったところを、二人とも傘を持つのが嫌いなもんだから持たずに出たら、3分

の2くらいまで行ったところで雨に降られた。

最初ポツポツと降ってきた雨はあっという間に驟雨になり、見る間に私の薄

いリネンのワンピースを黒く濡らした。どこかに走って隠れようにも、住宅街

で雨宿りできるところはどこにもない。でも周囲にいる人を見ればまったく慌

てることなく驟雨のなかで犬の散歩をしたり、のんびりカートを押して歩いた

りしている。雨に降られても平気でいられるのは夏のいいところ。しかも休日

でこれからプールに行くところとあれば、雨で濡れた服が重い程度で大した

ことない。とはいえ長い髪の娘はシャワーを浴びたみたいになり、私のラフィ

アの帽子からは滴が落ちるほどずぶ濡れになってやっと着いた。

なんと家から40分もかかった。

夏休みで混んでいるかと思ったプールはそれほど混んでなく、ただ以前は

いちばん端の深いところの2レーンだけがコースロープを張られていたのに

いまは3分の2がコースロープで仕切られていてちょっと窮屈に感じた。

市民プールに来るのはもう何年ぶりだろう。

ガラス天井が雨漏りするようになったので改修工事が必要だが、それを元

通りに修復するには莫大な費用がかかる、市にはその予算がない、と聞い

たのはもう何年も前のことで、長いことクローズされていた。

この市民プールの良いところはなんといってもガラス天井で、天気のいい日

にはガラスに青空と白い雲が映り、プールの水も陽射しに透けてきれいだ

った。私はまるで空に浮かんでるみたいにガラス天井に映った自分の姿を

見ながら、自分の身体と腕がまっすぐ伸びているのを確認しながらバックを

泳ぐのが好きだった。市民プールといいつつ、ちょっとしたリゾートみたいな

素敵な作りだったのだ。それがどんなふうに(低予算で)修復されたのかは

気になるところだったけれど、それは透明なガラスから乳白色の不透明な

素材に変わっていた。その変わりようは美しい女が一気に平凡な女になっ

たくらいにつまらなかった。でもしかたがない。プールの運営って想像以上

にコストがかかるのだ。

娘も私もそれほど背が高くないから市民プールの水は深すぎて、いつも胸

の下あたりまでしかないクラブのプールで泳ぎ慣れている私は水が重くて

泳ぎづらかった。私よりも小さな娘は、首元まである水の圧に「疲れる」とい

った。それでも見てると娘の泳ぎは思っていたより悪くなかった。

プールに着いてから1時間くらいたったところで娘が青白い顔で疲れたとい

うのでプールを出てジャグジーに行った。

泳いだあと濡れたジーンズを履くのは気持ち悪かったけど外に出るともう

雨はやんでいて、広がり始めた青空を撮ろうとして後ろを振り返ったときだ。

娘が「虹だ!」といった。

なんと雨上がりの空にはきれいなアーチを描いて虹が出ていた。

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夏の驟雨に打たれてプールに行った帰りに、雨上がりの空に虹を見るとは。

これはブタの貯金箱に500円玉を入れるだけの価値はあるね、といった。

なんてことないけど、しあわせな夏の日。

しあわせな感情って、いつだって儚いのだ。

見ているあいだに虹はどんどん薄くなった。

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川沿いの道を歩き出すと娘が後ろでウェップ、といった。

首元まで水圧がかかっていたせいで水の中にいるときから気持ちが悪かった

のだそうだ。お腹に空気が溜まってゲップがたくさん出るのは水中でうまく息

を吐くことができずに空気を飲み込み続けたせいだろう。なんてヤワなんだ。

あの程度泳いだくらいで気持ち悪くなるとは。君ももう少し鍛えなくちゃだめだ

といいながら歩いた。

少し先に行ったところの橋を渡るとき、娘が、見て! まだ微かに見える!

といった。

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さっきの方角を見ると青空にまだ微かに小さな虹が残っていて、それはまるで

薄く透明なセルロイドでできているみたいで、「あの虹を空から切りとって髪留

めにしたいね」といったら娘が「ロマンチックだね」というから、「私はいつだって

ロマンチックなのよ」といった。

雨で濡れた猫じゃらし。

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晩夏の、さるすべりの紅。

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こんななんてことのない日がいつかは思い出になる。

冴えない天気の夏休み3日めの驟雨と虹。

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