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2014年8月23日 (土)

湯島のみつばちで

14mitsubachi

多かれ少なかれ友達になる人とは何かしら共通点があったり、好みが似ていた

りするものだけど、その程度の軽い話は別として、腹を割ってほんとうのことが

話せる友達がいったいどれだけいるだろう?

残念ながら、そうはいない。

しかも私流の言い方でいうところの、親しい間柄ならではのちょっと乱暴な会話

で難なく通じる相手となったら、本当に少ない。

今日はそんな、私にとって数少ない話の通じる友達と会った。

彼女と会うのはいつ以来だろう?

前回会ったのがいつだったか思いだせないくらいだからずいぶん前だ。

外は相変わらず暑かったし、彼女は最初「湯島まで行くの?」と私に訊いた。

「暑いから面倒?」と訊くと、「ちょっと」と彼女はこたえた。

でも、みつばちだったら行ってみたい気もする、というので行くことにした。

以前、私たちが行っていた『新宿みつばち』はいつの間にかなくなっていて

いざなくなってしまったらそこがどれだけありがたい場所だったかわかった。

何よりあそこは働いている人たちがよかった。

店長はじめ、みんながのんびりアットホームに働いていて、いつ行っても普通

に感じのよい接客をしてくれたし、常に変わらない味を提供していた。おなか

がすいているときも、ちょっと休憩したいときや甘いものがほしいときも、メニュ

ーには何かしらあったし、何を食べてもおいしかった。それがよく利用する西武

新宿駅のまん前にあるというのも便利だった。とにかく、いつ行ってもほっとで

きる場所だったのだ。

そういうのって、意外にありそうでない。

はじめて行く湯島のみつばちは、地下鉄降りてすぐの春日通り沿い、ドンキホ

ーテの隣り、2階にちょっといかがわしい看板がかかってるビルの1階と、私た

ちにとってはあまり麗しくない場所にあったのだけれど、出てきたクリームあん

みつは懐かしいあの味だった。

でもね、細かいことを書くと新宿みつばちは『クリームあんみつ』を頼むと豆か

んにあんことフルーツと求肥とあんずと多めのアイスクリーム、それに黒蜜が

たっぷりかかって出てくるのだけれど、ここのは豆は入ってなくて、器からして

小さめ。そのぶん、ここのほうが値段が安いけれど。

私が頼んだのはふつうのクリームあんみつで、彼女のは白玉入り。

黒蜜はお蕎麦屋でそ蕎麦湯が入っているような容器に入ってテーブルに置い

てあって、好きなだけかけ放題。それがここの売りみたいだった。

食べて驚いたのは、あんずがふんわりやわらかくてとてもおいしかったこと。

これまで、あんみつに入っているあんずをおいしいなんて思ったことなかった

から、それはちょっと驚きだった。

私たちが店に入ったときはちょうど昼ころくらいで、常連らしき男の人と私たち

だけだったのが、30分くらい経つとランチをすませてきたらしい人たちでいっ

ぱいになった。なんだかんだいっても老舗だけあって、ここはここで人気があ

るらしかった。

混んできたから店を出て、近所のタイ料理屋でランチをしようかと思ったらあ

いにく今日は休みだった。あんみつを食べたばかりでまだおなかもすいてな

かったし、散歩がてら歩こうということになった。アメ横から上野へ。土地勘が

ないから来るまでわからなかったけど、この辺りってもう上野がすぐなのだ。

昼間のアメ横はごちゃまぜの色彩であふれ、いったいここがどこだかわから

なくなるくらい人種のるつぼで、いろんな言語が飛びかい、あちこちからいろ

いろな食べものの匂いがしてきた。いったいこの暑さのなか、こういう場所の

露店でものを食べようって人の食欲と体力ってすごいね、見てるだけで無理、

といいながら歩いた。アメ横を抜けると目の前に見えるのは上野公園で、どう

やらこの夏は上野公園に縁があるらしい。

階段を上って緑の下を歩きはじめたら、友達が「きれいだね!」といった。

桜並木の緑と、その間からこぼれる木漏れ日と、舗道に映るその影。

公園のなかは今日も夏の光と蝉の声でいっぱいだった。

そういえば、彼女とは最近めったに会えなくなってしまったのに、毎年たいて

い真夏の暑い時期に一度は会っている。それも私たちが夏好きで暑いのが

苦にならないからなんだろう。

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けっきょく今日も上野公園のカフェでランチをした。

久しぶりに電話がつながって彼女と話したとき、「元気だった?」と訊いたら

いつもならすぐに「元気だよ!」と返ってくるところが今回は「そこそこ」という

からちょっと気になっていたのだけれど、久しぶりに会った友達はあんまり

元気じゃなかった。

見るからにバランスを崩していて目に精気がなく、ひどく危うい感じがした。

ずっと前から彼女が何に悩まされているかは知っていたけれど、それは私

が思う以上に深刻で、エネルギーを消耗することらしかった。それはダイレ

クトに彼女の身体のもともと弱かった部分を悪化させてしまうほどだった。

本来は大地のように温かいエネルギーを持った人なのに、私の人生が最

悪だったときには私を叱咤激励してくれた人だったのに。

あの元気な彼女はどこにいってしまったんだろう。

それにはなんだか私も打ちのめされてしまったけれど、でもだいじょうぶ、

と私はいった。

エネルギーなんて、受けとる気になりさえすればいつだって天から燦々と

降り注いでいるし、私たちはそれを太陽電池のように身内に充電しておく

ことだってできる。それに人も状況も刻々と変わっていていつまでもいまの

ままじゃない。

子どもだっていつのまにか成長してしまうし、半年か1年したら自分を取り

巻く状況や環境なんてすっかり変わってしまっているわよ、と。

そうね、と彼女はいった。

もちろん、その変化が彼女にとって私にとって歓迎すべきものかどうかは

わからないけれど、少なくともこうあってほしいという未来を思い描くことは

大切なんじゃないかと思う。

かつて彼女はこれまで自分が旅した世界のいろんな土地の魅惑的な話を

私にたくさんしてくれて、それはいまではまるで自分自身の記憶のように、

あるいは映画のワンシーンのように頭に思い浮かべることができるのだけ

れど、そのひとつに湯布院があって、彼女はそこがどれだけ素敵なところ

か話した後に、いつかあなたを連れて行ってあげたい、といったから、私は

それをずっと楽しみにしているのだ。

それが成就するか否かはわからないとしても、いまはともあれ彼女が元気

になるのを待つしかないだろう。

私はいつまでだって気長に待つつもりだ。

なんたって彼女は話が通じる数少ない友達なんだから。

最近はいつも黒い服を着ている彼女が、今日めずらしく浅黄色みたいな

色の涼しげなブラウスを着ていると思ったら、帰りの遊歩道でこんな蝶に

であった。

14butterfly

そういえば、このあいだ娘に買ってあげたスヌーピーのTシャツにはこんな

ロゴが入っていたっけ。

BUTTERFLIES LIKE ME!

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