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2014年8月29日 (金)

緑のアナベル

14_anabel

このあいだ広島があまりに大変なことになっているから心配になって友達に

メールしたら、呉に住んでいる彼は「こっちはだいじょうぶ」という言葉のあと

に「また近いうちに東京へ行こうと思ってるんだけど、次々にいろんなことが

起こってなかなか行けない」と書いてあって、それってすごくよくわかる、と

思った。

なぜって自分もまったく同じ状態だったから。

でも、タイミングっていつも何の前触れもなく突然くるみたいだよ。

だからそんなタイミングがきたら頭に少々寝癖がついてようが、パッキング

が完全に終わってなかろうが、家族に丁寧に書き置きを残す暇がなかろう

が、もう家を出るしかないんだ。

そして、そんなタイミングなら、たとえ少々何がどうでもそれはきっと正しい

タイミングなんだと思う。

今日、私にもやっとそれが来た。

来たら何も考えずに身体が動いた。

5ヶ月の間にはお互いいろいろあったと思うんだけど、そんなことにはまっ

たく関係なく、会ったらそのとたんに時間が回りはじめた。まるで、途中で

止めといたテープの続きがはじまったみたいに。

そういうところはきっと似た者同士なんだろう。

彼女はまったく無邪気そのものだった。

そういうところはもしかすると彼女の最大の美点かもしれない。

大変なものを抱えているのに、何も知らない人にはそういうふうには映ら

ない。

けっきょく手紙は書けなかった。

言葉できちんとはっきりさせたい、という気持ちと、言葉にならないものを

大切にしたい、という気持ちがせめぎあってけっきょく後者が勝ったから。

というより、5ヶ月経っていろんなことがどうでもよくなってしまったからだ。

最近の私の『どうでもいい』には悪い意味といい意味があるけれど、これ

はたぶん、いい意味で。

いつものように話しているあいだじゅう彼女はずっと手を動かしていたけ

れど、帰るときになってそれは私に作ってくれたものなのだとわかって驚

いた。それは前に彼女がInstagramにアップした写真で見て、いつか作っ

てもらおうと思っていたものだったから。

緑のアナベルのリース。

14hermann_hesse

ずっと昔に買ったヘルマン・ヘッセのこの本は、2人の友達のあいだをまわ

ってずいぶん痛んでる。

春に、久しぶりに手にとったら本の間に懐かしい友達の書き文字で短い手

紙がはさまってるのを見つけてそのことを思いだした。

そして昨日、手紙のかわりに友達にもらった秋色紫陽花の花びらを一枚は

さんで本棚に戻した。

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