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2014年5月 5日 (月)

5月5日5時18分

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早朝、激しい揺れを感じたとき、私は夢の中にいた。

夢にありがちな、探し物がなかなか見つからない、建物の中にいて、どうやって

も出口が見つからない系の夢で、雨の夜らしい、暗い視界に黒い車が入ってき

たとき、父の声のような男の人の声で「○○さんが亡くなった」と聞こえた瞬間の

ことだったから、まだ私はどっぷり夢の中で、頭が重かった。

いつものろのろしている娘はこんな地震のときばかりは突如、森の小動物みた

いに俊敏になって、慌てて起きあがって部屋を出ていく。窓をあける音がする。

とっさに枕もとの携帯を見ると、5時18分。

このまま大地震に突入したらどうしようと思いつつ、眠さのほうが勝っている。

自分も起きて開け放されたベランダから外を見ると、あちこちでばらが咲きはじ

めていて、それを見たとたん、毎年暮れになるとばら友達が「来年ものんきにば

らを愛でていられる平和な年でありますように」と書いていたことを思い出す。

何かが激しく損なわれたり失われたりしたとき初めて平凡な日常のなかで何気

なくしていたことが実はとてもかけがえのないことだったと思い出す、あの瞬間。

それほど大きな被害ではなかったとはいえ、あたりまえの日常が一瞬にして崩

壊してしまうことはすでにもう体験済みだし、3.11以降、ほんとうの安心・安全

なんてものはなくなってしまったけれど、それでも傷口にかさぶたができて、それ

も剥がれて、だんだん痛みが薄れていたことは確かだ。

ときおり思い出したように激しく揺れるたび、天から、大地から「忘れるな」と怖ろ

しい声でいわれているような気がする。

地震から十数分後に携帯のアラートが鳴って、見たら「東京23区は震度5弱」

とあったので思わず中野区に住む妹と新宿区に住む友人にメールをするけれど

友人に出したメールはすぐにUser Unknownで戻ってきてしまった。

こんな揺れくらいで都内は通信網がパニックになっているのかと一瞬思ったもの

の、どうやら彼女が古い携帯のIDを破棄しただけなんだと気づく。あれほど何度

もあたらしいメールアドレスを知らせるようにいったのに。まったくもう!

それから布団をかぶって寝たのでまたしても今日は寝坊した。

起きるころになって妹から「朝はiphoneで情報を確認しただけでTVもつけずに

また寝てしまいました」とメールの返事がきた。

すっかり慣れきった我々。

朝の青ざめたようなばらを見ながら、ほんとうに大地震でもきたらあの半分ぼ

けたような年寄りの父を抱えて妹も大変だと思ったのも杞憂だったよう。

ともあれ、防災袋の中身をアップデートして、玄関先にフックを付けて移動して

いつでも持ち出せるようにしとかなけりゃな、と思った朝。

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この、こでまりのような、まるっこいつぼみはなんだったけかな。

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