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2014年5月31日 (土)

父と行く小石川後楽園

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今年の四月で83歳になった父は家の中にいてさえ立ったり座ったりが思うよう

にならないのだけれど、そのくせ毎日家にいるのは退屈だといって、天気さえ

よければ出かけたがる。といって、もうその年になると友人のほとんどはこの世

を去ってしまっているから、最近はもっぱら買い物がてら近所に散歩に行くか、

たまにシルバーパスを使って1人で都営電車と都営バスを乗り継ぎ、昔から馴

染みのある町に出かけて行くくらい。それでもこのあいだ友人からいわれたと

おり、自分から出かけて行くだけでもいいのだと思う。それはその年になっても

まだ意欲や好奇心が失われていない、ということだから。

ほんとにあれだけ歩くのが遅くてどこに行くのも難儀なのに、よく浅草なんて遠

いところまで1人で出かけてゆくと思う。

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子供のころからこれまで、父はおよそ趣味のない人だと思っていたけど、最近に

なって初めて父の楽しみが旅行だったということを知った。

そんな父にとってクルマは、ある種ドラらえもんの『どこでもドア』みたいなものだ

ったんだろう。83になったいまでさえ「クルマがあったらどこでも行けるのに」が

父の口癖だ。それでふだんは仕事に明け暮れている妹も、たまに時間をとって

父を旅行に連れて行く。去年の秋は奈良に行った。あの歩けない父を連れての

奈良は、どれだけ大変だったろうと思う。さすがに貧乏暇なしのこの姉にはそん

なことはできないから、たまに気分晴らしに父をどこかに連れ出すくらいだ。

それさえ、その時々の父の気分や体調、天候などによって、こちらが誘えばいつ

でもOK! というわけではないのだけれど。

夏になる前、梅雨になる前の5月は暑くなく寒くなく、一年のうちでも最も過ごし

やすい季節だ。このあいだ久しぶりに父に「いい季節だから深大寺植物園にで

も行こうか」と誘ったら、いつになくさっと乗ってきた。そして父の口から後楽園の

名前が出てきたから「後楽園でもいいし、どちらでも父の行きたいほうでいいよ」

といったら、しばらく考えてから「深大寺は今年もう一度行ってるから後楽園にし

ようか」という。そのとき、後楽園は前に私と同い年の友人と行ったとき、園内が

かなり起伏に富んでて彼女がバテちゃった記憶があるから、だいじょうぶかなと

思ったのだけれど、父が「そのくらいだいじょうぶだ」というから行くことにした。

行く前々日に電話がきて驚いたことには、なんと父は1人で事前に下見に行った

のだそうだ。園の中には入らなかったものの、前に妹と行ったときには駅からひ

どく歩いた記憶があって、電車を降りて最短で行ける道を試してみたのだそう。

まあ、なんて心配性、というか、準備のいい人で。

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そんなわけで出かけた今日だけれど、なんといっても今日は朝から暑かった。

家を出た9時過ぎにはもうすでに陽射しが暑い。

天気がよかったのは何よりで、父の下見通りスムースに後楽園に着き、まずは

新緑の美しさに目を奪われた。けれど問題はそこからだ。

ホームで落ち合ってから約1時間かかって飯田橋に着き、後楽園を入ってちょっ

と行ったベンチでもうひと休み。それはいいけど「さあ、行きますか」と立ち上が

ったところで前に立ちはだかる石段の上り坂を見上げて父、固まってしまった。

坂からはガイドを先頭に、降りてくる人たち。

どうしたの、と聞くと、降りてくる人たちがいるから、という。

だいじょうぶだよ、向こうがよけてくれるから、といってやっと上りだしたものの、

「手すりは付いてないのか」とかいっている。公園にそんなもの付いてないよ、

だからあのとき、だいじょうぶ? って聞いたのに、なんて、のっけから思いやら

れるスタートなのだった。

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こういった和庭園を有する公園といわれているところはたいていかつては貴族の

庭だったわけで、日本国内外の名所といわれるところを模したり見立てたりして

作られているから、自然の野趣あふれる景観をつくるために起伏や勾配が随所

に設けられていて、足もとにも敷石や岩が施されていたりするから、けして歩き

やすいわけではない。こんなところで足でもくじかれたひにはと思ってはらはら

した。健康な人にとってはなんてことないところでも、視力も体力も脚力も落ちた

老人にはかなりひと苦労なわけで、こういうところに連れてくるのも考えないと

ならないな、と思った。とくに5月でこの暑さ。しばらくとうぶんアウトドアは無理

かもしれない。

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父は兎と亀の亀みたいだ。

私が写真を撮ってたら、その脇を通り越して私より少しでも先に行こうとするみた

いにコツコツ歩く。

それにしても父、ますます小さくなったなあ・・・・・

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なんて思ってたら、ほんとに亀がいた!

石のすごくいい場所で気持ちよさそうにくつろぐカモと。

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上りきったところでしばし絶景など眺めつつ・・・・・・

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そして上った坂は今度は降りなきゃならないわけで、父を見ればいまにもバテそ

うな赤い顔をして口でハアハア息をしている。

父と出かけていつも困るのは、女の人と違って人のいうことをきかないこと。

足もとがよろけそうなときでもぜったい人の手を借りようとはしないし、下手に手

を出そうものなら振り払われてしまう。今日も駅に着いた時点で早々に喉が渇い

てしまった私が自販機で父の分まで水を買おうとすれば「お父さんはいらないか

らね!」とぴしゃっといわれる。こちらはこの暑いさなか脱水症にでもなられたら

と思うのだけれど、父には先を読む頭が無い。人間は空腹より何より、水分が

足りなくなった時点ですぐに疲れるものなのに。

そして案の定、口で息をしている父は唇がカサカサに乾いてきた。

ひとたび公園のなかに入ってしまったら自販機などないわけで、しかたなく花菖

蒲田の前のベンチまでがんばって歩かせて、自分の水を渡して休憩。

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父と出かけた後はいつも疲れ果ててしまって日記を書く元気もないから、ブログ

アップもできないままになっているけれど、そういえば去年も今時期に根津美術

館で終わりかけのカキツバタを見たなあ、と思う。

去年も暑い夏がはじまる前に、雨で家を出られなくなる前に父をどこかに連れて

行こうと思ったのでした。

人のすることなんて、そうそう変わらないものですね。

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父が休んでいるあいだ私は付近を歩き回っていたのだけれど、この水田には

カモがいた。

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このカモ、観光客にはすっかり慣れっこらしくて、エサを求めて積極的に人に近

寄っていく。

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今日はとにかく暑かったけど、天気がよかったから外国人観光客もたくさん。

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そして、休憩したあとはもう出てお昼にしようかということになったのだけれど、

この後がまた大変だった。起伏のあるところを避けて歩いていたら同じところを

何度も迷っちゃったりして。園の中は複雑に道が分かれていたりするから、暑い

とき年寄りを連れていると危険かも。この日もボランティアのシルバーガイドの

アナウンスをしていたから、自由度はなくなるけど不安だったらそういうのを利

用したほうがいいかもしれません。

疲れてだんだん不機嫌になってきた父とやっと(それこそやっと)出口にたどり

つ着いたときには心底ほっ。レストラン前の緋毛氈で父を休ませつつ売店で

ソフトクリームなど買って2人で食べた。

そしてそのあとはチケット売り場の人にもらった地図を見ながらさらに神楽坂

まで歩くのがほんとうに大変だったのだけれど、以下省略。

ランチはあんみつで有名な『紀の善』へ。

紀の善、はじめて入ったけど人気店らしくてすごく混んでた。

疲れてたから涼しいところで休めてちょうどよかったけれど、席に着くまで15分

ほど。そのあいだも店の外までできる長い行列。暑かったから店内では5月に

してかき氷を食べる人たちも。

あれだけ歩いたのにお腹空いてないという父と半分ずつしようと鶏釜飯を頼んだ

ら、20分くらいかかるというので先にいただいたクリームあんみつ。

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今年2度めのクリームあんみつ。

これ、芋甚さんのより400円も高くて見た目は立派だけど、芋甚さんのほうがおい

しかったな。でもって、あんみつはやっぱり『みつばち』が1番。

いつか湯島本店に行かねば。

でも鶏釜飯はとってもおいしかったです。

けっこうお釜が大きくて、1人じゃ食べきれないほど。

父がいくらも食べないものだから、私は死ぬほどお腹がいっぱいになりました。

それにしても、なんだかんだいって今日はいっぱい歩きましたー

すっかり日に焼けてしまった。

家に帰って一服したら、知らないあいだに2時間も眠ってしまいました。

新緑に包まれて父と歩いた平和な一日。

疲れたけど行ってよかった。

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