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2014年4月22日 (火)

My Favorite Things

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My Favorite Things

            raindorops on roses and whiskers on kittens,
            bright copper kettles and warm woolen mittens,
            brown paper packages tied up with strings,
            these are a few of my favorite things.........
                              Oscar Hammerstein 2nd


どんなに好きなものも

手に入ると

手に入ったというそのことで

ほんの少しうんざりするな


どんなに好きなものも

手に入らないと

手に入らないというそのことで

ほんの少しきらいになるんだよ


バラの上の雨のしずくに

子猫のひげ

みがきあげた銅のヤカンに

あったかなウールの手袋か


かわいそうなオスカー

脚韻てのは踏んずけると

ずいぶんひどい音がするね

まあ魂も時にはオナラをするさ


コップに水が一杯欲しいんだ

のどがかわいてるから

半杯じゃ少なすぎるし、百杯じゃ溺死する

水は好きだよ


      *      

                                   ジョン・コルトレーンに

きみは生きていて呼吸してたに過ぎないんだ

十五分間に千回もためいきをつき

一生かかってたった一回叫んだ

それでこの世の何が変わったか?

なんてそんな大ゲサな問いはやめるよ

真夜中のなまぬるいビールの一カンと

奇跡的にしけっていないクラッカーの一箱が

ぼくらの失望と希望そのものさ


そして曰く言い難いものは

ただひとつだけ

それがぼくらの死後にあるのか生前に

あるのかさえわからない


魂と運命がこすれあって音をたててら

もうぼくにも擬声語しか残ってないよ

でも活字になるんじゃ

呻くのだって無駄か


ぼくは目をつむって

どんな幻影も浮かばぬ事がむしろ誇りだ

その事の怖ろしさに

いつか泣き喚くとしても

                           8/2/1973

(谷川俊太郎/詩集『夜中に台所でぼくは君に話しかけたかった』より、
 『My Favorite Things』)

***************************************************************

血ってすごいな。

ときどき思う。

今朝、朝食の後のパン屑だらけのテーブルで、ぼけぼけしながら珈琲を飲んで

たら、娘がとつぜん「オニオンスキン・ペーパーって、どこかで買えるかな?」と

聞いてきた。オニオンスキン・ペーパー? なんでまた急に? と、聞き返したら

「いや、どこかで手に入らないかと思って」という。

それで珈琲カップを置いて机の引きだしをガサガサやって、使い古しで薄ぺっ

たくなったオニオンスキン・ペーパーのレターパッドを3冊あげたら喜んでいた。

オニオンスキン・ペーパーは、かつて私の超愛用品だった。

これがないと手紙が書けない、というくらい。

書く、といっても、この紙を使うときはほとんど手書きじゃなくてワードプロセッサ。

当時使っていた愛用のプリンタはいまみたいな色気のないインクジェットじゃなくて

パタパタ活字が印字されるタイプ。それに角が少しまるまったお気に入りのスペシ

ャル・フォントを使って印刷する。凹凸のあるオニオンスキンの紙に印字された文

字はところどころ掠れて、それがまたいい雰囲気で大好きだった。とにかく、手書

き以外はオニオンスキンのペーパーにそのプリンタの活字じゃなくちゃ駄目なの

だった。いったいそれでどれだけ手紙を書いたことだろう。私が夜中から明け方

までかかって書いた長文のラヴレターはもうとうにシュレッドされてしまったかな。

(まあ、そんなものとっておかれても困るけど。)

そんなふうだから、オニオンスキンがなくなるとそれを買うためだけに伊勢丹に

行っていたくらいだ。レターパッドには白一色のと、一冊で6色アソートになって

いるのとあって、同色の封筒と合わせていつもまとめ買いしていた。いつかも

(といっても、もはや大昔)そのためだけに伊勢丹に行ったのに、あるべきところ

にないから、フロアにいた顔見知りの男の子をつかまえて「ねえねえ、私はこれ

を買うためだけにわざわざ伊勢丹まで来たのに、どうして在庫切らしてるの?」

なんていったことがあった。彼は「オニオンスキンはメーカーでも在庫を切らして

まして・・・・・・」なんていってたな。

それからしだいにオニオンスキンはなかなか手に入らないものになっていって、

いつだったか私の愛用のプリンタもついに壊れて、味気ないインクジェット式の

プリンタになってしまってからはもう使う用途もなくなって机のひきだしのなかで

眠っていた、というわけだ。

オニオンスキンにはこんなふうに(この写真でわかるかな?)

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ウォーターマーク(透かしロゴ)が入っていて、そんなところも大好きだったな。

ウォーターマークというとすぐに昔持ってたアート・ガーファンクルのアルバムを

連想するけど、横道にそれるからその話はやめとくとしてオニオンスキン、ほん

とうにいい紙だった。

そして今日、娘の一件から思い出してあらためてネットで調べてみたら、すでに

09年だか10年にメーカーのサンバレーで製造を中止してしまい、日本での在庫

もすでにどこにもないらしい。

つまりもう手に入らないってことだ。

そう娘にいったらひどくがっかりして、「いいものはやめないでほしいね」といった。

ほんとにね。

娘がすごく気に入っていたデッサン用の鉛筆もすでに製造中止となって手に入ら

なくなってしまったらしい。オークションなどに高値で出品されるとすぐに落札され

るということだから、娘同様その鉛筆をこよなく愛する人がいるってことですね。

でも、オニオンスキン・ペーパーが見つからなかったかわりに、オニオンスキンを

使った素敵なノートを見つけた。ふつうに使うノートとしてはちょっと高価なんだけ

ど、でもすごく素敵!

娘に見せたらやっぱり一発ですごく気に入ってしまって、自分用にと、それから私

への母の日のプレゼントにするからオーダーしておいてちょうだい、っていう。

マジですか?!

やったね!

・・・・・・ というわけで、さっそくオーダーして待ってるところ。

それにしても、すごくマイナーなところから自分の好きなものをピンポイントで探し

出してくるようなところ、それって娘にも息子にもあるけど、その好きなものが極端

に自分と似通っているところはやっぱり『血』、としかいいようがない。

ちなみに、私が『My Favorite Things』といって思い出すのはコルトレーンじゃなくて

この谷川俊太郎のハスにかまえたような詩と、まるで風に舞う羽毛のように軽やか

に歌う清水翠の『My Favorite Things』。

『My Favorite Things』っていまやJR東海の『そうだ京都、行こう!』のテーマソング

みたいになってるけど、TVやラジオからふつうに清水翠の声が流れてきて、しばし

頭が京都に行く妄想でいっぱいになって、「そうだ京都、行こう!」って人々が思っ

てくれるようになるのが私の夢なの。

清水翠のMy Favorite Things、めちゃめちゃいいよ!

誰かかなえてくれないかなあ?

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 Shimizu Midori / Remains

My Favorite Thingsは10曲めに入ってます。

いまは亡き名ギタリスト、田附 靖さんの素晴らしいギターとともに。

 

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コメント

私もオニオンスキンペーパー、好きです。
以前探したのですが、本当になかなかありませんね。
一昔前は、エアメールの便せんはオニオンスキンが多かったように
記憶しているのに・・・
私はあの紙に万年筆で字を書くのがけっこう好きです。
今、昔買った4色のオニオンスキンペーパーの便せんを小さく切って
メモ用紙として利用しています。
紙も一見似たようなものでも書き味が違っていたりして奥が深いですね。

投稿: すみごん | 2014年4月22日 (火) 18:33

わ、すみごんさんもやっぱり好きでしたか。
それに、すみごんさんは万年筆が使えるんですね。いいなあ・・・
その昔、太字のいい万年筆を手に入れて、自分専用にオーダーした原稿用紙で書けるようになるのが夢でしたが、いまとなっては浅はかな夢でした(^-^)
まず私はどうやっても万年筆が使えない!
中指の第一関節をインクで汚してしまうの。
私が昔から愛用してるのはたった100円のぺんてるペンです。
あれがないと自分の字が書けない。
だから、ぺんてるペンもときどきまとめ買いする。
プロの作家にもたしかそういう人がいたと思うけれど・・・

オニオンスキンペーパー自体はもう生産もされていないし在庫もないというけれど、でもサンバレーのオニオンスキンペーパーを使ったノートはある、というのはどういうことなんでしょう?
それに今日気づいたけれど、倉敷意匠さんだったかな、で買った超かっこいいミニレターパッドと封筒もオニオンスキンだったし。
日本の紙の技術はすごいし、ライセンスを買って日本で作り続けるってことはできないんでしょうかしらね?
たかが紙、されど紙。
いろいろ考えちゃいました。

投稿: soukichi | 2014年4月23日 (水) 00:01

おはようございます。

そうですか・・・やっぱりもうないんですね、オニオンスキンのレターパッド。
見つけたノートって、もしかしたらドレスコのですか?
あれは確か紙メーカーの「竹尾」のものかと。
一度、竹尾のショールーム「見本帖本店」に行ったことがあります。
紙好きにはたまらないところです。

http://www.takeo.co.jp/finder/mihoncho/

ぺんてるのサインペン、私も愛用していますよ!(^^;)
自由が丘の雑貨屋でショッキングピンクとかターコイズブルーのものをみつけたので
買ってきました。
あの太さと書き味がたまりませんなー

投稿: すみごん | 2014年4月23日 (水) 07:48

すみごんさん、

そうですそうです、ドレスコ!
竹尾さんはあの紙をどうやって調達してるんでしょうねえ?

それにしてもショッキングピンクとターコイズブルーのぺんてるペン、
すみごんさんは何に使うの?
(猫描くとか。)

投稿: soukichi | 2014年4月25日 (金) 23:06

懐かしい!
右の便箋、あたしも愛用していました!
まださがせば家にあると思います。
最初はピンクから入って
水色に移り変わってました。

あたしも中指汚しながらですが
万年筆で書くのが好きでした。
水色の紙に青いインクで。

字を書かなくなって
すっかり字もへたくそになってしまいました。
いけませんねぇ。

オニオンスキンの便箋は
たま~に見かけることがあります。
といっても10年くらい前かな。
フルーツのがらの入ったものを買ったのが
最後のような気がします。

そして何と!
ぺんてるのサインペン、あたしも大好きです。
仕事でも勝手な希望で文房具として
黒、赤、緑をそろえてもらってます。
ひきだしに山と入ってます・・・
あれ、下手な字が目立たなくていいんです。

それと関係ないですけど
竹尾のショールームは会社のすぐ近くなんですよ~
(いやはやほんと関係ないけど)

へへ
ついつい、興奮して書き込んでしまいましたけど
何かおもしろいですよね♪

投稿: あたしべいべ~ | 2014年4月28日 (月) 13:04

あたしベイベーさん、
水色の紙に青いインク!
にゃあー、青春だねえ!

私はペン先付けるタイプのガラスペンで緑のインクで書いてたよ。
当時は変態少女文字だったけど

私もコンピュータのおかげですっかり字を書かなくなって、書き文字もひどければ簡単な漢字さえ正確に書けなくなって、まあ、ひどいもんです。
だから、たまに手書きで書くと失敗ばかりしていて時間はかかるし便箋はもったいないしでつい諦めてワープロを使っちゃうけど、一筆箋(でも、けっきょく何枚も使う)のときは手書きで書いてます。
できるだけ手書きで書こうとは思ってる。

そして、そっかあ。
ぺんてるペンだと下手な字が目立たないのか。
なるほど~

竹尾のショールームには私は行かないほうがよさそうです。
目の毒だから。

投稿: soukichi | 2014年5月 1日 (木) 00:24

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