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2014年2月 2日 (日)

ケーキ三昧

140202

じきに日が暮れる。

今日は父が孫の誕生祝いに来た。

なんたって娘はいま学校とアルバイトに明け暮れる生活で限られた時間しか家に

いないから、それ以外の予定を入れるのがとても難しい状況で、今日も午後3時

までの時間しかなかった。おまけに父は足腰が悪くてあまり歩けないときてるから

雨でも降ろうものなら来られない。そうじゃなくても寒い時期だし、ケーキを大量に

買ってこられても困るから、それを阻止しようと、「寒いから無理しなくていいよ」と

やんわりいってみるのだけれど、そこは親心ならぬおじいちゃんごころとでもいう

べきか、父はやってくる。

今日はそろそろ来る時間だからちょっと見に行ってくる、と家をでたらどんぴしゃで

ちょうど父が階段を上がってくるときだった。相変わらず片手にケーキの大きな箱

を持ち、片手にスーパーのビニール袋、という両手荷物で。それでいったいどうや

って手すりにつかまって上まで上ってくるつもりだったんですか、と思う。

駅前の不二家で買ったいちごのバースデーケーキに、さらになぜかブルーベリー

のショートケーキがふたつ。スーパーで買ったいちご1パックに、出店を出してる

中国料理屋の中国人のおばさんに買わされたと思われる中華総菜が1パック。

相変わらず不思議な父の買い物。

まずは恒例のバースデーケーキ囲んでの記念写真をチェキで撮り、みんなでケー

キを食べる。いつもの他愛のない話。

そうこうするうちに娘はバイトに行く時間が近づいて、父の買ってきたお総菜プラス

アルファで遅いお昼を食べて出かけて行った。父は自分の買ってきたものを目の

前で誰かが食べれば満足なのでご機嫌だった。「孫の顔を見るのがたのしみだか

ら」と父はにこにこしながらいった。

今日の昼ごはんは父が来るので昨日のうちに豆入りキーマカレーを作っておいた

のだけれど、また例によって「食べない」とかいうかと思ったら、今日はめずらしく

素直に食べた。いつも妹と話すのだけれど、老人というのはきわめて気まぐれな

生きものだ。そこには多分にその日の体調が機嫌に反映しているのだと思うけど

年をとって限りなく子どもに近づいているようにも見える。

父が来ると私は何もできない。

父の話がいかにもう何十回となく聞いて耳にタコができそうな退屈きわまりない

話でも、我慢づよく聞いてないとならない。逆に何もかもあきらめて大仏みたいに

ドーンと鷹揚にかまえてにこにこしていられたら、おおかたうまくいくような気もする。

今日はなんとかうまくいった。

今日は晴れて風もなく、昼間のうちはまだ暖かかったし、父は顔色もよくて元気そ

うだった。子どもたちもそこそこ祖父につきあっていた。

夕方、父を駅まで送るころにはもうすっかり寒かったけど、父が途中で昔馴染みの

仕事仲間の店(不動産屋)にふらっと入ってしまったときは、なかなか出てこないの

で家に帰ってしまおうかと思ったけれど、それもあきらめてしばらく外で待っていた。

駅までの道すがら、父がまた「あとは4年後のオリンピックまで生きていられるかだ

な」といったので、「そのころにはあの子たちもどうにかなってるでしょうから、きっと

何かいいことあるかもしれないし、元気で生きていればいいじゃないの」といった。

私の知る、情のある人たちというのはどの人も、じゃあね、と手を振った後にも何度

もふり返ってこちらを見たり、手を振ったりする。

昔の恋人も、Sも、親友たちも、祖母も母も、みんなそうだった。

じゃあ、といったら最後、こちらをチラとも見ずにまるで別人の顔で車を発進させる

ような男とは、しょせん縁がないってことなのかもね、と私は思う。

父は何度もふり返りながら、にこにこと手を振った。

私も手を振りかえした。

機嫌のいいときの老人と子どもは天使だ。

そして血縁との時間が何事もなく終わると私は心底ほっとする。

家に帰って、「もう太ってやる!」とばかりにまたしても1人でケーキを食べた。

昨日、18センチホールの6分割を3人でそれぞれ1ピース食べたのの残り。

昼間は父が買ってきた5号のケーキを4分割して食べたばかりだというのに。

冷蔵庫には父が今日買ってきたケーキがあとふたつ。

こうやっていつも2月は毎年、気づけば胃がやられているというわけなのだ。

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