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2013年12月12日 (木)

ハタハタ100匹?!

13hatahata

今朝キッチンで朝食の支度をしているときに電話が鳴って、ちょうど手が離せな

かったからとらずにいたら、30分後にまた電話が鳴って、弘前にいるボスの弟

さんからだった。てっきり、ついに年内に東京に来る決心でもしたのかと思ったら

そうではなくて、大の釣り好きの彼は、おととい釣りに行ったらハタハタがたくさん

とれたのだけど、ギャルが一匹もいなくて、自分んとこだけでは食べきれないから

あなたのところへも送った。このあいだリンゴを送ったくらいの箱に入れて昨日送

ったから、今日には届くと思うので鮮度のいいうちに食べなさい、というのだ。

相変わらず津軽弁訛りの朝から大きな声で。

このあいだのりんご箱いっぱいのハタハタ?

それをもう送った、って・・・・・・。

「ごめんなさい、わたしハタハタがどんな魚かも知らないし、リンゴ箱いっぱいの

ハタハタっていわれてもぜんぜん想像できないんですけど、それって何匹くらい

になりますか?」と聞くと、「さあーて・・・80匹くらいか、いや100匹は入ったか

もしれね」という。

「ハタハタ100匹。私にはやっぱり想像できません。それで ・・・ ハタハタって、

どうやって食べたらいいいんですか」とさらに聞くと、「まーず、煮魚だな。鍋に

してもいい。お宅は家族は何人? ・・・3人か。じゃあ、1人6匹として、今夜の

夕飯に18匹くらい煮魚にしてみたら? まず魚を水道の水でよく洗って ・・・」

と、弟さんは調理方法を話しはじめた。

彼が喋り続けているあいだも私の頭のなかは『1人6匹のハタハタ』でいっぱい

だった。でも青森の人は一度に17匹くらいは食べるという。私が黙って聞いて

いたら、やっと私が思いっきり引いているのを少しは察してくれたのか、弟さん

は「自分とこで3日続けて食べる分くらいをとったら、あとは近所の人にでも分

けたらいい」といった。

送る前だったら謹んでお断りするとかもっと少なくしてもらうこともできたけど、もう

送ってしまったというものをどうすることもできないから、私は「わかりました。今夜

やってみます。ありがとうございます」といった。弟さんは「ギャルは子持ちでおい

しいけど、オスも白子が入っててうまいから。そういう意味でギャルって行った意

味、わかった? メスがとれたらこんどまた送るよ!」と明るい声でいった。

クラクラしながら、それから私は一日中、「ハタハタ100匹ハタハタ100匹」といっ

て過ごした。でも、なんどそう繰り返したところでそれをリアルに想像することはで

きなかったし、正直なところ100匹の魚をリアルに想像するのも嫌だった。

日常的に魚を食べないからオメガ3&6オイルを摂っている我が家なのだ。

そんな落ち着かない気持ちで一日を過ごしたのに、もう7時になろうとするとき

になってもけっきょく魚は届かなかった。もういいや。今夜は遅くなっちゃったか

ら娘の好きなオムライスでも作ろう。と、コートを着て買い物に出ようとしたとこ

ろで玄関のチャイムが鳴った。ついに来た!!!!!

ハンコを持ってドアをあけると、そこにはほんとうにこのあいだと同じくらいの大

きさの発泡スチロールの箱を持った宅配人が立っていた。ずっしり重そうな箱を

受けとろうとすると、彼は「水が出るから気をつけて、傾けないように水平に持っ

てくださいね」といった。え、水? ・・・・・・ もうその時点でげんなり。

玄関の板の間にはすでに発砲スチロールから出た水の滴が垂れている。

子どもと話してるときからちょっと嫌な予感がしたのだけれど、案の定クール宅

急便ではなく普通便で来たから、きっと中の氷が溶けてしまったんだろう。

おそるおそる箱のガムテープを剥がして蓋をあけて中を見たら、箱の中にも、

大量に魚が入ったビニール袋の中にもジャブジャブ水が入っていた。鮮度がい

いからまだそれほど魚臭くはないけれど、水に浸かった魚が温まってきたらどう

なるかくらいは私にもわかるから、まずは中の水を捨てなくてはならない。

そこからはもう限りなく五感をシャットアウトして何も考えずに無機質にやること

にした。水を捨てたあと玄関の涼しいところに置いて必要なものを買いに飛んで

行き、それから買ってきたLサイズのジップロックにひたすら魚を入れて冷蔵庫

にしまうこと数時間。若いころボスに「早苗は黙ってすましてれば良家の令嬢み

たいに見えるけど、いうことややってることを見てるとマンガだな、といわれて

何いってるんですか、私はいつだってマンガじゃないですか、といったことがあ

るけれど、どうして自分ってこうマンガチックなんだろう。母がいたらきっと大笑

いしただろうな。やれやれ!

途中、どうにもお腹がすいたから、いわれたとおりハタハタの煮魚を作って食

べたけれど、けっきょくぜんぶ詰め終わったのは11時前だった。まいった。

へとへとに疲れたのもそうだけど、最後は映画『ブリキの太鼓』の大嫌いなシ

ーンを思い出してグロッキーになりそうだった。

肝心の、はじめて食べたハタハタの味は、何度もいうように鮮度がよかったから

生臭くなくて淡白でおいしかったけれど、ふつうの煮魚しか食べたことのない私

にはほとんど食べるところない魚だった。こういうことをいうときっと「だから東京

の人は贅沢なんだ」とかいわれそうで嫌だけど、私の母は煮魚といえばカレイ

の煮つけとキンキしか作ったことのない人だったから。私もそれしか食べたこと

がないのだ。これはもう、贅沢とかなんとかいうより、風土・風習の違い、単なる

経験値の違いだと思うのだけれど・・・・・・

私はいたって素直な人間なので、いわれたとおり1人6匹の煮魚を作って出した

ら、子どもは子どもでかなりショッキングだったらしい。つまり、ビジュアル的に。

だって東京でお魚を食べるといったら、きれいな器にのってせいぜい1匹か2匹

食べるくらいだもんね。

青森の人にはハタハタが大好物で大事な魚なのはわかる、高級魚で買うと高い

のも調べてわかったけど、でも私が魚が好きか嫌いかも聞かずに、家族三人で

暮らしてる家にわずか数日で鮮度が落ちてしまう生魚をこれほど一気に大量に

送ってくるとは・・・・・・。私が具合でも悪かったらどうするんですか。ボスの弟は

ぜんぜん東京人ってものがわかってないよ。私はヤワな東京人のなかでも最も

ヤワな東京っ子なんだから! 

夜遅く、私がすっかり疲れた顔で意気消沈してたら、息子が「年寄りの男ってと

きどきこういうことするよね」といった。「おじいちゃんもいつも突然やってきたし」

「うん、ボスもそうだったしね」と私がいい、けっきょく、そういうことする男の人っ

て自分の思いひとつで行動して相手のことはいっさい何も考えないのね、という

結論になった。

袋に入りきらなかった、食べるところのさらに少ない小さな魚を20匹くらい一気

にグリルで焼いたせいで、家の中には魚の匂いが充満していて、ストレスでずっ

とやめていた夜の珈琲も飲んでしまったしチョコレートも食べてしまった。

生れてこのかた、こんなに大量の魚を見たのも触ったのも初めてで、とうぶん魚

を食べるどころか、鮮魚売り場に近寄ることもできなさそうな私です。

下の写真は本日の夕飯のハタハタ、オス18匹。

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コメント

うちは、夏の終わりごろからこの時期まで、両親がさびきに出かけます。
私も昔はついて行ってたけど、もう今は遠慮しています。
連れるのは、いわし、あじなどですが、母はさばいたり掃除するのが大変と
ぶーぶーいうのにそれでも出かけます。

で、この時期は父は釣りしたさにお酒の量が少し減るので、
やりたいだけやればいいやと思っています(笑)

我が家もあまり魚を食べないので、うちに届けられることは
なくなりました。
ご近所さんや最近では、父の仲の良い不動産屋さんのお隣の
居酒屋で、イワシ定食がメニューに増やされています(笑)

投稿: ノブタ | 2013年12月16日 (月) 07:54

ノブタさん、
わたし今回のことはほんとにまいりました。
わたしは釣りが趣味の人とはつきあえない! と心底思いましたです(u_u。)

ノブタさんのお母さんがブーブーいいながらもついて行くのは、きっと仲がいいからなんでしょうね。
わたしが子どもだったころ、夏は父のクルマで家族みんなで海水浴に行くのが常でしたけど、母は夏の海なんてほんとうは大嫌いだったみたいで、ただ上げ膳据え膳で海の幸が食べられることだけを期待して一緒に行ってたみたいです。
どこの家もいろいろですね。

それにしても、お父さんが釣ってきた魚で近所の居酒屋メニューが増えるとは。
すごい!coldsweats01

投稿: soukichi | 2013年12月19日 (木) 23:29

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