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2013年9月22日 (日)

お彼岸

13ohagi

子どものころ、おばあちゃんが作るおはぎも母が作るおはぎもつぶあんでまん

まるで、でっかかった。

ある日、和菓子屋のショーウィンドーでおはぎを見た私は「和菓子屋で売って

るおはぎはお母さんが作るのとはぜんぜん違ってた。和菓子屋のはこしあん

で小さくてすごく上品だったよ。お母さんの作るのはおはぎっていうより、ぼた

もちだね」といったことがあった。

以来、何を思ったのか母が作るおはぎは和菓子屋のショーウィンドーで見た

のとほぼ同等のものになった。母はもち米を半殺しにするにはコツがいるの

よ、だとか、あんこをこすのが大変、だとかいいながら、毎年お彼岸の時期に

は、いったいそんなに作って誰が食べるの? というくらいたくさん作って、近

所の知り合いのところに持って行っていた。近所のおばさん連中は母の作っ

たおはぎが買ったみたいにおいしいといって、毎年たのしみに待つようになっ

た。それだけたくさん作るから、私も妹も嫌というほど食べさせられる。

母のおはぎ作りは私が結婚して子どもができた後もずっと続いていたから、

うちの息子もおばあちゃんの作ったおはぎの味をおぼえているようだ。

母が作るおはぎは、母が年をとるにつれて、そして自分自身が年をとるにつ

れて、だんだん貴重なものになっていった。

母亡きいま、私はおはぎは作らない。

春のお彼岸のときに父と妹とお墓参りに行った帰りにおはぎを買おうと和菓

子屋を覗いたら、すでに完売していて食べそこねたから、今日、近所の老舗

の和菓子屋に買いに行った。あとちょっと遅かったらまた買えないところだっ

たけど、ぎりぎりセーフで買えたのは、こしあんときなことゴマのおはぎがふた

つづつ。

子どものころからきなこ好きの私は、きなこのおはぎをひとくち口に入れるや

おいしくて、文句なしにしあわせな気持ちになった。

日本人に生まれて何がよかったって、こんなふうに四季折々においしいもの

があることだと思う。

三連休最後の明日はお墓参り。



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