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2013年8月14日 (水)

おじいちゃんの夏の帽子

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毎晩NHKのニュース845を見ているとほぼ毎日のように熱中症で亡くなった人の

数を報じているので、ときどき心配になって父に電話をする。

父は声が掠れていたり、ちょっと気になるようなことはあるけれどたいてい元気で、

自分なりに考えてやっているからだいじょうぶ、というようなことをいう。

先日、無印良品からきたメールマガジンに『優しい昔菓子』というのが載っていて、

レトロでかわいかったし東京下町育ちの父が好きそうだったから先日出かけたつ

いでに買ってきた。安い駄菓子だからたくさん買ったところでたかが知れてるのに

「たいしたものじゃないけど近々それを持って行くね」と電話でいったら、スーパー

貧乏症のおじいちゃんに「あんまりお金を遣わなくていいから」なんていわれちゃ

った。ほんとはおじいちゃんにこの帽子を買ってあげようと思ってたのにさあ、と

いいながら息子にPCのブラウザの帽子の写真を見せると、息子「いいね!

それ、ぼくが買ってあげるよ」という。え、ホント? と思わず聞き返す私。

セールになった価格をいうと「安いね」というので、息子の気が変わらないうちに

即行でカート・インした。

父も私もうちの子どもたち二人も子どもなみに頭が小さいのでなかなかちょうどよ

い帽子がないのだ。とくに紳士物はたいてい大きいのしかないから、ちょうどいい

タイミングにSサイズでいいのをみつけたら買うしかない。

私の記憶のなかで父の父、つまり私の祖父はいつも帽子をかぶっている人だった。

秋冬はウールの中折れソフト帽に、春夏は綿や麻素材の中折れソフト帽。

とくべつお洒落な人ではなかったけれど、いつもきちっとした人だった。それに昭和

初期というのはそういう時代だったんだと思う。子どものころは、おじいちゃんは禿

げてて髪の毛がないからいつも帽子をかぶっているんだろう、くらいに思っていた。

父は若いころは帽子などかぶってなかったけれど、私の記憶のなかの祖父くらい

の年のころからいつのまにか帽子をかぶるようになった。祖父同様、父もやっぱり

禿げで髪が少ないからかもしれない。かのアンドルー・ワイル博士の本の中には

晴れた日に博士がうっかり帽子をかぶり忘れて診察室から車まで歩いた場合、

禿げ頭に直接放射された紫外線がどのように頭皮の表皮を通過してDNAが損傷

しうるかそのシステムと、その直後から立ち上がる治癒機構がどのような働きを

するかが実に詳しくわかりやすく書いてあるから、結果的にいうとやっぱり真夏に

帽子をかぶるのはしごく妥当なんだと思う。とくに髪の毛が少ない人はカラスに蹴

られて怪我をするのを防ぐためにも帽子をかぶるべし!

(というのは冗談です、ごめんなさい。)

そして、お盆休み最終日の今日、その帽子が届いた。

川淵帽子店でみつけたお洒落なラフィアハット。

ちゃんときれいにプレゼント・ラッピングしてある。

息子からおじいちゃんへの記念すべき最初のプレゼントは、息子いわく『フーテンの

寅さんの帽子』だそうだ。

私は違うと思うんですけど。

その帽子と駄菓子を入れた紙袋を持って、もう暗くなりかけたころ家を出て実家に

行った。スーパー貧乏症の父は「なんだか悪いなあ」といいつつも嬉しそうだった。

こんな暑いなか生きてるんだもの、年寄りにだってたまにはいいことがなくちゃ。

この父は父で好みがないようでいて意外と好き嫌いがあるので、「おじいちゃん、か

ぶるかなあ」って心配してたよ、というと、「帽子はかぶる。好きだから。こういう帽子

はいいね、涼しげで」といった。それから「こんな帽子をかぶって歩いてたら近所の

バーサン連中にからかわれそうだよ」といって笑った。

帽子はSサイズでもやっぱりちょっと大きそうだったけど、ナチュラルな色のラフィア

は父に似合って、父の顔色を明るくした。

それにしても、お腹が空かないから一日二食しか食べないという父の夕餉のなんと

侘しかったこと。見るからにおいしそうなものが何もなくて、嫌になっちゃった。

お盆だからというわけでもなく、いつものように行きと帰りに母の仏壇にお線香をあ

げて拝み、それから帰りに氏神さまの前を通り過ぎそうになってから戻ってきてお

賽銭をちゃんと洗ってから二礼二拍手してお賽銭を投げて参拝してから帰った。

いささかもう夏も終盤だけど、このぶんだと今年も10月ごろまでは暑そうだから、

あの帽子もあと2ヶ月はかぶれるだろう。

願わくは来年の夏もかぶれますように。



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