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2013年3月27日 (水)

目黒川の夜桜

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今年はあまりに早く桜が開花してしまったから、今年はもうゆっくりお花見をしている

暇もないかなと半ばあきらめていたのだけれど、昨日の朝めったにないこと長らく会

ってない友人から「急だけど今夜、目黒川の夜桜を見に行きませんか」とメールがき

たので急きょ出かけることにした。

折しも前夜の予報によれば夜からさらに気温が下がって真冬の寒さ、ということだか

ら(それに実際とても寒かったから)、中目黒なんてお洒落なところに行くのにもう今

年は着ないと思ってたダウンをしかたなく着て待ち合わせの駅に行くと、友人も友人

の娘もやっぱりダウンを着ていて、「おんなじよ」と笑われた。

目黒川の桜といえばもう何年も前のこと、年下の元気な女の子に誘われて丸一日都

内某所を花見して歩いたとき最後に来たところだ。あのときも川に沿って目黒から中

目黒にかけて歩いた。やっぱりとても寒い薄曇りの日で、灰色の空の下ではソメイヨ

シノも白っぽくくすんで冴えなかった。緑の多い郊外に住んでいて、桜がきれいに咲い

ているところなんて近所にいくらでもある私からしたら、都心の川なんてきれいとはい

えないのに、どうしてみんな目黒川の桜さくらっていうのかなあ、と思ったものだ。

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この日も目黒川は浴用剤でも入れたみたいな変な色をしていたけれど、でもそんなこ

とより何より久しぶりの友人とこんなイレギュラーな時間に外にいることのほうが楽しく

て、元気にお喋りしながら歩いた。

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それに歩きだしたら不思議とそんなに寒くなかった。

橋が見えてくるたびに駅でもらったお花見マップで橋の名前を確認するT。

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面白かったのは桜の見えかたの豹変ぶりで、まだ日のあるうちは冴えなかったソメイ

ヨシノが、逢魔が時を過ぎてまわりの景色が見えなくなりはじめたころからだんだん薄

灰色から淡紅色を帯びてきて、一気に妖艶になっていったこと。

時間帯によってこんなにも見え方が違うのかと思った。

これだから、桜はこわい、という人がいてもしかたがない。

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でも、夜になってしまえば味気ないコンクリートのビル群も川の色も見えなくなってしま

うから、晴れてない限り都心の桜は夜桜に限るね、なんて話した。

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しだいに提灯の灯りが鮮やかになっていくなか、中目黒に近づくにつれてしだいに人

も露店も(酔客の発する嬌声も)だんだん多くなってきた。寒いなかビールやらスパー

クリングワインやらを片手にそぞろ歩く人たち。地面に座って飲み食いする人たち。

いったい、いつもは真面目くさった顔で年じゅう忙しげにしている日本人が、桜が咲い

たからっていきなり浮かれて自堕落にしているのは外国人から見たらどう見えるのか

な、なんてことを話しながら、私たちも人をよけながら歩いた。中目黒に着くともう夏祭

りの神社の境内並みの混雑で、どこの店も混んでていっぱいだし暗くてなんだかわか

らないしで、とりあえず目に入ったサルヴァトーレ・クォモに、お腹をすかした小さな肉

食獣みたいな子供と一緒に飛び込んだ。

そして帰りも同じように来た道を目黒川に沿って歩いたつもりが、どこでどう間違えた

んだろう。行きにはなかった橋が見えてきた。

そのひときわ明るく照らされた赤い円橋の上から見た桜。

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こうなるともう何がなんだかわかりません。

幻夢なのか悪夢なのか ・・・・・・ いつか夢にでてきそうな桜。

途中、道に迷ったお陰でけっきょく往復4時間くらいは歩いたんじゃないかと思う。

帰りはさすがにだいぶ冷えて風も強くなってきて、最後の目黒雅叙園の脇の急坂で

はちょっと堪えたけれど、久しぶりにいい運動になりました。

昨日は思いがけなく花見ができたこともそうだけど、それ以上に久しぶりに友人と話

せたのがよかった。オープンな性格だからどこにいても知り合いくらいはできるけど、

本当に話ができる友人ってそうそうできるものじゃない。まして、自分のまま、ありの

ままでいられて、それほど言葉に気を遣わなくても通じる相手となると滅多にいない

から、本当にそんな相手は大事だと思うのです。

いまやしじゅう揺れる大地の上で明日をも知れぬ私たち。

だけれど、そう思えばなおさら、伝えるべきことは伝えるべきときに伝えねば、と思う。

そういえば、いつも友人に会ったあと友人が何を着ていたか全然思いだせないと思っ

ていたら、子供のころから母に「人と話すときは目を見て話しなさい」といわれ続けた

せいで、いまでも人と会うと目ばかり見て話しているせいで他のことがまったく思い出

せないんだと気づいた昨日。帰りのホームでMが「今日はいっぱい歩いたからきっと

よく眠れるね」といったにもかかわらず、ふとんに入って目をつぶってもずっと彼女の

アーモンドみたいな目が浮かんで彼女がたえず話しかけるから、その声が気になって

明け方までぜんぜん眠れなかった。

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