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2013年2月 3日 (日)

はじめて文旦をたべた。

13buntan

娘の誕生日はなんだか一日忙しかった。仕事の合間にお花屋さんに花束を受けとり

に行ったりケーキ屋さんにバースデー・ケーキを取りに行ったりして夕方、チーズフォ

ンデュに使うバゲットがほしくてわざわざ遠くのパン屋さんまで行ったのに、トレイを持

って入るなり、一歩先に店に入った女性にタッチの差で最後のバケットを買われてし

まい、しかたなく反対方向のパン屋までゆけば、あった! と思ったバゲットは6本ぜ

んぶお取り置きで、けっきょくフォンデュに使うパンがカンパーニュになってしまった、

という2月1日。まあ、たまにはこんなついてない日もあるよね、と自分を慰めつつ家

に帰れば、行きに階段で配達人と擦れ違ったとき(でっかいミカン箱!)と思ったミカ

ン箱がデーン! と床に置かれていて。見ればミカンではなく高知特産の土佐文旦と

ある。高知なんていったい誰が、と思ったら息子が「Oさんだよー」と会社の経理の人

の名をいった。それでもう6時近かったけど会社に電話をすれば経理のOさんはまだ

いらして、ご家族に不幸があって旦那さんの実家に行って昨日帰って来たばかりだと

いうのに、そんなさなかに今年は私の誕生日に間に合わないかもと思って前もって自

分の好物の文旦を送る手配をしてくれていたのだという。まあ、そんなときに、と思っ

たら、申し訳ないやらありがたいやらで、お礼をいって電話を切った。

その日はまだまだ続きがあって、キッチンで大量の野菜を50度洗いしてフォンデュの

準備と同時にミネストローネを作っていたら、なんだか妙に疲れてきちゃって、さあフォ

ンデュを作りましょうと思ったら肝心のものがないのだ。それでその日が誕生日の娘に

「ほんとにごめんっ! 買ってきて」と頼んだ有り様で、それもこれもインフルエンザ以

来いつまでも体調が完全に戻らないせいなのだと思うけど、とにかく疲れやすくてまい

る。そしてラストはフォンデュ鍋を置いていたテーブルの真ん中を焦がし、あーあ、これ

でついに(家具職人の)kiki さんに直してもらわないとならなくなったなぁーなどとつぶ

やいたのでした。もう二十数年使ってる木のテーブルはキズだらけの満身創痍で、そ

れはまるで自分を見るがごとし、で。もうこの思い出が詰まりすぎたテーブルもいっそ

古道具屋にでも売っぱらって、今度はいままでとは趣きを異にする四角いテーブルで

も買おうかな、とも思うのだけれど、「そのテーブルを使い続けたほうがいいですよ」と

いってくれたkiki さんのやさしい声が思いだされて。やっぱりkiki さんに連絡してみよう

と思うのでした。

そして無事なんとか娘の誕生日も終わり、深夜にお風呂のお湯にとっぷり浸かって思

ったことは、人の日常なんていつだって悲喜こもごもなのだけれど、でも、その悲のと

きも喜のときも人はいつでも変わらずに宇宙に愛されていて、そのcosmic loveを信じ

てそこに信頼を置けるなら、転んで少々膝を擦りむくようなことがあっても大したことな

いって笑っていられるかな、ってなことなのでした。

私、てっきり文旦って、子どものころに好きだったボンタン飴の箱に描いてあるような

オレンジ色の果物かと思ったけれど、箱を開けたらそこに入っていたのは見たことも

ないような大きな大きな黄色い果実。中に入っていたリーフレットに『太陽の味』とある

ように、眩しいばかりの黄色の果実でした。そしてそれはミカンとも違う、グレープフル

ーツとも違う、爽やかな香りがしました。いったいこれだけの大きさの果物を実らせる

文旦の木って、どんなものなのでしょう。つくづく植物の力って凄い。

はじめて食べた文旦は、大きくて皮が厚くて剥くのに一苦労だったけど、酸味と甘み

がほどよく、さっぱりと上品な味でした。ザクザクした歯触りはハッサクに近いけど、

ハッサクより香り高くてさらに後口さっぱり。しみじみおいしかったです。

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そして娘の誕生日に今年はめずらしく父が来なかったなと思っていたら、今日になっ

てやってきた。妹から頼まれたお裾分けの稲庭うどんやらハムやらお煎餅だの持っ

て。それでさっそく「はじめて文旦っていうのをもらったんだけど、食べてみる?」と見

せれば、ちょっと顔をしかめて「文旦なんて酸っぱいんでしょう。いらない」という。

やっぱり男の人って酸っぱいの苦手なのかしらね。おいしいのに。

この冬は寒さが厳しいし、インフルエンザが猛威を奮っているから心配してたけど、

この日ネクタイなどしていつになくきちんとしてきた父は元気そうな顔で「風邪もひか

ない」というから安心した。でも、それも束の間、聞けば家を出るとき妹が「なんだか

熱っぽい」といっていたというから、それはヤバイぞと思ったのだった。インフルエン

ザのあの辛さを80過ぎの父にはさせたくないから、なんとか違うことを祈る。

今日の父は機嫌もよく明るかったからみんなで和やかに父が買ってきたハーゲンダ

ッツのアイスクリームを食べ、明るいうちに帰るという父を送りにお土産の文旦が入

った紙袋を持って駅まで送った。

輝くばかりの黄色い太陽は箱の中にまだたくさんあるから、しばらく風邪予防に大事

にいただこうと思う。

13buntan_02

今日は節分で、父を送った帰りにお腹が空いてたものだからうっかり恵方巻きなど買

って食べた。日が変わる直前には暮れに父が持ってきてくれた『一陽来福』のお札を

貼る。今年の恵方は東南東。

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