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2012年8月18日 (土)

ぴんくとぱあず☆

12pink_topaz

作品の中だったか対談の中だったかもう忘れてしまったけれど、山田詠美が自分の

育った家庭では両親がいつも仲がよくて、オープンに愛し合っているのを小さなころ

からふつうに見てきたから、それが自然にあたりまえのことだと思っていたし、自分も

そうなるのだと思っていた、と話しているのを聞いて、山田詠美は愛ある素敵な家庭

で育ったんだなあ、と思った。だから山田詠美にはああいう小説が書けるのだと。

そんなゆるぎない家庭のなかで育ってきたら、何がどんなことになったって少なくとも

愛だけは信じられる、のではないだろうか。

先日、友達に会ったら彼女が『自分の目指す最終到達点』といって話してくれたことが

山田詠美のいってることに近くて、彼女もまたそんな愛ある両親のもとで育ったしあわ

せな人だったのか、と思ったのだった。

ときどき、くしゃくしゃになったバラを愛しく眺めながら、いったいくしゃくしゃになったバ

ラを最後まで愛せる男がいるだろうかと思ったりするけど、彼女の父はそういう男だっ

たということだ。もっとも彼女の母は若くして亡くなったからくしゃくしゃのバラではない

けれど。美しい母だった。

そんなことを思うのと同時に、女子高生のころから、ベビーフェイスでいつも年齢より

年下に見られる私のことを「お花畑が似合う」とかって揶揄し続けた一見クールで大

人っぽい彼女の、意外とロマンチックな部分を垣間見たような気もした。彼女のいま

のしあわせの秘密は、神さまみたいに優しいパートナーのせいばかりではなくて、そ

んなところにもあるのかもしれない。


ぴんくとぱあず、という甘露のしずくみたいな響きの名前に惹かれて買った二つの石。

そのうちよりピンクがかったほうを貝のケースに入れてラフィアの紐をかけ、新月の夜

に書いた手紙と一緒に封筒に入れた。なんでもない日の贈りもの。

そういえばRさんは誕生日とかクリスマスとか決まった日にする贈りものより、たまた

ま偶然、その人のことを思い出させるものに出会ってしまったとき、なんでもない日に

する贈りものが好きだといっていた。Sちゃんもよく、自分の好きな雑貨屋に行ってき

たときなんかに「お土産!」といって小さな封筒に入ったメモパッドとかマスキングテー

プなんかをくれて、そんな気軽で小さなプレゼントがかわいくて嬉しかったりしたな。

『トパーズ』という名前は、『探し求める』を意味するギリシャ語の『topazos』が由来だ

そうだ。そして鉱石の場合たいていピンクが入ってくるとそれは恋とか愛を意味する。

探し求めなきゃならないのは私のほうで、彼女はすでにほしいものを持っているけれど

昔々に行った彼女の部屋の窓辺にどこかで拾ってきた石が並べられていたのを思い

出して、これを送ろう。彼女が無事に最終到達点にたどり着けるように。

新月の気をこめて。

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