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2012年7月24日 (火)

そして十数年が過ぎ

12july

もう7月も後半だというのに梅雨みたいな冴えない白っぽい空がつづく。

こういう天気だと暑くたってスイカもかき氷も浴衣も風鈴も海水浴も夏祭りもいまいち

ピンとこない。早くスコンと晴れた夏空になってほしい。スカっと晴れた青空に入道雲

もくもく。これぞ夏の王道。

今日は用があって久しぶりに日のあるうちにコトリ花店に行った。

ここの店主はいつも人の顔を見た途端に気をぬくのだけれど(で、それが私にとって

もリラックスできてよいのだけれど)、今日は「ああ、なんだかちょうどいいときに来た」

といったかと思うと見せてくれたのが12Water stories magazine

表紙がかわいいから貸してもらったのだけど、ここに載ってる山口めぐみさんの文章

がいいから読めというのだ。さっそく読んでみるとたしかにとてもよかった。彼女が離

婚して単身、大阪から右も左もわからないまま東京にやって来て、無国籍料理屋で働

きながら絵を描き始めるまでのことが、女の子なら誰でもこころのどこかにひとつは隠

し持っているんじゃないかと思うような少女時代のほろ苦い思い出とともに端的に、で

も感情の奥行き深くリアルに描かれている。ほんのり甘くてピリリと辛いその文章は、

先日会った彼女の凛として強い印象ともつながるものだった。

文章の終わりには2001年、と書いてあった。

12july_01

2001年というと母が亡くなった翌年だ。

2000年は私にとっても節目の年だった。

2月に母が亡くなり、私は絵描きさんに恋をしていて、限りなく片思いだったけどあの

とき自分にコミットメントしたことはいまでも鮮やかに覚えている。そしてそれは12年

経ったいまでも何も果たされていない。それで私は思わず「ミレニアムイヤーって騒

いだ2000年もついこのあいだのように思えるのに、もう12年も経っちゃったのね」

とつぶやいてしまった。そして翌2001年は何度めかの転職に失敗して苦しい日々を

送っているころに9.11が起こって、年の終わりにはTちゃんに誘われるままアフリカ

に行った年だ。あのアフリカでの一週間は離婚してからずっと続いていたジェットコー

スターみたいな人生に束の間ポンともたらされた休暇のような、文字通り神さまから

のギフトのような1週間だった。少なくともその1週間はお金のことからも現世的な雑

事からも情報からも解放されて何の心配もなく、一日じゅう子どもや友達と一緒にい

られたのだから。

そして立場や環境こそ違っても同じ時期リンクするように私と同様、身を立てることに

精一杯で暮らしていためぐみさんはそのころまだ東京に来て4年めだったのだった。

それから12年経ったいまのめぐみさんのことを思えば、この12年が彼女にとってど

れだけハードで濃密で実り多い時間だったかということがわかる。彼女は私の子ども

が11歳の少年から23歳の青年に成長したように、まったくのゼロから始めてアーティ

ストの道を歩んできたのだから。その変容たるや、凄いことだと思う。

12july_02

もちろん、この12年のあいだには得たものばかりじゃなく失ったものも多いだろうけ

どそれは私にしたって同じことだし、どんな風に生きたところで得るだけの人生なんて

ありえない。また何も得ず何も失わない人生なんて生きてる意味がない。

ただ、わずかだけれど安寧にしあわせに暮らした日々の記憶や、ただただ慌ただしく

時間に追われるようにして生きて、大事にしたくても大事にできないまま置き去りにし

てきた宝物のようなもののことをふいに思いだすとときどき苦しい。断捨離、断捨離と

いうけれど、かたちある物体を捨てるのは簡 単だ。それにくらべてこころの奥にしまわ

れたかたちなくゆらゆら揺らめくものを捨てるのは難しい。私は早く、なんの傷みもな

く過去を思いだせるようになりたい。きれいなものはきれいなままに、苦しかったことは

ただ苦しかったこととして。浜辺で砂の中からビーチグラスを見つけるみたいに。

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しばらくいたら、27日からコトリ花店で個展をやるmicaさんがやってきた。

何も抱えてない人なんてたぶんいないし、彼女もきっといろいろあるのかもしれないけ

れど、一見するといつもしあわせそうな人。何より一緒に暮らすパートナーが、自分の

創作に理解があって協力的って、何よりのことではないだろうか。

12july_04_2

2000年に買った私のオンボロ自転車はライトが壊れていて、暗くなってから交番の

前を通ると電気をつけるようにしつこく注意されるから、夜になる前に帰ろうと思って

いたのにけっきょく今日もとっぷり日が暮れてしまった。

まだ夏本番ともいえないうちに、早くも日が短くなってきたようだ。

12july_05

夜になってヤモリが会いに来た。

ヤモリ。

あの古い一軒家のお風呂場の窓ガラスにもよくひっついていたっけ。

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