竹内直4@MotionBlue横浜
朝はどんよりしていたのに、晴れてきたと思ったら急に蒸し暑い。
青い空には白い雲がぷかぷか浮かび、いきなりの夏日。
午後遅く、渋谷で友達と待ち合わせて横浜に向かった。
正直なところ、週頭の月曜日の夜に横浜までライブを聴きに行くなんて無理と思って
いたのだのだけれど、ちょっと前に直さんから直々に案内メールがきて『当日LIVEレ
コーディング決定』と聞いてしまったら、それが大勢に送られた同報メールだと知って
はいても、行かないわけにはいかなくなる。息子は息子で、「行ったほうがいいんじゃ
ないの」と。
息子ともよく話すのだけれど、この世でもっとも儚い芸術って、音楽じゃないかと思う。
ライブ演奏における音楽。
いま聴いている音楽がどんなに素晴らしくたって、たいていの場合はそれとまったく同
じものをもう一度聴くことはない。もちろん、それは1回こっきりの芝居、オペラ、舞踏
バレエなどのLIVE芸術全てにいえることではあるけれど、そのなかで私がいちばん好
きなものでいえば。
そして、ライブ演奏は録音で残せるじゃないかという人がいるかもしれないけれど、た
とえ今の最高の録音技術でもって、それこそあますところなく当日最高の演奏内容を
録音できたとして、それって本当にライブで聴いた(感じた)ものと同じものだろうか?
そういう意味も含めて、本当にいいライブ・アルバムってものすごく少ない。そしてその
奇跡的に残ったものすごくいいライブ・アルバムのなかにあるのは、録音の良し悪しな
んていうものを遥かに超えた、とってもマジカルというかミラクルというか、そんな空気
感なのだ。そういう演奏ができること、そしてそういう場に立ち会えること、そしてそれ
が録音として残ることって、ほんとに奇跡的なことなんじゃないかなあ。
そして直さんについていえば本当にいつ行っても全力投球で演奏する人で、よくなか
ったということのほうが稀だから(先月のサムタイムにおける演奏もよかった。私はあ
の音源がほしい!)、いつもどおり120%の演奏ができれば問題なくかなりいいライブ
アルバムができあがるんじゃないかと思っていた。あとは魔法のキーがカチっと合って
ミラクルが起きるか起きないかだけの違いで。
でもやっぱり人間というのは繊細な生きものだから毎日違うし、天候も毎日違えば空
気の密度も違って音の鳴り方も違うし、演奏する場がいつもの慣れたホームベース
じゃなかったりLIVEレコーディングからくる緊張もあったり、その日のメンバーの気分
体調や聴衆との関係性もあったりして、昨日はいつもと全く同じ、とはいかなかったよ
うだ。やっぱりいつもよりだいぶ緊張があった感じがする。最初、今日はやけにピアノ
が重たいな、と思ってから、いつもライブに行くとかならず、急に自分の耳がよくなった
みたいに音がきゅっとタイトにクリアーに聴こえる瞬間があるのだけれど、それがやっ
てきたのがファーストステージの4曲めあたりだったか。それからずっとよかったし、い
つものことながらファーストステージよりセカンドステージのほうがよかったけれど、残
念ながらミラクルは起きなかった。今日最も印象に残ったのは『リトルダンサー』かな。
直さんの吹くフルートの音が驚くくらいピュアできれいだった。セラフィナイトはやっぱり
とても気持ちいい曲!
今日はレコーディングとあって、きっとまだ録音してないオリジナル曲が中心になるん
じゃないかと期待して行ったのだけれど、記憶している限りのセットリストは以下の通
り。(* が付いているのはオリジナル曲)。例によってキューバの作曲家の曲とブラジ
ルのカルトーラの曲がわからなかったのだけれど、それもライブCDが出れば解決す
るでしょう。昨日、自分が聴いた音がどんなアルバムになるか、いまから楽しみです。
1ステージ
カーネリアン *
ルイーザ
I've Never Been In Love Before
アンバー *
Dedicated To You
ペリドット *
2ステージ
セラフィナイト *
ブラジルのカルトーラの曲
My Shining Hour
Little Dancer
キューバの作曲家の曲
Kokiriko
アンコール
Cold Duck
昨日もステージの合間と帰り際に少しだけ直さんと話したのだけれど、昨日のステー
ジ後の直さんはなんだか複雑にしてデリケートな名状しがたい表情をしていて、「あり
り・・・」と少々後ろ髪引かれつつもモーションブルーを後にしたのでした。
写真はステージが始まる前と後にレンガ館3階から見た景色。
ライブが終わって「あー、今日はすっごく楽しかったあ~!」という友達と連れ立って
バルコニーに出ると、蒸し暑かった夕方の大気は少し涼しくなっていて夜風が心地
よく、私はここでもやっぱり、いっそ外で演奏が聴きたいなあ、なんて思った。
スコンとぬけた空の下、海をバックにサックスを吹く直さん、ぴったりすぎるほどぴった
りじゃないですか。私は『I Should Care』が聴きたい。
そしてライブアルバムといえば、直さんのCDのなかで息子が1番好きで『奇跡的』と
いっているのがこれ!
LIVE AT BASH!
昔からJAZZを聴いているとかいう人で、有名外国人ミュージシャンのCDしか聴いたこ
とのない人のなかには、日本人ミュージシャンなんて彼らに匹敵するわけない、とか、
いかにも訳知り顔でいう人がいるけれど、これを聴いたらそんなつまんない考えはぶ
っ飛ぶでしょう。
残念ながらいまは完売で手に入らないのかな?
中古CDが高値で出品されているけれど、その金額をつけた出品者の感覚は正しい。
私としてはまた買えるようにしてほしいと思うけれど。
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