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2012年7月 7日 (土)

Imagine,swwiming to the depth of your heart ・・・ /FREE DROPS

Free_drops_3

 

6月の第5週めが休みだったから2週間ぶりのプール。

先月、雨の日に30分歩いてスイミングクラブまで行って、泳いでる途中で2回つづけて足の指が攣ったりしたから、今日は降られること覚悟で小雨のなか傘もささずに自転車で行った。
2週間ぶりだと体力のない私はどうやったってまともに泳げるわけはないので、今日はただ身体をまっすぐに伸ばして、体重を前に前にかけて泳ぐことだけを意識して。すでにそういうことがすっかりできている人や水泳をやらない人には、「なんだ、そんなことか」と思われそうなことだけど、陸で考えてることっておよそ水に入った瞬間にその通りにはいかなくなるものなのです。理論だけならじゅうぶん、ゆうに10年分は頭に入ってるんだけど・・・・・・。

今日のコーチは新米の若いコーチで、爽やかな笑顔で休みなく泳がせる人だった。
100を2回泳がされているとき、わたしの場合ごくごく稀にやってくるんだけど、水の中で全ての音が消えて、視界の見え方も変わって、水を掻いている手にも呼吸にも何も意識をしなくても身体が滑るようにラクに泳げる瞬間がやってきた。ごくわずかな時間だったけど、とても気持ちのいい時間で、あの時間をキープすることができればもっと長く、ラクに泳げるようになるのにな、と思った。
うまく泳げるようになる要素には、持って生まれた資質とか技術とか体力とかいろいろあると思うけど 私の場合はメンタルに起因したこと、とくに呼吸(ブレス)の制限にあるんじゃないかっていう気がする。
そのブレスのブロックをはずすにはどうしたらいいんだろう?

帰りは行きより降ってきたからすっかり濡れてしまったけれど、7月の雨のシャワーは気持ちよかった。
そしてプールから帰るなり、何を聴こうかと思って直観的に選んだのはこれだ。
五十嵐一生の1番あたらしいアルバム、FREE DROPS。
(といってもクレジットは2005年。)
これは自分が聴きたいという以上に、息子のために買った。
もうずいぶん前のことになるけど、竹内直さんが聴きたくて買ったCDで初めて五十嵐一生の音を聴いてから、息子はすっかり一生さんのファンなのだ。それから何枚、一生さんのCDを買ったことか。このCDも届いたのはもうずいぶん前のことなんだけど、最初にかけたときは明るい晴天の日で、そのときはなんだか全然ピンとこなかったのでした。

晴れた日と雨の日じゃ音の聴こえかたがまったく違うし、それにもまして雨の日に聴くのにぴったりな音楽っていうのがある。タイトルからしてそうだけれど、まさしくこれがそれだった。先日聴いたときの印象が嘘のように、今日の雨の日にしっくりした。
雨で滲んだガラス窓の向こうに広がるモノトーンの、それでいて色彩豊かでヴィヴィッドな風景。そこに佇む、「孤高」という名がぴったりのJAZZトランペッター。
クールで、物思わしげで、ソリッドで、切なくてアグレッシヴ。1曲めのオリジナルから2曲めの『Invitation』へ。これがめちゃくちゃカッコいい! 
ピアノもすごくよくて、誰かなと思ったら市川秀男さんでした。残念ながら、わたしはまだ生では聴いたことないけど。ドラムも驚くほどよくて、誰かと思ったら本田珠也さん。びっくり。今までひたすらハードに叩く人だとばかり思っていたけど、こんなこともできるんですね。珠也さんがこんなに多彩な音色の持ち主とは。なんだかいままですみませんでした、って感じです。ベースは俵山(昌之)さん。これまた今まで聴いたことないくらいアグレッシヴ。
つまりみんないいんじゃん! って言われそうだけど、いいアルバムってそういうもんでしょう?
4人なら4人の力が拮抗していて初めてバランスがとれる。
ドキドキするようなスリルと緊張感が生まれる。
これはそういうアルバム。

五十嵐一生を聴いているといつも思うのだけれど、この人ほど自分がどうなりたいか、どう見られたいかがわかってるJAZZミュージシャンっていないんじゃないかと思う。つまりブランディングがしっかりできていて、音楽はもちろん、アルバムジャケットの写真からタイトル、デザインの細部に至るまで、ぜんぶ五十嵐一生ワールドになっている。それでもっというと、自分が出そうと(イメージ)している音と、実際に出ている音がたぶんブレることなくぴったり合っているのが五十嵐一生なのだと思う。(聴きながらそういったら即座に息子も「いま同じこといおうと思ってた!」といった。つまり、そういう音なのです。)
やりたいことが明確にあるから一緒にプレイする人たちもその世界にぴったり合った音が出せる。
みんなでひとつの世界を構築できる。
書きながら思うけど、それってものすごく理想的な仕事(ものづくり)のありかたですよね。

5曲め、タイトルチューンの『FREE DROPS』はタイトルどおり、フリーの要素が強い曲。でも、ぜんぜん飽きさせないどころか美しい緊張感を保ったまま、6曲め『Nomad』で一気に視界が開けたみたいな解放感に突入する。素晴らしい曲の並び。それにしてもなんていいピアノ! ヴィヴィッドで、瑞々しくて、切れがあって、渋みと酸味と甘みの調和がとれた、ものすごくいい香りのするフルボディのワインみたいな。そしてラストの青柳誠氏のオリジナルとなる『Loving You, Sometimes Leaving You』は、日本人が作ったスタンダード・ナンバーって感じの、デザート・ワインみたいな曲。う~ん、美食もいいけど、私はやっぱり粗食でもいいから日々いい音楽が聴きたいな。
ひっさびさに夜のお友達になりそうないいアルバム。まいりました。
故・水野晴郎さんじゃないけれど、いやあ~、音楽って、ほんっとうに! いいもんですね~ ♪

(註:タイトルはライナーノーツにあったシャンティ・スナイダーさんの英文からいただきました。なんたって泳いで帰ってきたばかりだったものですから。)

Free_drops_3   

 FREE DROPS / ISSEI IGARASHI

 五十嵐一生(tp)

 市川秀男(p)

 俵山昌之(b)

 本田珠也(ds) 

 

1.Take me back to where I was that day

2.Invitation

3.Overdue

4.Peace

5.Free Drops 

6. Nomad

7.Bad Etiquette Mister!

8.Loving You, Sometimes Leaving You

 

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コメント

素晴らしい文章をありがとうございます!

投稿: 五十嵐一生 | 2020年2月12日 (水) 16:50

五十嵐 一生さま、

昨日、メーラーに入ってきたコメント見てぶっ飛びました!
ごめんなさい、ほんとうにご本人さまでしょうか。
だとしたら恐れ入ります。
どうでもいいようなことを書きますと、ココログの仕様変更があったときに
過去記事の改行ピッチがぐちゃぐちゃになってしまってとっても読みにく
かったと思うんですが、よくぞ最後まで読んでくださったなと・・・。
そのうえ、あらためて自分の書いた文章読み直したらちっとも素晴らしくなくて
ダーッと汗のでる思いがしました。すみません・・・。

ただ嘘もお世辞も書けないタチなので、ここに書いたことは正直な気持ちです。
いつか、TIME&STYLE でのLIVE のとき、階下から上に上がっていく途中で
上から一生さんの音が聴こえてきて、まるで鳥が大きな翼をひろげてゆっくり
舞い降りてくるような、まるで神さまみたいな音だなって思ったこと憶えてます。
昨日Amazon で検索したらまだ聴いたことのないアルバムをみつけたので
さっそく買いました。
末永いプレイヤー人生を心から願っております。
コメントありがとうございました。

投稿: soukichi | 2020年2月13日 (木) 18:12

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