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2012年6月25日 (月)

いまや絶好調のエスペランサ・スポルディング♪/ラジオ・ミュージック・ソサエティ

Radio_2 

私には滅多に好きなものがない。私は滅多に人を好きにならない。だから一度好きに

なったらそうそう何があってもちょっとやそっとじゃ嫌いにならない。これは本当のこと。

あなたが私の言葉を心底信じてくれるといいけど。そしてそれが殺し文句になったらも

っといいのにね

おかしな前置きはともかく、ずいぶん前にオーダーしたCDが届いて、エスペランサ・

スポルディングの新譜を週末にやっと聴くことができた。

今作の『ラジオ・ミュージック・ソサエティ』と対をなす前作の『チェンバー・ミュージ

ック・ソサエティ』が私にとっては実はいまひとつだったから買うのをちょっとためらっ

たけど、やっぱりそこはそれ、滅多にないこと好きになったミュージシャンなんだから

やっぱり聴かなくちゃね。

さて、最初に書いてしまうけれど、今回のアルバムには収録曲のプロモーション・ヴィ

デオのDVDが付いている。全11曲のゴージャスな内容。それがもう素晴らしいの!

彼女のニューヨークにおける私生活が垣間見られるような内容で、エスペランサ・ス

ポルディングのいまの魅力が120%(あるいはそれ以上)詰まってる。今回のアルバム

はこのDVDが付いてるってだけでもう買いですね。初回限定生産、定価で3900円は

買うときはちょっと高い気もするけど、エスペランサ・ファンなら買って損はない。

なんたって日本ではなかなか見られないエスペランサがプレイする魅力的なシーンは

もちろん、ふつうにニューヨークの街を歩くところや地下鉄で居眠りするところ、カフェ

で意中の男の子に見惚れてうっとり微笑むところや小鳥のように歌いながらクルマを

運転するところなんかが見られるんだから。つまり、動いて喋って踊って歌ってベース

を弾くエスペランサが見られる。これがもう本当にかわいい! 

彼女は12歳の無邪気な子どもみたいな顔で笑ったかと思ったら、ミステリアスで妖艶

な表情を見せる。その小さなお顔に生き生きと輝く瞳、細い腕に細いからだ、小さな肩

の上に乗った大きすぎるアフロヘアが時になんてシックに見えることか。マスキュリン

なスーツ姿にも、フェミニンでラブリーなドレスにも、カジュアルなエスニック・ファッショ

ンにも似合う。もしかしてアフロヘアって万能? なんて考えも頭をよぎる始末。

まずこのDVDを見て最初に思い出したのは、ジャミロクワイの『High Times』。

あのアルバムにも最高にカッコいいDVDが付いていて、なんたってベストアルバムの

PV総集編だから、JKのメタモルフォーシスぶりが手にとるようにわかる。映画並みに

お金のかかった、いま見ても思わず夢中になってしまうくらいゴージャスでチャーミン

グなDVDだったけど、今回のエスペランサのDVDもそれに勝るとも劣らない、まるで

映画みたいな作品なのです。つまり、ここで端的にわかるのはここ数年の彼女の成功

ぶりで、一説によればオバマさんのお気に入りで年じゅうホワイトハウスに入り浸って

いるとかいうことだけれど、グラミー新人賞受賞以後、こんなにもお金をかけてもらえ

るスターになってしまったんだ、と実感。ここにはワールドデビューアルバム以前のデ

ビュー作『Junjo』にあったマイナーな匂いは微塵もない。あのころすでにキラキラ輝く

スター性は感じたけれど、最新アルバムのDVDで見るエスペランサはまさにアメリカン

ドリームを実現したヒロインそのもの。まるでダイヤモンドのように輝いてます。

そして遅まきながら音楽そのものについて触れると、今回のアルバムはエスペランサ

の分厚い創作ノートから生まれたもので、エスペランサがそのノートを整理していたら

それは2つの傾向を持った音楽に分かれることに気づいた。それはストリングスVS

ホーン、アコースティックVSエレクトリック、内向的VS外交的、という風に。

そしてそれはどうやってもひとつのアルバムには同居させられないものだったから、

ふたつに振り分けてじっくり掘り下げて行くことにした。最初に着手したのは当時の彼

女にとってより取りかかりやすかったストリングス/アコースティック/内向的な/世界を

描いた『チェンバー・ミュージック・ソサエティ』で、それから1年半の猶予をもって自身

の成長とともに実現したのが今回のホーン/エレクトリック/外交的な『ラジオ・ミュージ

ック・ソサエティ』だそうだ。エスペランサが本作を作るにあたり細心したのは、ジャズ

に立脚しつつもラジオでもかけてもらえるような”ポップソング”とカテゴライズされるフ

ォーマットに曲を落としこむこと、だそうだ。そしてDVDに至っては、当初はもっと深く

インプロヴィゼーションに根ざした作品を想定していたけれど、「ジャズに慣れないリス

ナーを音楽に引き入れる手助けになるのではないか」という思いつきで、ひとつの実

験として”ヴィジュアル版のアルバム”を作ったのだという。そういわれると実に理解で

きる出来で、エスペランサちゃん、歌とベースがうまくてかわいくて美しいだけじゃなく

て、実に頭のいい人なんだな、と思う。

なんたって私はエスペランサのワールドデビュー作『エスペランサ』における、あの弾

ける水しぶきのような新鮮でイキのいいJAZZにやられてしまったから、やっぱりあれ

を聴きたいとか思ってしまうのだけれど、あふれるような才能を持った天才というのは

次々とあふれるアイディアとヴィジョンを実現しようと早いスピードで駆けてゆくものらし

く、いくらリスナーが望んだところでひとつところにとどまっていてはくれない。でも、そ

れはそれとして、好きになってしまった者としては追いかけてゆくしかないだろう、と思

うのです。

私のおすすめは、まずDVDを見てからCDを聴くこと。

そのほうが単にかわいいエスペランサが見られるということだけじゃなくて、歌詞の理

解も深まってより曲が深く入ってくる。歌詞を通じていま彼女が何にこころを傷めてい

るか、社会に向けた眼差しや思考の一端も見えてくる。

前作にもいえたけれど、今回も聴けば聴くほど良くなるタイプのアルバムですね。

一聴しただけじゃ気持ちよく通り過ぎてしまうだけかも。

そして前作とくらべると私は今回のアルバムの方が好き。

『外交的』というだけあって、こちらのほうがエスペランサが圧倒的に元気だし、グルー

ヴも弾けてる。カッコいいアルバムです。そして滅多にいないということでいえば好き

なピアニストも滅多にいないけど、そんな私の超お気に入りピアニスト、レオ・ジェノベ

スはここでも健在でちょっとホッとする。いつか彼の音は生で聴いてみたい。それから

このアルバムのギターの誰かががちょっと滝野聡さんに似てるんだよね。そんなこと

いうと滝野さんLOVEの息子に怒られるかと思ったら、「音は違うけど、やってることは

似てる」だそうで、よかった。私の耳は悪くないらしい。

・・・・・・ というわけで、いまアメリカが注目の天才ちゃんが自分の考えと構想でもって

果敢にやってるCDとDVD。ぜひ彼女の魅力的なアプローチに目を耳を傾けてほしい。

バラでいうならいま最も美しい時間を生きている、輝くこのニュー・ヒロインに。

Esperanza_2 

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