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2012年6月 7日 (木)

美しさの基準

Audrey_hepburn_2

先週の土曜日、いつものようにスイミングスクールに行って50分泳いだあとジャグジ

ーで温まっていたら、あとから最上級クラスの年配の女性が入ってきた。

こちらを向いて座った顔を見た瞬間、いつもと違うのに気づいた。

今ではそんな風にいわないのはわかってるけど、昔でいうところの『目張り』がばっち

り入っているのだ。それこそ昔の女優風に。昔、秋吉久美子がやってたみたいな目尻

をつんと上げたアイラインがばっちり。

ふだんはトライスロンの大会にも出るようなアスリート系のおばさまで、屈託なく大口

あけて笑う人だと思っていたけど、その日ばかりはセレブ・マダムのようだった。

それで私はそちらの方面にはまったく疎いものだから、(メークを変えたんだな、それ

にしてもアイメークを変えたくらいで顔の印象ってずいぶん変わるものだな、でもあん

なに泳いでもとれないなんて、最近のウォータープルーフってすごいのね)なんて思っ

ていた。そうしたらシャワーのところで彼女を見かけた私と同じクラスのHさんが、すか

さず「目、やった?」と手振りを身振りで聞いている。どうやらそれはメークではなく、

タトゥーだったらしい。お茶目なHさんが、「それは大阪市役所では雇ってもらえないや

つだ」とジョークをいったら、「あら、これはタトゥーじゃなくてアートメイクよ!」とセレブ

マダムもいい返している。

あとで更衣室でHさんに聞いたところによれば、自分も前に眉毛だけやったことがあ

って、それは本当に針でチクチク刺して色を入れるタトゥーで痛かったけど、いまは

簡単にレーザーでできちゃうんだわよ、ということだった。セレブ・マダム本人によれ

ば、眉と目のメークができあがっていれば、あとはちゃちゃっと口紅をつけるだけで

いいからラクチンなのだそうだ。

前にテニスクラブで働いていたとき、一緒に働いていたテニスプレーヤーの女の子が

2ヶ月に1回睫毛パーマに行ってるというのを聞いたときにも「睫毛にパーマ!」と思っ

たものだけど、いまではそれどころか「睫毛のエクステンション」なんてものもあって、

それをしてるのとしてないのとでは目の大きさが1.5倍は違って見えるらしい。

うちは家族全員、ピアスひとつくらいでも、からだに穴を開けるなんて嫌、痛いの嫌い

って人たちだから、まぶたの縁ぎりぎりにレーザー光線でラインを描く、なんて聞いた

だけでも「ひえ~」だけれど、その技術もさることながら、70もいくつか過ぎてバリバリ

に泳いでいるおばさまが、高いお金を出してそこまで美しさにこだわっていることにも

感心した。

たしかにテクニックのいる眉と目のメークが落ちないアートメイクでばっちり決まってい

ればその後のメークはラクチンだろうし、いつでもきれいな女優顔でいられるだろうけ

ど、でもいつでもどこでも同じ顔って、それでいいんだろうか。化粧をするって、オフの

顔からオンに変わるからいいんじゃないの?

アートメイクをした彼女の顔がきれいかきれいじゃないかといわれたらそれはやっぱり

きれいではあるのだけれど、ばっちり目張りの入った顔からは彼女の素顔の表情はす

っかり消えて、なんだかツンとしたよそゆき顔の仮面が張りついてるみたいに見えた。

プールで泳いでいるときも、裸でお風呂に入っているときも、夜ベッドで寝ているときに

も、そしていつか亡くなって棺に入ったときにも、ばっちり化粧顔の女。

それを想像したらぎょっとした。

彼女の夫はそれでいいんだろうか。

もしかしたら彼女の夫は彼女の屈託ない笑顔が好きだったんじゃないだろうか。

余計なお世話には違いないだろうけど、着替えながらそんな想像をした。

いまは美しさの基準が限りなく人工的になった時代。

一方、まったく別の側面では限りなく『ありのまま』の自分の美しさに気づくことを求め

られる時代だとも思うのだけれど。

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