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2012年3月20日 (火)

春になる日

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休日のあさ、寝坊して起きてぼんやり今日のことを考えながら誰かさんのことを思い

だしてたら、その思いだしてた相手から『春になる日』という件名でメールがきて、や

っぱり以心伝心ってやつなのかしら。午後おそく自転車飛ばして出かける。

店に着いて、ちょっと話したところで入口付近に立ってた私を通り越して背後にコトリ

さんの目が釘づけになったと思ったら、男性のお客さん。思わず、「kikiさん?」と聞い

たらなんと稲村さんだった。『幸福の王子』の作者で、亡くなられた人形作家の葉子さ

んの旦那さま。コトリさんから聞いていたとおり、見るからに線の細いデリケートそうな

方。今日は本になった葉子さんの作品集ともいうべき『万年少女人形館』を持ってこら

れたのでした。私もさっそく拝見させていただきました。唯一無二のYoko Doll World。

葉子さんの『幸福の王子』に初めて目がとまった瞬間のことを思い出すと、いつもとて

も不思議な気持ちになります。なぜあんなに惹かれたのか、なぜ自分にとって特別な

のか。そこに自分のこころの秘密があるようで、じっと見ているうちにまるで自分の分

身のようにも見えてきてしまう。見た人のそれぞれにそんな不思議なはたらきをする

力を持った人形だから、ふだん人形になどまったく興味のない人のこころまで惹きつ

けてしまうのではないかと思ったり。

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それから日の暮れまでのあいだ、3人でとりとめなく話した。

いつもなら次から次へとお客さんが入ってきてすぐに会話は中断されてしまうのに、な

ぜだか今日は誰も来なくて、しばらくのあいだそこは3人の空間だった。

外がだいぶ暗くなってきて、元気な男の子を連れたお客さんが来たので花を買って店

を出ると、池の中にカエルの卵をみつけた男の子2人がギャースカ騒いでいたのでか

まってたら、稲村さんが横にやってきてそこでも少し話した。

いつも人と話しながら自分でも不思議なのだけれど私は直感人間で、今日も直感の

おもむくままにでてきた私の言葉を稲村さんは静かに受けとめてくれた。こういうとこ

ろは女の人より男の人のほうが素直でキャパシティが広いように思う。人の気持ちを

かんたんに「理解できる」などというつもりはさらさらないけれど、私も別な意味で失く

した経験のある人間だから、大事なものを失くした痛みはそれこそ痛いほどわかる。

だから浅はかな言葉も軽薄な言葉も吐かなかったと思う。

今日も風が冷たくて寒くて、稲村さんはなおいっそう寒そうだった。

私が思うのは、できるだけあったかい太陽のほうを向いて、健やかに元気に生きて、

ってことだけ。別に彼にだけ思うことじゃなくて、いつも誰にでも思うこと。

『春になる日』の今日は、なんだかとても不思議な日だった。

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