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2012年1月20日 (金)

ついに雪

120120snow

今朝は暗くてうっかり寝過ごした。

うちの父はからだが小さい割にはすごく物音をたてる人なのだけれど、朝カーテンを引

くすごい音で目覚めて時計を見たらもう7時半をまわっていた。

ああ、そういうことね、と思いながら起きる。

ここ数日いつもにくらべたら早寝をしているのに私の肩こりはちっとも治らない。

父はうちに来た最初の3日間は、ごはんを食べているときとTVを見ているとき以外は

昼も夜も爆睡していた。ほんとに、よくそんなに眠れると感心するくらいで、娘と、あん

なに眠って脳みそがとけるんじゃないかと心配したくらいだ。

それだけ術後のからだが消耗しているということもあるのだろうけど、けっきょくこれな

らあと数日入院していたほうがよかったんじゃないかと思わずにはいられない。病院

側は患者の回復を早めるために早期離床を励行しているということだったけれど、そ

れはベッドの回転を良くするための方便に過ぎなかったのではないか。それというのも

痛み止めのロキソニンを6時間ごとに服用しながらも父がみぞおちの痛みを訴え続け

たことで、とくに夕飯を食べていると決まって「イタタタタタ! 痛い!痛い!」とくの字

になってゴホゴホ・ガハガハ・グエグエやり出すので最初はものすごくびっくりしたのと

目の前でいま食べたものを出されるんじゃないかという恐怖で毎度の夕飯はものすご

く気の滅入るものになった。親友の父親が、彼女が小さい頃からずっと病気で働けず

に家で寝ている人で、病気の人間が発するなんともいえないマイナスオーラと、いつも

不機嫌で横柄な態度が嫌で嫌でたまらなかったといっていたけれど、その気持ちが少

しわかった気がした。父も最初の2日間は横柄そのものだった。

ここにきてからの父を見ていて思うのは、父は実は『真正かまってちゃん』なのではな

いかってことだ。私がコンピュータのキーボードをたたいているとき部屋を横切るから

何気に見ると、目が合ったとたん、やおらみぞおちに手をあてて顔をしかめ、からだを

曲げて歩く。こうなるともうポーズなのかほんとに痛いのかよくわからない。

父のイタイイタイが続いてたまりかねて3日めの朝に消化器内科の担当医に連絡をし

た。予想通り術後の生理的な痛みということで痛み止めを飲むしか方法がなかった。

それでどうしても痛みが治まらなければ受診して検査をすることもできる、ということだ

ったけれど、いまの父の状態で寒いなか病院に行くくらいだったらまだ家で寝ている

ほうがいいと思う。肝臓がんの人が日常生活で気をつけなければならないことがあっ

たら教えてほしいといったら、「何もない」といわれた。そのくせ減塩食について話すと

「減塩は退院後もできるかぎり続けてほしい」という。悪くするとお腹に腹水が溜まる

のだそうだ。何もなくないじゃないか、と思った。このあたりもアンドルー・ワイルが書

いているとおり。患者が治るためのノウハウを何も持ってないのが現代医学なのだ。

父が来てから私は3度の食事に毎日追い立てられる日々だけれど、2日眠り続けた

あとの昼前、そろそろお昼にしようと思っていたら父が突然、「風呂に入る」といいだ

した。もう何日ぶりかというときですぐに用意をしたけれど、二言めには「わかってる」

「自分でなんでもできる」という人が、着替えを出してあげないと風呂にも入れないし、

コップに水を用意して「ハイ、飲んで」と目の前に出さなければ薬も飲まないのだ。

非常に手がかかる。

それでも4日めとなる昨日の朝は、「やっと少しよくなってきた」といって近所にひとりで

散歩に出かけた。息子のフリースのパンツに買っておいたフリースのフードパーカを

着て、私のベビーアルパカのマフラーをぐるぐる巻きにして家を出した。毛糸の帽子も

かぶっていけばといったら断られたけど、帰ってきたとき父はパーカのフードを頭から

すっぽりかぶり、まるで冬のジイサン小人のようであった。

うちに来ればといったとき、「あの家のどこで休んでいたらいいかわからない」といわ

れて、「そりゃ、病院のように静かで至れり尽くせりじゃないかもしれないけど」といっ

たけれど、父は病院にいたときより(もしかしたら自分の家にいるときより)快適でよく

眠れているんじゃないかと思う。私たちはあまり物音をたてない静かな人たちで、父の

することにうるさく干渉もしないし、部屋も食事もあたたかい。何より誰もいない自分の

家でひとりで寝ているよりはずっと安心なのだと思う。

私たちはとくべつつきあいのいいほうじゃないけど、子どもたちもずいぶん我慢して父

にあわせていると思う。この数日で小さないさかいもあった。それも父があまりに自分

勝手だからで、いくら病人だからって父も少しは考えてくれといった。父のほうでも思う

ようにならないことはあるのかもしれないけれど、私が見る限りマイペースだ。

ゆうべ息子に「おじいちゃんはいつまでいるの?」と訊かれた。

さてね。

外は雪がゴンゴン降っている。

今日はお昼に夕飯の買い物まですませてしまわなきゃ。

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コメント

読んでいて涙が・・・・。
大切な時間がゆっくり過ぎていますね。
今日は寒かったけど・・・。
なんか 暖まってきた。

投稿: jose | 2012年1月20日 (金) 20:38

joseさん、
この日はいろいろあったから、joseさんのコメント読んだ私のほうが涙でした。
大切な時間であることは確かだし、父にとってもそうであればいいとは思うけれど、現実的なところ、我々にとっては修行であり学びの時間ですね。
なんたってうちの父は1日じゅう寝なくなったと思ったら今度は1日じゅうTV漬けで、食事中までイヤホンしてTV見てるからコミュニケーションのとりようがないし・・・
ごはん作る方は父の好きなものとか身体に良さそうなもの、と考えて買い物してくるのに、いらないとなったらいらないの一言で終わりだし。老人は実に勝手です。

あ、そうそう昨夜は私が提案して家族みんなで映画を観ました。
TVのまんまえ、あたたかいストーブの前にラクチンなリラックスチェアで特等席を作って。いろいろ考えるけど、なかなか思ったようにはいかないですね。
でも病院では孤独な老人もいっぱい見たし、父にはまわりでいろいろ考えてくれる人がいるだけでも幸せ、ってことで満足してもらうしかないかなあ・・・

投稿: soukichi | 2012年1月22日 (日) 18:23

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