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2011年11月 1日 (火)

過ぎ去りし日の・・・/黒木千波留

Chiharu_kuroki_2 

このところずっと、朝おきてカーテンを開けると部屋の中も外も秋の光でいっぱいだ。

夏の光とも、冬の光とも違う、秋の光。

これってなんて言ったらいいんだろう。

ノスタルジー?

こんな光の中にいると私はもう頭がぶっ飛んでしまって、こころここにあらず、って感じ

になってしまう。

そして、そんな眩しい秋の光でいっぱいないま聴くのにぴったりな音楽をみつけた。

『ロマンティックに生きようと決めた理由』のなかでエッセイを書いていた堀内隆志さん

が鎌倉でやっているカフェ、『カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ』のHPを夜中に見てい

て。ちなみにこの店の名前"vivemont dimanche"はトリュフォーの『日曜日が待ち遠し

い!』からだそうです。それで、このカフェがすごい。カエタノの息子のモレーノがライブ

しに来ちゃった、てんですから。・・・・・・ 素敵ね。

そんな堀内隆志さんがプロデュースしたのがこのアルバム、ピアニストの黒木千波留

さんの『過ぎ去りしの・・・ Les Choses De La Vie』。

私にしてはめずらしく全曲試聴してから買ったんですけど、このピアノの音、静かで、

あたたかくて、懐かしくて、エレガントで、そして光がいっぱいで ・・・・・・ 久しぶりに今

の自分の気持ちにぴったりフィットする音楽を見つけたと思いました。

私はどんなに好きな音楽でも、ただそれだけを毎日、数ヶ月も聴き続けるって駄目な

んです。日々、細胞は新しく入れ変わっているし、自分の感情も、お天気も、空気感も

音の響き方も、そこに漂っている something も何もかも毎日違うから、できるだけ今の

自分の感覚にフィットした音楽を選びたい。それが見つからないならいっそ終日無音で

いたほうがいい。みたいな。とくに最近はそんな風で、それで気がついたら、からだが

ガチガチになっていたから、『いい音楽さえ聴いていれば病気にならない!』が持論の

私としては非常にマズイんですけど。

そして話を戻すと、このアルバムをプロデュースした堀内隆志さんと私にはいくつか共

通点がある。1960年代生まれ、映画好き、映画音楽好き、ブラジル音楽好き、珈琲

好き。歳は私より下だけれど、いわゆる『おいしい生活』に代表されるセゾン文化を背

景にして生きてきた人みたいだから、見てきたもの・聴いてきたものには自分とかなり

だぶるところがあるようだ。ライナー・ノーツにあった、六本木WAVE、CINE VIVAN'T、

ART VIVAN'T、それから池袋リブロ、ハビタなんかには当時私もよく行ったものでし

た。もっとも私が1番よく行ったのはリブロの中にあった詩集の専門店『ぽえむ・ぱろう

る』ですけれど。

そんな、自分とどこか嗜好(あるいは、たくさんのキーワード)がだぶる方の選曲だから

よけい懐かしく感じるのかもしれない。選ばれた曲は黒木千波留さんのオリジナルの

ほかは昔見たヨーロッパ映画のからの楽曲だったり、シャンソンだったりボサノヴァだ

ったりちょっとだけジャジーだったり、でも全体的にはサティだったりして ・・・・・・、これ

が良いのです。そして、ピアノとともにとても良いのがゲストヴォーカルの吉田慶子。

このアルバムでは3曲歌っているのだけれど、こんな風に歌う日本人ヴォーカリストが

いたなんて。ちょっと驚きでした。そしてラストのパスカル・ヴァントュレリさんもまるで胸

が痛くなるセピアの写真のような浪漫あふれる素敵な歌を歌っています。

それで、私が思うには懐かしさって過ぎた日にばかり感じるものじゃなくて、来るべく

未来の懐かしさっていうのもあると思っていて、私は自分がおばあさんになったところ

を想像したりしないし、またそんなことしたくもないのだけれど、一気に時間が飛んで

そんな未来にまで行ってしまったような、そんな気持にもさせてくれる音楽です。

これはいまの若い子の間で流行っているカフェ・ミュージックともスロー・ミュージックと

も違う、ほろ苦さを知った大人のメメント・ミュージックかな。

私はこの1枚でピアニストの黒木千波留さんもヴォーカリストの吉田慶子さんもとっても

好きになってしまいました。

試聴したのは夜中だけれど、朝聴いてもいい。

懐かしくも眩しい秋の光がいっぱいな日に。

おすすめの音楽。

・・・・・・ これを聴いてたら私はなんだか枯れ葉散る遊園地のメリーゴーランドに乗りた

くなっちゃったな。

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