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2010年9月12日 (日)

静かなる情熱の結晶/竹内直『Obsidian』

Obsidian_2

先月27日、発売日から2日たってHMVから予約していた新譜が届いた。

竹内直さんのニュー・アルバム、Obsidian

まず手元に届いての感想は、ウェブ上でも見ていたけれどジャケットのアートワーク

スがすごくいい! 前作 Rupture も良かったけれど、前作よりさらに自由にイメージ

が小さなジャケットいっぱいに飛翔してる感じ。カラフルだけどシンプル。シュールに

してファンタジック。こんなところにも直さんのアルバム制作のコンシャスさを感じる。

届いてから落ち着ける時間を見計らって立て続けに2回聴いた。

その感想を端的に言うなら、たいへん渋い。

まず、井上陽介さんの刻むウッドベースの深いリズムと、ジム・ホールを思わせる中

牟礼さんの枯れた味わいのギターに乗って闇を進むような直さんのバスクラで始まる

アストル・ピアソラのオブリヴィオン、静かなバスクラのモノローグで始まり、ハンドクラ

ップとベースの絡みのみで、まるで水銀灯に照らされる夜の石畳のストリートにいるよ

うな気持ちにさせられつつ展開してゆくオプシディアン。この曲ではバスクラの音にフ

ルートの音を多重録音で重ねる凝った作り。もうこの2曲を聴いただけで一気にこの

アルバムの世界に引きずり込まれてしまう。そして3曲目でやっと山下洋輔さんのピ

アノが入って温かくも愛情いっぱいのスタンダードを聴かせるトライ・ア・リトル・テンダ

ネス。さらに一瞬ジョビンの曲と間違えてしまいそうだけれど、これが初共演だという

山下洋輔さんと中牟礼さんが聴けるショパンのプレリュード。これは泣ける。

そして後半になって最も耳を奪われるのがビューティフル・ラヴ。アルバム中もっとも

直さんのソロの自由度が光る作品のように思う。息子がこのアルバムで1番にあげ

たのもこの曲だった。続いて印象的な効果音のイントロから変則的なリズムで一気に

異国の地に誘われるクルディッシュ・ダンス。これが本作の山か。山下さんのアウト・

ソロとともに江藤さんのドラムと直さんのソロが炸裂する熱い1曲。続くオール・ザ・ウ

ェイのなんて優しいことか。この曲はピアノで聴くよりギターのほうが圧倒的にいいと

思ってしまった。

・・・ というわけで他にもあるけれど、全10曲すべてバスクラリネットによる直さんの

意欲作! 何かで読んだところによると、全曲バスクラだけのアルバムってクラシック

にもJAZZにもないそうだ。それだけ様々な音色、テクニックを駆使してアルバム1枚

聴かせるのは難しい楽器なのだと思う。2回通して息子が言った言葉は「すごい完成

度の高いアルバム! でも、いま聴いたの全部テナー・サックスで聴き直したい!」

だった。確かにその気持ちはわからなくはない。まず楽器の音色が全然違えばでき

ることも違うし、できあがる世界も違う。いつもの直さんのテナーの圧倒的なパワーと

爆発力、ちょっとぶっ壊れそうな危ういアウトのして行き方なんかにくらべるとバスクラ

はもっと端正でフォーマル、抑制された熟練の大人の世界だから。

単純に言うと、前作 Rupture が動なら、Opsidianは静。

かといって、もちろん静かなだけじゃない。単調でもない。このアルバムには直さんの

バスクラに対する愛着、愛情をふつふつと感じるし、(たぶん)テナー・サックスより幅

のないこの楽器から、まるでガラス職人が1個のガラスの塊から変幻する様々な色や

形を生み出すように、様々な音色やフレーズを生み出そうという気概を感じる。

(これもたぶん)聴けば聴くほどに味わいが増しそうなアルバム。

そして、明日はObsidian の発売記念ライブです。

新宿ピットイン、開場PM7:30 開演PM8:00 から。

本当はもっと早くこの記事を書きたかったのだけれど、このCDが届いたときにはまだ

真夏の暑さで、これを聴くにはちょっと早いと思っていたのでした。

これから秋の夜長にじっくり聴くのにぴったりなアルバムです。

・・・ ちなみにアルバム・タイトルとなっているオブシディアン、

黒曜石ってこんな石です。

10obsidian

これはレインボー・オブシディアンで、石の中にある色の層を利用してカットを施すこと

で、ハートを浮き出させている。私は実はこの石を持ったときちょっとこわかった。

光の中に真実はない、闇の中にこそ真実はあると言ったのが誰だったかは忘れたけ

れど、まるで心の深い底から何かがあぶり出されてくるような感じがしたんですね。

でも、それもさもありなん。石の意味を見たら、キーワードに『隠れた可能性』とあり、

自分自身の深く埋もれた部分とふれあい、新しい局面に向かうことで才能を開花さ

る。自分の内に宿る魂の存在を理解する』(クロージョーアイズHPより抜粋)と、あ

りました。直さんにぴったりな石、このアルバムにぴったりなタイトルですね(^-^)

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コメント

黒曜石には、そういう意味があるんですね。

私は、黒曜石というのは原始人が矢尻に使ったという
意味しかありませんでした。

中学のときに、父親がどこかから拾ってきてあった石を磨いて、
祖父が猟に使ったという弓矢を持ち出して、
作りました。
祖父が使った弓は強くて、半分くらいしか引けませんでしたが、
威力はありました。
50mくらい先の樹に、ちゃんとささりましたから
(笑)

中学のころは、そういう野蛮人やってましたねえ・・・・・

投稿: 四季歩 | 2010年9月18日 (土) 19:59

四季歩さま、
いいじゃないですか、子供の頃のそういう遊びって。
私も大好きです。
私もいろいろやりました(^-^)
子供のうちはみんな野蛮人でいいと思う。

そして、そう、黒曜石は昔、武器(石器)として使われた石です。
私はついきれいな色をした石に惹かれてしまいますが、実は石好きも通になるほど黒い石が好きで、黒い石って強い守護力を持つ石のようです。
獣相手に狩りをすることは危険であるとともに、糧を得ることは神聖なことでもあったから、その両方の力を持つんじゃないかしら。
・・・と、そんなことを類推するのも好きです。
そのうち鉱物図鑑でも買ってしまうかも(^-^)

投稿: soukichi | 2010年9月19日 (日) 21:51

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