女友達と八重桜
久しぶりに同じ歳の友達に会った。
彼女とは子供の歳もほぼ同じで、性格や感性や暮らし向きなど違うところは多いのに
久しぶりに会うとだいたい同じようなことで悩んでいたり、興味を持っていることが似て
たりして可笑しい。たいてい会っている間は話は尽きず、大いに盛り上がったあと急
に時間が気になって、時計を見て慌てて「それじゃあ、またね」と別れる。
それから瞬く間に半年、1年が過ぎ。
年々、過ぎ去る時間は早くなっているような気がする。
友達だからって、なんでも話すわけじゃない。
もうすっかり過去のことになってしまった後で、今になって、そんなことがあったの、
というようなことを聞いたりする。すでに過ぎてしまったことだからこそ話せるんだろう
なぁ、と思うから、ただ黙って聞いている。
人が、女が歳をとるということ。そのなかで、今になって思うと、自分ってなんて馬鹿
だったんだろう、と思うようなことでも、渦中にあったときには(多分)避けられなかっ
たであろう、あれこれ。そんな話をした。
ほんとは『ゼラチン・シルバーLOVE』が見たかったのだけれど、もうとっくに上映期
間は終わっていて、代わりに新宿御苑で桜を見た。八重桜はもう満開のピークを過
ぎて傷みかけていたけれど、彼女は見たかった桜が見られてよかった、と言った。
喫茶店でさんざん話して帰り際、お互いごそごそとペーパーバッグを取り出した。
私は佐伯チズの本2冊。彼女のは文庫本の『ホノカアボーイ』とコナ・コーヒー。
なんでも今年の2月に短大を卒業する娘が卒業旅行にハワイに行ったのだそうだ。
珈琲豆はそのときのお土産のおすそ分け。
そういえばこのあいだ電話で、ホノカア・ボーイ読んでるんだけれど、なんだかピンと
こないの。ただの日記みたいな文章で、私にはハワイの風が感じられないから、やっ
ぱり映画見ないと駄目ね。なんて言っていた。それを思い出して帰りの電車のなかで
パラパラッと読んでみたけど、あれ? 悪くない。さっそく彼女には「いまチラッと見た
けど、これ面白そうだよ! 嫌いな文体じゃないです」とメールした。
そ。つまり、それくらい感覚は違うのです。
ビーさんのマラサダは、彼女がホノカアボーイの映画を見終わったら一緒に作ること
になりそう。TVで、「このウミガメは2週間何も食べなくても生きられるのです」なんて
言ってるのを見ると思わず「このウミガメになりてー」なんて思ってしまう私と違って
(時々ごはん作るのも食べるのも面倒くさいです)彼女は食いしん坊だから、きっと
おいしいマラサダができあがるんじゃないかな、と思う。
桜の季節の終わりとともに、したたるような新緑の季節。
これは枝垂桜がすっかり葉桜になった一角。
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