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2009年8月23日 (日)

夏祭り

09matsuri_01_2

私の父もずいぶん、おじいさんになっちゃったよなぁ、と思う。

あと2年で80なのだからしかたがないとも思うが、『今週末はお祭りで、みんなが来な

いかなぁ~と、父は心待ちにしているようです』と妹からメールをもらったのが月曜日。

さっそく夜、父に電話をすれば、調子の悪いとき特有の声が出てない感じで、掠れた

小さな声で話すものだから、何を言っているのか聞きとれない。おまけに、こちらが聞

いていることにはいっこうに答えずにひとりで勝手に喋るから、ますます会話にならな

い。電話を切ってから、「ジイサン、だいぶヤバイかもなぁ、だいぶボケてきたかも」

なんて口悪くつぶやいた。

「おじいちゃんはとても優しい人なんだから、おじいちゃんには優しくしてね」が私の口

癖で、たいていのことは誘っても「行かないよ」と言う息子もこの日はついてくる。

私の実家のある町は十年一日のごとく近所にスーパーさえない不便なところで、神社

でお参りだけすませてアイスでもお土産に買っていこうと表通りを歩いていると、通り

のあちこちの軒下に提灯がぶら下がり、ところどころに祭りのための詰所のようなも

のができている。近所まできたところで、お神輿がふたつ飾られていたので写真を撮

ろうと立ち止まって見ていたら、奥からパナマ帽を粋にかぶったおじさんが「その奥の

神輿は高い神輿だよ!」といきなり声をかけてきた。「手前のが3つも買えちゃう」と言

うから、子供と3人でほぉ~、と眺める。「そりゃ浅草の○○(忘れました)の神輿だ」

と言う。「おじさんはこの商店街のお店の人?」と私も聞けば、「違うよ! ここの土地

のもんだよ! こんなのはちっちゃい頃からずっと見てるよ!」と言う。ぞんざいでぶっ

きらぼうながら屈託のないもの言い。好きだなあ。なごむよ。いかにも江戸っ子的。

これが駄目って地方の人もいるんだろうけど。

写真を1枚撮らせてもらって通り過ぎたら、息子が「ゴッドファーザーだね。かっこいい

よ。あのおじさんも一緒に撮ればよかったのに」と言った。

09matsuri

母が生きていた頃はお祭りで家に遊びに行っても賑やかだったし、小さかった子供2

人に浴衣を着せてみんなで神社に行き、帰ってから食事をして花火、なんてコースだ

ったけれど、今は来る途中にちょっと境内の中を覗く程度で、あとはみんなで食事を

して終わり。妹は病気のせいでだいぶ疲れるみたいだし、父は家の中で立ったり座っ

たりするくらいでも一苦労の様子。これじゃ浅草まで焼き鳥を食べに連れて行くのも

無理かなあ、なんてこちらは思っているのに、夏休みが終わる前に娘を上野の美術

館まで連れてゆくと言い出した。上野はここから行っても遠い。着いたら着いたでけっ

こう歩くから今のあちこち痛い状態で行くのは無理なんじゃないかと言ったけれど、父

はそんなことないと言う。そんな状態でもときどき1人で足を伸ばして出かけているらし

く、このあいだも入谷鬼子母神の朝顔市を見てきたという。でも、父に気遣いながら父

の牛歩のような歩調に合わせて歩くのは大人でも大変で時間がかかるのに、子供な

らなおさらだろう。それに何より、父の連れてゆきたい気落ちと子供の気持ちには大き

なズレがあって、そのあたりに全く思いがいかないところがもう最もおじいさんなところ

だよなぁ、と思う。いつまでたっても自分の小さかった子供をクルマに乗せてどこかに

連れて行った楽しい思い出が胸を離れない。足腰が思うように立たなくなった今でもそ

れをやれると思っている。ふいに昔、年老いた祖父を連れて母と深大寺植物園に行っ

て、帰りの出口を出たところで祖父が人込みに紛れて行方不明になってしまったこと

を思い出した。あのときは母も私もとても心配して、館内アナウンスを何度もしてもらっ

て暗くなるまでそこにいたけれど、けっきょく祖父はさっさと1人で十条の家まで帰って

しまっていたのだった。そのときの祖父の年齢さえ父はもう越えてしまったのだ。

年寄りを気遣いながら歩くことも若い女の子にとっては必要な学びと言えなくもないだ

ろうし、いつか祖父とのそんな一日も数少ない祖父との思い出になるのかなあと、な

どと思いつつ、子供の頃から見慣れた夜道を歩いた。センチメンタルな夏の終わり。

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コメント

そうきちさん、お互いに親との過ごし方を考えさせられますね~
恐れ入谷の鬼子母神。
私もこの夏、母に花火大会に来ないかと誘ったけど、面倒なのと1週間も家を開けるのは気になるらしく来なかったんだけど、車で迎えにい行くのもいいけど、甥っ子に家から東京まで送ってきてもらい、東京かいわきまで家の息子が連れてくるのはどうだろう?とも思ったの。
でも家の母も耳は聞こえないし、大変そう~
でもいい思い出になったのと思うけど、残念でした。
私も高校3年の終わりに進路も決まって暇だったので、伊豆から来ていた祖母を今市から横浜まで送って行ったことがあります。
何度も会ったことのない祖母だったので、電車のなか祖母の昔話を聞きながらの旅はいい思い出です。
祖母も孫と一緒だと自分が連れて歩いてる感じで、先だって歩いていましたよ。
リサちゃんも、おじいちゃんとの新しい発見もあると思いますよ。

投稿: angelseed | 2009年8月26日 (水) 00:00

angel さま、
ほんとそうですね。
子供はどんどん大きくなるし自分は歳をとるし、それ以上に親は老化していくわけで。
いろんなことが頭をめぐってしまうこの頃です。
子供の気持ちを考えたら行きたくないのに無理強いはできないし、はたしてどうするのがよいかなぁ、と考えています。
私も一緒に行けば安心だけど、父は孫と2人がいいんでしょうしね(^-^)

これを書いたらしばらくご無沙汰することになります。
angelさんも元気でね。
東京に来ることがあったらいつでも声かけてください。
どこへでも飛んでいくよ~♪

投稿: soukichi | 2009年8月26日 (水) 11:36

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