5週めの土曜日でスイミングが休みだった今日は、根津に住んでい
るCと午後遅く上野で待ち合わせた。CとはMの家で新年会の時に
会って以来で、そのとき「谷中の桜がきれいだからこの次は桜の頃
にね」なんて言われていたのだ。上野に行くのは動物園か美術館に
行くときくらいですごい久しぶり。最近だと上野広小路にあるJAZZバ
ーに行って以来か。今日はなんとかお天気ももって都内の桜も満開
ってことで、上野は物凄い人! 駅のホームから改札を出るまでにも
ひと苦労。混雑した駅前を抜けて、花見客でごった返す上野公園を
横目に反対側の比較的静かな、Cが好きだと言う噴水の前を通って
芸大のキャンパスを眺めつつ谷中へ。谷中の桜はさほどでもなかっ
た。今日は薄曇りで空が白っぽいせいでソメイヨシノは映えないし、
日陰のウエットな霊園の土の上にブルーシートを広げて花見の宴を
囲んでいる人たちも、なんだか寒々し気。今年、私は霊園の桜は避
けてきた。単に気分の問題だけれど、霊園に行かなくてももっと明る
い環境でいくらでも美しい桜は見られるし、そういう意味では私がい
ま住んでいるところは恵まれているんだと思う。
霊園を抜けたところでCが「ここが私の好きなお寺なの。プチ枝垂桜
があって」と言った。天王寺(てんのうじ)。
確かにここ、かなり素敵なお寺です。全体像を写真に撮るのを忘れた
けれど、まず門がコンクリート打ちっぱなし。中には門の外からも見え
る巨大な大仏。境内はきれいに掃き清められて、新しさと古さが見事
にマッチしたお寺。
右手には毘沙門堂とプチ枝垂桜。
そして、ここを出たあと有名な夕焼けだんだんの階段を降りて、揚げ
たてコロッケや串カツや、お腹が空いてるときに通ったら絶対タダで
はすまされないと思はれる(実際、道の端でビール片手にお惣菜買
って食べてる人がいっぱいいました)雑多なお惣菜のいい匂いがす
る東京下町レトロな谷中銀座を通り抜けて、根津へ。谷中・根津・千
駄木って電車で移動しようと思うとちょっと面倒だったりするんだけれ
ど、歩くとほんのちょっとのことらしい。はたしてここが根津神社。
5月の連休の頃には境内の斜面いっぱいに植えられたつつじがいっ
せいに咲いて『つつじ祭り』で賑わうのだそう。
そして、ここからすぐ近くのCのマンションに行って、桃の香り高い白
桃烏龍茶なるものを飲みながら、当世独身OL事情、根津事情など
を聞いた。夕食は彼女が作ってくれることになっていたけれど、長年
主婦をやっていると、買い物をしているところを見るだけで料理がで
きる人かできない人かわかってしまうもので、こりゃ彼女が作るの待
ってたら今夜は家に帰れなくなってしまうかも知れないぞ、と思った
ので
やめて、夜は根津のこぎれいな焼き鳥屋に行った。手前と奥
にテーブル席が全部で3つある他はカウンター席だけの、男の人が
1人でやっている店。にもかかわらず彼は実に手際よくオーダーした
ものを次々に皿に置き、待たされることもなかった。なかなかフレッシ
ュでおいしい焼き鳥だった。
更にその後、JAZZのレコードを良い音環境で聴かせてくれるという
バーに連れて行かれた。高級感のある品のいい静かな店で、私が
バドを聴きながら珈琲1杯飲む間に、Cは大好きだというシェリー酒
を3杯飲んだ。なんとこの店ノー・チャージで、私にはおつまみの代
わりにキスチョコが2個ついていたのに、払ったのは珈琲代500円。
思わず「これでやっていけるんですか?」と聞いてしまった。店主笑っ
て「さあ?」 ・・・・・・
常々、女が東京で1人働きながら生きてゆくのは厳しいと思っている
私だけれど、さびしいという感覚が麻痺するほどに孤独を飼い慣らし
Cは(まぁ、いろいろあるけど)なかなか快適そうなのであった。
イレギュラーな土曜日の記録。
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