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2008年9月 6日 (土)

オーガニックな香りを纏う

Kaori

昔からリネンルームのある家に憧れた。

家中のリネンをしまってある部屋。洗い立てのシャツにアイロンをかける部屋。

大きな窓からは緑いっぱいの庭が見え、さらにその向こうには海が見える。

窓を開け放つと風の匂いがして、お陽さまの光がリネンに当たって眩しい。

そんな家。

そしてお気に入りのシャツにアイロンをかけるときにリネンウォーターをシュッ。

たちまち爽やかに広がるハーブの香り。

あぁ、なんてしあわせなんでしょう ・・・・・・


そんなことを久しぶりに思い出してしまった。

いつかの暗い冬の午後、鬱々たる気分で歩いていて何気なく老女とすれ違った

とき、ハッとした。すれ違いざま、なんともいい香りがしたのだ。懐かしい、美しい

香り。その香りは私に忘れかけていたものを思い出させてくれたみたいだった。

それで私は何かに打たれたみたいになって、明るい気持ちで顔をあげて歩いた。

それから、今年のいつか、駅前の本屋でファッション雑誌を立ち読みしていたら、

突然フッとすごく良い香りがして辺りを見回したら、どうやらそれは今入ってきた

若い男の子がつけている香りのようだった。思わずとっつかまえて何をつけてい

るのか訊きたい衝動に駆られたけれど、変な人だと怯えられそうだったので残念

ながらあきらめた。


香りが好きだ。

赤坂の会社で男7人の中に女1人で働いていたときも、男たちはみんなお洒落で

様々に違う香りがした。私は「女だからってチャラチャラしやがって」と言われるの

が嫌で、彼らの中で浮かないように毎日男の子みたいなスーツを着て出勤してい

たけれど、朝アイロンの効いた白いシャツに袖を通したあとでかならずお気に入り

の香りを欠かさなかった。それもユニセックスな男性用の香水だったけれど、(多

分)男の人がつけたときとは違う、自分だけのささやかなアイデンティティー。

香りというのは、その人にニュアンスを与えるものだと思う。

たとえば煙草を吸う人には吸う人の所作とニュアンスがあり、お酒を飲む人には

飲む人の所作とニュアンスがあり、それはそれを持ってない人よりはずっと奥行

きを感じさせるもので好きだけれど、とりあえず人の健康を考えている私としては

どちらも控えめに、と言わなくてはならない。(特に女性で煙草を吸っている人は

吸っていない人より確実に肌が汚くなります。やめられるんならやめた方がいい。)

同様に着物を着る人には着る人の、お茶やお花や武道をする人にはする人の、

車の運転をする人にはする人だけの所作とニュアンスがある。そういうもののひと

つひとつの積み重ね、集大成がその人の雰囲気、イメージを作っているんだと思う。

香りはそのひとつ。

でも、それだけに本当に自分に合った好きな香りを見つけるのは難しい。

香りにいたっては私は長いことブルガリを愛用していて、人工香料もOK、・・・ の

つもりだったのだけれど、ある日突然それが駄目になってしまった。昨日までいい

香りだと思っていたのがある日急に耐えられないものになって、これってなんなん

だろうと思うけれど、それだけ人はメンタリティーのみならずフィジカルな部分でも

とても流動的な生きものなんだと思う。100パーセント、オーガニックな香水はそ

のアロマセラピー効果にも惹かれるものがあるけれど、エッセンシャル・オイル自

体の香りが強くて、イメージとしての香りのバリエーションや深みがなく、またすぐ

に香りが飛んでしまってつまらないものだと思っていた。

去年、妹の外来オペが終るのを待つ間の時間潰しに仕方なく入ったデパートで

吸い寄せられるように行った男性用の香水売り場。オーガニックなものもいくつ

かあって、そこでさんざん丁寧に接客してもらったものの、結局どれかひとつに

決められずに帰って来た。(その日はオリジンズで気分が明るくなりそうなオレン

ジ・ベースの軽いトワレを妹用に買った。)以来、自分自身は何もつけない日々

が続いている。私は香りがする人も(さっぱりと清潔なら)何も香りがしない人も

好きだけれど、夏が終って秋を感じる頃に物足りなさを感じて急に欲しくなるの

も香りなのだ。ちょうど先週髪を短くして、癖毛に悩んだ前髪をストレートにした

ら、なんだかますます男の子みたい、シャープになりすぎて素っ気なさすぎるくら

いの今の自分には何かが足りない。そこで前から気になっていたファファラの香

りのサンプルをオーダーした。

それが今日朝1で届いて、香りを試していたら冒頭の気分になってしまったとい

うわけ。オーガニックなパフュームは確かに香りの持続時間は短いけれど、思

った以上に深くてヴィヴィッドな香り立ちだった。付いてきたカタログを見れば、

ファファラの製品は100%オーガニック、しかも野生か有機栽培の植物から抽

出されているそうだ。カタログにはその原産国から植物の学名、部位、抽出方

法、有機認定、使用法などが詳細に載っていて、製品の全成分表示がされて

いる。その徹底ぶりにも感心したけれど、いいなと思ったのは最後のページに

世界中にある契約農家の写真が載っていて、そこに載っていたラベンダーを布

で包んで頭にのせて運ぶ女性や、キャレンドュラの花がいっぱい詰まったカゴを

両手に持って草原に立っている女性の健康的な笑顔! もちろん、野生のロー

ズマリーを摘む若い男性の姿もあれば、レモンを収穫するおじさんの姿もある。

みんな幸せそう。自然を相手に仕事をするのは楽なことじゃないし、特別豊かな

暮らしはできないだろうけど、こんな風に一日陽を浴びて、自然の芳香を感じな

がら地べたに座って今日の収穫物を選別したりして暮らすのも、都会でストレス

にまみれて暮らすより自分に合ってるんじゃないかと思った。そんなのも町っ子

のただの幻想かもしれないけれど ・・・

そういえば、私の夢にはリネンルームのほかに、好きな香りをパフュームから

バス・アイテムに至るまでフル・ラインナップで使う、ってのもあった。

私が思う、最高の贅沢!

いつかそれが叶う日がくるかどうかはわからないけれど、今夜はモロッコとブル

ガリアのローズと、アイリスとシダーの香りに包まれて眠ろう。

Kaori_01

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コメント


香りってそのものがストーンみたいになんかパワーを持ってるような感覚があって、
石を身につけるように、精油の小瓶を持ち歩いたりしてます。

今は旅の世界から離れちゃったけど、
いつの日か、“花やハーブを収穫する人たちのところに訪れる旅”を企画することがささやかなる野望でござります。

投稿: sizu | 2008年9月10日 (水) 02:22

sizuさま、
精油って実際にエネルギーあるんだと思うよ。
実はファファラのカタログを見ながら、あなたが好きそうだなあって思ったの。
よかったらカタログを取り寄せて見てください。
高い理念と徹底した管理のもとに、とてもハイ・クオリティな精油を作っています。
カタログも薄いけれど内容ぎっしり!
私が驚いたのは『プレシャスストーンオイル』っていうもので、それはなんとパワーストーンの情報をオイルに転写して、テーマに沿ったエッセンシャルオイルを加えた化粧オイルなんだけれど、情報っていうのは波動情報のことだよね?
日本ではパワーストーンをしてても未だに「パワーストーンってほんとに効くの?」って訊かれちゃうレベルだし、気や波動という言葉も認知されてない感じなのに。
スイスではすでにパワーストーンの力も波動の存在も認知されていて、しかもそれを技術として(売り物にできるレベルで)転写する方法も確立されているなんて・・・
日本ではこういうのはまだまだ怪しいと思っちゃう人が多いでしょうね、残念ながら。
プレシャスストーンオイルのボトルにはそれぞれシンボルとして小さなストーンが入ってるの。お洒落よね。
見てください

投稿: soukichi | 2008年9月10日 (水) 16:53

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