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2008年7月31日 (木)

この夏の収穫で

08natsunoshukaku

下の子は学校で野菜を育てているから、夏休みの間も水遣り当番や

実習で、けっこう学校に行かなきゃならない日がある。炎天下で日が

なモグラみたいに穴を掘らされたり、草むしりをさせられたりして日に

焼けて帰ってくる。日に焼けるだけならまだしもだけど、めちゃくちゃ

蚊に食われて帰ってきたりもする。菜園ではいろいろな生きものに出

くわして、どっひゃあーsign01なんてことがあったり、ハウスは死ぬほど

暑かったりするらしい。農業はほんとに大変だけど、そういうことをや

っている子は暑さにも強いし、とても健康的に見える。

おととい娘はスウィート・コーンの収穫に行って来ると言って学校に出

かけた。そして昼過ぎに玄関から「おかあさーん、おかあさーん!」と

言いながらバタバタ帰って来たと思ったら、「すごい収穫だよ!」とビ

ニール袋を差し出した。見るとスーパーのビニール袋が伸びそうなく

らいトマトが入っていた。トウモロコシも3本獲れたって。やったね!

でも夏野菜はちょっと見ぬ間に一気に大きくなってしまうのだ。

トウモロコシはちょっと収穫のタイミングが遅くて干からびかけてい

る。トマトは大きくなりすぎて亀裂が入ってる。大きすぎて重くて潰れ

ているのもある。でもトウモロコシは茹でたらだいぶプリッとした。

08natsunoshukaku_02

さて大量のトマトをどうするか。

今日で東京は20日連続真夏日だそうだ。こうも暑いと昼間は冷たい

麺のバリエーションが多くなるけれど、まずはサラダうどん。

Saradaudon

最初に野菜をみんな切っておいて、生うどんを茹でたら手早く水洗い

して器に盛り、ごま油をちょっとたらした麺つゆをぶっかけ、きゅうり、

レタス、トマト、ゆで卵をのせ、マヨネーズをかけて刻み海苔をかけた

ら出来上がり! いたって簡単。

食というのも記憶と密接に繋がっていて、これは三井ビルが仕事場

だったときによく食べた。当時はうどんにサラダ?麺つゆにマヨネー

ズ?と思ったけれど、これが意外に合うんだよね。

女性に人気のメニュー。

そして、亀裂の入ったのや潰れたトマトをベースに使って作った夏野

菜のカレー。

Natsuyasai_curry

これはよく炒めたニンニク、たまねぎに皮をむいてざく切りしたトマトを

入れ、ほかにニンジン、茄子、インゲン、かぼちゃが入ってます。野菜

だけのカレーだと息子が嫌がるので、鶏肉も少し入れて。

私はルーは適当に混ぜたのを使ってますが、市販のでもOK。

ただし野菜カレーはサラッとしてるほうがおいしい気がします。

まだまだ夏はこれからが本番!

みんなしっかり食べて夏バテしないようにしてくださいね!

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2008年7月30日 (水)

大口純一郎トリオ@サムタイム

Junichiro_ohkuchisometime

さて、月曜の夕方、働く主婦の私としてはいつもながら家を出る直前まで時間との戦

いをしていて、アタフタと家を出る。いつも悠々としているのは子どもばかりなり。

スタートの時間をちょっと過ぎてサムタイムに着くと、ちょうど最初の1曲めが終ったと

ころらしかった。この日のメンバーは大口純一郎(p)、米木康志(b)、原 大力(ds)

どの方も私には初めて。通された席はピアノの右斜め後ろ。ピアニストの指までがは

っきり見える位置だ。

そして、ピアノの前でグレーの帽子をかぶった大口さんは、土曜日の夜に見た大口

さんとは全くの別人だった。テイク・オフ直前の飛行機みたいな緊張感。当然のことか

もしれないけれど、うはぁ~、オンとオフでミュージシャンってこんなにも変わるのか、

と思った。

ドラマーをじっと見据えていた大口さんのカウントで演奏が始まる。強いアタック。

指先にまで力が漲っているのがわかる。そして、アップテンポになってくると足をバタ

バタさせてリズムをとるのだけれど、そんなに強く打ち付けたら足がどうかなるんじゃ

ないかというくらい強く床を蹴る。なんというか、凄くパワフル。そしてドラマーがまたす

ごい。こういうこと言ったら怒られるかもしれないけれど、ビースト(beast)系。

あの荒巻さんがドラマーになったんじゃないかと思ったくらいだ。唸るし吠えるしプレイ

がヒットすると豪快に声をたてて笑う。笑うドラマー。びっくり! 

そして、このドラマーの大力(だいりき、すごい名前!)さんが煽る。

でもよく見たら、ドラマーが煽ってるのか大口さんが煽ってるのか判別つかなくなった。

それくらい、あ・うんの呼吸だってことなんだけど。MCもほとんど無いまま続けて4曲。

お陰で何をやったのか頭からぶっ飛んでしまった。

そして、聴きながら、こういう音楽をやっていたのか、と思った。

大口さんは自分を断崖に追い込んでフレーズを叩き出すタイプのピアニストに見えた。

ピアニストがとても孤独に思えた瞬間。

事前に大口さんのホームページを見たらボサノヴァ・フリークとあって私はますます親

近感を持ってしまったのだけれど、こういう緊張度の高い人だからこそブラジル音楽、

ボサノヴァに惹かれるんだろうなぁ、とか。そんなステージの緊張感をもろともせず、

私のひとつ空いた隣りの席には頭のネジがユルそうな男女の2人連れ(まだカップル

ではないらしい)がいて、演奏中も頭の悪そうな会話を大声でしていてまいったのだけ

れど(「オレって危険な男だぜ」と言うから思わず彼を視界の隅に入れたら、確かにそ

の体重は危険かも、って思いました)この日は他にも誕生日の彼女を連れてきたカッ

プルがいて、ファーストセットの後にその女性のために大口さんがバースデイ・ソング

を弾くなんて一幕もあり。

そして、それが終るなり大口さん、途中でお知り合いとおぼしきご年配のご夫婦と青

年が1人私の後ろにきていたのに、客席もろくに見ずに控えのコーナーに戻ると何や

ら慌しく外に出て行ってしまった。戻ってきてやっと彼らに気づくと「やあ、来てくれてた

んですか。まぁ、お揃いで。僕は今日は飲めない。チキショー」なんて言っていて、更

に私に気づくと「あれ?おとといの今日でお早いことで」などとおっしゃる。「だって帰り

際に月曜のサムタイム来られる? って言ったじゃないですか」とやんわり言うと「そう

でしたっけね。でも、まさかほんとに来てくれるとは思わなかった」と、大口さん。

Junichiro_ohkuchisometime01

デートコースのカップルがみんな帰ってすっきりした頃にセカンド。

いつも思うことだけれど、セカンドになるといきなり音の聴こえ方が変わる。

大口さんの指も柔らかく、ファーストセットよりリラックスしたように感じた。確かギル・エ

ヴァンスとデューク・エリントンとセロニアス・モンクの曲、ラストにマイルスのスタンダー

ド『I could write a book』をやって、よく知っているスタンダードのせいか最後の曲のメ

ロだけが頭に入ってきた。終った後、思わずセカンドから隣りの席にいた年配の男性

に「すっごくパワフルですね」と言ったら、「凄いですよね。あれのどこが調子悪いんだ

か。彼は天才ですよ」とその男性は言った。演奏中、私の左隣でじーっとピアニストの

指先を見つめていたから、コアなファンかと思ったチューリップ・ハットの青年は、なん

と大口さんの息子さんだった。年配の女性が教えてくれた。芸大の音楽科を出てファ

ッション・ショーや演劇の音楽を書いているという、なかなか魅力的で面白そうなその

息子さんに、今までJAZZピアニストって難しいと思っていたけど、この間の花火大会

で大口さんがあんまり面白くていい人だったから今日初めて来たんです、と言ったら

彼は「そりゃ、すごく珍しいパターンです」と言って笑った。ふだんの大口さんは息子

から見てもやっぱり難しい人なのだそうだ。「最初にくだけたほうを見ていて、後から

こっち(プレイしているところ)を見た人ってのは、今までいなかったんじゃないかなぁ」

ってことだそうだ。息子さんにそう言われると、なんだかとっても得した気分ですねsmile

そうこうしているうちに妙齢の雰囲気のいい女性が近くにやってきたと思ったら、息子

クンが「母です」と紹介してくれた。この日はご家族3人で仲良くお帰りになったんでし

ょう。ライブに家族が来てくれるなんて、大口さん、しあわせですね。

最後のセットが1番良くなるだろうとは思ったけれど、息子君に「すごくパワフルでいい

演奏だったとお伝えください」とだけ言って、私はセカンド・セットでサムタイムを出た。

いつか、この日みたいなテンションの高いインプロヴィゼーションじゃなくて、大口さん

がとリラックスしてブラジル音楽をやっているところが聴きたいな、と思う。

できれば『オ・グランジ・アモール』かなんか。

結局また長くなったけれど、下はとても雰囲気のあった長髪のベーシスト、米木康志

さん。

Yasushi_yonekisometime

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2008年7月29日 (火)

NY、哀愁の黄昏/Major to Minor

Major_to_minor_2

昔は、もうすでに廃盤になってしまって普通では買えないレコードや日本では未発売

のレコードを手に入れたいと思ったら、中古レコード屋か輸入盤レコード屋の棚を片

っ端から見てまわるしかなかった。

それで探しているのとは違う、思ってもいなかった掘り出し物をみつけてラッキー♪

なんてこともたまにはあったけれど、今はそんなことをしなくてもインターネットに繋が

ったコンピュータさえあれば、家にいながらにして何でも探して手に入れられる便利な

時代。心身ともに健康なつもりの私でさえ否が応でも出不精の引きこもり傾向になっ

て、最近は仕事以外で積極的に出かけていくのは僅かな友人との約束とライブハウ

スだけってのもどうしたものかと思うけれど、それでも便利なことには違いなくて、先日

ヤフオクを検索していてたまたま見つけたのがこのCD、峰厚介クインテットのライブ

アルバム『メイジャー・トゥー・マイナー』。

聴いたらこれがとてもよかった。一言で言うとすごく大人のアルバム。

泣けるなぁと思いながら聴いていて、これはどうやったって10代のガキなんかにわか

るしろものじゃないよなぁ、と感慨に耽っていたら、件の10代クンがやってきて「泣け

るね」なんて言う。

「うん。泣ける」と言いながら、でも19で泣けるのと、40もいささか過ぎて泣けるのじゃ

もうその重みも泣き方も全然違うってもんだ、と思う私なのだった。

光陰矢のごとし。いつの間にか自分もずいぶんいい歳になったものです。

古澤良治郎のタイトで冴えたドラムで始まるタイトル曲のメイジャー・トゥー・マイナー。

緩慢さがどこか虚ろな峰厚介のサックスはバックの静かな白熱をよそに悠々と歌い、

そして大口純一郎のリリカルで美しいソロで始まるモーニング・アフター。

素晴らしいピアノ!

ここでのサックスは乾いた諦観を含みながら憂愁に満ち満ちた主題を奏で、まったく

泣ける。なんという洗練。そして徐々に熱を帯びてゆくサックスの間を縫うように岡田

勉のベースがシャドウをつけ、秋山一将の鮮烈にしてセンティメンタルなギターソロが

展開してゆく・・・

この1曲だけでショート・フィルムのように完成された作品。

これがスタンダードではなくて峰厚介のオリジナルだということに素直に驚いてしまう。

そしてこのアルバムを聴いてあらためて思ったのは、峰さんと秋山さんがとても似て

いるということ。これは感覚的に思うことでなんとも説明のしようがないけれど、ひとつ

の絵の中の同じトーンの別の色って感じだろうか。同様に秋山さんのライブ・アルバム

Quiet Storm/live at jazz inn LOVELY』で4曲のオリジナル曲に混じって秋山さんの

オリジナルと見紛うばかりの曲を書いたベースの岡田勉さんも秋山さんにとても似て

いると感じる人だ。岡田さんの作曲センスも素晴らしくて、それはこのアルバムの中

でも聴くことができる。

このアルバムがリリースされたのは1993年。

CDの裏にはメンバー全員の写真があるのだけれど、とにかく秋山さんが若くてびっ

くり! それも当然のことで、今の私にくらべたって全然若い。バンド・メンバー最年少

だった秋山さんはこの時38歳。

Major_to_minor_01

このアルバムの成功をもとに峰クインテットは1996年にニューヨーク・ツアーに行く。

そのときのことを、ちょうど先日の花火大会に来てらした大口純一郎さんに直接聞くこ

とができた。そのときすでにお酒がだいぶまわっていた大口さんに私がこのアルバム

のことを話して「ニューヨークは楽しかったですか?」と訊くと、大口さんからは即座に

「楽しかったよ!」という答えが返ってきた。「ニューヨークで秋山がハングアウトしちゃ

ってさ。それを僕が写真に撮ったんだけど、ちょうど通りにツートン・カラーのかっこい

いクルマがとまっててね、その前で撮ったのはいいんだけど、そのとき僕のカメラに入

ってたフィルムがたまたまモノクロで、できあがった写真見ても何いろかわかんないわ

け。それで先日、秋山から電話がかかってきて、あのときのクルマの色は何色だった

っけ? って訊くから、確かオレンジのような朱色のような色なんだけど、僕もいい加

減なことは言えないからネットで調べたら色見本みたいなサイトが出てきて、かば色っ

てのがあったから、これじゃないかと言ったら、それが今回のDr.Rain のジャケットの

空の色になったんだよ」なんて思いがけない裏話も飛び出して、とても楽しかった。

私は今までジャズ゙・バンドの中でもピアニストが一番知的でロジカルで難しい人じゃな

いかと思っていたから、あんなに素敵なピアノを弾くピアニストがこんなに明るくてアッ

ケラカンとオープンで面白い人だったと知って、すっかり嬉しくなってしまった。

前から友人には、ジャズをやっている年配のおじさんって親切で教えたがりの人が多

いんだよ、と言われて半信半疑だったけれど、大口さんが「ジャズを始めた人が僕の

ところに来て何か教えてくれと言ったら僕の持ってるものならみんなあげるよ。だって

日本にはもともと無かった異国の音楽をやってるんだからね」と言ったときにはちょっ

と感動してしまった。

まぁ、話はそんな音楽の話ばかりじゃなくて、自分が持って来たメンチカツ談義で盛り

上がってもいた大口さん。私の帰り際に玄関まで出てきてくれて「月曜のサムタイム

来られる?」なんて言うものだから実は昨夜行って来たところ。このまま続きを書こう

と思ったけれど、いささか長くなったので次の記事に続く。(次は短い。多分。)

タイトルはニューヨークが似合う峰さんと、このアルバムの印象から。

ちなみに2つめのライナー・ノーツを渋谷毅さんが書いていて、渋谷さんの文章はちょ

っと谷川俊太郎みたいで面白い。

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2008年7月28日 (月)

カルロスさんからサマーギフトが届いた。

Summer_gift

今日の午前中、銀行やら郵便局やらで用事をすませて家に帰って来

ると、息子が「もう届いたよ!凄いよ!」と言った。

見れば小さなダンボールいっぱいのCD。

昨夜カルロスさんからのメールで送ってくれたことは知っていたけれ

ど、実際に目にするとすごい量だ。これだけあるとコピーするだけでも

大変だけど、ちゃんときれいにジャケットまでカラーコピーしてセットさ

れてる。これだけ作るには相当時間がかかったんじゃないかなあ? 

ダンボール箱には例によって人間みたいな顔した猫が。

(ちょとアホです。)

Summer_gift_01

さっそくお礼のメールをすると、「うふふ wink 驚いた?でも意外と早くコ

ピれたんだよ。片手間にパソコン動かして2時間。楽なもんです」と返

事がきた。なんちゅー仕事の速さ。恐るべし、カルロス!

実はここには書くつもりじゃなかったのだけれど、なんと気の早いこと

に4月にはもうメールがきて出欠をとられた秋山さん宅での隅田川花

火大会見物。それが先週金曜にあって、そこで初めて会った我々。

初対面とは言っても今までさんざんブログのコメントやメールのやりと

りで、ある程度気心が知れているから、初対面同士がやる情報交換

なんて面倒なものも必要とせず、会うなり「おっ!」「やあ」てな感じな

のでした。

秋山さんの友人の現役一流JAZZミュージシャンたち総勢10数人に

混じって、まるで虎の穴に迷い込んだウサギくらい場違いな私であり

ましたが、そんなこともひとたび花火が始まればどこへやら、ベランダ

から間近で見る1万発の花火の迫力には圧倒された。

そして花火が終ってみんなが部屋に戻った後も、何やらベランダで話

しこんでいたカルロスさんとうちの息子。もともとプロのミュージシャン

目指してバリバリにギターを弾いてたというカルロスさんだから、音楽

のことは滅茶苦茶詳しい。そこでどうやら息子がカルロスさんにお勧

めCDをコピーしてくれと頼んだらしい。日曜にそれをやっているうちに

「ええい、めんどくせ~からこの際まとめてやっちまえ!」となって、こ

の量になったんだとか。

4月から『花火だheart01』と思っちゃう秋山さんと、すぐに「しゃらくせー!」

となっちゃうカルロスさん。実に江戸っ子ですなぁ smile

・・・ というわけで数えたら全部で22枚。・・・圧巻です!

Summer_gift_02

さて、それで息子が何を1番最初に聴いたかというと、アラン・ホール

ズワースです。何故か? それは息子が心酔する滝野聡がデビュー

当時に彼に影響を受けたと公言しているからで、でも息子自身はアラ

ン・ホールズワースは間が無い(音数が多すぎる)から嫌いと言って

いたんだけれど、カルロスさんにもらったCDをかけたらこれが良い♪

「おぉっ!この出だしは滝野聡にそっくり!いいじゃないコレ。好きだ

なあ、この音の響かせ方。すごくドリーミィだよ」なんて言っていたら、

息子も「確かに」なんて相槌を打つのでした。「でも滝野聡は間が絶

妙だよね」と言えば「それはジョン・スコの影響だよ」とか???

実は先日来、私はちょっと思うところあってしばらく音断ちでもするか

なぁ、と思っていたところなのだけれど、ま、この分じゃ無理ですね。

ずいぶん前にHMVにオーダーしていたCDも今日届いたし。

最後に、先日の花火大会で1番よく撮れた写真を1枚。

秋山さんの言うとおり、それは花火を通り越してまさしく宇宙戦争の

ようでした☆

08sumidagawa_hanabi_08

秋山さんの30年来のファンだったカルロスさんが、その30年後に秋

山さんの新譜のデザインをすることになった、というのもそうだけれど

カルロスさんがプロのミュージシャンになるのをやめたのは、秋山さ

んのギターを聴いたからだった、というのをこの日初めて知って、ます

ますカルロスさんにとって秋山さんは運命の人なんだなぁと思ったの

でした。その運命の人とリアルに出会うために、カルロスさんはきっと

私のブログにきたんでしょう。最初からそうなってたんだって気がしま

す。人の縁というのはなんて不思議なんでしょうね?

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2008年7月26日 (土)

アートな包み紙

Karintou_01

玄関のチャイムがピンポン♪と鳴って、荷物が届いたのが2週間前く

らいのこと。出て行って受け取るとAmazonでもHMVでもない。

書をつまびく、そして歌う』のブロガー、calligraphyさんからだった。

いつものごとく手書きのお手紙つきで、あることのお礼だと書いてあ

るけど、私はお礼なんてされることしてないゾと開けると、出てきたの

はかりんとうの包み。calligraphyさんのブログを一度でも見たことのあ

る人なら、この包みを見た瞬間、これが墨で書かれたものをピンクに

反転したものであることがすぐにわかるだろう。書家でパッケージ・デ

ザイナー彼女の手紙には「去年、手がけた仕事が形になったので、

宣伝がてら送ります」とあった。なので私もちょっと宣伝 ↓ 

                               東京カリント

包みを開けると袋に入った蜂蜜白かりんとうと蜂蜜黒かりんとうが。

Karintou_02

パッケージ・デザインにはもともと興味があったものの、calligraphyさ

んに会うまではお菓子の包みに書いてある文字をしげしげと見ること

もなかったけれど、何気なく食べているお菓子の袋に書いてある文

字も、実はcalligraphyさんみたいな方の試行錯誤の結果のものなん

ですね。そう、これはブログで見慣れた彼女の字なのだ。

Karintou_03

これを見ていて思ったのは、彼女にやって欲しい仕事のこと。

京都に行ったとき、店先にかかっている暖簾にとても惹かれた。

どれもとても粋な色と文字とデザインで、これだけ写真に撮っていて

も絵になるなぁと思った。それから提灯に書かれた字。手ぬぐいや、

そこから発展して浴衣地なんか。calligraphyさんだったら、古風なが

らも都会的なセンスにあふれた素敵なデザインのものができあがる

んじゃないかな?

さて、届いたのが休日だったのでさっそく開けて食べてみた。

Karintou_04

久しぶりに食べたかりんとうは、懐かしくて素朴な味。

この日も暑い日だったけれど、1日中クーラーの効いた部屋で冷たい

ものを飲んでいると身体がおかしくなるので、熱い玄米茶を入れて。

私も若い頃はアイスコーヒーが大好きだったけれど、今は珈琲は1年

中ホットしか飲まない。

私の仕事のパートナーによると、高給料亭に行って最初に出される

のはお煎茶ではなく、ほうじ茶か玄米茶なのだそうだ。胃に優しく身

体を温めるのはそういったお茶で、中でもほうじ茶がいちばん良い

そう。

暑い毎日が続きますが、たまには熱いお茶で一息、なんてのもいい

もんですね。皆さま、どうかご自愛のほど。_mさんもね!happy01

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2008年7月23日 (水)

健気なバラ

08lilac_rose_02

朝、目がさめた瞬間に右の瞼の下が重く、痛みがあって、これはきっ

とものもらいだと思ってすぐに鏡で見てみたけれど、はっきりしない。

「見た目にどうかなってる?」と家族に訊いてみるが全くのノー・リア

クションで、子どもたちの朝の無愛想さったらひどいものだけれど、

暑かろうが寒かろうが疲れていようが睡眠不足だろうが、常に毎日

コンスタントに機嫌よく家事をやっている主婦としては、いいかげん

にしてくれ、と思う。今日はそれから息子の不機嫌以上の不愉快な

ことがあって、いっそ今日は家を出てしまおうかと思ったけれど、思

いとどまってベランダに出た。すでに暑くなりかけたベランダではライ

ラック・ローズが1輪だけ咲いていた。そして私のベランダがもしバラ

だらけじゃなかったら、ずいぶんと殺風景で心癒されることもないだろ

うと思った。

先日の夜中、めずらしくMちゃんから電話がきた。Mは会社の経営

者で365日いつも忙しい人だから、こっちから電話をかけることはほ

とんど無い。1年に何度か、Mのほうから気まぐれに電話がきて、さ

んざん長電話した後に久しぶりに会おうか、ということになる。それで

この日を逃したら年内には会えない!と彼女が指定する日に、私が

彼女の家まで出かけて行くのだ。Mが電話をしてくるのは、たいてい

新たな恋(というかラブ・アフェア)について誰かに話したくてしょうが

ないときか、多忙な日常の張り詰めた糸が切れて、ふわっと気が抜

けた瞬間なんかが多い。そして久しぶりに電話をかけてきた女友達

はきまって私にこう訊く。「それで最近、浮いた話は?」

最近の私は彼女らの期待に反して、いともあっさり「無い」と答える。

多少、近況を話した後、いまは音楽とバラで充分なのだ、それで退

屈することもなく、恋愛をしていたときに較べてさえ今の方がずっと

すっきり健康的に暮らしてる、と言うと彼女達は「ふぅ~ん」と言う。

朝おきて顔を洗って歯を磨くようにいつも恋をしていたい、というM

からしたら最近の私なんか仙人みたいなものかもしれないけれど、

いい恋愛じゃなければそんなの何度したところでただ自分の人生に

業を積んでいるだけ、と悟ってしまった私からすれば、Mのしている

ことはただの空しい気晴らしに思える。それは私にとっては愛でも恋

でもなく、深情にしか見えない。業か徳か、どちらを積んでいるかなん

て、難しく考えなくたってその人の顔を見れば書いてある。良くない恋

は人の顔を少し不幸せにするから。Shadow of your smile じゃないけ

れど、私は彼女の微笑みの影を知ってる。

Mとの会話はいつだって楽しいけれど、最近は彼女と話すたびにいつ

も、私たちの価値観や感覚が激しくずれてしまったことを感じる。そして

過ぎてしまった時間について、考えずにはいられない。今じゃティーン・

エイジャーだったあの頃の私たちが想像もしなかった未来をお互い生

きていて。

結局この夜の電話は2時間半も続き、私はつくづくげんなりしたけれど、

Mはこの日、私が何気なく言った「愛情を浴びるようにして暮らしたい」

という言葉が妙に響いたようだった。なぜならそれは自分が望むことそ

のままだから、と。

「バラと言えば」とMが言った。

「今年もそうちゃんのバラいっぱい咲いたんだよ」

古い一軒家からアパートに引っ越すとき、増えてしまったバラをどうし

ても減らす必要があって、Mにもクルマで来てもらって持って行っても

らった。大株のオールド・ブラッシュ。椰子の木も枯らすMだから、最

初から枯れてもしょうがないと思っていたけれど、あれからもう10年

以上経って、一度も植え替えもしなければ肥料もあげていないのに

毎年、律儀に咲くという。

「花を数えたら100以上もあって、それでそうちゃんに電話しなきゃ、

しなきゃと思ってたんだ」

バラが咲いて私を思い出す、なんていうのは美しい話だけれど、そう

いえば去年、家に遊びに行ったときにもMはそんなことを言っていて

「白いバラがいっぱい咲いた」というので「白?!これってピンクのバ

ラだよ!なんたってオールド・ブラッシュっていうくらいなんだから!」

なんて会話をしたのだった。どうやら肥料切れをしているうちにピンク

のバラが白くなってしまったらしい。それで100以上も花をつけるな

んて、なんて健気な・・・・・

これだから、ともすると私は人よりバラのほうがよかったりするのだ。

大暑を過ぎた今日も暑かった。

瞼が見るからに腫れてきたので今日、何年ぶりかで眼科を訪ねたが

あいにく休診日だった。私は医者嫌いだけど例外的にここの眼科医

は好きで、遠視の眼鏡をかけた老医師はとても静かに話し、しんとし

た診察室は心地よい。待合室には音楽はかかっていなくて、向かい

合わせに置かれたソファの向こうにはガラス越しに庭の緑が輝き、私

はここに座っているといつも詩のフレーズが浮かんできて、もうちょっ

と私をここにいさせてくれないかな、と思う。でも彼ももはや高齢なの

だ。いつまで診察できるかわからない。

仕方なく今日は薬局でサルファ剤入りの目薬と、気休めにとっても安

いビタミンCとBのサプリメントを買って帰った。

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2008年7月21日 (月)

海の日のお皿

Kuwahara_tetsuo_04_2

今日は海の日。

子どもが夏休みに入ったとたんに梅雨も明けて、いよいよ夏本番だ。

・・・・・・ というわけで海を連想させるお皿。

一見するとどこが海なのかわからないかもしれないけれど、こんな風

に貝の刻印が6箇所押してあるのです。

Kuwahara_tetsuo_05

まるで白浜に打ち上げられた貝のようじゃありませんか?

少し深さがあって麺類にも、ちょっと洒落た丼物、散らし寿司なんか

にも合う繊細な雰囲気の粉引きの器。ただ前にも書いたけれど、桑

原哲夫の粉引きは繊細なだけあってチップしやすいのが難といえば

難。そうとう気を遣って取り扱っていてもいつのまにかチップしてしま

う。磁器と違って土物の、とりわけ信楽の土は柔らかくてチップした断

面が鋭利ではないので、小さいチップなら例外的に使っているけれ

ど。そして本日のお昼は、神戸のマクロビお菓子作りのプロhiehさん

が和風息子さんに作ってあげていたメニューをちょっとだけアレンジし

て、『揚げナスのぶっかけ素麺』

Bukkake

ナスの紫、シシトウの緑、ショウガの黄色、白髪葱の白がなかなか

涼しげなぶっかけ麺になりました。

とはいえ、作っているほうとしては大量のお湯で麺を茹でるのも、揚

げものをするのも暑いのだ。真夏に涼しげなもの、冷たいものを出す

のも大変です。主婦は暑いからって火を使いたくない、食べたくない

なんて言ってられない。みんなよくやってるよなぁ、と思います。

子どもがいる家の主婦には、長い夏休みが始まりました。

そうそう、暑い日が続くので(高齢の)父に電話しなきゃ・電話しなき

ゃ・しなきゃ・・・と思いつつできずにいたら、とうとう向こうからかかっ

てきました。今日、来るらしい。それなら夕飯でも食べていけば? 

と言ったものの、はたして何を作ろう?

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2008年7月17日 (木)

躍動するきれいな血/MUSIC FOREVER

Keiichi_yoshida

私が初めて吉田桂一さんのピアノを聴いたのは去年の暮れのこと

だ。新所沢スワンでの、荒巻バンドのライブ。

正直言ってファースト・セットでは吉田さんの(というか荒巻バンドの)

良さは今ひとつわからなかった。竹内直さんのサックスが聴きたいが

ために行ったライブで荒巻バンドのことは何も知らなかったし、おまけ

にその日、私はひどく頭痛がしていて、迷った末ににアスピリンを飲

んで出かけたのだった。(そんな日にライブに行くなよ!って話なので

すが、まぁ、それくらい行きたかったってことなのです。)それにスワン

のピアノがアップライトだった、ってことと、やった曲がフリーっぽい曲

だったせいもあるかもしれない。ただ、そのときは吉田さんの持つ静

かな佇まいとか雰囲気とかが頭に残って、少しばかり興味を持った。

私は次々に新しい音が必要なので年中いろいろなサイトをチェックし

ているのだけれど、後になってヤフオクをチェックしていたときに荒巻

バンドのライブCDが出ているのを見つけた。そういえばライブの後、

荒巻さんに新譜のチラシをもらったっけ。定価2940円のところ新品

なのに最初から2000円で出ていて、すぐに売れてしまうだろうと思

ったら、これがなかなか売れない。出品されてからすでに2ヶ月以上

が過ぎて価格も1600円まで下がったというのに、誰も落札する気配

がない。なので私が買った。ジャズのCDってほんとに売れないのね

~、なんて言いながら。そのとき息子は「そんなの買ってハズレても

知らないからね~」なんて皮肉を言っていたのだ。ところが。

届いたCDを聴き始めたら、「何、このピアノ!」と息子が言った。

結局、息子のほうがこのアルバムにハマってしまったのでした。

 ARAMAKI BAND  "LIVE" CHANGES Ⅲ

Aramaki_band

ライブアルバムといってもひと続きのライブではなくて、2004年に行

われたライブの中からベスト・テイクを収録したというこのアルバム。

ライブならではの臨場感が素晴らしく、荒巻さんの雄叫びもなんだか

妙にカッコよくて私たちはそうとう気に入ったのだけれど、最後(5曲

め)の曲なんか22分もあって、まぁ一般ウケはしないかもしれない。

そして更に、吉田桂一さんのピアノが聴きたくなって買ったのがこれ

なのだ。ミュージック・フォエバー。

このアルバムを一言で言うなら、すごく勢いがある。

スウィンギーでよく歌うピアノ。かといって軽やかに疾走するピアノじ

ゃなくて、桂一さんの深い情感が鍵盤にうまく乗っかって適度に重く

音楽への情熱がストレートに弾けているようなピアノ。

タイトルに『躍動するきれいな血』と書いたけれど、まさにそんな感じ

で、桂一さんのピアノを聴いていると、一音一音にフレッシュな血が

通っているのを感じるのです。そして、それはまさに吉田桂一という

人から放たれたもので、それは聴いている私にも伝播する。

私はこのアルバムをいつ聴いても気持ちがアッパーになります。

もちろん息子も絶賛で、あんまり良いので私はこれをある人に聴か

せたところ、「たしかにとても良いけれど、やっていることには新鮮さ

を感じなかった」と言われたのだけれど、私個人の感覚で言えば、

私にとっての鮮度とか新鮮さというのはスタイルとか選曲なんかより

その人の持った資質そのもの、そこから発せられる表現そのものの

ように感じます。あくまで素人リスナーの私にとっては、ですが。

さて、このアルバムの2曲めに入っているのは『FULL HOUSE』とい

うウェス・モンゴメリーの曲で、これが気に入った息子はずっとギター

で桂一さんのピアノをコピーしていたのだけれど、数日前のこと。

夜、いつものように2人でそれぞれのコンピュータのディスプレイを

見ていたとき、息子が突然言い出した。

「ウェス・モンゴメリーってオクターヴ奏法の代表格みたいに言われる

 人だから」

「(何を、突然)??・・・」

「僕は今までぜんぜん興味なかったんだけど、いま You Tubeで聴い

 たらすごかった!」

「そう。例の曲?」

「うん。感動した。聴いててドキドキしちゃった!」

そう言って息子はキラキラと実に爽やかな笑顔を見せたのである。

ひゃあー♪ そうかぁー、ドキドキかぁー、いいなあ~!

昔、時折り空から突然降ってくる言葉を頭で反芻しているとき、核心

に触れたような気がしてその場に立っていられないほどドキドキし

た。自分に才能があるような気がしてクラクラしちゃった。それで、そ

んなことくらいでドキドキ・クラクラしてるようじゃ身がもたないぞ、なん

て思ったものだ。今じゃそんなことも滅多になくなったけど、まさしくそ

のドキドキこそが(表現の発露の)要なんじゃないかと思うのだ。そし

てそれはこのアルバムの中にもある。ジャズ・ギタリストの作った曲を

ピアニストがカバーし、それをまたギター少年がコピる。まさにミュー

ジック・フォエバーな1枚。

このアルバムはジャズを聴いたことのない人にもおススメです。

さあ、みんな、楽しい音楽の時間だ!

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2008年7月15日 (火)

林檎のきもち

Ringo

例えば、よく喋る人と喋らない人では、一見喋らない人のほうが賢く

見える。同様に、口数の多い人と寡黙な人では、寡黙な人のほうが

思慮深く慎ましやかでミステリアスに見える。

つまり人からそこそこ興味を持たれて良く思われたいと思ったら、あ

まり人前では喋らずにいたほうが賢明で謎めいていていいってこと

だ。あまりはっきり正直にものを言わないこと。いつかブロガー友達

にも言ったのは、ブログを3年やってわかったのは、大抵の人は嘘

でもいいから人から褒められたいし、甘い言葉を言ってもらいたいの

だということ。それはいつも本当のことが欲しくてたまらない私には少

々がっかりなことだった。

そして、いつだって言うことより言わないことのほうが楽で簡単に決

まってる。何かを言う、言葉を発するということは、たかが小さなこと

でもエネルギーがいることで、自分を消耗させることだから。私も時

々それで、もうできるだけ人と話すまい、何も書くまいと思ってしまう

ことがある。

昨日、春頃から携帯でイラスト・サイトをやっている高校生の娘が、サ

イトのプロフィールの『好きな音楽』のところに『椎名林檎』と書いてお

いたら、コメントをくれた人が今夜の0時10分から椎名林檎がNHK

トップランナーという番組に出ると教えてくれたから見たいんだ、と

言った。彼女は息子に較べると自己主張の少ない大人しい子で、自

分からそんなことを言いだすのはとてもめずらしいことだったから、私

も一緒に見ることにした。

音楽表現ではあまりにリアルで正直な、時に過激すぎる椎名林檎で

はあるけれど、滅多にTVに出ない、ましてトーク番組で自分について

語るなんてことを一切しなかった彼女がそういう番組に出てきたこと

自体ちょっと驚きだったけれど、久しぶりに見た彼女はすっかり変わ

っていた。なんだかすっかり落ち着いて、穏やかでとても優しい顔に

なって。そう、彼女はお母さんになったんだ。そこがおっきな違いだ。

椎名林檎が語ったことを要約すると、若い女の子だったときは抑えき

れないエネルギーに突き動かされるようにして音楽表現をやっていて

最初は自分と根源的なつきあいをしてくれる人を探すための、あくま

でとっかかりとして『過激なことをしさえすれば、とりあえず見てくれる

んでしょう』的に名刺代わりにやったことがあまりにも世間に受け入

れられ、商業的に当たってしまって、当たってしまったがゆえに今度

はそれを延々とやらされそうな破目になったとき、これって全然違う

と思ったのだそうだ。ビデオクリップの中の過激に作られた自分を本

当の自分と思われてしまうことにも憤りがあったし、自分はこのまま

延々と見出しだけ書かされて、いつまでたっても本文に至らずに終る

のじゃないか、こんなの自分のほんとの名刺じゃない、こんなことして

たら自分は消耗するばかりだ、と。そして、このあたりで結婚して子ど

もを産んで育てる、というようなことをしないと自分はどうやってもまっ

とうにはなれないんじゃないかと思った。それから実際に結婚、出産

仕事である音楽活動を全面的に休止した。そのときの気持ちをインタ

ビュアーに訊かれて林檎は「子どもを産んだ人ならわかってもらえる

と思うけど」と、前置きした。その時点で私は彼女が次に何を言うか

わかってしまったのだけれど、彼女は初めて赤ちゃんを産んで育て始

めたら、これがこの世で自分にできる最高のことで、それ以上の仕事

なんかないと思ってしまった。もう、自分はこれでいいと。社会との繋

がりをぜんぶ絶った気でいた。

そして、そんな子育てに追われて日付の感覚もないまま疲れてTVを

ぼんやり見ていたとき、目に入ってきたのが9.11の映像だった。T

Vの中で起こっているあまりに悲惨な現実に、どうやってもそれが現

実だと受け入れることができなかった。世界ではこんな理不尽なこと

が起こっているのに、自分の傍らには安らかに眠る子どもの寝顔が

あって、ノホホンと暮らしている自分のことを考えたら社会との繋がり

を絶ってしまった自分が恥ずかしくなった。そして数日いろいろ考えた

末、自分に何ができるかわからないけれど、自分が大切だと思うまっ

とうなことを守るために、自分にできること=音楽で、私はこんな風に

思うよ、とか自分の思うことを言おうと思ってまた音楽活動を再開した

のだという。質問されるたびに、ちょっと考えて丁寧な言葉で話す林

檎はとても聡明な感じがした。最後にファンの女の子から「いま最も

大事にしていることを言葉で言うとすると何ですか?」と訊かれて、う

~ん、難しいなと言ってから、「実直、です」と答えていた。その答え

も理由も素晴らしいと思った。最近ほんとにいい歳になって、親友と

よく話すのはそのあたりのことだから。人としての率直さとか実直さ、

一期一会とか。心の入ってない相槌とか社交辞令とかまどろっこしい

ロジックとかもうそんなのどうだっていいの。私は素敵な人に会ったら

その場で素敵だと言いたいし、最高の音楽を聴かせてもらったらスト

レートに最高だったと伝えたい。そういうことにおいては私はちっとも

日本人ぽくなく、また大人でもないらしい。ときどき言った相手から思

いきり赤面されてこちらも赤面しちゃったり、そばにいた友人から窘め

られたり呆れられたりするけれど。まぁ、そして、たまには自分で言っ

た後で恥ずかしくなって自己嫌悪に陥ったりもするのだけれど。

言いたい、伝えたいという気持ちだけではそれはエゴにすぎないと言

えなくもないだろうけど、たとえもうすでに良い関係じゃなくなってしま

った相手から過去に言われた言葉(たとえば「君はアトラクティブな人

なんだから、こんなことで落ち込まないで頑張りなさい」とか「おまえ

の書くものはぜんぶ好きだ」とか「そうちゃんの書くものからは色彩を

感じる」とか)ですら後生大事にしている私なんかは、あながちそうで

もなかろうと思う。有名無名に関わらず、誰だっていつも元気でポジ

ティブでいられるわけじゃないし、落ち込んだときにその人を支えるの

が人から言われたつまらない些細な言葉であるかも知れないと思う

からだ。

『僕の言うことの半分は意味がないけれど、でも君に伝えたくて言う

のさ、ジュリア』という歌がある。ホワイト・アルバムの中でジョンン・レ

ノンが歌う『JULIA』。私は昔からこの歌が大好きなのだけれど、いつ

だって人との関係はこんな風にして始まる。そして、そんな風に思え

るとき、人はいかに消耗しようとも幸せなのだと思う。

ともあれ、新生・林檎の音楽活動は再開した。

椎名林檎の出演したトップランナーの再放送は、NHK教育で、今週

土曜日25:35から。

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2008年7月 8日 (火)

真夜中のオリジナル・ラヴ

Original_love

いきなりだけど、人間の感覚ってすごいもんですね。

昨日の夜中、キッチンで洗いものをしながら無意識に歌をくちづさん

でいて、ふと手をとめた。CDラックをガチャガチャやりながら、

「なんだか急にオリジナル・ラヴが聴きたくなった」

と言ったら、まだPCの前に座ってキーボードを叩いていた息子が

「夏だもんね」と言った。

『スクランブル』っていう曲が聴きたくて、手っ取り早くベスト・アルバ

ムでも聴こうと思ったのだけれどみつかんない。『結晶』でもいい?

と息子に聞くと、いいよ、と言う。だって僕、オリジナル・ラヴじゃ結晶

がいちばん好きだもんね。そうだったね、買った頃しばらくは自分の

部屋に持っていきっぱなしだったもんね。

ということはつまり、と私は言った。

「最初からジャズが好きだったってことだね。小学生の時から」

「そうか」と息子はぼぉっとした返事。意外と人から言われないと気づ

かないことってあるものだ。大体において全く憶えてないっていうの

が信じられないけれど、去年の初夏ごろまでロック・ギターにしか興

味のなかった息子。あるとき「ジャズ・ギターは難しすぎる。ロックの

早弾きなんて問題じゃない」と言うから、「だったらロックの曲ばっかり

やってないで、ジャズの教則本も1冊買って練習してみたら?」と言っ

たら、「ぜったい・やだね!」という返事が返ってきたので「あ・そ」と

放っておいたのだ。それが今やジャズ漬けだもんね。

「去年、そう言ってたよね?」とこのあいだ言ったら、「僕そんなこと言

ったっけ」だもの。やれやれ。耳にタコができるほど聴かされたツェッ

ペリンも、最近聴いたら新鮮なくらいだった。そして久々の『結晶』。

息子が1番好きな1曲めの『サイコロジー』はかっこいいベースで始

まる。これは田島貴男がジャズにハマっていた頃のアルバムで、当

時はアシッド・ジャズなんて言われた。モロにタイトルから『ミリオン・

シークレット・オブ・ジャズ』なんてのもある。数曲聴いたところで「この

アルバム完成度高いよね」と息子が言った。実に。全10曲捨て曲無

し!だ。曲もいいしミュージシャンが出してる音もいいけど、なんたっ

て田島貴男の声、ヴォーカルがいい。前にも書いたかもしれないけれ

ど、私が日本のポップロックのヴォーカリストで1番好きなのは田島

貴男です。最近、こういう大人の(という言い方もおかしいんだけれ

ど)バンドが全然ないよな、と思う。大体、芸術なんてほとんどおしな

べて不良のものなのに、いつから日本のポップスって今みたいに優

等生チックになっちゃったんでしょうね? テレビからもラジオからも

聴こえてくるのは歌い上げ系の元気出してねソングか、感動泣かせ

ソングばっかりだ。日本の若者だってみんながみんな癒されたい励

まされたい人ばっかりじゃないだろーと思うのに。実にうんざりで、

最近はラジオもつけられない有様。ギター持って出てくるだけでカッ

コイイとか、それでシャウトしたらプラスとマイナスのエネルギーがガ

ラスの破片みたいにキラキラ舞ってケガしちゃった、とか、そんなの

そろそろ出てこないでしょうか。

それにしても、どーして、夏になったとたんにオリジナル・ラヴが聴き

たくなるんだろう?

久しぶりに聴いた貴男ちゃんの歌はやっぱり切なかった。

音とか匂いとかって、記憶と密接に繋がっていて、一瞬にして意識を

ワープさせてしまう。

つまり、1年でもっともキラキラ輝いてて懐かしい、切なくて痛い夏が

また始まったんだ・・・・・・。

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2008年7月 7日 (月)

小さなオルソラ・スピノーラ

08orsola_spinola

今朝初めて、去年シャンタル・メリューと一緒に買ったギヨーのバラ、

オルソラ・スピノーラが咲いた。

と言っても、かろうじてこのバラが房咲きで香りのいいバラだとわかる

ほかは、本来の咲き方には程遠い小さな花だ。難なく美しい花を次

々咲かせたシャンタル・メリューと違って、か細い新苗からにょきにょ

き出てきた横張りの枝は、ひょろひょろ伸びるだけ伸びてほとんどが

ブラインド。枝先にやっと付いた小さな蕾たちも、大きくなる前にうどん

粉にやられて全滅した。オルソラ・スピノーラはひどくうどん粉病に弱

いことが判明。樹形はおかしいし、葉はボロボロだし、これは冬に大

幅に仕立て直す必要がありそう。

去年の春にバラの株元に植えたハーブ、ヤロー・ローズも初めて花

をつけた。濃いピンクの繊細な花のかたまり。

08yallow_rose

オールド・ローズやフレンチ・ローズに較べると、圧倒的な安定感を

持つイングリッシュ・ローズ。2番花も完璧なシャルロット。

08charlotte_09_2

08charlotte_10

そして夏のラッキー・フラワーだというピンクのクレマチス。

08clematis_04

昨日の夜半からの雨は朝にはやんだ。

空は曇っているけれど、今日は七夕。

あなたは今夜、短冊にどんな願いを?

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2008年7月 5日 (土)

本日棚卸しにつきPart.2

Cdtanaoroshi

さて、先日お知らせしたとおり、ブログ3周年記念棚卸し企画です♪

相変わらず滅茶苦茶なラインナップですが、なんたって、これはもう私

はいいかなってCDなので、お好きなものがあるかどうかはわからな

いけれど、もし欲しいものがありましたら、いつもの通り右下のメール

送信から『CDおくれ!』の件名で、欲しいCDタイトルと住所・氏名を

お送りください。もし希望がダブった場合は先着順とし、追ってご連絡

のうえ、メール便で発送します。また発送の際にはメールでお知らせ

します。CDは上段左から①~④、中段⑤~⑧、下段⑨~⑫です。

それでは以下、簡単にアルバム紹介。

****************************************************

①Joao Gilberto ao vivo / Eu sei que vou te amar

ボサノヴァが生まれて今年で50年。思えばたったの50年。先日ラジ

オ番組で「ボサノヴァに正確な誕生日があるとしたら、それは1958

年7月10日」と小野リサが言っていたけれど、その時点でジョアンと

ジョビンとモライスの3人は、いまのようなボサノヴァの普及を予測で

きたろうか?否。音楽家になれなかったらキチガイの烙印を押される

ところだったジョアン、1度は音楽を諦めてサラリーマンになったジョ

ビン、外交官をしながら詩を書き続けたモライス。そんなボサノヴァ

誕生50年に思いを馳せつつ聴いてほしい、ジョアン・ジルベルトのラ

イブ盤。ちなみにジョアンは今年4度目の来日が決まりました。東京

の日程は11月1日、2日。場所は東京国際フォーラムです。詳細そ

の他は公演オフィシャル・サイトへ ↓ 

               http://www.joao-concert.jp/

②Cafe Time-Wave / Bossa Deliciosa

ミウシャ&ジョビン、カルロス・リラ、ガル・コスタなどブラジルを代表す

るボサノヴァ・アーティスト、そしてポール・デズモンド、トゥーツ・シー

ルマンスといったジャズの名手、そして日本からは小野リサ、土岐英

史などの歌と演奏で綴る、今の季節にぴったりなボサノヴァのコンピ

レーション・アルバム。ただ僭越ながら言ってしまうと、こういうのは自

分で作ったほうが全然面白いんだよなぁ、と思う私なのです。

③Daniel Barenboim / BRAZILIAN RHAPSODY

ジャンルを超えてブラジル音楽に魅せられるミュージシャンは多い。

私の好きなホルショフスキだって何度にも渡るブラジル演奏旅行です

っかりブラジルが好きになり、晩年、目も耳もほとんど機能しなくなっ

て、暗譜した曲だけでリサイタルをやるようになってもヴィラ・ロボスの

曲を弾いてましたもの。これはクラシックのマエストロ、バレンボイム

がミルトン・ナシメントをフィーチャーしてピアノで奏でるブラジル音楽

へのオマージュ。全体的にはクラシック的ながらも、1曲目の『ティコ・

ティコ』は最高にカッコイイ。

④映画『CITY OF GOD』オリジナル・サウンド・トラック

これは『勝手気儘なシネマの日記』にも書いたけれど、圧倒的なスピ

ード感と美しくも衝撃的な映像、それにカッコイイ音楽で目も耳も釘付

けにされた映画『シティ・オブ・ゴッド』のサントラ盤。サンバ、ブラジリ

アン・ソウル、ファンク・サウンドなどがミックスした、陽気で危ないブラ

ジル・サウンド。ただ、ぜひ音楽だけじゃなくて映画も見てほしい。

⑤BON JOVI / CRUSH

私が唯一持ってるボンジョヴィ。なんで買ったのかはよく覚えてない

けど、たぶん『It's My Life』が聴きたかったんだと思う。私がボンジョ

ヴィを聴くというと友達は馬鹿にする。あ、息子も馬鹿にします。でも

私は全然平気だ。だって家を出る前にこれを聴くことで、ちょっと気

後れしちゃうようなセミナーにだってハイ・テンションで行けたんだか

ら。それで充分でしょ。シンプル・ストレートなロックから、泣けちゃう

ラブ・バラードまで。これけっこういいアルバムだと思うけどな。明日

どうしても勝たなきゃならないプレゼンがある人、自分の中に眠って

いる反骨精神を呼び覚ましたい人、におススメ。ただし、私くらい素

直(アホ)な人じゃないと駄目かもsmile

⑥B.B.KING★ERIC CLAPTON/RIDING WITH THE KING

これは正直言うとほとんど聴いてない。BBキングとエリック・クラプト

ンのゴージャスな組み合わせにやられての完全ジャケ買いでした。

だからコメントも特にないのだけれど、2人のギター、2人のヴォーカ

ルによるアルバム・タイトルともなった1曲目のRiding With The King

は文句なくゴージャスでカッコイイ。クラプトン好きの方に。

⑦everything but the girl / worldwide

私が初めてエヴリシング・バット・ザ・ガールを聴いたときのイメージを

一言で言うと、ガラス越しにざわめく緑。ちょっとアンニュイで知的で

ンドロジナスなトレイシー・ソーンの独特の声は、部屋の空気を一

変させてくれた。思えば、あの曲もボサノヴァだった。最近また聴きた

くなっに入れたこのCD『ワールド・ワイド』は、彼ら(ベン・ワット

トレイシー・ソーン)の6作めにして、アコースティックな頃の音に戻

たと言われる作品。アコースティック好きの方に。

⑧JOS VAN BEET TRIO/EVERYTHING FOR YOU

今回唯一のJAZZのアルバムは、澤野工房プロデュースのヨス・バ

ン・ビースト・トリオ。ハイ・ティーンの頃からジャズを聴いてた私にとっ

ては、ジャズを聴かないという人がジャズにどんなイメージを抱くのか

わからないけれど、ジャズにもいろいろある。ブルーノートでディナー

をとりながら聴くようなの(と言ってもそれだっていろいろあるけど)と

ひしめくような狭いライブハウスで激しいバトルならぬインプロヴィゼ

ーションが繰り広げられるようなのと。でもってこれは、テーブルにキ

ャンドルの灯された高級レストランでとるディナーって感じでしょうか。

ヨス・バン・ビーストの弾くピアノはリリカルで甘い。

JAZZ初心者におススメ。

⑨はじめてのやのあきこ/矢野顕子

アッコちゃんの音楽は、いっとき私の孤独の友だった。まだ子供が小

さくて、毎日泣きたいくらい大変だった頃の。といって、傷を舐めあう

ような甘っちょろいのじゃなくて、背中がシャンとするような。独りでピ

アノを弾きながら歌うアッコちゃんは、ピアノごと宙に浮かんでいて、

そこだけスポットで照らされていて後は断崖。彼女の歌う凛とした歌

声とピアノには、どれだけ勇気づけられたか知れない。矢野顕子の

音楽はグレン・グールドに次いで、私に孤独であることの素晴らしさ

を教えてくれる貴重な音楽なのだ。でも、ここでは音楽生活30周年

を記念して、槙原敬之、井上陽水、忌野清志郎、小田一正など豪華

ゲストとともに自作をデュエットしています。楽しげです。でも私はや

っぱり1人で歌う矢野顕子が好き。

⑩藤原由紀乃/ショパン・エチュード全集 Op.10&25

世の中にショパン好きは多い。今回唯一のクラシックのアルバムは

以前に三鷹シティ・オーケストラの定期公演を聴きに行ったときに客

演で演奏したピアニスト、藤原由紀乃のショパン・エチュード全集。

この三鷹シティ・オーケストラ(いまは三鷹市管弦楽団に名称が変わ

ってしまったようです)、いわゆるアマチュアの市民オケなのだけれど

初めて聴いたときはそのレベルの高さにびっくりした! とても素晴

らしいオケです。そして藤原由紀乃のピアノは私の好みとはちょっと

違うけれど、柔らかく穏やかな印象。

⑪Flamenco/ラ・ポーチャとフラメンコ舞踊団・サビーカス

これはタイトル通り、思いっきりフラメンコのアルバム。前半7曲をフラ

メンコ舞踊団が手拍子と靴音も賑やかに臨場感あふれる歌と踊りを

繰り広げ、後半7曲はフラメンコ・ギターの天才マエストロ、サビカス

のギター演奏、という構成。これはシンプルにフラメンコ好きの方に。

⑫ミュージシャンズ・オブ・アンダルシア

子供の頃からなぜか移民の音楽が好きだ。ジプシー・ミュージックも

好き。学校の音楽の時間は退屈だったけど、授業で聴いたハンガリ

ア舞曲は大好きだった。その血は息子にも引き継がれたらしく、息子

は小さい頃からチャルダーシュが好きだ。放浪願望っていうのは意外

と日本人のDNAにも刻まれてるんじゃないかと思う。このアルバムも

タイトル通り、アンダルシア地方に住むミュージシャン達の演奏を集

めたコンピレーション・アルバム。これはもうギター好きの方に。

****************************************************

以上12枚。決まりしだいブログ上でもわかるようしにて、ぜんぶ行き

先が決まった時点で終了とします。ではでは!happy01

追記:

⑪と⑫はフラメンコの店で働き始めたSさんに決まりました。

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