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2008年3月12日 (水)

(優しい気持ちで)Little Girl Blue

Rickie_lee_jones_2

まだ子供だった頃 世界はもっともっと幼くて

メリー・ゴーランドのように愉快に思えた

張りめぐらされたサーカスの天井にたくさんの星飾りたち

大好きな舞台の上でまたたいていた

でもいつしか世界も年老いて

キラキラしたときめきはどこかに消えてしまったの


座って、指折り数えてみて あなたに何ができる?

年をとった少女、子供の時代は終っちゃった

さあ座って、その小さな指で数えてみて

ついてない、悲劇の少女よ


座って、指折り数えてみて ふりかかる雨粒の数を

もうわかったの、

現実はこの落ちてくる雨粒ぐらいでしかないってこと


なすすべはないわ あきらめなさい

希望はどんどんちっぽけになってきたじゃない

ああ誰か、せめて優しくって素敵な男の子にでも

めぐり逢わせてくれないものかしら?

この悲劇の少女に


(Words & Music by John Bettis / Steven Porcaro 訳:土岐麻子)

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今朝、この歌をとても優しい気持ちで聴きながら、何気なく歌詞カー

ドを見て泣き出しそうになってしまった。ちょうど新しいカメラが届いて

(まだ荷物を開封できてもいないのに)トワイライトタイムのメリーゴー

ランドの写真を撮りにいきたいとか考えていたのとシンクロしちゃった

せいもあるかもしれないけれど。私は今日、体調が絶不調なせいで

どうやら感情が揺れやすくなっているのだった。

でも間違ってもらっちゃ困るけど、私はこの歌詞に自分を投影したわ

けじゃない。私は自分を悲劇のヒロインだなんて思ったことはないし、

だいいち私はこんなにペシミスティックじゃないもの。

いまや同士とも言える私のふるい男友達は、「あなたと私は人よりち

ょっとユニークな人生を歩んでるだけ」って言う。そう、ちょっと、ね。

でも『離婚』という事実だけを見れば、それだって今の世の中ではど

こにでもあるごくありふれたこと。それより私がこの歌を聴いて思い出

していたのはリッキー・リーのことなんだ。この歌はほんとに彼女に似

合うと思う。彼女が歌ったらきっともっと泣ける歌になるだろう。実際ど

こかで歌っていたっけかな?

私が彼女の歌を生で聴いたのはもう大昔のことだ。

その頃私は妊娠していて、ちょうど安定期に入ったところで、相手の

両親が住む北海道に行って帰って来たその日の夕方かなんかにコ

ンサートに出かけたのだ。新宿厚生年金会館。

そのときすでに一児の母になっていたリッキー・リーは、すっかり太っ

てかつてのスレンダーな美女の面影はなく、でも相変わらずボヘミア

ンな雰囲気で、重そうな身体をダフダフさせながらステージの上で飛

び跳ねていた。コンサートのパンフレットには、彼女がツアーに連れ

て歩いてる小さな愛娘が、楽屋の鏡の前でおしゃまな顔をしている

写真が載っていて、横にはしあわせそうに笑うリッキー・リーがいた。

それは、それまで幾度となくヘヴィなハートブレイクを繰り返しては精

神的な危機に落ちることもあった彼女が、初めて得た心底安心でき

る温かい巣のように思えたのだけれど。

その後しばらくしてリッキー・リーが離婚したことは知っていたけれど

数年前、フィガロ誌だったか『世界を魅了したミューズたち』みたいな

タイトルの特集号に載った彼女の写真を見てショックを受けた。すっ

かり痩せて、ストイックなまでに余分なものが削り落とされた彼女の

顔は、過酷な生活をしたネイティブ・インディアンみたいに酷薄な雰

囲気を漂わせていたからだ。そこにはかつてのコケティッシュな軽々

しさもなかった。そして私はそこに女がひとりで生きることの現実の

厳しさを見てしまったのだった。女が年をとるってこういうことなのよ。

もちろんリッキー・リーだって自分を悲劇のヒロインだなんて思っちゃ

いないだろうし、浮き沈みの激しいアメリカの音楽シーンをデビュー

からずっと第一線で生き抜いてきた人なのだから、とても強い人な

のだと思う。今になってさえ彼女のデビュー・アルバムを宝物のよう

に思っている人はいっぱいいるだろうし、それが証拠に東京のコット

ンクラブのチケットはすぐにソールド・アウトになってしまうくらいだし。

でも、この歌詞のなかにいる女の子はきっとどんな女の人の中にも

いて、特にちょっとへたばっているようなときには顔を出すんじゃない

かと思う。私はだからこの歌を、まだ若くてかわいくて甘々した希望

にあふれた土岐麻子の優しい声で聴きながら、頭の中でもっとエモ

ーショナルで痛切にリアルなリッキー・リー・ジョーンズの声に置き換

えて聴いているのだ。

A_long_time_ago_2 

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