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2007年8月30日 (木)

夏剪定

07lady_05

今日は娘の学校で早起きしたので、朝のわずかな時間と、仕事が終

ってから日の暮れまでの1時間、バラの夏剪定をした。

 夏の剪定は今月25日から9月10日頃までが適期。

 夏は木が生育中なので、休眠期の冬の剪定のようには深く切りこ

 まず、樹高の3分の1を目安に。弱っている木や下葉の落ちてしま

 った木はほかの木より浅めに切って葉を残し、落葉の激しい木は

 ほとんど切らずに残すが、ほんの少しでも全ての枝にハサミを入れ

 るのが基本。

夏の剪定について、私が昔からお手本にしているバラ本にはこうあ

る。基本的に四季咲きバラはどの種類であれ切っていいことになって

いるけれど、経験的に四季咲きイングリッシュでもきわめて伸張力が

悪いジェーン・オースティンや、クライマーの資質を持ったバラ、それ

からオールドローズについては弱剪定にしている。あまり悩んで考え

ていると時間ばかりかかるから、それ以外のバラについてはあまり

考えずに思い切って大胆に切ってゆく。アリとアブラムシがすっかり

いなくなってからは1週間に1度、夜に植物活性剤とニームを葉面散

布するくらいであまり何もしなくても良い状態だと思っていたら、今日

剪定するのによく木を観察したら、部分的に葉ダニが付いてるもの

やらカイガラムシが付いてるものやらあって油断がならない。やっぱ

り日々の観察は大事。全体の半分弱の株の剪定をしたところで今日

はタイムアップになってしまったけれど、それでもベランダは剪定した

枝の山。今まで伸び放題だったバラの木がだいぶすっきりした。すっ

きりしたバラの木を見ながら、私の伸び放題の髪も剪定したい、と思

う。6月にまたかならず来るから、と美容師の仁くんに言ったのが5月

の終わりだから、もう3ヶ月だ。いっそのこと坊主にするとか?

剪定の次に重要なのが肥料で、バラ本によれば適期は今月の15日

から20日となっているけれど、今月は30度以上の日が続いて、30

度以上になるとバラは肥料を吸収しないというので活性剤しか使って

こなかったから、これからやらねばならない。秋に美しく花を咲かせる

ために。

上の写真はレディ・ヒリンドン、下はニフェトス。

思うにティーローズは春より秋の花の方が良いように思う。

Niphetos04

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2007年8月29日 (水)

a night of dog days

Umessyu

暑いですねえ、と50ccのオートバイに乗って青年が遊びに来た

夕方から急に蒸して、仕事をする気にもならなかったので

ウィスキーを少し飲み、ベッドに引っくり返っていたところだ

めしは、ときくと、いいです、じゃ水でもお飲み

冷蔵庫からフリーザー・ポットを出し、コップに一杯注いでやる

コップはたちまち薄い霧に包まれ、それだけが涼しげ


にんげん、年とると、なぜボケるんでしょうかね、と青年がきく

なぜかな、ぼくのおやじも、死ぬ二、三年前から大分ボケた

とっても可哀そうだけど、しょうがないんだな、家族にとっちゃ

大問題、世間にとっても今や核持込み以上の難問だよ

それから詩人某君、某某君などのじいさん、ばあさんの話

どうすりゃボケなくなるんでしょう、さあね、分かんねえな


頭を使えとか、本を読めとかいうが、それで本当にシャンとす

るか

あんまし信用できねえな、そうですね、肉体だけいやに丈夫で

頭がパーって、おれもあんなになるのかと思うと、ゾーっとしま

すが

神さまにでも祈るんだねえ、こないだ新聞に、エリート高校生の

テレビ座談会があって、ある生徒が「役に立たない老人なぞ、

政府が法律で殺すべきです」

てなことを発言したと出ていたけど


そのTV、見た? いいえ、へーえ、すげえなあ、ほんと?

ほんとらしいよ、このアホガキめ、てめえが死ね、と思ったけど

その生徒、うちに垂れ流しのわがまま老人がいて、それで家じ

ゅう苦労してるんで、正直に感想を述べたのかもしれねえな

しばし沈黙、扇風機、低くうなり、部屋の隅にかたまった

新聞がはたはた鳴り、青年は水をごくりと飲み下す


まったく年をとるのってむずかしいな、おいおい、おれもそろそろ

じじいだぜ、いやだな、やめてよ、あした、いっしょに泳ぎに行きま

しょう、スイミングか、もう十年も泳がないけど

だいじょぶ、自転車とおんなしです。第一、そのおなか引っ込めな

きゃ、とつぜん鳴りひびく金管楽器の大音響

なんです、あのワーグナー? うん、下の二十歳くらいの


坊や、クラシック好きらしい、へーえ、変わったやろうがいるんだな

青年は近ごろ少し飽きてきたけれど

ニュー・ミュージックのファン、どっちが変わってるか分からないが

ああいうのが年とるとボケるの、といったので、こちら

思わず吹きだしちゃった、やがて、彼、帰り、闇の中で、

いつか、ぼく、

春のあさけ、夏のまひる、秋の夕べ、冬の夜も、と唄っている


(北村太郎/詩集『犬の時代』より『a night of dog days』)

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夏の終わり。

夏といえば北村太郎だ。

こんなことをここで書いたところで、独り言を言うのと同じで、どこか

らも相づちさえ返ってこないことはわかっているけれど、でも言う。

昔、なんだか妙に気になって本屋に入ると、かならず北村太郎の詩

集が出ているということが何度かあって、私は「呼ばれている」と思っ

た。まるで遠くにいる恋人から久しぶりに手紙が届いたみたいに嬉し

かった。だから、私がここに北村太郎ことを書くのは、私がまだ彼の

ことを忘れてないということを言うためだ。誰に、って北村太郎に。

頭のおかしなヤツだと思われるかも知れないけれど、グレン・グール

ドの嬉々としたピアノを聴いても、北村太郎のこんなリアルな詩を読

んでいても、また生きているジスモンチのピアノを聴いていたって、私

には信じられないのだ。人が死んで、跡形もなく何も無くなってしまう

とは。たぶん、コラソンみたいなものは残っていて、目に見えないだけ

で、思いのほか近くにいるような気がする。からだ、なんて重いもの

に縛られていないぶん、それはどこにでも瞬時にいける。たぶん私の

近くにも。だから、伝え続ける。

夏は異形たちが住む季節。

秋はもっと現実的にやってくる。

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追記:昨日、『ソウル』と書いたところを『コラソン』に変えた。

コラソンとはポルトガル語で、心。

ソウルより、スピリットより、いまの私にはしっくりくる。

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2007年8月28日 (火)

月が今にも消え入りそうです。

Gessyoku_5    

さっき、もうすぐ9時になろうとする頃、スーパーに向かって自転車で

走っていると携帯が鳴った。それまで何度か妹とメールでやりとりし

た後だったから、妹かと思って見たら、なんと某陶芸家さんだ。

彼から電話がくることなんて滅多にないから、スーパーの手前の公

園で慌てて自転車を止めて出たら、「いま月が」とおっしゃる。

よく聞こえなくて、「は? なんですか?」と聞き返したら、

「月が今にも消え入りそうです」と。

なんともソフトな優しい声でそう言うのです。

それで、実は私はそのとき閉店間際のスーパーへ急いでいるところ

だったのだけれど、自転車を降りて空を見上げてみた。

そうだ。すっかり忘れてたけど、今夜は皆既月食の日でしたね。

見上げた空に月は見えず、「え? どこどこ。見えない」と言うと、

「えー、方角的には南東の方です」と言う。

折りしも私の方は夕方から空がゴロゴロ鳴っていて、自転車のサド

ルが濡れていたから、俄か雨でも降ったらしい。まだ空は雷が鳴り

続けていて、どこを見ても月は見えない。そう言ったら、

「そうかあ。それじゃあ見えないかも知れないなあ」と鷹揚に言う。

彼はそんなことで電話してきたのでした。陶芸家ってなんて風流な

生きものなんでしょう。

元気ですか、と聞いたら「元気です」と言い、「そうきちさんは?」と

聞かれたから、「元気ですけど、いま怒ってたとこでした」と答えた。

春頃、妹がクラシックが聴きたいというから、私が最も大事にしてい

るCDを貸したらいっこうに返ってこないまま、返してもらおうと思った

ら妙に不機嫌になり、そのうえ探したけど無い、とあっさり言うのだ。

それどころか借りたことすら覚えてない、と。私がクラシックで最も大

事にしているモーツァルトの幻想曲が入ったホルショフスキーのピア

ノ・リサイタル第1集。3枚セットになってボックスに入った限定盤の

中の1枚で、たぶんもう2度と手に入らないヤツだ。

それで、妹のメールを見た後あまりのショックで、今夜は子供が2人

ともアルバイトでいないこともあって、夕飯の支度もしないでネットで

必死に検索すること数時間。どうやっても手に入りそうにないので、

やり場のない怒りを抱えながら外に出たところで、彼の優しい声を聞

いたのでした。しばし数分話して電話を切ってスーパーに駆け込むと

もう蛍の光が流れ出しているではないか。慌てて適当に明日の朝の

パンと紅茶のティーバッグとカップ麺を買い物かごに放り込んでレジ

へ。自転車に乗って空を見上げたら、月がとぷんと消えるのが見え

た。(気がした。)

なので私の今夜の夕飯は『赤いきつね』です。

ああ、今日のわたくし、なんと風流じゃないことよ。

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2007年8月26日 (日)

収穫祭

Shukakusai_05

子供の頃は地元の八幡神社のお祭りが楽しみだった。

お祭りに行けば仲良しの友達にも会えたし、人混みの中に好きな男

の子を探すこともできたから。このお祭りが終れば夏休みもお終い。

暦の上ではとっくに秋だし、収穫祭と名付けられたこのお祭りは、正

確に言えば夏祭りじゃなくて秋祭りなのかもしれない。

私の子供が小さかった頃、子供もこのお祭りが楽しみだった。

おばあちゃんはご馳走を用意して、おじいちゃんは花火をいっぱい買

って、孫が来るのを待っていた。今はもうその子供も大きくなって、も

うここのお祭りも楽しみではなくなった。おばあちゃんももういない。

八幡さまから実家に向かう途中に、雑草が鬱蒼と生えたひときわ暗

い場所があって、そこに来ると虫の鳴き声が物凄かった。いつもそこ

を通るたび、虫の圧倒的な鳴き声に自分の存在が凌駕されそうだと

思って、そう思ってから、虫の鳴き声に凌駕される自分の存在ってな

んなんだ、とか思ったりしたけど、もうそんな暗闇もない。

暑い暑いと言ってた夏も、日に日に日が短くなり、蝉の屍骸が炎天

の舗道で干からび、もはや断末魔の夏。

今日の夕暮れの風はずいぶん涼しくなっていた。

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Shukakusai_02

Shukakusai_03

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友達と2人で来るはずだった娘は、友達にバイトが入ってしまって私

に付いて来た。綿飴の前で私の父が、「リサは昔は綿飴が好きだっ

たけど」と言うから「今でも好きだよ」と言ったら、父は「じゃあ、買って

あげよう」と言ってふらっといなくなったと思ったら、綿飴を1袋買って

きた。高校生の娘は『ムシキング』の絵のついた綿飴の袋を持って電

車に乗った、8月最後の日曜の夜です。

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2007年8月25日 (土)

南の小さき島で

Hachijyoujima_2

東の沖から星たちが

まばたきをとざしはじめると

炎型(ひがた)をとどめる磯のはざまから

蒼い光芒がほのかに立ちのぼる


目ざめぎわの紫紺の海を背に

水けむりのように揺らめいたり

氷柱のごとき鮮やかなきらめきを放ち

日が射すと裡形の木偶(ひとかげ)になって

潮だまりにかげろう


はかない気をただよわせて

かげは日もすがら目目雑魚や蟹や

亀の手(せのかみ)や海星(ひとで)たちをいざない

遠い日の海をうたいつづける

草原や森にめでられた豊満な朝を

無垢で艶やかだった碧いうねりを


うた声は凪のみずもで潮騒とまじわり

嵐には海鳴りと和してとどろく

潮だまりのいきものたちも声にあわせて

唄い踊り海をにぎわし

失われた創生の血をよみがえらせる


 毒にまみれた碧い惑星の 南の小さき島で

 炎型の磯は いまなおけなげに原始をたもち

 目目雑魚や蟹や 亀の手や海星たちと

 たくましく碧い海を育んでいた


(平山昭一『南の小さき島で』/南海タイムスH19.8.10)

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聴いてないクラシックのCDを小さなダンボール箱ひとつ分と珈琲豆を

1袋、島にいるボスに送ったのは春のこと。そのお礼だと言って先日

故郷の青森からりんごジュースが送られてきた。片山りんご園という

のはボスの幼馴染で、もうずいぶん長いことずっと『暮らしの手帖』の

編集者をされている方がお持ちのりんご園だ。さっそくお礼を言って

いただいた。

片山りんご園のりんごは、バクタモンという天然素材の土壌改良剤を

使い、有機肥料を使って無袋で育てられ、樹上で完熟した実だけを

収穫して作られるそうだ。ビタミンC以外の添加物はいっさい加えて

いない100%ストレートのりんごジュース。りんごの品種はなんと10

種類以上あって、この箱には6種類のりんごジュースが6本入ってい

たのだけれど、見た目の色も違えば香りも、酸味と甘みのバランス

もそれぞれみんな違う。まるでりんごをそのまま齧っているようなフレ

ッシュな味。本物のりんごジュース、ってこういうものだったんだ、と

驚くような美味しさです。せっかくだから、ここに片山りんご園のホー

ムページをリンクしておこう。 → 片山りんご園

Appple_juice

そして、そんなことがあってしばらくしたらまたボスからメールがきた。

絵文字が踊ってる中に文面が埋もれているような、見ただけげんなり

するメール。何かというと「お前も物書きの端くれなら」なんて言う癖

に、物書きなら絵文字なんて使うな。いい歳をした男の人が老眼鏡を

かけて携帯で絵文字を打ってる姿なんて、想像しただけで忍びない。

用件はといえば、前に作った梅酢がいい色に熟成したから、手作り

の梅ジャムと一緒に送りたいが果たして食すか、というようなこと。な

んでも毎年田舎から梅が送られてきて、そのたびに作るのだそうだ。

無下にも断れないのでいただくことにしたら、先日、りんごジュースの

空き瓶に入った梅酢と、キムチの空き容器に入れられた梅ジャムが

送られてきた。こういうところが私の神経質でいけないところかもしれ

ないけれど、キムチが入ってたプラスチック容器なんて、いくら洗って

もキムチの匂いがするのに、なにゆえキムチの容器? なんて思って

息子にそう言ったら案の定、息子は「僕は食べないからね」なんて言

う。ともあれ、お礼をと思って電話をしたら、ボスは物書きの途中でで

もあったのか、やけに素っ気なく、味見をしたらまた電話ちょうだいと

すぐに切られた。インターネットで梅酢を使った料理など検索してみた

ものの、なんとなく気乗りがしないままそのままにしていたら、今度

は封書がきてしまった。「梅酢、ジャムのお味はいかがであったか

な」という一言に、先日島の新聞に掲載された詩が同封されていた。

もっと若い頃、新宿3丁目に事務所を構えていた頃は都会のクロコダ

イルダンディーみたいに元気だったボスも、いまや寄る年波で満身創

痍の体。あの頃は若い編集者に「家に遊びに来てくださいよ」なんて

言われても、「家庭の匂いなんかがするところに行きたくない」と言っ

て絶対に行かなかったのに、最近やたらと人の家に来たがるのは、

ボスも寂しくなったのかな。とはいえ、長年独りでやってきたから、今

さら人とうまくやることだってできないのだ。困ったものだ。

ちょうど娘が「そういえばボスの梅ジャムは?」と聞くので、朝焼いた

マフィンに塗って食べてみた。ボスの作った手作り梅ジャムはほろ酸

っぱい味。梅酢のほうは思いのほかまろやかで上品な味で、無糖の

炭酸水で割って飲んだらよさそうだ。残りの夏をクエン酸パワーで乗

り切ろう。

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2007年8月24日 (金)

angelseed さんの『天使の時計』

Angelseed

このブログを始めてまだ数ヶ月の頃にみつけてもらって、同じココログ

仲間、同じ年生まれとあって、以来仲良くおつきあいいただいている

angelseed さん。彼女は家庭画報大賞にオーブン陶土の作品を出品

して賞をとるなど、オーブン陶土の作家さんです。現在は家事と両立

しつつ、季節の雑貨を作る雑貨教室と、オーブン陶土で人形を作る粘

土教室を開いていらっしゃる。

そんな彼女は今月8月が誕生月。

2月生まれの私と半年違いで同じ歳になるangel さんに、先日布草

履を送ったら、入れ違いに彼女からも荷物が届きました。

小さな箱を開けると、出てきたのは上のオーブン陶土の置時計。

これはangel さんのブログでも見ていた『天使の時計』です。

実物を見ると写真以上に細かいところが丁寧に作られていて、よくで

きてる。ブログにはなかなか現実的なことばかりお書きになる彼女の

どこにいったいこんな発想があるんだろうと思うけれど(sorry)、彼女

の作品にはいつも童話の世界さながらのほのぼのした夢があって、

でも洗練された雑貨好きとあって甘過ぎず、オリジナリティがあって

素敵です。ここにも何度か書いたけれど、私は洗練されてない、いわ

ゆる手作りものが持つ甘さというのが苦手で、なかでも置物とか人形

というものに全く興味がなかったのだけれど、angel さんの作るもの

は別。彼女の作るものはちょこっと本棚に置いておいても絵になる。

そして、先ほどはあんな風に書いたけれど、今回小さなお写真付き

でいただいたお手紙を拝見したら、angel さんはベリー・ショートの髪

をした、私が想像した以上にかわいらしい方でした。どこか彼女の作

風にも似た、おっとり優しそうな方。この天使の時計は、今年高校に

入学したうちの娘にわざわざ作ってくれたそうです。嬉しいね。

時計には小さな試験管がセットされていて、1輪挿しにもなるので

す。こんな風に。

Angelseed_05_2

サイドにはフランス語で『ぶんぶんぶんハチが飛ぶ♪』の歌詞が

書かれて。

Angelseed_02_2 

angel さん、どうもありがとう~♪

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2007年8月22日 (水)

限りない自由の輝き/エグベルト・ジスモンチ@草月ホール

Egberto_gismonti_001_2 

私がエグベルト・ジスモンチを知ったきっかけは前にも書いた。

休日の朝に遅い朝食をとって、眠さに耐えかねて横になってうつらう

つらしていたときにラジオから聞こえてきたピアノ。その音のあまりの

気持ちよさに眠り込んでしまいそうになるのを制して起き上がって調

べたら、それがエグベルト・ジスモンチという人だった。曲のタイトルは

『And Zero』。ところが、その曲を聴くために買った『SOLO』というアル

バムで、1曲目のギターを聴いてもっと驚いた。幽玄、静謐、東洋思

想にも通じるようなその瞑想的なギターの音には鳥肌が立った。そ

のアルバムで聴く限り、ギターの素晴らしさの方がピアノを遥かに凌

いでいた。これは私の個人的な感じ方かも知れないが、ジスモンチ

が好んで不安定な半音を多様するせいか、(ラジオで聴く分にはわ

からなかったが)彼の弾くピアノには時折りミスタッチに聴こえてしま

う部分があって、それが少々気になった。

Egberto_gismonti_2 

そして昨日、青山の草月ホールで、ついにジスモンチを生で聴く機会

を得た。草月ホールはこじんまりとした小さなホールで、こんなところ

でジスモンチを聴けるとは、なんという贅沢だろう。息子と共に開演

30分前に着くとまだホールはガラガラで、席を確認してロビーを歩い

ていたら、ベンチで若い仕事仲間と語り合う音楽評論家のピーター・

バラカン氏を見つけた。16年ぶりの来日とあって、オーディエンスは

1970年当時からのファンとおぼしき年配の男性や、レコードやCDで

ジスモンチのギターを聴いてきた往年のギター少年や現ギター青年

たち(なぜなら演奏中、食い入るようにギターを弾くジスモンチの手を

見ていたから)と、前評判を聴いて何も知らずに来たミーハーな人た

ち(なぜなら退屈していたから)などで構成され、連日の暑さのせい

かやや散漫な雰囲気の中でステージは始まった。

写真で見ていたとおり、ヒッピーみたいな長い髪をひとつにまとめて

白のニットキャップ、ラフなスタイルでギター(8弦ギターと10弦ギタ

ーか)を2本抱えて現れたジスモンチは、おじぎをして椅子に座ると

軽くチューニングをして、特に集中するための間を置かずにそのまま

すぐに弾き始めた。最初の曲はなんと『SOLO』で私と息子を魅了し

た『アマゾンの密林』。左手で旋律を弾きながら右手でリズムを刻ん

だり、時に左手でギターを叩いてパーカッションの効果を出したりと、

大胆かつ自由自在な奏法で聴衆の目を釘付けにした。ところがどうし

たことだろう? 確かに超絶テクニックなのだけれど、最初にCDで聴

いた時ほどのインパクトを受けないのだ。場の雰囲気もあったと思う

が、音に集中しようとして目をつぶると眠くなってきてしまう。そして、

それは私だけではなかったようだ。ジスモンチが2本のギターを持ち

替えて計4曲を弾く間、綴れ織りのように複雑に紡ぎだされる音の迷

宮に気持ちよく絡めとられるようにうとうとしていたら、ドスン!という

物凄い音がした。すぐに眠っていた誰かが椅子から落ちたのだと思

ったが、落ちる前に慌てて踏みとどまった音だったらしい。

そして15分の休憩を挟んで、今度は譜面らしき紙だけ持って現れた

ジスモンチは、ギターを弾くときと同じように集中する間を置かずに、

椅子に座るか座らないかのうちにピアノを弾き始めた。彼はいつもこ

ういう弾き方をするんだろうか? 彼の中には聴衆には聴こえていな

い音楽が溢れていて、その一端をひゅっと掴んで音にする感じ。身体

のどこにも余分な力が入っていないリラックスした姿勢。驚くべきはそ

のタッチで、鍵盤に指が触れるか触れないかのうちに音が光の粒の

ように転がり始める。まるでピアノを弾いていると言うより、ピアノと戯

れているようだ。かといって常に軽いタッチで弾いているわけではなく

時に強いタッチでガンガンと弾きまくる。ピアニシモからフォルテまで

コントロール自在、緩急自在のタッチ。そして、それまでのジスモンチ

の雰囲気が変わったのが最後から2曲目くらいだったろうか。鍵盤に

指を下ろす前に一瞬ふっと気を入れる濃密な集中があって、鍵盤に

指が下ろされた。そのジスモンチの指から叩き出される音色の、な

んという柔らかさ。

私の癖で、充分に五感を委ねて音楽に浸ると、今度は自分のなかで

勝手に言葉探しが始まるのだが、正直言ってライブの途中までは、

自分の言葉を見つけられないでいた。ところが終盤にさしかかったと

ころでジスモンチの音風景からはっきり見えてきたのは、『自由』とい

う言葉だった。いとも易々といくらでも美しい音を創り出せるのに、楽

器を美しく鳴らすことだけに捉われない、ミスタッチにも、完璧を喫す

ることにも縛られない、いっさいの縛りから解き放たれて自由に、むし

ろ完璧さを壊すことを楽しんでいるかのようにさえ見える。完璧って極

まってフィックスした状態だから。それより不完全に流動し続ける今、

生きてはみ出し続ける今をライブに表現することの方にこそに喜びを

感じている人なんじゃないだろうか。それは指揮者の父を持ち、音楽

一家に生まれて5歳からアカデミックな音楽教育を受け、ウィーン留

学までしながら一転、ブラジル人としての自身のルーツを求めてアマ

ゾンの密林でインディオたちと暮らした経験によるものなのかもしれな

いし、子供の頃からアカデミックな絵画教育を受けたピカソが、晩年

になって一切の縛りを捨て、子供のように無邪気に自由に描きたい

と欲したのにも似ているかもしれない。

エグベルト・ジスモンチは即興芸術家のようだ。大きな白い壁に向か

って次々に色を投げつける。きれいな色も汚い色も。そのやり方は実

に実験的で自由自在、大胆でダイナミック。そして私は、その限りな

い『自由』からきらきらとこぼれる音の中に、最初にジスモンチに惹か

れたのと同じ音を見出した。夏の原っぱを満たす、しあわせな光のよ

うな音。途中、弾いているピアノ(スタインウェイ)から何かがピョンと

外へ飛び出して、思わず弾きながら立ち上がってジスモンチがピアノ

の中を覗きこむ、というハプニングがあって、会場が一瞬笑いで包ま

れた。正確に曲数は覚えていないが、ピアノの方がギターより多く弾

いて、全ての演奏が終る頃には、ジスモンチが着ていたブルーのシ

ャツは半分色が変わるほど汗で濡れていた。割れんばかりの聴衆の

拍手のなか退場し、場内の拍手がアンコールに変わったあと再び現

れた彼は、首にタオルを巻いたまま出てきた。更に1曲弾いて退場。

その後もかなり長い間アンコールを求める拍手が続いていたが、ス

テージのセットは片づけられ、会場が明るくなって終演となった。

草月ホールを出てから息子に、「ギターよりピアノの方がよかった」と

言ったら、「まじ?それって正気?」と言われた。だって、ああいうガン

ガン弾くピアノはあなたの好きなピアノじゃないじゃないか、と言うの

だ。「確かにガンガン弾くところもあったけれど、そこから立ち上るこの

上なく美しい音をみつけたんだよ。もうこれってアートそのものだと思

ったよ」と私は言った。

息子の評価は全く反対だったようだ。かくも音楽の感じ方は千差万

別にしてデリケート。そして最後に残念なことを書くと、私たちが会場

から出てきて最初に話題にしたのはジスモンチの演奏のことではな

く、観客のあまりのデリカシーの無さについてだった。場内が暗くなっ

てもう始まるというアナウンスがあった後でさえ携帯電話の着メロが

何度か鳴ったし、私の左隣りにいた見るからにアホ面の若い男の子

が最悪だったのだ。彼はきっと心底退屈だったのだろう、トイレでも

行きたいみたいに始終もちゃもちゃと動き、ときどき猿のようにガジ

ガジと音をたてて頭を掻いた。息子が私の席に座っていたら間違い

なく何か言っていただろう。それ以外にも途中、鞄の中をガサガサす

る人やら、場内は飲食禁止なのにペットボトルからドリンクを音を立

てて飲む人やら食べる人やら。客席の音がものすごくよく響く会場な

のに、あまりにも無神経すぎる。ジョアン・ジルベルトなら途中で演奏

を止めて帰ってしまったかもしれない。ライブっていうのはプレイヤー

とオーディエンスの波動が呼応しあってこそ最高になる、1回こっきり

の贅沢な場なのだ。できれば、それを充分に理解する愛ある聴衆と

だけ、一緒にジスモンチを聴きたかった、と思う。

それだけが非常に残念。

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2007年8月20日 (月)

ESTATE(夏のうた)

Natsu_no_kioku

失ったキスのように熱い

忘れたい愛に満ちている(私の心が)


毎日 私たちを温めた太陽

素晴らしい夕焼けを描いた

いま太陽はすさまじく灼けつく

冬はまた戻る

すべてのバラの花びらも落ちる

雪はすべてを覆い隠す

そうすれば多分少し平和が戻るだろう


その香水をそれぞれの花に分け与えた

私たちに愛を創ってくれた夏

私を苦しみで死なせるために


( Bruno Martino - Bruno Brighetti )


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ちょうどホームに着いた電車に乗り込むと、午後の電車は空いていて

座れた。外は灼熱の暑さだったけれど、電車に乗って窓から外を眺

めると、そこには夏の強い陽に照らされた、紛れもなくこの季節だけ

の美しさがあった。いつもそれは私を、夢の中で見た路地に迷い込ん

だような気持ちにさせる。いつか見た景色のようであってひどく懐かし

く、それでいて届かない。夢の中で懐かしい誰かの背中を追いかけ

ているようだ。私は彼の笑い方を知っている。私はもう一度それを見

たいと切望するが、でも彼は絶対に私に振り向かない。なぜなら全て

は失われた時間のなかにあるから。永遠の背中。

それから窓外の流れる景色は唐突に私に幾つかの記憶を思い出さ

せて私を苦しくさせた。いったい夏という季節には思い出がありすぎ

るのだ。とりわけ胸が苦しくなるような思い出が。そして私はいつまで

も夏の死骸のようなそれを手放せないでいる。

ESTATE(エスターテ)は夏。

夏の陽射しが強ければ強いほど、その影は深く、濃い。

ESTATEは、その影のような歌。

ため息とともに消えてゆく季節。

ESTATE。

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2007年8月19日 (日)

かまわぬ×コットンビーズdeわたしオリジナル

Original

私はたいていのことはできるし、人から器用だと言われることも多い

のだけれど、何を隠そう(あんまり言いたくないけど)お裁縫が苦手な

のです。その上、子供の頃から自分の力量にそぐわず完璧主義とき

てるから、家庭科の課題をいつも期限内に出せたためしはなく、通信

簿では家庭科はいつも2。結婚するときにいわゆる花嫁道具なるもの

を揃えていて母に「ミシンは?」と訊かれたときも、即座に「いらない」

と答えたものだ。服なんて既製品を買った方がもう安い時代だし、私

は一生既製品でOKな体型を保つから「いらない」と。ところがその時

横で聞いていた結婚相手が「いる!」というから「なんで?」と訊いた

ら「僕がミシンかける」と言うじゃあありませんか。それで「あら、そう」

と結局いちばん使い方が簡単でコンパクトで邪魔にならないミシンを

買ってもらったのだけれど、彼がミシンをかけたことは1度もありませ

ん。そんなわけなので、このミシン、かわいそうなことにたまーにしか

出てこない。子供の入園入学のときに必要なトートバッグやら体操着

入れやら袋物を(どうしても)縫わなきゃならないときとか。それから

気まぐれに思いつきでカーテンを縫ったりクッションを作ったりすると

きなんかに。あんまりたまなんで、毎度使い方を覚えていてよかった

下糸の巻き方を覚えていてよかった、ミシンがなんとか動いてくれて

よかった、というレベルです。やれやれ・・・・・・。

でも私は時々思いつく。思いついたらやらずにいられない。

・・・ ということで、今回思いついたのは、先日コットンビーズさんで買

ったいろいろ詰め合わせキットの布に、かまわぬの手ぬぐいで作っ

た鼻緒を付けて布草履を作ったら可愛かろう、ってなことなのでした。

で、さっそく作ってみました。

手ぬぐいにアイロンをかけて細く切り、5センチ幅に縫って鼻緒を作

る。細くて長い袋状の鼻緒をひっくり返すのにひと苦労・・・

写真では違う色に写っているけれど、鼻緒の柄と同じ紫と黒の草履

です。名付けて『銀座の柳』。なかなか渋いのができあがりました。

Original01jpg 

Original02_2

もうひとつは赤とピンクでカラフルで元気な布草履。

Original04

使った手ぬぐいは南天の柄だけど、それを夏の果実に見立てて、

これは名付けて『ナツミ』。

Original03

我ながらなかなか良いコンビネーションになったと思うのだけれど、

さていかがでしょう?

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『かまわぬ』の夏

Kamawanu_2

いまやすっかり私の夏の定番になってしまった布草履や下駄サンダ

ルだけれど、それよりずっと以前から季節を問わずに定番となってい

るのが『かまわぬ』の手ぬぐい。以前はハンカチといえば男物の大き

めの麻の白のハンカチ、と決めていた私だけれど、いまは手ぬぐい

専門。かならず出かけるときにはバッグに数枚入れてゆく。文字通り

ハンカチとして使うほかに、物を包んだり、ランチョンマットにしたり、

髪をまとめるのに使ったり、突然出先で雨に降られたら頭からかぶっ

たりもする。いろいろ使えてとても便利。旅行に行くときも、タオルの

ようにかさばらないし濡れてもすぐに乾くから、いつもたくさん持ってゆ

く。そうやってさんざん使い倒して染めが淡くなり生地がくたくたにな

っても、手ぬぐいは捨てない。ときには雑巾になったり食器棚の中で

作家物の器と器の間のクッションになったりして使い続けている。

私が今のように手ぬぐいを日常的に使うようになったのは、百貨店の

インショップで働いていたときに、私の働くショップの前で夏だけ期間

限定のプロモーションをやっていた、かまわぬさんの女の子と仲良く

なったのがきっかけだったと思う。男の子みたいに短く切ってカラーし

た髪が、タンポポみたいに可愛いボーイッシュな女の子だった。いま

や10年くらい前。その頃から『かまわぬ』は南青山のスパイラルビル

の1階にある『ショーケース』で夏の期間限定イベントをやっていたの

だけれど、その女の子に誘われて、私も一度だけそのイベントで働い

たことがある。1999年の夏、ちょうど失業していて仕事を探していた

頃だった。なんてったって期間限定だし、次の仕事が見つかるまでの

気分転換がてら、南青山は私が東京で1番好きな街でもあって、若

い女の子と働くのは楽しかった。

11日で終ってしまったけれど、今年もそのイベントがあって、先日少

しだけ覗きに行った。私がやっていたときは狭い店内に、手ぬぐいを

中心として浴衣や甚平、麻の巾着やバッグ、手ぬぐい製の団扇や扇

子、とんぼ玉のアクセサリーや江戸風鈴、南部鉄のモダンな急須や

削り箸、夏のポストカードと様々な雑貨であふれて、まさに『ニッポン

の夏のかわいいがいっぱい!』という感じだったけれど、今回は手ぬ

ぐいがほとんど。ちょっと気になったのは、手ぬぐい生地で作った日

傘と、ちょうどcalligraphyさんが書いたような、1枚1枚和紙に墨で手

書きで書い和アートな団扇くらいかな。数年前までは店に入るとか

ならず1人くらいは顔見知りの女の子がいて、こっそり社員割引価格

でお会計をしてくれたものだけど、最近は知らない女の子だけ。

の変遷を感じる。上の写真の入り口に飾ってある子供の甚平さんは

うちの息子にも着せた。藍染に白の、月に跳ねるうさぎ。うさぎ柄の

平を着た小さな息子は可愛かったなあ! 

なんだか私の幸せの象徴みたいでちょっと切ない。

1年ぶりで新しい手ぬぐいを買った。私の超定番である紫の疋田が

なっていたのはショックだ。こんなことなら、あるうちに買いだめし

とくんだった。去年買った黒と白の縞も、紫の縞もない。

かまわぬの手ぬぐいの色柄数々あれど、実際に自分が使うとなると

いつもシンプルな縞になってしまう。

Kamawanu_01

右は昔からある『よろけ』(縞)の赤。

左はこんな着物があったら着てみたいと思うグレーに茶の縞。

真ん中は青と白の爽やかな横縞。ともに柄の名前はわからない。

買ったばかりのパリっとしたサラシ布の感触も好きだけれど、何度も

使ってって、くたくたになってゆく布の感触も好き。

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2007年8月18日 (土)

小さな秋

Hagi_2

朝になってクーラーを切った。

窓を開けたら昨日久しぶりに大量に降った雨のせいで、思いのほか

涼しい大気。これで今日はひと息つけるかな。

公園の舗道の脇で、咲き始めた小さな秋をみつけた。

萩。

Hagi_01_2

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2007年8月16日 (木)

灼熱の薔薇

07rose_m10

連日35度を超える酷暑。

今朝も7時台で気温30度を超えた。

ところによっては38度を超えるところもあり。

もう、こんなに灼熱だとクルマのボンネットで目玉焼きができるどころ

かバーベキューができるんじゃないか? 

でもって道路に寝転べば岩盤浴ができたりして。

このところ朝でもすでにすごい暑さなので、バラの水遣りは夕暮れに

たっぷりやるようにしている。

こんな暑さでも、毎日バラは咲き続ける。

バラのすごいところは美しいだけじゃなくてタフなところだ。

そして雨続きよりは、太陽の方が好きらしい。

上はローズマリー。下はシャルロット。どちらも涼しげ。

07sharlotte03

暑いとバラにも突然変異が起こるらしい。

ほんとはレディ・メイアンディナってこんな花じゃないのだけれど。

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Lady_maiandina_02

外の暑さを忘れるような、優しげなイヴリン。

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シャリファ・アスマ。

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ライラック・ローズも春の長雨のときに較べたら格段に調子がいい。

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2007年8月15日 (水)

休日最後の贅沢

Sonate


  あるひとつの美しい音楽が、冷徹な男の心を変える。

  氷の壁のような男の心を融かし、熱い涙に変えてゆく。


***************************************************

何かをしながら聞くともなく聞いていたラジオから流れる音楽が、一

瞬にして私を捉える。その直感と連動したアンテナの動きは素晴らし

く『当たる』こともあれば、ごく稀に『外れる』こともあるけれど、そうや

って未知なる音楽と出会うことは私にとっては特にめずらしいことで

はない。

この映画のこともそうやって知った。ラジオから流れるピアノの音が

私の心を捉えたのだ。直感的に私は「この映画は良さそうだな」と思

った。折りしも去年の暮れに一緒に映画を見る約束をしてキャンセル

してしまった友人と、また映画を観ようという話が持ち上がっていた。

彼は医者でありながら作家志望の人間で、作家志望と言いながらす

でに(彼の望むジャンルではないにしろ)何冊かの本を上梓してい

た。でも、このところの彼はすっかり不遇であって、その不遇を突破

すべく執筆の拠点をしばらく海外に移そうとしていた。そして海外に

発つ前に一度会おうか、ということになっていたのだ。彼は言った。

どうせ君と僕の映画の趣味は違うだろうから、僕の選んだ映画を僕

がゴチするから、君の選んだ映画を僕にゴチしてくれないか、と。

オーライ、と私は言った。でも、結局のところ一緒にこの映画を観るに

は至らなかった。何故か。彼は少々理屈っぽい人ではあったけれど

頭の回転が良く、会えば会話はいつも盛り上がったし、何より私にと

っては数少ない生粋の東京人の友人だった。その友人が失意で海

外に行こうというときに、会っておくべきだろうとは思ったけれど、でも

午前に映画を1本観てランチをして、午後にまたもう1本映画を観てお

茶をする、つまりほぼ丸1日彼に時間を割くということが私にはできな

かったのだった。つまらないことを書けば、時間とお金に余裕のある

人なら義理のために少々投資するのはなんでもないことだろうが、い

つも頭の半分以上を仕事と家庭に持っていかれている私には、その

時そういう余裕がなかった。

そうして、上映時期が過ぎてしまったこの映画のことをあるブログで

書いたら、そのブロガーさんからこの映画が8月に小さな劇場で単館

上映されることを聞いた。そして今日ハンタさんに会うことは前から決

まっていたことだけれど、数日前になってそのことをふいに思い出し

て調べたら、なんと今月30日まで上映しているというではないか。こ

れはもう観るべきでしょうとハンタさんに「15日の超お勧めの提案が

あるんだけど」と電話したら、驚くことにハンタさんはその前日、ツタヤ

に行ってその映画のDVD借りようかと思って手に取ったけれど、ふと

15日にそうきちさんと映画観るのもいいなと思ってやめたんだ、なん

て言う。こんな風にして、どうやっても会う人とは会い、見るべきもの

は見るようにできているのだ、と思う。

前置きが長くなったけれど、そんなわけで今日ハンタさんと『善き人

のためのソナタ』を観てきた。場所は今日はめずらしくカメラを忘れて

写真でお見せできないのが残念だけれど、三軒茶屋の駅から5分、

『三軒茶屋中央』という、昭和の匂い漂うなんともレトロな小さな映画

館。差し障りのない程度に映画のことを少し書くと、時は1984年の

東ドイツ国家監視組織シュタージ(国家保安省)の厳重な監視下に

あった東ベルリン。国家への忠誠と社会主義のためには非人道的

な過酷な尋問も盗聴も辞さないシュタージの1人であるヴィースラー

は、反体制的な劇作家ドライマンと、その恋人で美貌の女優クリスタ

の監視を始める。部下と交替で24時間態勢で昼も夜も2人を監視

(盗聴)することで、初めて芸術家の自由な価値観に触れるヴィース

ラー。そしてシュタージから創作の権利を剥奪されて、長い苦悩の末

に演出家イェルスカが自殺した夜、ヴィースラーのヘッドフォンから聴

こえてきたのは、ドライマンの弾くピアノの音だった。イェルスカが芸

術こそ人の心を変え得ると信じて書いた『善き人のためのソナタ』。

それはヴィースラーの心を激しく揺さぶり、彼の中の何かを大きく変

える。無機質なまでに冷たい彼のブルーアイズから、きらきらとこぼ

れる涙。それはヴィースラーの出世どころか、彼の人生そのものを棒

に振らせてしまうような、大きな変化だった・・・

果たしてこの映画はやっぱりハンタさんと観るべき映画だった。

『イル・ポスティーノ』や『素晴らしきかな人生』など、音楽がとても良

い形で使われている映画はいろいろあるけれど、この映画もまた私

がとても好きな形で音楽が使われている。どう使われているかという

と、『大義』のために非人道的な行為や戦争や殺人も辞さない国家

体制や時の権力者やテロリストたちが『人間は変わらない』と断じる

のに対して、たったひとつの音楽が、一篇の詩が、人の心を変える力

を持つと信じているのが芸術家であるということだ。

いったいそれを信じられずして、どうして芸術家なんてやれるだろう?

映画を観終わった後、しばらく声も出せずにいた私たちは、その後場

所を私の好きなカフェに移して、時間を忘れて心ゆくまで話し合った。

濃く淹れたおいしい珈琲に、スペシャルデザート付き。

なんて贅沢な1日。

それにしてもベルリンの壁崩壊からたかだか17年、この映画の舞台

となった時代に遡ること5年を入れても、たった22年前の東ドイツが

こんな状況だったとは。信じられない。そして旧東ドイツ政権崩壊の

後、瞬く間に国家機密であるシュタージ文書が一般に公開されたこと

も驚愕に値する。

さて、あなたはこの映画を見終わった後、何を考えるだろうか?

 ☆ 善き人のためのソナタ

      三軒茶屋中央 で、現在上映中

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2007年8月14日 (火)

いっそ灼熱なら

Spa_set_2

更なる灼熱地獄で思い切り汗をかいてこようと今日は岩盤浴に行っ

てきた。↑ こんなスパ・セットを持って。

去年の夏から使っていてお気に入りの草花木花の夏のお手入れセ

ットや、いつもは買わないミネラルウォーターに10倍の酸素を充填し

たオキシゲン・ウォーター、それとコラーゲン・ウォーター。近場の温泉

をレジャーにするためのエトセトラ。

しかも今日は運動、とばかりに炎天下を自転車で行く。

『おふろの王様』へは多摩湖自転車道、通称、水道道路をまっすぐ行

くだけなのだ。緑が濃い木立の下、こんなオレンジコスモスが咲く道

を通って。炎天でも木立の下は風が気持ちいい。

Enten_01

暑くても原っぱで虫取りをして遊ぶ少年たち。

Enten_02

鮮やかなピンクの夾竹桃の下をくぐって。

Enten

走ること30分。やっと見えてきた。

でもやっぱり東京居残り組の考えることって同じらしくて、平日だとい

うのに(しかもこの暑さだというのに!)、『おふろの王様』はすごい混

み様。昼間から繰り広げられる酒池肉林、じゃなくて湯浴みの風景に

加わって、ジェット・バスで身体をほぐし、岩盤浴に行く。

岩盤浴は43度、47度、60度、そしてクールダウンのための12度の

アイスルームがあって、最初は1番低い温度の43度でお腹側を温め

る。それでも熱い。いつも最初の10分間は、到底こんなところに長く

はいられないとへなへな思う。ところがいったんその中で滝のように

汗をかいてしまうと平気になるから、あら不思議。結局、今日も休み

休み全ての部屋で汗を流した。仕上げは60度の塩の部屋で10分。

岩盤浴のすごいところは死ぬほど汗を流して身体がすっきりするだけ

じゃなくて、頭がすごくすっきりしてクリアーになるところだ。これが好

き。岩盤浴で大量に汗を流してデトックスした後は全身を洗ってすっ

きりして温泉に浸かる。露天風呂に入る頃には日暮れ時だ。寝転ん

で空を眺めながら温泉に浸かれる『寝湯』は最高。極楽じゃあ~

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2007年8月13日 (月)

遥か

Haruka

夏の色に憧れてた フツウの毎日

流されたり 逆らったり 続く細い道


君とめぐり会って もう一度サナギになった

嘘と本当の狭間で 消えかけた僕が


思い出からツギハギした 悲しいダイアリー

カギもかけず 旅立つのは 少し怖いけど


丘の上に立って 大きく息を吸い込んで

いま 心から言えるよ ニオイそうな I Love you


すぐに飛べそうな気がした背中

夢から醒めない翼


時の余白 塗り潰した あくびの後で

「幸せ」とか野暮な言葉 胸に抱いたままで


崩れそうな未来を 裸足で駆け抜けるような

そんな裏ワザも無いけど 明日にはきっと・・・


僕らそれぞれ 仰ぎ見る空

夢から醒めない翼


飛べそうな気がした背中

夢から醒めない翼


それぞれ仰ぎ見る空

夢から醒めない翼


遠い 遠い 遥かな場所へ


(スピッツ/『遥か』/作詞作曲:草野正宗)

***************************************************

朝のキッチンで食器を洗いながら自然に口から出てきたのは久しぶ

りのスピッツだった。

薄い胸に壊れやすいデリケートな夢と大いなる野生を抱いた20歳の

若者も、バンド結成から20年。今年40を迎えた。信じられない。

昨日クリス・ペプラーがいいこと言ってたな。

彼らにはいつまでたっても変わらない青い部分があるって。

青いって痛くて苦い。

それこそが若さの証拠。

私が好きなのは正宗のバツグンの言語感覚と、強靭なリズム隊にの

っかった鮮烈な彼の声。いつまでも背中をぞくぞくさせてほしい。

誰かと出会ってもういちどサナギになれるのは素敵なことだ。

遥かな夏空が私を呼ぶ。

私にもう一度メタモルフォーシスのチャンスを与えてくれないか?

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2007年8月12日 (日)

市民プール

Shiminpool

東京居残り組の考えることってみんな同じらしくて、思ったとおり市民

プールは混んでいた。スクールじゃないときくらい自分のペースでの

んびり泳ぎたいと思ったけれど、コースロープを張ってないところでは

とてもまともに泳げそうもなかったから、1コースと2コースで泳ぐ。

クロール、バック、平の順で数回泳ぎ、疲れたらデッキの椅子に座っ

て休む。ここは建ってからまだ比較的新しく、コンクリート打ちっぱな

しの建物はなかなかクールで、地下にあるプールを囲む斜面に配さ

れた緑が眩しい。この時期に行くとデッキに面した窓が全開になって

いて、外にチェアを出して日光浴をしている人もいる。開け放しのデッ

キチェアで濡れた身体に風を受けていると涼しいくらいだ。なんて気

持ちがいいんだろう。天然のクーラー。これがいちばんいい。

クラブのおばさま方は全面ガラス張りのここは日に焼けるから嫌だっ

て言うけれど、私は気にしない。そうやって肌のダメージを秋に持ち

越すことになるんだけれど。

Shiminpool_01

1人、とても泳ぎのうまい女の子がいた。彼女はターンを繰り返して

は、休むことなく一定の速さで泳ぎ続け、いくら泳いでもペースが落ち

ることなく、息が上がることもなかった。しばらくデッキで眺めていたら

彼女は自分のペースで不規則に、でもとても自然に左右でブレスをし

ている。つまり左右同じようにブレスができるということだ。

キックはあまり無駄に強く打つことなく、軽い2ビート・キック。彼女の

動きには無駄がなく、身体がよく伸びていて、スムースに重心移動

ができていた。彼女の泳ぎは他の誰よりも格段に早く、彼女はまる

で俊敏な魚みたいだった。

泳ぎが上手い人の特徴は、下半身から上半身への重心移動がスム

ースにできていて、そこで楽に推進力を得ていることだと思う。

彼女はとても若かったけれど、年を取っていたってそういう泳ぎはで

きるようになるのだ。的確な練習によって。

私が彼女みたいに泳げるようには、あと何年かかるだろう? 5年?

市民プールに行くには川沿いの道を走って行くのだけれど、この1週

間くらいの猛暑のせいで、川はすっかり干上がり、川底の石が白く乾

ききって白い道ができていた。

こんなんで水不足はだいじょうぶなんだろうか?

Shiminpool_02

泳いだ後はお腹が空いていてもすぐに何かを食べる気になれない。

そのあたりが自分には体力が無いと思う点だけれど、甘いものが欲

しくてモスバーガー寄ってコーヒー・シェイクを飲んでいたら、友人から

メールが来た。いま彼女たちは夏の中心に向かっているところなのだ

そうだ。彼女の実家は福岡。家を出る直前に撮ったとおぼしき下の子

の写真が付いていて。

彼女がかぶっているのはリサのお下がりの帽子。

勝手にここに載せたら後で怒られるかな? かわいいT。

Natsuyasumi_2

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2007年8月11日 (土)

新しい下駄サンダルを買った。

Zouri_01

すっかり私の夏の定番になった下駄サンダル。

数年前に買って、夏が来るたびに毎日愛用していた下駄サンダルが

だいぶボロくなってきたので、新しいのを買った。

今度のはフィットヒール下駄という名前のとおり、足裏に沿う様に足

型下駄に微妙な削りが施されたユニークな形。今までのはおばあち

ゃんが履いてもよさそうなペタンコで素朴な鼻緒の、いかにも近所に

行くときの普段使いの下駄だったけれど、これはクールでかっこい

い。ヒールもあるから、ジーンズやワンピースに合わせてもよさそう

だ。ヒールの高さ、6.5センチ。

Zouri_03

ふだんペタンコの靴しか履かないから、この高さはどうかなあと思っ

たけれど、履いたら意外や意外。すんなり足に馴染んで履きやすい。

身長が高くなった分、なんだか目線も上がっていい感じです。私は古

い着物をリメイクして作ったワンピースを2枚持っていて、それに合わ

せて履こうなんて思った先日。

ところが。

昨日、実際にそうやって夕方お出かけして帰ってきたら(その間わず

か数時間)、なんと両方の下駄のつま先が欠けているではありませ

んか。しかもしっかり。転んだわけでもなく、ふだんから下駄は履きな

れているのに、なにゆえ? 天然の桐の木を使っているので、もしか

したらたまたま部分的に柔らかく脆かったのかと思ったけれど、下ろ

したてであんまりショックだったので写真付きで買ったサイトに問い合

わせたところ、今日からお盆休みで返事は休日明けになるだろうと思

っていたにもかかわらず、責任者の竹虎四代目さんからすぐに丁寧

なお詫びのメールが返ってきました。

よろしければすぐに交換商品を送ります、とのこと。また返金にも応じ

る、ということなので商品の交換をお願いするメールを送ったら、なん

と今朝の7時にまた返事がきていました。本来なら休日なはずなの

に。それで今日は朝からすっかり竹虎四代目さんの仕事に対する姿

勢にまいってしまって、竹虎さんのサイトで会員登録をして、新たに

竹炭ハミガキと洗濯の濯ぎが1回で済む『竹炭の洗い水』という洗剤

を新たにオーダーしてしまった私です。私も百貨店勤務をしていた頃

は、それほど多くはないものの、お客様からクレームの電話を受けま

した。中にはとても理不尽きわまる自分勝手なクレームもあったけれ

ど、そんなときでさえ百貨店は100%『お客様は神様』。百貨店の教

育担当がよく言っていたのは、『クレーム転じて福となせ』ということ

で、今日のはまさにその良い例ではないかと思う。

竹虎四代目さん、素晴らしいです。

下駄サンダルの話から始まって話が別のところに逸れたけれど、竹

虎さんのサイトには、エコやロハスなんて言葉が無い古来から、日本

人が大事にしてきた智恵や技が詰まった商品がいっぱいなので、よ

かったらご覧ください。↓

    竹炭/竹酢液/竹皮 草履(ぞうり)の販売/TAKETORA

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夏休み

Queen_of_sweden10

夏休みだ。今日も暑い!

ここ1週間くらい毎日、今日がこの夏最高の暑さなんじゃないかと思っ

て過ごしているけれど、今日はほんとにこの夏最高の気温になった

らしい。午後1時の時点で36.5度。ついに自分の体温を超えた。

夏休みだからといって海外旅行はおろか国内旅行の予定も入ってな

い。ラジオを聴いてたら私みたいなのを『東京居残り組』って言うんだ

って。まあ、なんとでもお言い。

シャワーを浴びる。キャミソールを着る。めずらしくスカート。

夏の女性の特権は薄着になれること。

クーラーと扇風機、クール・ボッサの流れる部屋から1歩外に出た途

端、太陽に抱かれる。熱い抱擁(^-^)

我が家では食事のときに私が出したものを完食して子供が「ああ、も

うお腹いっぱい」と言うと必ず「よかったね」と言うことにしている。世

界にはお腹いっぱい食べられない人たちがたくさんいるんだから。

今朝、息子が遅くにひどくアンニュイに起きてきて暑い暑いと言って

いたから、「暑い」と言った後に「嬉しい!」とか「ああ、最高!」と言

えと言った。頭がおかしいと思われるかも知れないけれど、私は実際

にそう言ってるんだもの。真冬の寒いときは思わず「寒い!」と言った

後に「生きてる感じ!」と続ける。そうするとほんとに生きてる感じが

してくるじゃあないですか。生きる歓び。

どうにもならないことで不快を口にしたって、そんな自分が嫌になるだ

け。「暑い!」と言った後に「ああ、最高」と言うと、なんだかほんとに

最高な気がしてくる。ここはタヒチじゃなくて東京だけど。だって、この

感じは夏しか味わえないんだし。仮に残りの人生をぜんぶ南極で生

きなきゃならないとなったら、きっとこの暑さだって恋しく思うと思うよ。

休日に『何もしない、をする』は私にとってある種憧れだけど、この性

格じゃ無理だろうな。休日こそ毎日スイミングクラブに行って泳ぎたい

ところだけど、あいにくクラブは16日まで夏季休業なのだ。

とりあえず今日は大人しくしていることにして、明日は朝1で市民プー

ルにでも行こうか。

写真は私のシャビィな夏の庭で涼しげに咲いていた、クイーン・オブ・

スウェーデン。真夏でもどこまでも涼しげな瞳。

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2007年8月 8日 (水)

超簡単!夏のおかず/鰺のマリネ

Aji_no_marine_01

昨日、暦の上では立秋を迎えたけれど、わずかに日が短くなったと

感じるくらいで、相変わらず毎日暑い。

こう暑いと、もう全然食欲がない、なんて人も出てくる頃じゃないかと

思うけれど、私自身はそんなことは全然なくて、毎日朝から3食ちゃ

んと食べてます。もともと自分には基礎体力が無い上、細くて身体に

溜めが無いので食べないともたないというのと、エネルギー放出型

の人間なのですぐにお腹が空いてしまうのと、「暑くて食べられない」

とか言ってられない状況が長く続いたせいで、すっかりタフになってし

まったらしい。むしろ子供が家にいる夏休みは、自分の食欲云々より

毎日3食作ることのほうが問題なのだ。子供に何が食べたいか聞い

てもたいてい「何でもいい」と返ってくるし、子供の言いなりに作ってる

と年中麺類(しかも夏は冷たい麺類)ばかり食べてなきゃならないこ

とになる。でもそれじゃあ身体が冷えてしまうし、スタミナ不足になろ

うと言うものです。夏の元気食といえば辛いものと酸っぱいもの。

カレーに含まれるウコン(ターメリック)は消化作用と健胃作用、代謝

を上げる作用があって大変よろしい。ウコン以外にもカレーに使われ

るスパイスには良い効果を持つものがいっぱいある。

*参照 → スパイスの効用と特徴について。

そして酢は、クエン酸効果、疲労回復に効果がある。→ 酢の効用

というわけで、今日は前から作ってみようと思っていた『鰺のマリネ』

を作ることにした。とはいえ、私は料理はたいていのことはやるけれ

ど、魚をさばくのは苦手&嫌いなのです。(キッチンが魚臭くなるか

ら。) で、男の人でもできる、超簡単な鰺のマリネの作り方。

用意するのは、三枚におろしてある鰺(5枚で280円。自分でおろす

方は小鰺がいっぱい入ったパックの方が安上がり。200円くらい。)

片栗粉。ニンジン、ピーマン、たまねぎ。料理酒、塩、コショウ少々。

マリネ液(酢:100ml、しょうゆ:30ml、だし:150ml、砂糖:15g)。

バットかボウルに、薄く切って水でさらしたタマネギと、千切りのニン

ジン、ピーマンを入れ、マリネ液を注いでコショウを振り、軽く混ぜて

おく。おろした鰺に酒、塩少々を振り、両面に片栗粉を付け、160~

170℃の油で揚げる。面倒でも2度揚げすると骨まで柔らかくなって

おいしい。揚がったら熱いうちにマリネ液に漬けて、冷蔵庫で30分

から1時間。たった、これだけです。

暑いときに揚げ物をするのが嫌という人もいるだろうけど、食べると

きは冷え冷えだし、甘酸っぱい味は食欲をそそります。

私はいざ鰺に片栗粉を付けようというときになって片栗粉が少ししか

ないのに気づいて、引き出しにたまたまあった唐揚げ粉を混ぜて揚

げたのだけれど、これはなかなかグーでした。お勧め。マリネ液も前

に使った市販のが冷蔵庫に残っていたので、野菜を切って鰺を揚げ

てマリネ液に漬けるだけというお手軽さ。私は鰺を2パック買って作っ

たのだけれど、思った以上にボリュームがあって、野菜もたくさん摂

れて、これは酢の苦手な男の人でもOKじゃないかなあ。

鰺の代わりにイカリングを使っても良さそうです。

あ、いま写真見て気づいたけれど、トマトも入れたんでした。

Aji_no_marine

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真夏のバラ③

Summer_roses

我が家のダイニングルームは昼間でも電気をつけないと暗いのだけ

れど、このところあまりの暑さに、電気をつけないことにした。

夜は夜で、キャンドル・ナイトにしようかなどと話したりして。

真夏のバラは朝開いた途端に傷んでしまう。

早々に切ってテーブルに飾った。

正面から時計回りにジェーン・オースティン、ヘリテイジ、ライラック・ロ

ーズ、クイーン・オブ・スウェーデン。こちらはジャックと豆の木のよう

に伸びるクイーン・オブ・スウェーデンを正面にして。

Summer_roses_01

そして今朝、私のベランダで初めてルイ14世が咲いた。

株が成熟していないので花は小さく、色も黒バラというには淡いけれ

ど、香りは濃厚なダマスクの香り。

Louis14

イングリッシュローズの中ではきわめて成長が遅いと思うジェーン・オ

ースティンの3番花もやっと咲いた。

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2007年8月 5日 (日)

いま雨が降りだした

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さっきまで晴れていたのに、いま見たら景色に斜線が入っている。

ついに私のおめめに斜線が入ったかと思ったら、ほんとに雨だ。

これで今夜はクーラーなしでも涼しく眠れるかな。

写真は本日のバラ。上は粉粧楼。下はグラミス・キャッスル。

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ライラック・ローズもふたたび蕾をほころばせ始めた。

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1ℓ for 10ℓ

Volvic

このCMがTVで放映され始めたのは確か先月からだったと思うけれ

ど、私が最近、最もパワフルだと感じているのがヴォルヴィックのC

Mだ。皆さんも見たことあると思うけれど、

  for 10ℓ

というキャッチコピーが目に飛び込んできたと同時に、「ヴォルヴィッ

クのお買い上げ1ℓごとに、アフリカに清潔で安全な水が10ℓ生まれ

ます」というナレーションが続き、アフリカの子供がおいしそうにきれ

いな水を飲んでいる映像が映しだされる。それだけ。きわめて簡潔

にして的確。このキャッチコピーのすごいところは、企業のビジョンと

狙いとを、たった一言で万人に目で見てわかるように表現したところ

だと思う。そして、そのビジョンと狙いをかなえる行動とはたったひと

つだけ。ヴォルヴィックを買えばいいだけだ。

私がこの世で最も好きな飲み物はおいしい水で、買って飲むミネラル

ウォーターはもともとヴォルヴィックだけだけれど、折りしも先日『世界

ウルルン滞在記』で、生まれてこの方、溜め池の汚い水しか飲んだこ

とのないカンボジアの村の人たちのために武田真治が井戸を掘る、

というドキュメンタリーを見て泣いたばかりなのだ。これでもう他のメー

カーの水は買わないだろう。そして、そう思うのは私だけではないだ

ろう。今の世の中、せちがらいようでいて、潜在的に社会の(人の)役

に立ちたいと思っている人は思いのほか多いのではないかと思う。

ただ具体的にそのやり方がわからなかったり、行動を起こすまでに

至らなかったりするだけで。

今もそうなりつつあるのだろうけれど、これから企業はますますこうい

う視点を持たなければならなくなるだろう。エンドユーザーに社会貢

献してもらいながら(あるいはそういう意識を持たせながら)、収益が

上がる、というビジネスモデル。

さて、自分の買った1ℓのヴォルヴィックが、なぜアフリカで10ℓになる

のか疑問に思われた方は、ヴォルヴィックのHPをご参照されたし。↓

          1ℓ For 10ℓ プロジェクト

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2007年8月 4日 (土)

真夏のバラ②

07evelyn11

今日はものすごく暑かった。

たぶん、この夏最高の猛暑だったんじゃないかと思う。

もうすぐ一日が終ろうというこの時間になっても外は相変わらず暑い。

今夜はひどい熱帯夜になりそうだ。

今夜はクーラー切って寝るのは無理かも。

昨日、つぼみだったイヴリンが咲いた。

この色を見ているだけでも条件反射で香りがしてしまいそうな花。

下はレディ・ヒリンドン。

07lady_04

ルイさんからもらったペルル・ド・ジャルダンがまた咲いたけれど、今

度もまた黄色というよりはピンクがかったアプリコット色の花だ。

Perle_des_jardins02

下はなんだか忘れてしまった。ミニチュアローズ。

07minibara

この時期になると朝10時でも直射日光が当たっていて写真がよくな

いので、花の写真を撮るのは夕方、少し陽射しが弱まった頃の方が

良さそうだ。朝撮った写真は全部ボツにして、これはみんな夕方撮っ

たもの。

日中、強烈な陽射しを浴びて消耗したバラたちに元気になってもらお

うと、夕暮れに(バイオゴールドの)バイタルとニームを混ぜたものを

葉面散布していたら、突然ブロ友さんから電話がきた。

バラの葉の上には緑の小さなお客さん。

Kamakiri

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2007年8月 3日 (金)

真夏のバラ

07sharifa_asma

シャリファ・アスマが咲いた。

真夏はバラには過酷な季節だ。

せっかく咲いても、強烈な陽射しの下では瞬く間に萎れてしまう。

それに今朝は台風5号の影響か、風がとても強い。

07sharifa_asma01

昨日は朝8時半に家を出て、プレゼンを3つやって帰って来たのは夜

の11時半。幾つか強烈に想定外のこともあって、もう、へとへと。

昨日、通勤電車の中できっちりスーツを着て本を読んでいたシニアの

(少々メタボ気味の)男性は、額から頬、首筋にかけて、私が岩盤浴

に行ったときみたいに沸々と珠の汗をかいていた。この暑い時期に

スーツを着なければならないのは我慢大会以外の何物でもなくて、

日本もハワイみたいに真夏はアロハが正装になればいいのに、と

思う。もともとアロハはハワイ在住の日本人が着物でシャツを作っ

たのが起原なんだし、年々日本は亜熱帯化してるんだし。

それこそ究極のクールビズ! 

アロハを着たビジネスマンが溢れる赤坂や丸の内は、今よりずっとカ

ラフルで陽気になるだろう。身軽で風通しのよいファッションになれば

いいアイディアだって生まれるってもんじゃないか?

昨日も蒸し暑かったけれど、今日はもっと蒸し暑い。今日は午後から

打ち合わせとディナー・ミーティングが入っている。このディナー・ミー

ティングってヤツも実は私は苦手なのだ。食べるか喋るか考えるか、

どっちかにしたい。もちろんそんなこと、これっぱかしも外には出さな

いけれど。

朝晩のバラとの短い時間が、私にとってどれだけヒーリング・タイムで

あるかわからない。

風にやられてしまう前にシャリファ・アスマを切って机に飾った。

この時期のバラにしては強く香る。

強い花の香りで好きなのはバラと金木犀だけだ。

07sharifa_asma02

ミア・ファローみたいなイヴリンの蕾。

07evelyn10

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2007年8月 1日 (水)

August

August

8月になった。

この向日葵のテンプレートを使うのもこれで3回目。

月日の経つのは早い。

今日は娘が初めてアルバイトに行く日だ。

今年高校生になった娘に、「アルバイトをする」と言われたのが4月。

でも学校側は一応アルバイトは禁止しているし、なんたって中学時代

は遅刻魔だった子なのだ。彼女がいま行っている高校は、成績のこ

とより遅刻と期限内のレポート提出に厳しい学校であるからして、とり

あえず遅刻しないように電車通学すること、高校生活に慣れることを

先決にして、まだしばらくはアルバイトはやめたほうがいいんじゃない

か、どうしてもやりたければ夏休みになってからにしたら、と言ってあ

ったのだ。で、夏休みになったのでやります、ということになったのだ

けれど、まだ15歳では雇ってくれるところは少なく、駅前にあるちょっ

ときれいなパン屋さんにも面接に行ったら16歳じゃないと雇えないと

言われて帰って来た。次に行ったのが『餃子の満州』。うちの子供は

2人とも童顔で、年齢より子供に見られがちだし、実際下の子はとて

ものんびりしていてテキパキ気が利くってタイプではないから、きっと

また断られるんだろうと思っていたら、なんと採用になってしまった。

採用になってしまってから、「リサがアルバイトかあ~・・・」などと本

人がのたまう有様。それは、こっちの台詞だっちゅうの。娘を小さい

ときから知る友人に話したら、「大きくなったんだねえ~・・・」と感慨

深い声で言い、思いっきり叔母さんしているのであった。

餃子屋さん、なんて言ったら立派な接客業だし、ふだんあんなにシ

ャイな子供にできるのか? しかも重いラーメンどんぶりを2つもト

レイに載っけて運べるんだろうか? 食器を落として怪我でもしたら

どうしよう。・・・ なんてことを今日は心配している私なのです。

つまり、実に親ばかってことです。

でも、誰しもそうやって大人になってゆくんだしなあ・・・

部屋から1歩外に出れば陽射しが暑い! 

でも風にはまだ爽やかさがある。

自転車で鬱蒼たる遊歩道の街路樹の下を走れば、木漏れ陽の向こ

うに夏空が見える。サルスベリのピンクがキラキラの緑の木立の中

で涼しげに揺れる。

夏だ。

なんて懐かしい季節なんだろう!

August_01

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