宵待桜
そういえば去年の今頃は『陰陽師』にハマっていたんだった。
陰陽師、安倍晴明は花びら1枚、葉っぱ一枚から自在に式神を作り
出しては、いつも美しい姫をはべらせていたけれど、桜の式はいなか
った。清明の作る桜の式なら、さぞかし妖艶で美しかったろうに。
先週末、伊豆に桜を見に行った友人は、大荒れの天候で泊まった宿
の庭で、怖い桜を見たという。広い敷地のなかにあった巨木の桜。
それはまるで恋しい人を待ち続けて狂ってしまったどこぞの姫のよう
だった、そうな。
愛しい殿を待って待って待って、ついに鬼になってしまった祐姫。
男どもよ、女心を侮るなかれ。怖ろしいのは幽霊でも魔物でもない。
げに怖ろしきは人の心。
さて、遅咲きの姫、君は今宵、誰を待つ?
(確かに桜には人を待っている風情がある。待たれているから行かね
ばならぬと思ってしまう、毎年。写真は2週間ぶりのスイミングの帰り
に見た枝垂桜。ヤワな私は久しぶりに泳いで筋肉痛です。)
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コメント
そう、夢枕獏の安部清明の桜の話、いいよね。
若さと美しさを誉めそやされた小野小町が鬼になってしまう話。
その小野小町に恋焦がれて鬼になって衝いてしまう男。
狂い咲く桜の老木・・・
怖ろしく、悲しすぎる話でしたね。
特にこの小野小町の桜の話が好きよ。
この清明シリーズは何度も何度も繰り返し読むよ。
投稿: lehto | 2007年4月 8日 (日) 22:13
lehto さま、
私にとって文学や音楽の話ができるとか、詩を解する人っていうのはとても貴重だけれど、さらにその手の感覚を理解して話せる相手というのは貴重なんだ。
いつかメールじゃなくて電話じゃなくて、直接会って時間を気にせず話したいもんだねぇ。
フィンランドでもいいけれど、できればあなたの生まれた福岡で。
九州っていうのもどうやら私には縁がある土地みたいです。
投稿: soukichi | 2007年4月 8日 (日) 22:49