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2007年1月 8日 (月)

酒器が好き

Kuwahara_tetsuo_01_1

昔からお酒も飲めないのに酒器が好きだ。

仕事柄(かつて器屋で働いていたので)ずいぶん良いものもたくさん

見てきたけれど、酒器というのはほかの雑器(皿や丼といった日常の

器)と違って格上で、ほんの小さな杯でもとても高価だったりする。絵

が大きくても小さくても、そこにかかる力は同じというのと一緒で、小

さくてもちゃんと世界観を持っている。なかには心底欲しいものもあっ

たけれど、さすがに使わない器に高いお金を出す余裕は私にはなく、

買うようなことはしてこなかった。上は、粉引きと焼き締めを得意とす

る若手人気作家、桑原哲夫作による冷酒用の片口酒器。清潔感の

ある粉引きの白が新年にふさわしいと思い、数年前のお正月用に買

い求めたもの。こちらは酒器といってもだいぶカジュアルで安価。

こんな杯が2つ付いて。

Kuwahara_tetsuo_02

ひっくり返すと、高台はこんな風。向きが悪かったけど、高台にはK

の印が。釉をかけたときの指の跡も残っている。

Kuwahara_tetsuo_03

この人の粉引きは繊細で気品があって女性ファンが多く、とても素敵

なのだけれど、惜しいかな、粉引きの釉薬部分がチップしやすい。

Kuwahara_tetsuo_1

そしてこれは遡ること10年以上も前に買った絵師、津守順さんの

杯。たまたま百貨店にプロモーションに来ていた順さんの奥さんと仲

良くなって記念に買ったもので、当時は私も陶芸の世界は素人でよく

わからなかったけれど、いまこの杯を見ると「陶芸はまだ始めたばか

りなのであまり上手くないの」と言った奥さんの言葉がよくわかる。

杯としてはかなり厚手で無骨な感じ。大きさもみんな違ってた。揃い

の徳利を買わなかったのも、あまりに重くて無骨だったからだと思う。

でも絵師だけあって絵は素敵。この杯を買ったときに、私は順さんの

手描きの絵葉書をいただいた。和紙に墨で描いた幽玄な蓮の花。

Tsumori_jun

そして昨日アップした、燗をつけるために去年の暮れに新たに買った

のがこの酒器。土ものも味があっていいけれど、徳利は中まで洗え

ないし、土ものは完全に乾かしてしまわないと見えないところに黴が

生えたりして扱いが面倒なので、扱いの簡単なボンチャイナにした。

ヤフーのオークションで3千円以下で買おうと決めて探したら、2千円

ちょいで見つかりました。有田焼、曲水窯。柿右衛門様式の徳利2つ

とお猪口が5個ついた酒器セット。定価ではありえない価格です。

ヤフーのオークションサイトには備前まであって、窯元直で若手作家

の器を安い価格で出していたり、個人出品で到来物の良いものが安

く出ていたりするので、暇なときは眺めているだけでも楽しめます。

Kyokusyui_gama_1

そしてこれは酒器ではないけれど、昨日いぶりがっこを載せていた

小ぶりの長皿。なんとこれは『陶の森』で四方皿を5枚セットで買っ

たときにオマケでもらったもので、四方皿と同じく岡部耕太郎作。

長さ19センチと小さいながらも立派な作家物で、これをもらったとき

にはこんなものをオマケにしてよいのかと驚いた。すごく嬉しかった。

粉引きの中でもかなり好きな粉引きで、酒の肴を載せるのにちょうど

よく絵になって、大のお気に入り。ちぎったような端が野趣たっぷりの

男の器。表は端正な櫛目、裏は三点足付き。

Kushimezara_4    

Kushimezara_01

最後はこの長皿にちょっと似た箸置き。これは誰の作か忘れた。

微かに緑の釉がかかっていて、これも裏は三点足付き。

Hashioki

たかだかたったこれだけのことでも、かように器の世界は奥が深く、

楽しい。でも最近、できるだけ節約、できるだけ物を買わないように

している私は、個展の案内が来ても滅多に行かないようにしている。

ただ眺めるだけ、と決めて行っても、好きな作家の個展なら、何も買

わずに帰って来るのが難しいから。まさに私には目の毒!

****************************************************

追記:長くなったついでと言ってはなんだけど、大したものを買ったわ

けでもないのにもう何年も年賀状をくださる律儀な備前作家、江間廣

さんのホームページをご案内。作品だけじゃなく、窯の様子や土のこ

となどもわかって楽しい。酒器はやっぱり酒飲みが作るのが一番! 

よく見ると備前といっても手頃な価格のものも見つかります。

                   →   江間 廣 トップページ

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好きな器いろいろ」カテゴリの記事

コメント

う〜ん、冷酒用の片口酒器でお酒を呑めるお店はいいもんです。
入ってるお酒もそれにふさわしく、とっても美味しくてお水みたいにガンガンいけますもんね、大体は(^^)
ま、普段はコップ酒でガマンしてますけどね。

投稿: カルロス | 2007年1月 9日 (火) 00:52

昨日から寒くなりやっと真冬の感じです。
私もお酒は弱いほうですが、好きなオチョコで頂くと
身も心も暖まり、いい思い出酒になるでしょうね。
暖炉にあたりながら、夜長に酌み交わすなんて・・・・
ロマンですゎ。最近、男性の気持ちよくわかるのです。
もしも今度、生まれ変われたら男の人にと思うのも
こんな時でしょうか。(^_-)

投稿: みちこ | 2007年1月 9日 (火) 08:08

こんにちわ。
私はビール党なんですが最近はあんまり
飲めません。日本酒もこんな寒いときには
ちょびり、ちょびり 良いでしょうね。でも一人で
飲んでも全然美味しくないかも~~!
この焼き物、萩焼に似ていますね。
こちらの方がちょっと優しい感じがします。

萩焼作家も最近はこの長い観光地の不況続きで
品物が動かず、大変なようです。

投稿: うー | 2007年1月 9日 (火) 17:44

カルロスさま、
カルさまでもコップ酒なんか飲むの?
私はカルさまはワインか洋酒だけかと思ってました。
でも、それってほんとにお酒が好きだからよね。
うちの父も冬でもコップ酒です。
私はコップでならお酒はいらない。
いいグラスで好きなブランデーをちょっと、とか、いい杯でお酒を少し、とかね。
そういう非日常の贅沢が少しは入ってなきゃね。

投稿: soukichi | 2007年1月 9日 (火) 18:35

まあ、みちこさま、
そのくらいのことなら昨今、男に生まれ変わらなくても女子でも好きなだけやってますよ。
つまり酒飲みの女はね(^-^)
私のまわりは私をぬかしてそんなのばっかりです。
私が憧れるとしたら、阿倍清明と源博雅が優雅に月を見ながら美しい杯で酒を酌み交わしているところ。
あるいは、ぷいっと入った馴染みの飲み屋のカウンターに座って、
「おじちゃん、いつもの」なんて言うことですね。
後者は完全にオヤジ入ってますか。
川上弘美の『センセイの鞄』の世界。憧れます。

投稿: soukichi | 2007年1月 9日 (火) 18:44

うーさん、こんばんは!
日本人は圧倒的にビール好きが多いんじゃないかしらね。
私もエビスビール、ビール職人(だったっけかな)が好きです。ただし最初の1杯だけ。うちの父はアサヒスーパードライが好きなのよね。
好みが合わないの。

私は萩焼を見ると、おせんべいの柴船を思い出します。
ショウガ砂糖がたっぷりついた。
萩焼は私は酒器より茶器のほうが好きかな。
この粉引きは萩焼よりずっと薄く、なおかつ硬質です。
私が器屋で働いていた頃すでに、有田では(瀬戸物が売れないことによる)自殺者が大量に出ていると聞きました。悲しいことです。
いまや陶器も100円ショップでいいという人がいっぱいいる時代だけれど、文化、アートは大事にしないと。廃れちゃうものだから。

投稿: soukichi | 2007年1月 9日 (火) 19:09

あけましておめでとうございます。
思い切り出遅れてしまたけれど、今年もよろしくね。

私すっかりお酒を飲む機会が減ってしまって、日本酒もほとんど飲まないけど、こう寒いときは熱燗が欲しいわね。
でもなあ、ひとりで飲んでてもなあ・・・(;一_一)

投稿: bluerose | 2007年1月 9日 (火) 19:57

白い粉引きが好きでこの器たちは私の好みのものばかり
毎日飲む緑茶の湯のみは粉引きです
何種類かある中から今日の器を選んで飲みます
緑茶だけは贅沢をしているのできれいな緑が映えるし
冷めにくいこんな器が大好きなんですよ
湯のみで焼酎のお湯割りもね
茶碗酒って品のないイメージかもしれないけど
両手に包んで温かいものを飲みながら今PCに向かっています

投稿: tama | 2007年1月 9日 (火) 21:09

blue さん、遅おめ(^-^)
そうかあ。
ブルーさんちは新婚さんなのに、彼の帰りが遅いからなあ。
たまに早く帰って来たときこそ2人で晩酌、なんていかがですか?
私はひとりで飲むのぜんぜん平気よ。
眠くなったら寝ちゃえばいいんだし、かえって気楽なものよ。
今年もよろしゅう・・・

投稿: soukichi | 2007年1月 9日 (火) 23:48

tama さん、
私も粉引き大好きです。
端正なもの、あったかいもの、荒々しいもの、ユニークなもの、粉引きでもいろいろあるから見てて飽きない。
うちも湯飲みは粉引きです。
ちょっと変わったところで唐津の粉引き、なんてのもある。
茶碗酒って品がない? とんでもない!
和食器のいいところはなんにでも使えるところ。
備前なんか、ひとつの器でなんでも飲んでしまいます。
大きめの茶碗に温かい飲み物を入れて、両手で包んで飲む感じ、寒い冬ならではの愉しみですね。

投稿: soukichi | 2007年1月10日 (水) 00:24

凛も粉引きが大好き♪
とっても雰囲気のある器だから凛の出来の悪い
お惣菜を盛ってもとっても美味しそうに感じるしね・・
と言うか、お料理と器って絶対に大事だと思います。
どんなにおいしそうなお惣菜でも合わない器で
出したら不味そうに思えるしね・・
でも、確かに粉引きはチップし易いのです・・
ああ・・凛も大事にしているつもりなのに
チップさせちまったのが沢山ありましゅ・・シュン・・

投稿: | 2007年1月10日 (水) 05:40

凛さま、
そうですよね。
料理を作る側の感性としても料理と器って大事だと思うし、食べる側の感性としても大事だと思う。
食べることって毎日のことだから、無意識にもそういう美意識ってインプットされてゆくんじゃないかなあ。
たとえ凛さんちのようにご主人と息子さんだけで女の子がいない家庭だとしてもね。

投稿: soukichi | 2007年1月11日 (木) 22:22

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