(おじいちゃんとゆく)谷中散歩②
朝倉彫塑館を出て道なりに歩き始めると、谷中の町並みは古きよき
東京の趣が残るたたずまい。心誘われる狭い路地。思わず猫のよう
に迷い込みたくなる。お寺や神社がやたらに多いのは、ちょっと京都
の裏道にも似ているけれど、谷中はもっとずっと庶民的。このポスト
の上に付いていた軒灯は昔懐かしいまあるいガラスのアンティーク
なもので、でも別にお洒落で付いているわけじゃなく、時を経てたそ
がれた風情。開けっ放しの玄関からちょっと中を覗いてみたら茶の間
まで丸見えで、丸いちゃぶ台を囲んでランニング姿のお爺さんとお婆
さんがお昼ご飯を食べているところだった。まるで昭和初期の光景。
有名な台湾デザートの店、愛玉子(オーギョーチィ)の店を通り越し、
目指すは谷中ボッサ。特になんてことないカフェなんだろうなあとは
思っていたんだけれど、ブラジル大好きの私は一度ここに行ってみ
たかったのです。
店内は内装も自分達でやったんじゃないかと思われるような素朴な
手作りカフェ。20人も入れるかなというくらいこじんまりした店で、聞
いていたとおりボサノヴァが流れるまったり空間。ここは3時までカレ
ーランチとキッシュのランチをやっていて、キッシュがとてもおいしい
ということだったので私はキッシュを。キッシュもアイスカフェオレも確
かにすごくおいしかった! 息子と父はカレーランチを食べてました。
息子がトイレに行ったら面白かったよ、と言うので何が?と訊いたら
「カエターノ・ヴェローゾの若いときとオジサンの今の写真があった。
それから『シティ・オブ・ゴット』の音楽やった・・・」と言うので、「セウ・
ジョルジ?」「ああ、その人の写真も」と言うので私も行ったら、『ケペ
ル木村と行くブラジル音楽ツアー』なるポスターが貼ってあって、なん
と2004年のサプライズはミルトン・ナシメントのお宅拝見だったらし
い。信じられない! 航空使用料とかも入れると約40万円のツア
ー。ブラジルは遠し。マジで貯金でも始めますか。
朝倉邸にいるときも谷中ボッサにいるときも雨は激しくなったりやんだ
りを繰り返していたのだけれど、雨のなか柳通りをゆく。昔は東京の
並木道と言ったら街路樹は柳だったのに、いつからなくなってしまっ
たのかな。下は和風小物を置く『いせ辰』。男の人がつまらないのは
女みたいに好奇心が旺盛じゃないことで、父は「お父さんはここで待
ってる」と言って、暑いのに雨のなか店の前に立っていた。
夜店通りに行くと、昔ながらの駄菓子屋を見つけて、思わず駄菓子を
買う息子。何を買ったの? と訊いたら「カツ」だって。身体に悪そう。
私がガラスが好きだと言ったら友人が教えてくれた、夜店通りの商店
街のちょっと奥まったところにあるガラス工房、『nido』 。
ここでも父は外で待っていた。
入ってすぐはギャラリーショップになっていて、手作りのポエティックな
ガラス作品があふれる幻想的な空間。
ここは奥が工房になっていて、そこで実際に作品が作られているのと
ともに、完全予約制でステンドグラスの1日体験教室もやっている。
自分で作ったキャンドルホルダーや手鏡を大事な人にプレゼント、な
んていうのもいいですね。
記念にブックマークをひとつゲット。
そして最後は谷中銀座商店街を抜けて、これがあの有名な階段。
『夕やけ だんだん』です。
上り切ったところには無国籍風のレストランが並び、カレーとナンの
ランチが350円、なんて超格安の店も。
再び御殿坂を上って日暮里駅へ。とにかく暑くてうだりそうなので、
何か冷たくて甘いものが食べたいと、根津の甘味屋にでも行こうか
ということになったけれど、アクセスが悪いので結局あきらめて新宿
『みつばち』へ。締めは最高のクリーム餡蜜。
さて、今回『おじいちゃんとゆく』と付けてみたものの、はたして父仕
様になっていたかというと、そうとも言えない。谷中に行った日の週
末には全生庵で毎年恒例の幽霊画の公開とともに『園朝祭り』(怪
談落語)も行われていたし、江戸前あなご寿司で有名な『乃池』に行
く、なんていうのもあったし、まだまだ今後、検討の余地ありの谷中
散歩でございました。
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コメント
こんにちわ。東京にもまだこんな所があるんですね。
賑やかな飲食街、ショッピング街も良いですが私はどちらかいいますとこんなところをぶらぶら歩くのが好きです。
私の場合、比較的好奇心が強い方で何でも飛びつくタイプです。
谷中ボッサみたいな喫茶店、最近はほとんど見られませんね。
意外と都会の片隅といえば怒られるかもしれませんがこんな
ロケーションに位置する喫茶店に憧れます。
ジャズなんかが流れ最高の雰囲気です!
昔は一人でよく行きました!
お店の入り口のブロックやレンガ、さりげなく利用してるのはほんとナイスです。ちゃんと女性のお客さんも入ってますね!
投稿: うー | 2006年8月21日 (月) 19:14
おじいちゃんと行くにいろいろおしゃべりしたいのですが、
今日は気持ちが橙に飛んでていつもよりさらに言葉を見つけるのが下手くそです。
橙がもちょっと落ち着いたら、ここへ戻って、カキコするにゃ。
投稿: lehto | 2006年8月21日 (月) 21:13
うちは地元 本郷なんですが谷中の情報ありがとう。知らなかった。こんど行ってみます。こういうとこは夏がいいですね。なんか郷愁。
投稿: MOAPA | 2006年8月21日 (月) 22:33
いいですね。下町。浅草には旦那様が住んでいたから下町は任せてなんて言えない。なんだかあまり探索してなかったな~。勿体無いことしたよ。駄菓子屋のガラスケースとか好きだな~。
いわきも、お爺ちゃんたちはヒがシになっちゃうんだよね。栃木はイとエがごちゃごちゃで、 『サンドエッチあります』なんて書いてあるパン屋さんがあった。
投稿: angelseed | 2006年8月21日 (月) 23:01
うーさん、
さすがご同業者!
谷中ボッサ、いいよね(^-^)
なんてことない店なんだけれど、ありそうで、無い。
それに小さいながらも、ここをブラジル音楽の中継点にするぞ、みたいな初心が感じられていい。
アイスカフェオレがあれだけおいしかったってことは、ここは珈琲も
かなりちゃんとしてますね。
それに店長がほのぼのした笑顔の人で、良い雰囲気でした。
店長のパーソナリティーが店の雰囲気を作るものね。
私もカフェをやるようなことが日々の生業の仕事としては1番自分に合ってるんじゃないかな~と思います。よく友達に言われるけれど。私にマネッジ能力があるかどうかは別として。
いつか、うーさんが東京に来ることがあったら、東京カフェめぐりでも
しましょう!
投稿: soukichi | 2006年8月22日 (火) 17:53
lehto さま、
そんなときに律儀だな。
うん。今は橙ちゃんの大事なときだよ。
専念してください。
くれぐれも自分の身体もお大事に!
投稿: soukichi | 2006年8月22日 (火) 17:54
MOAPAさん、
うん。ノスタルジー。
MOAPAさんは良いところでお育ちなのね。
谷中は浴衣着て甚平さん着て歩くにもぴったりの町です。
投稿: soukichi | 2006年8月22日 (火) 18:02
angel さま、
『サンドエッチ』っていいね!
それってどんなエッチ? って感じ。ごめ~ん。
下町散歩、いつか旦那様と回想にひたりながらするのもいいじゃない? しあわせな熟年カップルで(^-^)
投稿: soukichi | 2006年8月22日 (火) 18:06