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2006年7月28日 (金)

天使降臨/ミルトン・ナシメント

Milton_3   

東京は木曜日に久しぶりに晴れて夏らしい天気になったと思ったら、

昨日はまたどんよりとした曇天、ひどく蒸し暑い寝苦しい夜を過ごし

て、今日は天気予報によれば午後からまた雨になるらしい。

梅雨明けは来週の火曜、つまり8月になってからだと言う。

春からずっと鬱陶しい天気の日が続いているが、でもちょっと想像し

てみて欲しい。

ここは深い森の中だ。空の高いところで太陽は輝いて、きらきらと時

折りプリズムのような光を投げかけているが、暑くはない。あなたの

目に映るあたりの緑はどこまでも水を含んで瑞々しい。どこかで、せ

せらぎの音がする。森の中では鳥の鳴く声。あなたは目を閉じてフィ

トンチッドに満ちた大気を深く呼吸する。爽やかな風が吹き抜ける。

思わず目を開けて空を見上げると、あなたの顔の産毛にミストのよう

に降りかかる水滴。・・・・・・ なんて気持ちがいいんだろう !

どこからか、神々しい声がエコーしながら降りてくる。

まるで天使が降りてくるみたいに。

ミルトン・ナシメントのこのCDはこういう世界だ。

いつ聴いても気持ちが良い。いつ聴いても鳥肌が立つようだ。

低音域からファルセットまで変幻自在のミルトンの声は、ヒューマンで

ありながら、時に人間を遥かに超越している。懐かしい太古の記憶そ

のもののような、天の啓示のような、プリミティブでスピリチュアルな

輝き。彼の声を初めて聴いた時のアメリカ人の驚きが想像できるよう

だ。ミルトンの声を自然の中でリアルに聴くことができたなら、人は自

然に涙を流すのじゃないだろうか。

こんな風に書くととても手の届かない音楽のように誤解する人がいる

かもしれないが、そうではない。この『Angelus』はワーナーと契約し

て作られたアルバムで、スペシャル・ゲストとして、ウェイン・ショータ

ー、ジョン・アンダーソン、ジェームズ・テイラー、パット・メセニー、

ハービー・ハンコックなどアメリカのジャズ、フュージョン界の大御所

の名前がずらっと並び、音的にはパット・メセニーのナチュラルでフ

ォギーな色が濃いけれど、ブラジル音楽とアメリカのフュージョンが

見事に融合を果たしたとても聴きやすいアルバムになっている。特

筆すべきはこれだけ豪華なミュージシャンが参加しながら、誰かの

音が突出することなく、誰もがミルトン・ナシメントをリスペクトして、

ミルトンの声が最大限に生きるような控えめなサポートをしているこ

とだ。そのせいで一定の集中度が保たれた、トータルなアルバムが

できあがっている。これは下手なヒーリング・ミュージックのコンピレ

ーションCDなんかを聴くより、ずっとヒーリングになると思う。

ミルトン・ナシメントもまた、私は清水翠がカバーする『ヴェラ・クルス』

によって知ったが、この曲を初めて聴いたときの、太古の森から続く

草原を低空飛行で飛ぶような、うねるような疾走感は忘れられない。

このCDの中ではハービー・ハンコックがこの曲のピアノを弾いてい

る。どの曲も良いけれど、ビートルズをカバーした『ハロー・グッバイ』

(若いミルトンにとってビートルズはアイドルだった)、8曲目の『クル

ービ・ダ・エスキーナN°2』、そしてなんとも言えず哀愁のある10曲

目の『ドリーム・イン・リオ』、そして11曲目の『楽園の場所』はピアノ

がとってもいい。まさにミルトンの声は天使だと思うけれど、この天使

はみんながよく知っている、あの白くてぷくぷくしたヤツじゃなくて、こ

んなお顔をしている。

Milton_01_1ここで、少しミルトンの生い立ちについて

触れようと思ったが、すでに長くなったの

で、それはまた次の機会に。

以下は曲目リスト。

      
  1. 夕刻にて 
  2. 星降る大地 
  3. ヂ・ウン・モード・ジェラル 
  4. アンジェルス 
  5. ミナスの情景 
  6. ハロー・グッバイ 
  7. ソフロ・カラード 
  8. クルービ・ダ・エスキーナN°2 
  9. メウ・ヴェネーノ(私の毒) 
10. ドリーム・イン・リオ 
11. 楽園の場所 
12. ヴェラ・クルス 
13. ノヴェーナ 
14. アモール・アミーゴ 
15. ソフロ・カラード(リプライズ) 

****************************************************

ちなみに最初の方に書いたイメージ・トレーニングとも言えるものは、

やり方によっては自律訓練法にもなる。瞑想が良いのは知っている

方も多いと思うが、瞑想には瞑想の技術というものが必要で、私もや

ったことがあるが、なかなか難しい。まず深く入ってゆくまでに時間が

かかってしまうのだ。これは朝・晩5分くらいでいい。場所はどこでも

いいがリラックスできるように椅子に座るか、仰向けに寝て、ゆっくり

呼吸しながら頭に好きなもの(好きな猫とか犬とか空とか海とか)を

思い浮かべる。思わず顔が微笑んでしまうようなものを思い浮かべ

ると良い。思い浮かべるときにはできるだけ具体的にありありと、映

像だけじゃなくて匂い、感触までイメージする。それで5分。それだけ

でストレスで消耗した人の心は落ち着くそうだ。不眠で悩む人、心に

不安を抱えているときなどにはお勧め。自律訓練法にはもっと正式

なやり方もあるけれど、何事も最初から厳密にやろうとすると難しい

ので。これは先日、友人の医者から教えてもらった方法。ちなみに

恋人のことを思い浮かべたりすると、いろいろ雑念が入るのでやめ

たほうがいいそうだ。さも、ありなん?

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no music,no life!」カテゴリの記事

コメント

おはよう!
今日早朝は10℃を切ってました。もうすぐ10時になろうかというのにまだ15℃ぐらいしかありません。
庭に出るには薄手のカーディガンがいりそうです。

さて、フィンランドの森まさにそうきちさんの描いた森そのものです。フィトンチットというのは本当に素晴しい。空気がほんとうに美味しいんだよね。
最近の私は車の中でしか音楽は聞かない。
(今はDavid Bowieの3枚組みコレクション、初期の曲ばかりだよ。今聞いても感覚が新しい。かっこいいー!!)
しかし、このミルトン・ナシメントぜひ聞いてみたい!
エンヤやバージニア・アストレーなどなど、実はNewagemusicも大好きなのよ。
早速今日探すわ。

投稿: lehto | 2006年7月28日 (金) 15:55

今晩は。今日も酷暑でした。
今までの音楽は、なにかしながら聞く物でしたが
最近は音楽だけを聞くのが楽しみになっています。
これもsoukichiさんのおかげかな~とも思います。
寝椅子にもたれながら、部屋の窓から外をながめて
ゆっくりと流れる贅沢な時間でもあり、必要な時間でもあり。
ミルトンも聞いてみることにしましょう。
CD屋さんに行くのも、ひさしぶりで目当てのものもあるしね。

投稿: みちこ | 2006年7月28日 (金) 19:46

やっほー! lehto さん、
久しぶりにブログに見に行ったら、いっぱい更新してたから、元気そうで何よりと思ったよ。
フィンランドも30度になったり10度しかなかったり、けっこう気温の寒暖差が激しいところなんだね。

David Bowie は私も大好き。もちろん初期のみ。
最後に東京ドームでボウイ見たのはいつだっけなー。はや、大昔。
ミルトンぜひ聴いてみて。
でもニューエイジでもアンビエントでもないよ。ポップスです。
実はlehto さんのブログに載ってたArt of noise が前からすごく気になってて、この間タワーレコードで初期のベスト盤(Moment in Love が入ってるやつ)買って聴いてみたんだけど、残念ながら私は駄目でした。2回通して聴いてやめた。
すぐにヤフオクに出したらあっという間に売れてしまったところを見ると、人気あるんだね。
私はエンヤも駄目。
音楽の好みっていうのはすごく難しいね。
ものすごく繊細で、感覚ひとつの世界だから。
はたしてミルトン・ナシメントは気に入ってもらえるかな?

投稿: soukichi | 2006年7月28日 (金) 21:32

iTunesで購入したよ!
今聴いてる。最初の音が笙の音にも似て美しいね。

投稿: lehto | 2006年7月28日 (金) 21:35

みちこさま、
それはいいな(^-^)
寝椅子に寝転がって窓の景色を眺めながらだなんて、ほんとに贅沢な時間ですね。
それがバラの頃ならなおさらね。
当の私はもっぱら何かしながら聴いています。
でも、それでも心は音楽をちゃんと受けとめてるから。
人の3倍くらい。

ミルトンさん、これか、前にご紹介した『Music for Sunday Lovers 』がいいですよ。
後者の方は入門編としては完璧。
デビューから黄金期の代表曲が年代別に収録されていて、ライナーノーツも充実してますから。
でも『Angels』は今時期の暑いときに聴けば一服の清涼剤かも。

投稿: soukichi | 2006年7月28日 (金) 21:45

lehto さん、はやっ!
その性格は私に近いかも。
でも『Angelus』がiTunesにあったの? すげー

投稿: soukichi | 2006年7月28日 (金) 21:48

聴いたよ!!
うんうん、好きよ。で気づいた。
そうきちさんのイメージした森は私がイメージする森とは緯度が異なるな、と。
この音楽を聴いて感じたよ、もっと赤道に近いんじゃないかって。
ラテン音楽って陽気じゃない。というかそういう印象を持ってた。陽気すぎると私はそのギャップに落ち込むのよ。
でもこの人のこのアルバムは好き。ただし冬は聴かないかも・・・
まだ何度もは聴いてないけど、一番短い曲がすごく好き。

アートオブノイズ、ダメでしたかぁ!
その名の通りノイズの集まりだからね。
昔ね、石橋蓮司と緑魔子主催の第7病棟という劇団が「ビニールの城」という芝居でモメンツ・イン・ラブを使ったのよ。
それが素晴しくってね・・・・ふふふ、そういうバックグラウンドがこの曲を好きなのにはあるからなのよ。
エンヤもスウェーデンの人だからね。この人の音にも私は北欧の森を感じるんだよ。
Bowieやkate・bushは重なるのにね。音も感性だものね。
とても似通ってて、ちょびっと重なるところのあるほぼ隣り合わせ
って感じなのかもね。

投稿: lehto | 2006年7月29日 (土) 03:41

lehto さん、
わかる、わかる。
背景があって好きになる音楽ってありますね。
石橋蓮司と緑魔子主催の第7病棟と聞いただけで立ち上ってくる世界がある(^-^)
私は唐十郎が好き。

エンヤは前に女友達が、「私が若い頃、早朝のセントラルパークを散歩しながらウォークマンで聴いていて、とても気持ちよかった音楽」と言ってCDをもらったんだけれど、それを私はしんと静まり返る夜更けの部屋でPCのキーボード叩きながら聴いていて、部屋の温度、というか空気の層が徐々に下がってくるような感覚を覚えて、そのうち三半規管が狂ってくるみたいな吐き気がしてやめた。私は彼女の音楽の呪術的な単調な繰り返し、不自然な音が駄目だ。スピリチュアルというよりドラッギーな感じがする。

そうなんだ。
lehto さんのコメント読みながら、lehto さんのイメージする北欧の森は、私がイメージする(熱帯雨林の)森とは違うだろうと感じた。
ブラジルといったらアマゾン、アフリカが近い国だからね。
私は北欧の文化全般、スゥエディッシュ・ポップスなんかは好きだけど、基本的に寒い国より暖かい国が好きなのです。
ブリティッシュ・ロックは好きだけど、イギリスのフォークロア、トラディショナル・ミュージックはあまり好きじゃない。
私はラテンが大好き。
私がラテンに感じるのは情熱と哀愁。
聴いていて太陽のエネルギーと血の温かさと、切なくなるような旋律を持った音楽。私はいつも情熱的な人に惹かれるしね(^-^)
見た目は静かでもさ。
でも、サルサとなるといつも聴きたい音楽じゃないかもしれないな。
lehto さんにサルサを送ったときも、もしかしたら駄目かも知れない、と思いながら送ったのでした。

投稿: soukichi | 2006年7月29日 (土) 10:59

おはよう!
しつこくごめんよ。
今朝は曇っていて肌寒いのだけど、今庭でぼんやりしてたら・・・
日曜日はことさら静かで、小鳥のさえずりと、木々のざわめきだけが薔薇の香りにのって、はあ~いい気持ち・・だったのよ。
そうしたら頭の中で「えってら~てってら~・・・・」ってangelusが聴こえてきたよ。
ふふふ、妙にα波が具現化したみたいだったよ。

投稿: lehto | 2006年7月30日 (日) 14:16

うん、lehto さん、
ミルトン・ナシメント聴いていると、どうかすると左脳から右脳にシフトするよね。
でもlehto さんはほんとに静かな生活をしておいでなのだなあ。
私なんか、そういう生活に憧れても所詮都会っ子だから、実際にそういう生活ができるかどうかはわからない。
すぐに退屈してしまうんじゃないか、とかね。

投稿: soukichi | 2006年7月31日 (月) 16:49

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