« ラスト・ノート | トップページ | 秋の南禅寺 »

2005年11月26日 (土)

小樽ガラス

otaru_004

この小樽ガラスの醤油さしは、もう9年くらいも前の冬に、当時勤め

ていた会社の社員旅行で北海道に行ったときに買ったもの。

その時に見た小樽港は、とても寂れたうら悲しい感じの港だったけ

れど、ガラス工芸館と土産物屋だけは賑わっていた。

時間を与えられて土産物屋に入り、この醤油さしを見つけたとき、

私はひと目で気に入った。手に持ったときのぽってりおさまる感じと

いい、涼しげな藍流しの模様といい、私にはこれが理想的な醤油さ

しだと思えた。たかが醤油さしと言うなかれ! 

探すと意外といい醤油さしって無いのだ。

私の友人は外交官夫人として海外に駐在していた頃に、三ツ星レス

トランのシェフにならった料理の腕前を持ち、都内にある、かつて義

理の祖母が料亭をやっていた後の、中庭のある古い日本家屋にペ

ルシャ絨毯を敷き、イタリヤの家具を入れ、天井からはアンティーク

のシャンデリアを吊って暮らしていて、酒の肴やら和食などを素敵な

器に盛って出してくれるが、醤油さしが妙に現実的で味気なかったり

する。あれはいけない。

それで、これを買うときに私と同じくガラス好きの母の分まで買い求

めようとしたが、残念ながらこれひとつしかなかった。母は大の蟹好

きでもあったので、母には蟹をお土産にすることにしたのだけれど、

やっぱり母はこれが欲しかったようである。東京に帰って機会あるご

とにデパートの中を探したが似たようなものは見つからず、それは後

になって私のささやかな後悔となった。

私が器屋に勤める頃にはもう母は亡くなっていて、器が大好きだった

母が生きていたら、きっとしょっちゅう店に遊びに来ただろうと思うと

悲しかったし寂しかった。

その器屋では毎年、冬の器として作家物の備前を置くことが恒例に

なっていたけれど、そのとき小樽ガラスも取り寄せて一緒にディスプ

レイした。備前と小樽ガラス。これがまた合うのだ。

百貨店の器屋というのは人が想像する以上に3Kの仕事でなかなか

キツかったけれど、プロモーション用の重いダンボールの箱が何箱

も着いて、それを開け、新聞紙やパッキンで何重にもくるまれた大事

な器を取り出して手に取ってみるときの楽しみは格別だった。

そう、12月ともなると、新年を迎える器が送られてくる。

作家ものならおめでたい赤絵の器や干支の置物。それから漆器。

ご飯茶碗やどんぶり。それにちょっといいお箸や箸置きなど。

ささやかでいいのだが、新しい年に常遣いの器や下着を新しくする

ことは、家や家族に新しい、新鮮な気をもたらしてくれる。

居ずまいを正してまっさらな気持ちで、また新たな年を迎える、と

いうのは日本の美しい習慣ではないだろうか。

下は、その土産物屋で社長からお土産をかってやるから選べと言

われて、女性達はアクセサリーなんかを買ってもらっていたけれど、

私はこれがいいと言って、買ってもらったもの。

このガラスのサボテン、私はいま見ても可愛いと思うのだけれど、経

理の女性からは「あなたってほんとに変わってるわね」、と言われた

のでした。そのうえ、「実にあなたらしいわ」とも。

saboten_01

|

« ラスト・ノート | トップページ | 秋の南禅寺 »

好きな器いろいろ」カテゴリの記事

コメント

soukichiさんのおうちには
素敵なものがたくさんありますね^^
私も小樽ガラス大好きですv

北海道には格別の思い入れがあるせいかもしれませんが、
今年の9月の旅行でも、小樽のガラス屋さん行ってきました。
工芸教室も覗いてきたし^^
お土産はナシだったけど、見てるだけで幸せになれるものって
ありますよね~。
うちのお醤油さしは小樽のものではないけれど
やっぱりガラスで、ふたが青です。

お母さま...亡くなられてたんですね。たいへん失礼いたしました。
お母さまにとっては残念だったでしょうが、ちゃんと好きなもの
soukichiさんに受け継がれてらっしゃるじゃないですか。
きっとsoukichiさんがこのお醤油さし使うたびに、お母さまも喜んでらっしゃると思います。。
いつまでも思い出してあげることって、亡くなった方への供養になるっていうし...。いいじゃないですかぁ^^
しみじみとしちゃいました。。

投稿: necomal | 2005年11月26日 (土) 16:14

necomal さま、こんにちは!
どうもありがとう! 元気そうで何よりです。
母は最初に乳ガンをやって(よりにもよって私の誕生日に入院したのです。虎ノ門の慈恵医大でした)、そのときは手術して完治して、
その13年後だったか15年後だったかに肺ガンになりました。だから、医学的には『再発』ではなくて、新しい原発巣ができた、ってことになるみたいです。そのとき医者と話したり、たくさん本を読んだりしてわかったのは、ガンは遺伝ではなくて生活習慣病(特に食習慣)だから、それを改善しないと駄目だってことですね。あと精神面も大事よね。その点はnecomal さんはだいじょぶだと思うけど、免疫力を高めるためには抗酸化物質のたくさん入った食品を摂ってね! 
きっと色々やってると思うけど。
ブログも身体に障らない程度にやってねー♪

投稿: soukichi | 2005年11月26日 (土) 16:56

このサボテンは実にあなたらしいっ!私もそう思うわ(^ー^)。
ガラス工芸はいいよね。土とは全く違った良さがある。
そこの空気というか光と調和して存在感を増すっていうのかしら、土ならそのままで存在感があるけどガラスの存在ってそんな感じだと思うな。
たかがしょうゆ差し、されどしょうゆ差し。いい買い物したね。お母さまが欲しがるのも分かるような気がするわ(^ー^)。
ガンは生活習慣病か・・。なんかヤバいっすね(^-^;).。精神面は自信あるんだけどなぁ。嗜好品多くったって日々ハッピーに生きてたら大丈夫かしら?ははは、そう思う事にしとこう!
酒屋さん情報サンキュー(^3^)!すごいわね、ここ。いつか買ってみようと思います。

投稿: よしえ | 2005年11月26日 (土) 19:52

こんばんわ。昔はガラス工場って良くありましたね。最近は
珍しくなっています。萩にも一軒あるんですが観光客がよく行ってるようです。
小樽ガラスは有名ですよね。知り合いが手作りの体験をして金魚蜂の小さいのを作ってお土産に戴いたことがあります。
ガラスのサボテン、よく出来ています。左から2番目なんか特に
いいですね!

投稿: うー | 2005年11月26日 (土) 22:05

こんにちわ!!
なぜか文字化けしてしまってなかなか書き込めませんでした。
おしょうゆ差し、意外と見つからないって私もいつも思っていました。一人暮らしをはじめてはや十年、まだ見つかっていません。素敵ですねえコレ。羨ましいです。。サボテンも。
あとブログもとてもしっとり、趣味がよくって、これからゆっくり拝見させていただきたいです。

投稿: nene | 2005年11月26日 (土) 22:47

よしえさま、
あはは。やっぱりそう思う?
なんか可愛いでしょ? このサボテン。
うん、基本は笑って暮らすことです。笑うことが1番免疫抗体が上がる特効薬です。前にも言ったとおり煙草は、急に全部やめるのじゃなくていいから、年々減らすことをお勧めするけどね。とっても無機質な言い方をすると、単に喫煙者はニコチン中毒ってだけなんだ。ニコチンに対してケミカルに身体が反応して、ただ癖になってるだけです。
それを聡明な頭でシステマティックに理解、じゃなくて、実感して納得できれば、徐々にやめられます。脅かすつもりは全然ないんだけど、30代後半から、いろいろ今までなかったようなことが起きると思うよ。気をつけてね。

投稿: soukichi | 2005年11月26日 (土) 23:26

うーさん、
東京にもガラス工場はあるみたいだけど、もうずいぶん少なくなったんじゃないかしら。前にそんなことをガラス作家の方から聞きました。大物じゃなければ、いまは自分の家に焼く機械を置いて制作されているようです。私もいつかやってみたいことのひとつですけれど、ガラス工芸は大変、身体に悪いんです。それを知ってからは自分で作ることはあまり考えなくなりました。

投稿: soukichi | 2005年11月26日 (土) 23:50

わあ、nene さん、こんばんは!
nene さんのブログもきどってなくて面白かったですよ。
もう10年独り暮らしですか? さみしくない?
私、なぜか昔から関西の人と縁があるんですよ。
これからも、よろしく!

投稿: soukichi | 2005年11月26日 (土) 23:54

あら、そうきちさん、百貨店の出向社員の仕事は私も短期間の経験があるわ。センスより体力勝負の毎日だったけど、催事が当たった時の快感は格別なものですよね・・・私は続かなかったんだけど^^;
このすてきな小樽ガラスを見て思い出すのは、私が大阪時代使ってた透明な醤油差し。とても気に入ってたのですが帰郷時に手放してしまった。以来、なかなかコレと言うのに巡り会えないです。使ってみないとホントのところは分からないしね~。(コレって夫婦も同じ?)
サボテンはそうきちさんらしいねぇ(^^)私もたぶんサボテンに決めるわ。でなきゃクロネコのオモチャとか!あまりイロケがなくてユニークなものを選んじゃいそう。

投稿: リサ・ママ | 2005年11月27日 (日) 15:58

リサ・ママさま、
あら、そうですか。どんな売り場だったんだろう?
私は和食器売り場でも『特選』という高級感のあるコーナーだったので、それなりのセンスと接客が必要とされるショップでした。
でもその辺はお得意の領域なのです。まかせとけって感じです。
色気がなくてユニークね。かもね。
ここの社長にはこの前にも社長が家族旅行でハワイに行くというので、やっぱり「お土産何がいい?」と聞かれたんだけど、「ウクレレ」と答えたら、「おまえ、ウクレ漫談でデビューでもするのか」と言って笑われましたっけ。数年前に年下の男の子に「誕生日のプレゼント何がいい?」と聞かれたときも「スティール・ドラムが欲しい!」と言って大いにがっかりされましたね。「指輪」とか言って欲しかったらしい。
駄目かしらねえ、こういう私って。

投稿: soukichi | 2005年11月27日 (日) 19:49

私はベビー服売り場。当時は独身だったけど、出産祝い品のパッケージは巧かったわよ。年末商戦の真っ最中、扁桃腺腫らして出戻りヨ(~_~;)
お土産って云うと、私は何故だろう?誰彼なくブローチ貰う事が多くて。当り障りないと思うのかな?唯一大阪で過去に熱愛したお方に戴いたのは、肩こり治療用のネックレスでした。まだ持ってますよ(^^)
ねぇそうきちさん、今度年下の彼に訊かれたら、指輪はちょっとテレるからピアスかイヤリングにしたら?

投稿: リサ・ママ | 2005年11月27日 (日) 21:32

このサボテンかわいいね~。
私もガラスは好きよ。新婚旅行は冬の北海道だったんんだ。
旦那が買った酒飲み茶碗・・・は珍しくシンプルで、趣味のいいものだったの、でも私が2個とも欠いてしまって、でも捨てられずに、小物を入れて、飾ってます。この醤油さしに一寸似ています。ガラスの厚みも藍の感じも似ています。持った感じが、よさそうです。家の醤油さしはガラスだけどどこにでもある、どうでもいい感じの物。時々思いつくとガラスの醤油さし探すけど、薄すぎたりして、今一なんですよ。こんなのは見たこと無いです。    エコビレッジにもいわき在住のガラス作家の作品置いてるけど、醤油さしはなかったな~、今度たのんでみようかな~。

投稿: angelseed | 2005年11月27日 (日) 22:58

リサ・ママさん、
私は器屋に勤めるまで、いわゆるデパート包装ってしたことなかったので、器屋ではほんとに苦労しました。数ヶ月間、腕の筋肉痛とひどい肩こり。それでも毎日どれだけお包みやったかわからないので、習得しましたけれどね。
その年下の人というのは、母が亡くなる前後数ヶ月、私の近くにいたってだけなの。よほど純粋か、よほど気骨がある男でもない限り、私は年下って駄目なのです。それに自分を飾ることが好きじゃないからアクセサリーにもあまり興味が無い。ピアスも毎年、誕生日に今年こそ開けようかと思うけど、この歳まで開けなかったんだから、もういいかって感じ。実はアクセサリーで唯一、好きなのは指輪です。でも、よっぽど好きな人からじゃないともらいたくない。いま私が最も欲しいのは、物より一緒に共有できる時間、かな。

投稿: soukichi | 2005年11月27日 (日) 23:13

angel さん、こんばんは!
ね、醤油さしって、どこか忘れられた存在よね。
日本人なら毎日のように使うものなのにね。
深川製磁とか見ると、懐石料理屋かなんかで出てきそうな、ちょっと凝った作りの小洒落た陶器のものはあるんだけど、そういうのって使いにくかったり洗いにくかったりするじゃない?
小樽ガラスって繊細そうでいてけっこうガラス自体の厚みがあるから堅牢だし、こういうシンプルなものだと洗いやすくて、醤油を入れやすいし、いいよね。私は滅多にものを壊すということがなくて、物持ちはすごくいいんです。だから少々高いものを買っても充分に元が取れるのだ。(この元が取れるって言い方は少々、貧乏性だけど。)

投稿: soukichi | 2005年11月27日 (日) 23:41

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ラスト・ノート | トップページ | 秋の南禅寺 »