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2005年8月22日 (月)

夏の中心

2005himitsunobasyo_4

幾十もの季節が

過ぎました

わたしを漉すように



「愛」といってみます

命令や

断言を避けて

何が残ったでしょうか

せいぜいおりです



「愛する」といってみます

骨の林から

風が

吹いてきます



幼年のころ

わたしは小川で

蝦をつかんだのでした

でもすぐに

跳ねて

わたしの指から消えました



小さなしぶきと

かすかな波紋を

口をあけて

見つめていました



それが

わたしの夏の中心だったのです



「愛」

「愛する」

叫ぼうとするのです

叫びが

命令であるかのように



影がすうっと地を払い

これから

幾つの季節が

くるのでしょう



(『夏の中心』全文引用:北村太郎詩集『おわりの雪』より)

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