2023年5月 2日 (火)

こころ安らぐ時間

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昨日は職場に着くなりショッキングなアクシデントに見舞われて、その対処に追われて心底疲れ果てた。自分でも衝撃的だったのは、起きたできごと以上に自分がそこまで職場の人間を信じられらくなっていたということだ。頭がまっしろになるくらいショックだった。すべて、とはいわないけれど、およそ人間が働く環境って害でしかない。誰になんといわれようと、心身に不調をきたす前にオサラバするしかない、と思った日。

そして今日、休日の朝、いつもより遅い時間に疲れたひどい顔で起きて窓をあけると、ふわっとあまい香り。
風はつよいけれど、よく晴れて外はすっかり明るくなっていて、コンスタンス・スプライがすっかりひらいていた。
わたしが生まれた年に作出されたイングリッシュローズの第1号。
いかにも「薔薇色」という言葉が似あう、あかるくて暖かな花色。ふくよかな大輪の花容に、豊かなミルラの香り。
デヴィッド・オースチン・ローゼスのカタログに載っていた、モッチスフォント修道院の写真にあったこのばらに魅せられて、わざわざ地方から取り寄せたのがわたしのイングリッシュローズとの出会いだった。つるばら仕立てのコンスタンス・スプライの生垣の前に置かれた、サンジェルマンが座ったら似合いそうなクラシカルな白いベンチの写真。いま見ても素敵な。ここちよいミルラの香りでいっぱいのあんなベンチに座ったら、誰でも一瞬でヘヴンにいってしまうだろう・・・・・・。
最初に手に入れたそのスタンダード仕立てのコンスタンス・スプライがだめになる直前に挿し木で温存したこのばらも、今年でもう何年になるだろう。ほんとに好きな気持ちって相手がなんであれかならず伝わるんだよ。毎年たった一輪咲くだけのこのばらに今年は4つもつぼみがつくなんて、それだけで今年はいつもとちがうってことじゃないか?
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それからフェアビアンカ。
花屋が好んでウェディングブーケに使っていたばら。
こちらもイングリッシュローズでは白ばらの第1号。
あまりに純白すぎて、わたしのカメラではなかなかそのうつくしさをうまく捉えられないのだけれど、ミルラとフランキンセンスが混じったような独特ないい香りのする、とてもとても特別な白ばら。
ふるいばらをこよなく愛するわたし。
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そして、言わずと知れたブルボンローズの名花、ラ・レーヌ・ビクトリア。
シェルに似たコロンとしたまるい花容に、あたたかなローズピンク。
陽を浴びて輝くいのち!
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わたしが好きなばらに共通するのは、どれもすばらしく香りがいいこと。
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こうして休日の午後のわずかな時間、ばらのいい匂いに包まれて植物たちの手入れをしていたら、『うつくしいばらの咲く庭のあるカフェで、おいしい珈琲をいれて来たひとたちに心安らぐひとときを提供するようなこと』が自分にもっともふさわしい仕事なんじゃないかというのが自然に降りてきた。制限ある現実のマインドであれこれ考えることなく、しばらくそのビジョンを卵のように温めていようと思う。
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ばらは棘もうつくしい。
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今日みたいに晴れてばらが咲く日が休日でよかった。
仕事だったらこんな景色も見られなかった。
そして今朝、ふわっとあまい香りがしたのは、ばらの香りにブルーベリーの花の匂いが混じっていたからでした。
スズランのような、ドウダンツツジのようなかわいい花。
野生のビルベリー。
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その横でまだ咲いてる砂糖菓子みたいなマヌカティーツリー。
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足もとで咲くラヴェンダー。
相変わらずわたしのベランダは所狭しと植物だらけです。
植物でいっぱいのこのベランダがあるからどうにか生きていけるわたしです。
いつだってほしいのは家より庭。
庭ありきのわたしたちの、巣。
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2023年5月 1日 (月)

5月、ばらの季節のはじまり。

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いちめん灰色の空。で、はじまった5月。
最も過酷だった3月をどうにか克服し、できることが増えたぶん、3月よりはましだったにしろつらいことにはなんら変わりなかった4月をようやく乗り越え、3ヶ月目となる5月がどんな月になるかはわからないけどわたしのベランダには花がある。
わたしの人生はいつだって花と音楽に救われてきた。
咲きはじめたコンスタンス・スプライ。
純白のフェアビアンカ。
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挿し木で増やしたジュード・ジ・オブスキュアにも小さいけれど見事な花がついた。
どれもすばらしくいい香り!
朝6時のベランダ。
出勤前のわずかな時間に。
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2023年3月28日 (火)

中央線の洗礼を受けた日。

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6日つづきの雨の日の朝、駅のホームに降りると「人身事故で中央線が止まっている」とのアナウンス。
でも乗り継ぎ駅に着くとタッチの差でドアが閉まり走っていった電車があり、その時点ではまさか遅れるなんて思わなかった。一応、くらいのつもりで職場の上司にラインで電車が止まっている旨連絡し、ホームの電光掲示板を信じてのんきに待ってたわたしがバカだった。5分遅れで来るはずの青梅特快はどれだけ待っても来やしないし、ようやく来た快速に乗ったと思えば一駅行ったところで止まったきり、ぜんぜん動かない。けっきょく、50分遅れでようやく目的地に着いた。やれやれ! 1時間半前に家を出て15分も遅刻するなんてありえない。
そうじゃなくてもこの世の中はどうでもいいこと、つまんないことで満ち満ちてるのに憂鬱な雨が1週間近くもつづいて、つい世をはかなみたくなる気持ちもわからないではないけどね。でもお願いだから思いとどまってくれ。少なくとも電車に飛びこむのだけはやめてくれ。もっとほかにやりかたはあるはずだ。そう、、、誰にいうともなくいいながら足早に職場に向かう。着いたら着いたで微に入り際にわたって細かいことをいう会社における『遅刻したことの』つまんない手続きをあれこれしなきゃなんない。ほんとうに、この世の中のほとんどのことはどうでもいい。

そして昼。
毎日おなじJAZZが流れる休憩室で、スマホの画面を見ながらコンビニで買ってきた菓子パンやお弁当を死んだ目をして食べるひとたちの中にあって、娘がつくってくれたお弁当にこころのなかで「いただきます!」をいって食べるわたしはちょっとはマシなのか。どう思う? 屋根の高いところで雨に濡れながらこっちを見ているカラスくん。もしかして君は誰かさんの化身なのか。
働きはじめてちょうどひと月め、中央線の洗礼を受けた日。

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2023年3月25日 (土)

今日、仕事帰りに。

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今日めったにないこと、おなじシフトで入っていた仕事仲間がたまたま帰る方向もおなじと知って、帰り際「一緒に帰る?」と訊いてきたから「いいよ」と答えると、「早く帰らなきゃいけないひと?」とさらに訊いてきた。「いや。娘にライン1本すれば問題ない。お茶でもしていく?」といったら「しようしよう!」ってことになり、ジャスト退勤時間に2人でタイムカードを打刻する。
外に出ると彼女が「マーガレット・ハウエルのカフェ行ったことある?」と訊くから「ない」と答えて最初はそこへ向かっていたのだけれど、歩きながらわたしが「そういえばクレヨンハウスって原宿から吉祥寺に移転するってことだったけど、もうできたのかな?」と何気なく訊いたら、「もうできたよ。このちょっと先だからそっちのほうが近いし、じゃあ、そっちに行ってみる?」といわれて、クレヨンハウスに行くことになった。
あたらしいクレヨンハウスは大正通り沿いにあって、以前とはだいぶちがう趣き。
世の中のひとたちはお給料日後の土曜日とあって店内はかなり混んでいて、入り口近くの席に案内されて着席。そこで初めてマスクをはずした彼女と向きあったら、彼女の顔もまたいつもとは全然ちがう趣きでちょっとびっくり。
こんなのもコロナの時代ならではのあるあるかもしれない。

彼女は、わたしがいまの職場に入って初めて彼女と会った日にいきなり「わたしはここの商材にも接客にもまったく興味ないし、ここで働いてても1ミリも楽しくない」と言ったひと。正直、「やれやれ。入るなりこれか」と思ったけれど、それだけ彼女はウソのつけない、正直なひとだってことだろう。それは、一見やさしそうな顔して陰口たたく日和見主義の優等生や、お体裁屋のウソつきよりはずっといい。自分より立場が上の人であっても彼女は妙な忖度をしたり、おべんちゃらを言ったりしないし、上の人から少々強く出られようが自分のペースを崩さない。そのマイペースさは彼女のクールで個性的なルックスにもよく表れていて、要は「他人にどう見られるか」より「自分がどうしたいか」を常に優先しているのだと思う。結果、あんなルールまみれのキチキチしたキュークツな職場で少々ドレスコードからはずれていようが、「〇〇さんは自由なひとだから」という軽い皮肉まじりの言葉ですませられている。先日、そんな彼女が牡牛座だと知ってわたしは心底納得した。聞けば2回結婚して2回離婚しているといい、なかなかに波乱な人生を送っているようなのに、彼女からは苦労の片鱗も感じられない。むしろきわめて牡牛座的な、つまりこの世的・物質的な豊かさや美しさを享受しながら優雅なお暮らしをしていらっしゃるようで、それってある意味、自分にエネルギーを仕えさせてるマスターなんじゃないかと思った。もっともこちらがそれを指摘するまで、そんなこと考えたこともなかったみたいだけれど・・・・・・。

そういう彼女とわたしにはいくつか共通点があって、そのひとつは同じ年頃の自立していない子供がいること。
そのことについて、彼女だってまったく何も考えてないわけじゃないだろうけど、子供には「生きてさえいてくれたらいい」と言ったそうだ。成人といわれる歳になった働いていない子供に、ほんとうに本心からそう言える親ってどれだけいるだろうか。だから先ほど「優雅」という言葉を使ったけれど、それはあくまで彼女の態度や生活におけるチョイスについて言っただけで、彼女はとてもよく働く。彼女の年齢からいったらかなりハードだろうと思うほどに。で、そのぶん人生を楽しむことも忘れない。その体力にも行動力にも実に感心する。すばらしいとしか言いようがない。だけど今日、わたしが最もいいと思ったのは、彼女が子供をとても大事にしていることだった。
わたしも自分の人生で最も大事にしてきたのは子供だったから。

そして余談ながら、今日2時間ばかり話したなかで最もおもしろかったのは、彼女の父方の先祖が海賊だったこと。わたしにはほかにも先祖が海賊だった親友がいて、なんだかそれだけで仲良くなれそうな気がしたから。その彼女の父方の先祖、海賊の次は染物屋になり、その次は島のちいさな映画館の館主になったって、なかなかにおもしろい、悪くない人生だと思う。そして間違いなく彼女はその海賊だった先祖の血をひいているのだ。(だってそういう顔をしてるのよ!)

クレヨンハウスでわたしは「仕事帰りに職場の女性とお茶をするなんて何十年ぶりかで新鮮」といったのだけれど、家に帰って湯船に浸かりながらぼんやりしてたら、何十年ぶりどころか、ひとり親になってからのわたしの人生に『仕事帰りに同僚とお茶』なんてことはほぼなかったことに気づいた。子供が小さかった頃はとにかく早く家に帰らなきゃといつも時間に追われていたし、シフトで働く仕事仲間とはいつもすれちがいだったから。そういう意味では今日はほんとに新鮮だったのかもしれない。
そして新鮮、といえば、目の前で作りたてのフルーツ・ロールケーキが本物の生クリームを使ってて甘さひかえめですごくおいしかったなあ。ケーキはどれも大きめだし、オーガニックコーヒーとセットで1052円、ていうのも、いまの東京では良心的と思う。
こんどは甘いもの好きの娘と行ってみよう。

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2023年3月 9日 (木)

初夏の陽気

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朝おきてベランダに出ると、すでに花屋がため息つきそうな暖かさ。
つまり、ラナンキュラスの茎が途中でとろけて折れてしまうような気温。
今日は3月にして5月並みの陽気になるそうだ。
天気がつづいて毎日気温が高くなると、朝は植物の水やりでいそがしい。

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